『お金は汚い』と教える親が、老後に子どもに頼るという矛盾

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

その「お金は汚い」って教え、子どもの未来を奪っていない?

「お金は汚い」と言われて育った世代は、親の口癖に違和感を覚えたことはないでしょうか。しかしその同じ親世代も、老後には子どもに生活費や介護を頼るのが当たり前――この矛盾したメッセージの背景には、日本特有の文化的・教育的事情があります。

このブログでは、まず日本が金融教育で海外に大きく遅れを取っている実態を客観的データで示し、その根底にある感情的価値観(「清貧は美徳」「お金=不浄」といった道徳観)を深掘りします。そして最後に、会計や投資の視点を持つことでどのように価値観のリバランスができるか提案します。読んでいただくと、従来の固定観念がほぐれ、自分や家族のこれからの人生設計に役立つ新たな視点が得られるはずです。

金融教育の遅れと「感情教育」の影響

まず、日本が金融教育で圧倒的に遅れている事実を確認しましょう。金融広報中央委員会の調査によれば、学校で金融教育を受けた人の割合は米国20%に対し日本はわずか7%(参考:smbc-cf.com)。その結果として金融知識に自信がある人も、米国では71%のところ日本は約12%に留まります。こうした数字は、日本の金融リテラシー(金融知識・技能)が主要国に比べ著しく低いことを示しています。なぜ日本だけこんなに遅れたのでしょうか。

背景の一つは、子供時代の教育で「お金」に対する実践的な学びがほとんどなかったことです。戦後から最近まで、日本の学校教育ではお金の仕組みよりも道徳的な価値観が優先されてきました。実際、共通認識として「お金=不浄のもの」「子どもの前でお金の話はしない」という教えが広く浸透しており、それが金融教育を遅らせた大きな要因と指摘されています。たとえば、道徳の授業では「物や金銭を大切にし、規則正しく生活する」「望ましい習慣を身につけ、節度を守る」といった目標項目が掲げられており、ここからも「お金は粗末に扱わず無駄遣いは慎むべし」という感情的メッセージが子どもに刷り込まれます。学校では、金融商品や投資の勉強は年数時間しか行われず、社会や家庭で自然に学ぶ機会も限られました。

その結果、親世代で学校でお金の仕組みを学んだ人は少数派になり、「お金に執着せず助け合う」という感情論が残ったまま育つ人が多いのです。実際に、日本ではお金の話は下品とはしたないと見なされる空気が、金融リテラシーの低さを招いた大きな要因であると指摘されています。こうした「感情教育」の積み重ねが「お金=汚い」というイメージを強固にしており、学校での制度的な金融教育導入は2022年になってようやく高校で必修化されたほど遅れていました。このような教育・社会風土の下で育った私たちは、大人になるまで「お金は扱いにくいもの」「必要悪」といった観念を無自覚に引きずりがちです。

「清貧は美徳」の刷り込みと社会的コスト

次に、「貧しくても清らかである」という価値観が社会にもたらす影響を考えます。近年、日本では「清貧こそが正しい」という主張が根強く、裕福になることをわざわざ「悪」とする傾向が見られます。しかし会計や投資の視点で見ると、これは大きな社会的損失を生む矛盾をはらんでいます。例えばある経済評論記事では、「『清貧が正しい』『金持ちは傲慢だ』という決めつけは現実逃避の欺瞞だ」と指摘されています(参考:diamond.jp)。つまり、貧しさを美徳とし一方で富を蔑視するのは、事実や合理的な分析から目をそらす行為に他なりません。

実際、社会全体に目を向ければ日本では家計資産の構成が極端に現金・預金依存です。日本銀行の比較では、日本の家計は金融資産の約半分以上を現金・預金で保有し、株式・投信などリスク資産は15%程度にすぎません。これに対し、米国では現金・預金が14%と極めて低く株式等が5割超を占めるなど、まさに対照的な構成になっています。言い換えれば、「リスクを取って投資する」といった発想が日本には根付きにくく、大きな経済的機会損失を招いているのです。経済統計の専門家によれば、日本人がより積極的に資産運用すれば、1,400兆円ともいわれる個人金融資産を賢明に活用することになり、社会的コストの抑制につながると期待されています。つまり、お金を遠ざける意識は社会全体の富や成長を減速させることにつながりかねないのです。

また、家計だけでなく働き手の意識にも影響があります。丸和育志会の理事長は「いい仕事をしても『金儲けでやっているのか』と言われ、『金儲け何が悪い』と反論しづらい根強い清貧思想がある」と述べています。要するに、社会貢献度の高い仕事をしても報酬を受け取ると揶揄され、黙って受け入れる文化が残っているわけです。さらに同氏は「金儲けには熱心だが、収入をどう使うか(意味ある金遣い)を考える人は驚くほど少ない」という現状も指摘しています(参考:maruwa-ikushi.org)。このように、「お金は汚い」という刷り込みは個人の収入拡大意欲をそぎ、「得た利益を社会にどう還元するか」という視点も欠落させてしまいます。

家庭レベルで見ても、皮肉な現実があります。かつて「家督相続」「長男が親を介護」という日本独特の慣習がありましたが、今の高齢世代は「できるだけ子供には負担をかけたくない」と意識を変えつつあります。それでも実際には多くの家庭で老後の生活を子供に頼るケースも少なくありません。これらはすべて、若い世代にお金の教えを施さなかった結果とも言えます。社会に浸透した「お金忌避感覚」は、知らず知らずのうちに大きな社会的コスト(経済停滞や世代間対立の増大など)を生み出しているのです。

会計思考で道徳を再構築する

では、この問題をどう考え直せばよいでしょうか。ここでは、会計や投資の視点を取り入れた思考法を提案します。まずお金を「道徳」と切り離し、「資源・ツール」として捉え直します。お金そのものに善悪はなく、経済活動の結果生まれる対価や貯蓄にすぎません。むしろ、価値創造への対価として得た利益には、それを享受した社会からの「ありがとう」の印が含まれます。会計の視点では、利益は未来への投資原資です。事業で得た利益を新たな事業や研究開発に再投資すれば、より大きな社会貢献が期待できます。その意味で「儲ける=悪」ではなく、いかに合理的にお金を使って社会に還元するかが重要になります。

次に、家庭の「帳簿」を付けてみる発想です。たとえば老後資金を何も準備せず、将来を子どもに全部頼るのは、まるで家計簿上で「借金」を積み重ね続けているようなものです。反対に、収入の一部を「貯蓄・投資」という資産計上に回すことは、将来への自己投資だと考えられます。そのリターンは、自分で自由に使える「経済的自立」という形で返ってきます。同じように、寄付やチャリティも「出費」に見えますが、得難い精神的満足や社会への信頼という利益(リターン)を生む可能性があります。どちらも会計上の長期的な利益を考慮した投資判断です。

最後に、「リスクとリターン」を意識した行動を心がけましょう。投資と同じように人生にもリスクがあります。たとえば高学歴や熱意だけでは食べていけない世の中です。だからこそ、収入源をひとつに限定せず、副業や株式投資、年金資産の運用といった多様な選択肢を持つことがリスクヘッジになります。会計的には、リスク分散は資産のポートフォリオ分散と同じ理屈です。道徳的に「1本筋で正しい生き方を」「お金より誠実な生き方を」といった教えも理解できますが、そればかりに縛られると『リスク=犠牲』だけが残ることになります。会計思考では、努力に応じた「リターン」も評価します。誠実な行いが社会にどれだけ貢献したか、逆にどれだけの経済的恩恵を受ける資格があるか、といった視点を持てば、お金と道徳のバランスが取れてくるでしょう。

以上のように、数字で考え、バランスシートのように自分自身の資産・負債を冷静に見つめ直すことは、親から無条件に受け継いだ「お金悪」思想から脱却する第一歩です。例えば、大学で高い学費を払うことは「投資」であると考えれば、将来得られる知識や収入増はその「リターン」となります。会計的な思考は冷徹に思えるかもしれませんが、「筋の通ったお金の使い方」を考える上で道徳教育とも親和性があります。大切なのは、社会や家族に貢献する気持ちに、理性的な視点と情報を上乗せすることです。

結論:自分らしい豊かさを再定義する

親から受け継いだ価値観の多くは、すでに時代遅れになりつつあります。「お金は汚い」と教える古い教えに縛られず、自ら情報を得て賢く判断する自由が、現代社会には求められています。読者のあなたも、今からでも遅くありません。感情論だけに頼らず、数字やデータを交えた視点を持つことで、お金と上手に付き合う術は身につきます。そしてこれは、あなた自身の人生だけでなく、周囲の人にも新しい道を切り開く力になります。

このブログでお伝えしたのは、「親世代と自分たち世代のズレ」ではなく、「共に未来に歩むためのヒント」です。私たちが会計・投資の視点で物事を捉え直すなら、家計も国も健全な「バランスシート」を取り戻せるでしょう。お金は道具であり、正しく使えば多くの人を笑顔にできる力を持っています。この事実を忘れず、一人ひとりが新たな価値観で豊かな社会をつくっていければ、きっと日本の未来も明るくなります。自分の人生と向き合うその姿勢こそが、最終的には誰かの支えになり、感動的な未来へつながっていくのです。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『母が子に伝えたい大切なお金と社会の話』
親子で学べる“お金と社会”の超入門。家計・おこづかい・投資・キャッシュレスなど、金融教育を受けてこなかった親世代でもすぐ実践できるヒントを多数収録。


『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』
SNSで話題の元銀行員が「失敗しないお金の守り方・増やし方」を平易に解説。新NISAやインフレ時代の資産防衛術まで網羅した、若手社会人向けサバイバルマニュアル。


『改訂版 本当の自由を手に入れる お金の大学』
累計140万部超のベストセラー最新版。貯める・稼ぐ・増やす・守る・使うの「5つの力」をアップデートし、新NISA対応・危険商品の見極め方など実践的なノウハウを追加。


『子どもに伝えたいお金の話 金融教育のいまを聞く』
金融庁出身の著者が専門家インタビューを通じ、学校・家庭・社会それぞれで求められる金融教育の最前線を紹介。キャッシュレスや投資教育の成功・失敗事例も豊富。


『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』
19万部突破の“お金×物語”ビジネス小説。少年と謎の「ボス」の対話を通じて、貨幣の本質・市場の仕組み・利他と利己のバランスをドラマ仕立てで学べる。


それでは、またっ!!

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