「海の向こうの金利が、僕らの未来を揺らすとき」──完税・金利・スタグフレーションの罠を“投資と会計”で解き明かす旅

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。Jindyです。

なんか金利が上がってるらしいけど…それって自分に関係あるの?

そう思ったあなたにこそ、読んでほしい。

今、アメリカで起きているのは、ただの政策発表ではありません。
表面上は“利下げなし、利上げなし”という静かな会見。でもその裏で動いているのは、30年先の世界を揺さぶる「海のうねり」のような金融現象です。

住宅ローン、株価、債券市場、円相場、さらにはあなたの給料や生活費にまで、じわじわと効いてくるこの変化──
このブログでは、それを投資と会計の視点で深掘りしながら、「ニュースの奥にある本当のメッセージ」を解き明かします。

このブログで得られる3つのポイント

  • FOMCの「何もしなかった」が意味する、日米中央銀行の戦略とは?
  • 超長期金利の異常上昇が示す“世界の違和感”と、日本への影響とは?
  • スタグフレーション、信用リスク、そして住宅ローン金利──これから何を見て、何を忘れてはいけないのか?

「なんとなく不安」を「自分で判断できる確信」に変えるには、知識ではなく、視点を持つことが大切です。

このブログを読み終える頃、あなたはニュースの裏側を“投資家の目”で見られるようになっているはずです。
それはきっと、未来の自分を守る一歩になる。

中央銀行が「動かない」と市場が動く理由

なぜ「何もしない」ことがニュースになるのか?

2024年春、日銀もFRBも金融政策で「何もしなかった」。
これを聞いて「じゃあ何も変わらないのか」と思った人は少なくないでしょう。でも実は、この“動かなさ”こそが最大のサプライズだったのです。

日本銀行は3月の金融政策決定会合で追加利上げを見送り、FRBもFOMCで利下げを回避しました。ここで注目すべきなのは、「日本が利上げし、アメリカが利下げする」というシナリオになっていたら何が起きたか。為替は一気に円高へ進み、輸出中心の日本企業は業績懸念から株価が急落していた可能性が高いのです。

つまり、「何もしなかった=為替も株も極端に振れなかった=投資家は安心した」という構図。静けさが最大の安心材料になる──これが金融の世界の面白さでもあり、難しさでもあります。

株価と政策金利、知られざる“呼吸のリズム”

もう一つ興味深いのが、日銀の利上げタイミングと株価の関係です。実は、日本銀行は2024年3月、7月、2025年1月と段階的に利上げを行っていますが、どの時期も共通しているのは「株価が高かった」という点です。

これには明確なロジックがあります。株価が高い=市場に活気がある=企業や個人の心理が前向き。そんな状態であれば、金利を少し上げたところで大きな混乱は起きない。むしろ、中央銀行としては「強い市場に小さなブレーキをかける」絶好のタイミングなのです。

逆に言えば、株が弱っているときに利上げすれば、それは火に油を注ぐ行為になってしまう。今回見送られた利上げは、「日銀が今の相場環境を慎重に読んでいる証拠」とも言えるでしょう。

このように、金利と株価には“見えない呼吸のリズム”が存在していて、中央銀行はその空気を敏感に読み取っています。まさに、会計で言えば“損益計算書だけではなく、キャッシュフローとバランスシートも一緒に見なければ全体像はわからない”という発想とよく似ています。

アメリカ市場が抱える「間に合わなかった」の恐怖

一方のアメリカでは、「本当はもう利下げしてほしい」という期待が広がっていました。それはなぜか。背景には“ビハインド・ザ・カーブ(後手に回った政策)”という失敗への恐怖があるのです。

たとえば、もし景気が悪化し始めてから利下げしても、それでは手遅れになる。だから市場は、「FRBは早く動いてくれ」と願っている。にもかかわらず利下げを見送った今回の判断は、一部の投資家にとっては不安の火種となりました。

さらに不安を増幅させたのが、FOMC後のパウエル議長のコメントです。彼は「今後の見通しは不透明だ」と繰り返しました。この“曖昧さ”が意味するのは、「中央銀行自身も、次に何が起こるかわからない」という事実。これこそが、市場にとって最も扱いづらい情報なのです。

会計の世界でも同じような状況があります。「監査法人が“継続企業の前提に重要な疑義がある”と判断する」──この一文があるだけで、企業の株価は大きく下落します。それは「中身が悪い」ことよりも、「未来が見えない」ことへの恐怖が理由です。

今回のFOMCはまさにその「未来が見えない」象徴でした。利下げはしなかったけれど、市場に安心材料を与えたわけでもない。静かだけど、じっとりと汗ばむような空気感。投資家が神経質になるのも当然でしょう。

30年金利が教えてくれる“未来の違和感”

金利は「未来を映す鏡」──でも今、その鏡が歪んでいる

今、マーケットをざわつかせているのは、10年金利でも政策金利でもありません。30年もの超長期金利が、じわじわと、でも確実に上がっていることです。しかも、不思議なのは10年金利が落ち着いているのに、30年だけが上がっているという構造。金利というのは、本来「期間が長くなるほど不確実性が増す」ので、ある程度の上昇は当然です。でも今回のように、長短の金利差が大きく開くケースは、“ただ事ではないサイン”と受け止められるべきです。

では、何が起きているのでしょうか?

一見、「アメリカの将来に強い経済成長期待があるからだ」とも解釈できます。が、実際にはその逆。米国債が売られているから金利が上がっているという懸念が広がっているのです。つまり「成長を信じている」のではなく、「信用できなくなってきている」のです。

会計的に言えば、これは「国債という資産の評価額が下がっている=利回りが上がっている」ということ。債券価格と利回りはシーソーの関係なので、買い手が減れば価格は下がり、利回りが上がる。それが今、30年国債で起きている構造です。

外国人投資家が米国債を見放し始めた?

この構造の背景にあるのが、外国人投資家の動きです。かつてアメリカ国債は“世界一安全な資産”とされ、日本や中国をはじめとする諸外国がこぞって買っていました。事実、リーマンショック前には外国保有率が50%を超えていたこともあります。

ところが、今その流れが逆回転しています。2024年現在でも外国人が保有する割合は30%を超えていますが、買い増しどころか静かに売却が始まっているという見方も強い。さらに、トランプ政権の「完税(関税)政策」によって、各国との摩擦が高まり、「もしクーポン(金利)や元本の支払いを制限されたら…」という不安も投資家心理に影を落としています。

こうした“政治リスク”が金融リスクに直結する時代、信用がほんの少しでも揺らげば、投資判断は一気に変わります。つまり今、30年金利が上がっているのは、「将来のインフレ」ではなく、「将来のアメリカという国の信頼性」に対する微妙な疑念の現れなのです。

このような動きは、日本やヨーロッパにも波及します。なぜなら、超長期金利というのは国境を超えて影響し合う「海のようなもの」だから。日本の40年国債の金利が3%を突破したのも、まさにこの世界の潮目の変化に巻き込まれている証拠です。

投資家心理は「ボラティリティ」と「信用スプレッド」に表れる

金利の変化を語るとき、多くの人は「FRBの動き」や「経済指標」ばかりに目を向けがちです。しかし、もっとリアルに市場の“空気”を映し出すのが、VIX(恐怖指数)と信用スプレッドの2つです。

VIXは、株式市場の不安感を数値化したもの。そして信用スプレッドは、リスクの高い社債(ハイイールド債)と安全な国債との金利差。これが広がるということは、「信用できない企業が増えている」と市場が見ている証です。

今、VIXはやや落ち着いてきていますが、信用スプレッドは依然として高止まり。つまり、「表面の波はおさまっても、水面下ではまだ不安が渦巻いている」状態です。これはまるで、損益計算書の利益が黒字でも、キャッシュフローが悪ければ安心できない会社と同じ。“外見はよくても中身はまだ怖い”のが、今のマーケットなのです。

投資家としては、「買い」の判断をする際、こうした複眼的な視点を持つことが非常に大切です。目に見える数字よりも、「その数字が語らないこと」に敏感であること。それが、市場の本質に迫るための第一歩なのです。

スタグフレーションと住宅ローン──「暮らし」が直撃される日

景気が悪いのに物価は上がる、最悪のシナリオ

あなたが働いても給料があまり上がらず、でも物価だけはジワジワ上がっていく──そんな状況を想像してみてください。これがまさに「スタグフレーション」と呼ばれる経済現象です。今、アメリカではその入り口に立っているのではないか、と言われています。

雇用統計を見れば、表面的には17万人の雇用増など、良い数字に見えます。しかし、成長率で見れば、FRBが想定する1.8%の潜在成長を下回っており、実態は決して好調とは言えません。一方で、関税(完税)の影響で輸入品の価格はこれからさらに上がる可能性があります。つまり、「物価が上がる一方で、景気が伸びない」──これがスタグフレーションの正体です。

この状況において、中央銀行ができることは限られます。物価を下げるには金利を上げなければならないが、それは景気の足を引っ張ることにもつながる。逆に景気を下支えするために利下げすれば、物価高が進んでしまう。まるでブレーキとアクセルを同時に踏むような、非常に難しい舵取りを迫られるのです。

会計で例えるなら、「売上を立てたいから広告費を増やすけど、利益率が下がる」といったジレンマに似ています。戦略のどこかに“痛み”がついて回る──そんな状況が続いているのです。

金利7%の住宅ローン、それでも人は家を買うのか?

この高金利の影響を最も直接的に受けるのが「住宅ローン」です。アメリカでは30年固定の住宅ローンが一般的ですが、現在の金利はなんと7%台に突入しています。日本で住宅ローンが1%前後という感覚からすると、想像しにくいかもしれませんが、アメリカでは「金利が高いうちは我慢して、あとで借り換えればいい」という“リファイナンス文化”があります。

しかし、その前提には「いつか金利が下がる」という希望があるわけで、それが叶わなければ“高金利のままローンを抱えた人たち”が市場に大量に残ることになります。家は買ったけど返済が苦しい。借り換えもできない。しかも、不動産価格が上がらなければ資産価値も増えない。つまり、個人のバランスシートが傷つきやすい状況になっているのです。

こうなると、消費は冷え込み、景気全体にも悪影響が出ます。そして、住宅ローンのデフォルト(返済不能)が増えれば、金融機関もその損失を被る──リーマンショックの記憶が蘇ります。住宅市場は経済全体の“体温計”のようなもので、その変化はやがて企業業績や雇用にも影響していくのです。

株式市場は戻った、でも評価(バリュエーション)は戻っていない

興味深いのは、こうした環境でも株式市場は一定の回復を見せているということです。ナスダックやS&P500など、指数は持ち直しています。しかし注意すべきは、「それは“価格”の回復であり、“評価”の回復ではない」という点です。

バリュエーション、つまり株価の割高・割安を判断する指標のひとつにPER(株価収益率)があります。成長期待が高い企業のPERは50倍、100倍といった数字になることもありますが、金利が高くなると「将来の利益を今の価値に割り引いたときの値段」は下がってしまいます。これは、投資の世界で使われるDCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)モデルの基本的な考え方です。

つまり、「金利が高い=将来の夢を割り引いて見る」ということ。長期金利が高止まりしている今、ハイグロース株は以前ほど評価されなくなり、逆に「安定して利益を出す企業」や「配当が厚い銘柄」が再評価されているのです。

これは投資家としての戦略転換を迫られるサインでもあります。「夢を見る投資」から、「実利を取る投資」へ。短期的な株価だけでなく、その背後にある評価軸の変化を感じ取れるかどうかが、これからの勝負を分けるでしょう。

結論:「未来に備える」とは、“恐れずに知る”ことから始まる

金利の話、中央銀行の動き、スタグフレーションの兆し。
これらは一見、自分の人生には遠いニュースに見えるかもしれません。でも実際には、住宅ローン、給料、投資資産、物価、働き方──すべてに連動しています。つまり、「世界経済の歪み」は、確実に「あなたの毎日」に忍び寄っているのです。

投資というと、「儲ける」ための技術のように思われがちです。
でも本質は違います。投資とは“未来を想像する力”を持つこと。そして、“今この瞬間をどう生きるか”の決断力を磨くことです。

マーケットが穏やかに見えるときほど、私たちは油断します。
でも、本当に大切なのは「静かな異変」に気づける目を持つこと。
今日の30年金利の動きがその象徴です。遠い未来の数字が揺れているのは、いま私たちの暮らしの土台が問われている証拠かもしれません。

大切なのは、「知ることを恐れない」こと。
そして、「目先の安心ではなく、10年後、20年後の自分を守る選択をする」こと。

このブログが、あなたにとって“世界を見る新しい視点”になったなら、それ以上に嬉しいことはありません。
未来はいつも不確実です。でもだからこそ、知ることは、恐れを越える第一歩になるのです。

心ある投資家として、今日からまた一歩、前に進みましょう。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『公認会計士が教える「資産づくり」を勝ち抜くための11の戦略』
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それでは、またっ!!

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