家系の信用と習慣を資産計上 ── “生きている相続”の設計

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

あなたの家族の物語、資産として次世代に“配当”していますか?

お金だけが財産じゃない、なんて言われてもピンと来ないかもしれません。でもこの記事を読み終える頃には、「家族に受け継がれる無形の資産」こそがあなたの人生を豊かにし、将来の家族の絆や成功を支える大きな力になると実感できるはずです。実は、あなたの家族にも、お金では買えない「信用」「絆」「習慣」「マナー」といった財産がたくさん眠っています。それらは形は見えなくても確かに価値を持ち、時に現金や不動産以上の威力を発揮します。例えば地域で築いた信頼、人とのつながり、祖父母から教わった礼儀作法や家族の物語…。そうした無形資産をしっかり受け継ぎ運用することで、家族全体の幸福度や信用度はぐんと高まり、結果的に有形資産(お金や物)も増やせるかもしれません。この記事では、そんな「生きている相続」、つまり生前から家族の無形資産を次世代に伝えていく方法を、投資や会計の視点も交えながら深掘りします。読み終えたとき、きっとあなたは自分の家族の新たな一面に気づき、今すぐ家族に会って話したくなるでしょう。そして将来、子や孫たちが何度も読み返したくなる“家族の物語”を紡ぐヒントが得られるはずです。

お金より大事?「無形資産」が未来の財産になる理由

お金とストーリー、どっちが大事?―ある調査では、ベビーブーマー世代の86%が「財産より家族の物語を残したい」と答えています。その親世代でも同様に約74%が物語を重視したという結果でした。なぜ多くの人が「お金より思い出」を尊重するのでしょうか?それは家族の物語こそ、アイデンティティや価値観、文化の核であり、世代を超えて家族を結びつける“糊”だからです。極端な話、たとえ宝くじが当たるくらいのお金を相続しても、家族の絆がバラバラでは幸せとは言えませんよね。逆に財産が少なくても、強い絆や学びが受け継がれている家族は困難も乗り越えられるものです。

では、この「無形資産」って具体的に何でしょう?ビジネスの世界では、会社が長年かけて築いた信用や知名度を「のれん(Goodwill)」と呼び、帳簿上でも無形固定資産として扱います。同じように家庭にも、数字では測れない「家族版ののれん」があります。例えば、「○○さん一家は地域で信頼されている」といった評判や、代々伝わる家訓、親から子に受け継がれた礼儀作法などです。日本の会計基準では個人の家族関係は資産計上できませんが(笑)、実生活ではこれらは立派な資産と言えます。美容外科医で実業家の麻生泰さんも「無形資産とは家族や友人、技術やスキル。貯金残高なんかよりずっと大事」と語っています。人との良好な関係こそが将来の安定をもたらす土台になる、というわけですね。

さらに興味深いデータがあります。富裕層の資産は2世代で70%、3世代で90%が消えてしまうとも言われます。いわゆる「三代目で財産が無くなる」現象です。これは裏を返せば、お金だけを残しても次世代が維持できないことを示しています。原因はいろいろありますが、その一つが価値観や教訓の不継承でしょう。お金と一緒に「どう稼いだか」「何のために使うか」という物語や哲学を伝えないと、子や孫は財産を有効に活かせないのです。だからこそ現代では、単に遺産を渡すのではなく「価値観や知恵をセットで次世代にバトンタッチすること」が重要だと考えられています。

まとめると、「無形資産」=お金以外の家族の財産は目には見えませんが計り知れない価値を持ちます。家族の歴史や地縁、人脈、礼儀作法、信頼関係…こうしたものは将来、お金を生み出す源泉にもなり得ます。金融資産がゼロになっても、無形資産が豊かな家族は何度でも立ち上がれるでしょう。逆に無形資産が乏しいと、せっかくの遺産もすぐに浪費されたり、家族が不仲になったりするリスクが高まります。それほどまでにお金より大事な「見えない財産」ですが、残念ながら放っておくと世代を経るごとに失われがちです。では、それを守り育てるにはどうしたらいいのでしょうか?

家族行事は「無形資産」の棚卸しタイム

皆さんはお正月やお盆に実家へ帰省したとき、家族でどんな会話をしますか?久しぶりに会った親戚と他愛ない話をしたり、美味しいご飯を囲んだりするでしょう。実はその何気ない家族行事こそが、無形資産を棚卸し(再確認)し、次世代に伝えるチャンスです。たとえばお正月は、日本では昔から親戚が集まって新年を祝う特別な時間ですよね。お正月には家族や地域社会との絆を深め、文化や価値観を次世代に継承する役割があるとされています。おせち料理の意味を祖母から教わったり、年始の挨拶回りで目上の人への礼儀を学んだりと、行事を通じて自然と家族の習慣やマナーが子や孫に染みこんでいくのです。

「棚卸し」というとお店の在庫確認のようですが、家族でも時々やってみる価値があります。具体的には、家族内でどんな無形資産があるか語り合ってみるのです。例えば以下のような観点で振り返ってみましょう。

  • 家族の物語: 先祖や祖父母が経験した印象深い出来事は?家業の創業秘話、戦争や災害を乗り越えた話、家族に伝わる武勇伝や失敗談など。こうした物語は家族の価値観やアイデンティティの源であり、共有することで世代を超えた一体感が生まれます。
  • 地縁・人脈: 地域コミュニティとの結びつきは?地元で頼りにしているご近所さん、長年付き合いのある仕事仲間や友人は誰か。そのネットワークは次世代にとって財産になります。困ったとき相談できる人や、将来のビジネスチャンスをもたらす人脈は、お金には換えられない価値です。
  • 家族の習慣・礼儀: 代々受け継いできた習慣やマナーはある?毎朝仏壇に手を合わせる、食事のとき「いただきます」を大事にするといった基本的な礼節から、記念日には家族写真を撮るといったイベントまで、様々な家庭の文化があるでしょう。そうした習慣を振り返り言語化することで、「うちの家族らしさ」を再認識できます。

このように家族で無形資産リストを作ってみると、「うちにはこんな財産があったのか!」と新たな発見があるかもしれません。実際、日本FP協会のコラムでも「人生のキャリアを棚卸しし見える化する」ことが勧められており、自分が持っている無形資産の多さに気づくだろうと述べられています。家族版でも同じです。一度棚卸ししてみれば、無形資産を意識的に次世代へ渡そうという気持ちが芽生えるでしょう。

さらに、家族行事は実際に無形資産を受け渡す場にもなります。法的な相続手続きではありませんが、例えば法事や集まりで故人の思い出話をすることは、故人の価値観や信念を共有する行為です。神戸の司法書士法人のコラムによれば、相続の場は家族全員が一堂に会し故人の意思や価値観を共有する機会でもあり、過去の思い出や価値観を再確認することで家族の絆が強まるといいます。まさに、悲しみの中にも無形のバトンタッチが行われているんですね。

もちろん、普段から家族でコミュニケーションをとることも大切です。世代間の断絶を防ぐため、意識して対話の場を持ちましょう。最近は核家族化やデジタル化で「ちゃんと挨拶しなさい」なんて礼儀を教える機会も減っていると言われます。だからこそ、お盆や正月に限らず、折に触れて親が子に礼儀を実践して見せる、祖父母が昔話を語る、といった機会を作ることが大事です。「そんな昔の話、興味ないよ」と若い世代は最初は思うかもしれません。でも不思議なもので、あとになって「あのとき婆ちゃんに聞いた話が今の自分を支えている」と気づく瞬間が来るものです。僕自身、子供の頃に聞いた祖父の苦労話や失敗談が、大人になって何度も励みになりました。家族の物語は、時間を超えて生き続ける贈り物なのです。

無形資産を「見える形」に:記録し、分かち合い、未来へ配当

無形資産は目に見えないからこそ、意識的に「見える形」に残す工夫が必要です。せっかく素晴らしい家族の物語や教訓があっても、語り部がいなくなれば霧散してしまいます。「あれ?おばあちゃんのレシピ、書き留めておけば良かった!」なんて経験、ありませんか?記憶はいつか薄れます。だからこそ記録が大事なのです。ミツィ・パーデュー氏(アメリカの名門一族出身の作家)は「家族の物語は録音でもデジタルでもいい、とにかく残すべき」と強調しています。彼女が夫(大富豪フランク・パーデュー)の伝記を書くために高齢者たちにインタビューした際、1年経たず多くの語り手が他界しました。ギリギリ記録できたから良かったものの、もし動かなければ貴重な知恵が永遠に失われていたわけです。これは他人事ではありませんよね。

では具体的に、どんな風に記録し分かち合えばいいのでしょうか。いくつかアイデアを挙げてみます。

  • 家族の年表やアルバム作り:
    家族史を年表にまとめたり、古い写真に説明を書き添えたアルバムを作ってみましょう。曾祖父母の時代から現代までの流れを可視化すれば、子供たちも自分のルーツを直感的に理解できます。家系図サービスを使ってプロに依頼する手もありますが、手作りでワイワイやるのも良い思い出になるでしょう。
  • ビデオメッセージ・音声記録:
    スマホで祖父母にインタビューしてみるのもおすすめです。「子供の頃はどんな遊びをしてた?」「一番苦労したことは?」など質問して録画すれば、生きた声で家族の歴史を残せます。映像や声には文章以上の臨場感があり、次世代への強いメッセージになります。後で孫世代が見返して、「曾おじいちゃんの声、初めて聞いた!」なんて感動するかもしれません。
  • 家族ノート・手紙:
    思い立ったときに家族ノートを回覧したり、離れて暮らす子や孫に手紙を書くのも素敵です。とくにエシカル・ウィル(Ethical Will)と呼ばれる「価値観や感謝を伝える遺言状」も注目されています。これは法的な遺言とは別に、親や祖父母が自分の人生で学んだ教訓や大切にしてきた信条、家族への感謝などを文章にしたためて残すものです。「財産は多く残せないけど、私の大切にしてきた〇〇の精神だけは伝えたい」なんて手紙をもらったら、ぐっと心に響きますよね。僕も将来ぜひ書いてみたいと思っています。

こうして記録された無形資産は、次世代への贈り物として配布しましょう。ここで言う「配当」とは、株式の配当金のように定期的かつ継続的に価値を分かち合うイメージです。例えば、毎年お正月に家族史ニュースレターを発行して親戚に送るとか、LINEグループで月イチ祖父の名言をシェアするとか、小さなことで構いません。ポイントは一度きりで終わらせず、継続することです。そうすれば子供達も徐々に関心を持ち始め、質問してくれたり、逆に若い世代から見た新しいエピソード(「おじいちゃん、実は学校でこんな風に語り継がれてるよ!」なんて話)を提供してくれるかもしれません。双方向にやりとりすることで、無形資産はさらに磨かれ増えていきます。

また、無形資産の配当は分け隔てなく全員がフルでもらえるのも素晴らしい点です。お金の相続は配分で揉めることもありますが、家族の物語や知恵はシェアすればするほど価値が広がるものです。ある人が家訓を忠実に守って成功すれば、その成功体験自体がまた家族の新たな物語となり、他のメンバーへの刺激になります。つまり、無形資産は増える財産なのです。家族みんなでそれを少しずつ継承し合えば、代々にわたり家系全体が豊かになっていくでしょう。

最後に、家族の無形資産をまとめたり共有したりする作業自体が家族の絆を深めるプロセスであることも忘れてはいけません。ファミリーオフィス(資産家一族の財産管理組織)の専門家は、「無形資産をデータベース化し日常的に活用することで、一族の価値はより高まる」と指摘しています。お互いの得意分野や知識、人脈を知れば「じゃあこのプロジェクトは従兄の○○に手伝ってもらおう」など協力もしやすくなりますし、「うちの家族すごいじゃん!」と誇らしい気持ちにもなれます。まさに家族全員で一つのチーム資産を運用している感覚ですね。反対に、せっかく良い資産があっても共有しなければ宝の持ち腐れです。現代はクラウド共有だSNSだと情報を共有する手段も豊富です。家族グループチャットで昔の写真をアップしたり、ドライブに行った際に子供に昔話を聞かせたり、小さな一歩から始めてみましょう。

おわりに: 受け継ぐものがある幸せ

お金は使えば減ります。でも家族の物語や愛情は、分け合うほど豊かになる──そんな不思議な性質があります。だから、あなたの手でぜひ**「生きている相続」**を始めてみてください。今、生きているうちに、次の世代へ渡したい大切な想いを伝えるのです。それは決して派手なことではなく、日々子供に語る何気ない励ましの言葉だったり、一緒に過ごす時間の中で示す優しさだったりします。どんな小さなことも、未来の家族にとってはかけがえのない財産になるかもしれません。

最後に、とある家族のエピソードを紹介します。祖父は生前、毎年誕生日に孫たちへ手紙を書いていました。そこには決まって、「人に親切にしなさい」「正直者でいなさい」といったシンプルだけど大事なメッセージが綴られていました。孫の一人であるAさんはやがて社会人になり、迷ったときはその手紙を読み返しては勇気をもらったそうです。やがて彼女自身が母となり、今度は子供たちにその言葉を語り聞かせています。お金ではないけれど、確かに受け継がれていくものがある──それに気づいたとき、人は「自分は一人じゃないんだ」「ご先祖様が見守ってくれているんだ」と温かい気持ちになれます。無形資産を受け継ぐことは、過去から未来へのバトンをつなぐこと。あなたもぜひ、その尊いリレーの一員になってみませんか?

家族の絆や物語を次世代につなげることは、何にも代えがたい幸せへの投資です。この記事をきっかけに、ぜひ身近な「生きている相続」を考えてみてください。きっとあなたの家族にも、今まで気づかなかった財産がたくさん見つかるはずです。そしていつの日か、あなた自身が「無形資産を残してくれて本当に良かった」と感謝される日が来るかもしれません。そんな心温まる未来を夢見つつ、今日から少しずつ家族の物語を紡いでいきましょう。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

ファミリー企業のガバナンス ― 経済的および精神的な成功を導く実践
 家族経営の統治を“経済”と“精神(価値観・文化)”の両輪で設計する近刊。ファミリー憲章や意思決定プロセスの型を学べます。発売予定が明記された新しめの一冊。


資産家のためのファミリーガバナンスガイドブック
 「ファミリーの繁栄と事業成長」を目的に、家族内ルール(ガバナンス)の設計ポイントを体系化。無形資産の“運用ルール”づくりに役立ちます。


ファミリービジネスの事業承継と経営戦略
 国内事例を交え、後継者の第2創業、BCM(事業継続)や危機管理までをカバー。のれん/信用の継承と戦略の再設計を同時に考えたい読者に最適。


人的資本経営ストーリーのつくりかた
 経営戦略×人材戦略を“1枚”で可視化する実務書。家族(人的資本)に受け継ぐ価値観・行動様式を“ストーリー”として設計・開示する発想に近く、記事の「配当としての承継」に応用しやすい。


家系図をつくる。 ― あなたの家系のヒストリーがわかる
 ルーツの調べ方や資料収集の手順を具体的に解説。家族史の“ドキュメント化”を進める実務ガイドとして有用です。


それでは、またっ!!

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