みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
あなたの“ほぼカニ贅沢”、本当に守りたいものを削っていませんか?
先日放送されたWBS(ワールドビジネスサテライト)で、「年末年始の食卓に異変!? イチゴなしケーキ、“ほぼ”カニ食べ比べ…」という特集が組まれていました。
タイトルからしてインパクト強めですが、内容はもっと深い話です。クリスマスケーキなのにイチゴが乗っていない、カニしゃぶのはずが中身は「ほぼカニ」…そんな“なんちゃって贅沢”が、じわじわと私たちの食卓に広がっています。
もちろん、企業側の事情もあります。イチゴもカニも原材料価格が上がり続けていて、円安・人件費アップ・物流コスト増と、あらゆるコストがじわっと効いている。だから「見た目はそれっぽく」「価格はなんとかギリギリ据え置き」で、代替品にシフトしていくのは、ビジネスとしては理解できます。
でもここでじっくり考えたいのは、「それ、ブランドとしての信用、大丈夫?」という話です。
本物のイチゴを毎年きちんと乗せてきた老舗ケーキ店、本物のカニを使ってきた食品メーカーは、単に“原価の高い食材”を使ってきただけではありません。
「この店ならちゃんとしたものを出してくれるだろう」
「このメーカーなら年に一度のごちそうを任せても大丈夫」
そうやって、時間をかけて“ブランドという目に見えない資本”を積み上げてきました。
逆に、「イチゴなしケーキ」「ほぼカニ」のように、“ちょっとごまかした贅沢”を続けてしまうとどうなるか。
短期的にはコストダウンで利益が守れるかもしれませんが、中長期では「期待していたのと違うんだけど…」「なんか前よりしょぼくなったよね」という違和感が、お客さんの心に静かに積み上がっていきます。
これ、会計の世界でいう「のれん」や「ブランド」といった無形資産の“減損テスト(価値の健全チェック)”にすごくよく似ています。
そしてこの話は、企業だけじゃなく、私たち一人ひとりの家計にもそのまま当てはまります。
・コンビニスイーツで「今日はご褒美だから!」を連発
・“なんちゃって高級”の外食チェーンに、週3ペースで通う
・旅行は行けないけど、ちょっと良いテイクアウトやデリバリーで気分だけリッチ
こうした「なんちゃって贅沢」を積み重ねているうちに、本当にお金をかけたい体験や、本当に大事にしたい“ご馳走の基準”が、少しずつぼやけていきます。
いつの間にか、「たいして感動もしないプチ贅沢」にお金も時間も取られて、本当に投資したかったもの――たとえばスキルアップ、将来の資産形成、家族との特別な旅行――に回す余力がなくなっていく。これこそが、家計版の「信用の減損」です。
この記事では、
- 「イチゴなしケーキ」のバランスシート(BS)には、何が“乗っていない”のか
- 企業が本物を削ったときに失う「ブランド資本」とは何か
- 私たちの頭の中にある“メンタルBS”に、どんな「なんちゃって贅沢資産」が積み上がっているのか
を、できるだけやさしい言葉で整理していきます。
会計とか投資というと、難しい専門用語が並ぶイメージがあるかもしれませんが、ここでは数字や式はほぼ使いません。
イチゴ、カニ、コンビニスイーツ…身近な例だけで、「インフレ時代に信用を守るってどういうこと?」を一緒に考えてみましょう。
読み終わるころには、
- 「あ、これは“ほぼカニ系の贅沢”だな…」と自分で気づける
- 「ここはあえて本物にお金を使おう」とメリハリをつけられる
- 自分や家族の“ブランド資本”をどう育てていくか、イメージできる
そんな視点が、きっと手に入るはずです。
イチゴなしケーキのバランスシート

――「乗っていない」のは、イチゴだけじゃない
クリスマスケーキといえば、「生クリーム+真っ赤なイチゴ」が王道ですよね。
ところが最近は、原材料の高騰もあって、イチゴを減らしたり、まったく乗せないケーキも増えてきています。食品全体の値上がりは今も続いていて、日本の物価もじわじわ上がり気味です。
値上げを避けるために「イチゴを減らす」という判断は、コストの面だけ見れば合理的です。
でも、ここで改めて考えたいのが、
「そのケーキ屋さんの“バランスシート(BS)”には、そもそも何が乗っていたのか?」
という視点です。
お店にとってのバランスシート(BS)は、「その店が持っている財産の一覧表」です。
オーブンやショーケース、材料のストックなど、目に見えるモノはもちろん、「この店なら安心」「ここで買うとワクワクする」といった、目に見えない“信用”も、じつは大事な財産です。
イチゴを1粒減らすかどうかは、表面上は「原価の話」に見えますが、本当は
- 長年積み上げてきた「この店ならクリスマスは間違いない」という期待
- SNSの口コミやリピーターがつくことで育ってきた“ブランドの貯金”
とセットで考えないといけません。
ここからは、そんな「イチゴなしケーキ」とブランド資本の関係を、できるだけやさしく分解してみます。
「原価をケチる」と「信用を削る」は、似ているようで別物
まず整理したいのは、「原価をケチる」と「信用を削る」は、似ているけど違うということです。
- 原価をケチる:
→ 仕入れ値や材料費を下げて、利益を守るための行動 - 信用を削る:
→ お客さんの期待を裏切って、「この店大丈夫かな?」というモヤモヤを増やしてしまうこと
たとえば、同じ「イチゴを減らす」にも、やり方はいろいろあります。
- 予約の段階で「今年はイチゴ高騰のため、トッピングを少し減らしています」と正直に伝える
- イチゴは減っても、クリームのグレードを上げる、サイズを少し大きくするなど、別の形で満足度を補う
- 逆に、こっそりイチゴを減らし、見た目も味も「去年よりショボい」まま出す
同じ“コストダウン”でも、上の2つは「ちゃんと説明しながら、別の価値でカバーしよう」という姿勢があります。
3つ目は、短期的には利益が守れても、「ん? なんか去年と違う…」という小さな不信感が積み上がります。
会計の世界っぽく言えば、
「原価」は今期の利益の話、
「信用」はこれから何年も続く将来の利益の話
です。
イチゴを1粒ケチって浮いたお金と、信用が削れて将来失う売上。
どちらが大きいか、本当は冷静に比べないといけないんですよね。
ケーキ屋さんのBSにある“見えない資産”=ブランド資本
バランスシート(BS)というと難しく聞こえますが、超ざっくり言えば「お店の持ち物一覧」です。
- オーブン、冷蔵庫、内装:目に見える資産
- レシピ、職人さんの腕、お客さんとの信頼関係:目に見えない資産
この「目に見えない資産」が、大企業だと「ブランド」「のれん」などと呼ばれます。
街のケーキ屋さんにも、ちゃんと存在しています。
毎年、クリスマスケーキを買い続けているお客さんは、こうした目に見えない資産にお金を払っているとも言えます。
- 「味の安定感」
- 「記念日を任せても恥ずかしくない安心感」
- 「パッと見で『あ、ここのケーキだ』とわかるデザイン」
これらはすべて、その店のBSに乗っている“ブランド資本”です。
ここでポイントなのは、
ブランド資本は「一気にドーンと増える」より、「じわじわ積み上がる」
という性質を持っていること。
- 「今年もおいしかった」
- 「箱を開けた瞬間テンションが上がった」
- 「写真を撮ってSNSにあげたくなる」
こういう経験をお客さんに毎年提供し続けることで、少しずつ、でも確実に増えていきます。
だからこそ、クリスマスケーキはその店にとって“年に一度のブランド投資イベント”でもあるわけです。
イチゴを外すとき、本当は“何のテスト”をしているのか?
会計の世界には「減損テスト」という考え方があります。
かんたんに言うと、
「この資産、本当にまだその値段の価値がある? ちゃんとチェックしよう」
という定期健診のようなものです。
ブランド資本にも、同じようなテストが自然に起きます。
ケーキ屋さんの場合、そのタイミングがまさにクリスマス当日です。
- 箱を開けたとき、「おおっ!」となるか、「あれ?」となるか
- 毎年買っているお客さんが、「来年もここで買おう」と思うか、「別の店、試してみようかな」と思うか
- SNSで「今年もしっかりイチゴたっぷりだった!」とポジティブな投稿になるか、「なんかショボくなってない?」と微妙な空気が漂うか
イチゴを外す、減らすという判断は、単に「原価を下げる」だけでなく、
「うちのブランドは、どこまで“削っても”お客さんに許されるのか?」
という、かなり危険なテストでもあります。
そのときに、
「値段据え置きだからしょうがないよね」と納得してもらえる工夫があるか
それとも、黙って質だけ落としたように見えてしまうか
ここで、ブランド資本の“減損”が起きるかどうかが決まります。
イチゴが乗っていないケーキのBSには、たしかに「イチゴ」という資産は乗っていません。
でも、もしそれによって
- リピーターの気持ち
- 店への期待値
- 「ここなら安心」という信頼
まで削ってしまっていたら、BSから落ちているのは、イチゴだけではありません。
「イチゴ1粒分のコストカットのつもりが、“信用ごっそり”カットになっていないか?
この視点を持てるかどうかが、インフレ時代の商売の分かれ道になってきます。
次では、同じ「なんちゃって贅沢」でも、もっとわかりやすく議論が割れがちな「ほぼカニ」を題材に、代替品とブランドのリスクを掘り下げていきます。
「ほぼカニ」と代替品のリスク

――安くなった分、どこが“高くつく”のか
年末のスーパーに並ぶ「ほぼカニ」「カニ風味○○」。
パッケージを見ると、美味しそうなカニ鍋の写真。値札は本物のカニの半分以下。
正直、めちゃくちゃ魅力的ですよね。
ここで誤解してほしくないのは、「ほぼカニ」みたいな代替品そのものが悪いわけではないということです。
日常の晩ごはんで、「今日はなんちゃってカニ玉」「サラダにちょっとだけカニ風味を足したい」みたいな使い方なら、むしろありがたい存在です。お財布にも優しいし、工夫次第でちゃんとおいしい。
問題は、
「本物の“ごちそうポジション”に、そっと代替品を置き換え始めるとき」
に起きます。
カニ鍋、カニしゃぶ、年に一度のカニパーティ。
そこに“ほぼカニ”を持ち込むとき、実はただのコストダウンではなく、ブランドと信用のテストがスタートしてしまいます。
ここからは、「ほぼカニ」のどこにリスクが潜んでいるのかを、初心者向けにかみ砕いて見ていきます。
「ほぼカニ」は悪者じゃない。悪いのは“使いどころ”
まず大前提として、「ほぼカニ」みたいな代替品は、うまく使えば家計の味方です。
- 日常の食費を抑えつつ、ちょっとした満足感を足せる
- 子どものお弁当や、おかずの“かさ増し”に便利
- タンパク質を安くとれるという意味では、コスパも良い
なので、「本物カニ=正義」「ほぼカニ=悪」という単純な話ではありません。
大事なのは、
- 「日常用のプチ満足」に使うのか
- 「年に一度のごちそう枠」に使うのか
この“ポジションの違い”です。
企業側から見ると、
- 日常用のお手頃ライン → 代替品でもOK
- 特別な日用のプレミアムライン → 本物で勝負したい
と“線引き”するのが自然です。
もしこの線があいまいになり、
「プレミアムの顔をしながら、中身はほぼカニ」
みたいな状態が増えると、「え、それってちょっとズルくない?」という感覚が、じわじわとお客さんの中に溜まっていきます。
ごちそうシーンで起きる「期待値ギャップ」が、一番こわい
たとえば、こんなシーンを想像してみてください。
- 1年に1回、家族で楽しみにしているカニ鍋
- お父さん(またはお母さん)が「今年も奮発したぞ〜」とドヤ顔で鍋をセット
- フタを開けると、見た目はカニっぽいけど、よく見ると「ほぼカニ」のパッケージ
このとき、子どもやパートナーの頭の中には、すでに「本物カニ」のイメージができあがっています。
SNSやCM、過去の記憶から、「カニ鍋=特別で、ちょっと非日常なごちそう」という期待値がセットされている。
そこに“ほぼカニ”が出てくると、こういう感情が混ざります。
- 「味は悪くないけど、なんか“イベント感”が弱い…」
- 「奮発したって言ってたけど、実は節約だったのかな?」
- 「来年は本物のカニ、食べてみたいな…」
これ、決して大きな不満ではありません。
でもこの「モヤっとした期待ハズレ感」が一番こわいんです。
企業側から見ると、
「値段は抑えつつ、“カニパーティの夢”だけは売り続けたい」
という気持ちはわかります。
でも、あまりに“夢の部分”だけを強調して、実態がついてこなくなると、
- 「なんだか広告ほどじゃなかったな」
- 「このメーカーの商品、全部ちょっと盛ってるイメージ…」
と、ブランド全体の信用が目減りしていきます。
これはちょうど、「期待値」と「実際の中身」の差が大きいほど、ブランド資本が削られるイメージです。
「短期のコスト」vs「長期のブランド」経営のテストになっている
企業の立場で考えると、「ほぼカニ」へのシフトは、数字の上では魅力的に見えます。
- 原価が下がる
- 価格を据え置きにしやすい
- 利益率が上がる
短期的には、売上や利益のグラフがきれいに見える可能性があります。
でも、本当に重要なのは「数年後も、そのブランドにプレミアム感が残っているか?」です。
- 「あのメーカーなら、年末のごちそうは安心して任せられる」
- 「ちょっと高くても、ここを選びたいと思える」
- 「他が値下げしても、ここは“ちゃんとしてる感”があるから買う」
こういう“長期的な強さ”こそが、会計の言葉でいう「ブランド資本」や「無形資産」にあたります。
もし、「ほぼカニ」を乱用してしまうと、
- 一時的には利益アップ
- でも数年後には、「特別な日に選ばれる力」がじわじわ弱る
- 結果として、「値下げしないと売れないブランド」になってしまう
という未来もありえます。
これはまさに、企業が自分で自分のブランドに「減損テスト」をかけている状態です。
「このやり方を続けても、うちのブランドは、今の価値を保てる?」
「それとも、じわじわ信用を削っていってしまう?」
この問いにどう答えるかが、経営のセンスが問われるところでもあります。
そして、同じ構図は、私たちの家計にもそのまま当てはまります。
- 日常の晩ごはんに“ほぼカニ”
- 年に一度のごちそうに「本物カニ」
というメリハリがあれば、家計の“満足度のコスパ”はかなり良くなります。
逆に、
- 日常からなんとなく「ほぼ贅沢」を使いすぎて
- 本当にお金をかけたい場面で、余力も感動も残っていない
という状態になっていないか。
ここも、私たち一人ひとりがやるべき「メンタルBSの減損テスト」になっているわけです。
次では、この視点をそのまま「あなたの頭の中のバランスシート(メンタルBS)」に持ち込みます。
なんちゃって贅沢が積み上がると、心の中の“資産表”がどう歪んでいくのか、図解するイメージで整理していきます。
あなたの「メンタルBS」となんちゃって贅沢

――頭の中のバランスシートが、じわっと歪んでいく
ここまでは、お店やメーカーの「ブランド資本」の話をしてきました。
でも本当に面白くなるのは、ここからです。
同じ考え方を、私たち一人ひとりの「メンタルBS(頭の中のバランスシート)」にそのまま当てはめてみると、
「あ、ここ“ほぼカニ枠”になってるな…」
と気づけるポイントが、いくつも見えてきます。
お金の使い方って、家計簿にだけ現れるわけじゃありません。
「何にお金を使うとテンションが上がるか」「どんな時に“贅沢したな〜”と感じるか」は、すべて頭の中にある“見えない資産表=メンタルBS”に影響しています。
このセクションでは、
- メンタルBSってなに?
- なんちゃって贅沢は、どこに積み上がっていくの?
- 今日からできる「減損テスト」のやり方
を、できるだけかんたんに整理していきます。
あなたの「メンタルBS」は、こうなっている
まず、メンタルBSをすごくざっくり図にすると、こんなイメージです。
●頭の中の“資産”側(プラスのもの)
- 手元のお金(預金・現金)
- 持っているモノ(家電、服、ガジェットなど)
- 経験・思い出(旅行、イベント、推し活)
- スキルや健康(資格、筋トレ、勉強したこと)
- 自分への自信、人からの信頼
●頭の中の“負債”側(マイナスや将来の約束ごと)
- ローン・リボ・クレカの残高
- 解約してないサブスク
- 「なんとなく続いている出費」
- 疲れ・ストレス・罪悪感(使いすぎた…という気持ち)
- 「本当はやりたいことを先送りしている感覚」
数字で書き出しているわけではないけれど、頭の中ではいつもざっくりと「自分はいま、どれくらい満たされているか」を計算している状態です。
で、ここに登場するのが「なんちゃって贅沢」です。
- コンビニでつい買うご褒美スイーツ
- なんとなくのウーバー・デリバリー
- そこそこ高いけど“まあ楽だから”と選びがちな外食
- SNSで見かけた「ちょいリッチ」な商品
こういう支出は、一瞬は「資産側」に入ってきます。
- ストレス発散になった
- 写真撮ってシェアして楽しかった
- 少しテンションが上がった
でも、その“資産”は賞味期限がめちゃくちゃ短いのがポイントです。
1日たつと、もうほとんど残っていない。
代わりに、
- 「今月ちょっと使いすぎたな…」というモヤモヤ
- 「前はこれで満足してたのに、最近は物足りない」という“慣れ”
が、負債側にじわじわ積み上がってきます。
なんちゃって贅沢は「減損リスク高めの資産」
会計でいう“減損”は、
持っている資産の価値が、思っていたより下がっていることに気づくこと
でした。
メンタルBSでいうと、「なんちゃって贅沢」はまさに減損リスクの高い資産です。
- 買う前は「これでめっちゃ満たされるはず!」と思っている
- 実際に買ってみると、「まあ悪くないけど、そこまででもなかった」
- 何度か繰り返すと、「同じものじゃ満足できない」→さらにグレードアップしたくなる
つまり、
「資産だと思って買ったのに、使ってみたら価値がすぐ落ちていく」
という状態になりがちです。
たとえば、
- 500円のコンビニスイーツを週3回=月6000円
→ 10ヶ月で6万円。1年で7万円ちょっと。
ここまで積み上げると、
- ちょっと良いホテルに泊まる家族旅行
- スキルアップの講座
- 推しのライブ遠征
など、本当に記憶に残る“ド本命の贅沢”に変えられるレベルです。
でも実際は、
- 1回1回は小さくて、全部「まあこんなもんか」で消えていく
- なのに習慣になっていて、やめるタイミングもない
という、「満足度は薄いのに、合計金額だけは重い」という状態になりやすい。
会計的にいえば、
「減損テストをしないまま、価値の低い資産をずっと持ち続けている」
ような感じです。
今日からできる「メンタルBSの減損テスト」
じゃあ、どうやってメンタルBSを健全に保つか。
むずかしいことをする必要はなくて、シンプルに3つの質問を習慣にするだけでもかなり変わります。
①「これは“ほぼカニ”枠? それとも“本物カニ”枠?」
お金を使う前に、一瞬だけ自分に聞いてみます。
- 日常の小さな楽しみ → ほぼカニ枠(アリ)
- 年に1〜2回の特別なイベント → できれば本物枠にしたい
こうやってざっくり分けておくだけで、
「ここはあえて本物にしよう」と決める場面が見えてきます。
② 「3ヶ月後の自分が思い出せる使い方か?」
- 3ヶ月後に「あの出費、良かったな」と思い出せるか
- それとも、レシートを見せられてもピンとこないか
前者は「資産寄り」、後者はかなり「減損リスク高め」です。
もし「たぶん3ヶ月後には覚えてないな…」と思ったら、
- 回数を減らす
- もっと本命の体験に寄せる(誰かと一緒に楽しむ、写真や日記に残す)
などの工夫をしてみる価値ありです。
③ 「このお金を、未来の自分に投資するとしたら、何に使いたい?」
なんちゃって贅沢を完全になくす必要はありません。
ただ、
- 月1回分だけ本命の贅沢に振り替える
- 週1回分を、投資・貯金・勉強に回してみる
といった“小さなスライド”をするだけで、メンタルBSの中身がかなり変わります。
たとえば、
- 週3コンビニスイーツ → 週2にする
→ 浮いたお金で、月1回「本物のケーキ屋さんのケーキ」を楽しむ - なんとなくのデリバリー → 月1回はやめる
→ その分を「家族で外食」や「小さな旅行の積立」に回す
こうすると、
- 満足度の“密度”が上がる
- 「本物のごちそう」に対するワクワクが戻ってくる
- 「自分はちゃんと未来に投資している」という自信も増える
という、良いループが回り始めます。
「イチゴなしケーキ」や「ほぼカニ」は、単なる食品の話に見えますが、
じつは私たちのお金の使い方のクセや、満足度の基準を映す鏡でもあります。
- 企業は、「ブランド資本の減損テスト」をされている
- 私たちは、自分で自分の「メンタルBSの減損テスト」をする必要がある
そう考えると、
インフレ時代の“なんちゃって贅沢”は、ちょっとした家計テクニックではなく、自分の人生の優先順位を見直すきっかけにもなってきます。
あなたの家では、どんな「なんちゃって贅沢」が積み上がっているでしょうか。
X(旧Twitter)なら、
「#うちのなんちゃって贅沢ランキング」
みたいなノリで書き出してみると、けっこうおもしろい発見があると思います。
結論:イチゴ1粒ぶんの勇気が、人生の“本物感”を取り戻す
ここまで読みながら、頭の中でいろんな「イチゴなしケーキ」や「ほぼカニ」が思い浮かんだかもしれません。
- 見た目だけそれっぽい“なんちゃって贅沢”
- 値段のわりに、あまり記憶に残らないご褒美
- 「まあこれでいっか」で選んだ、なんとなくの選択
インフレの今、「全部本物でいきましょう!」なんて、きれいごとを言うつもりはありません。
現実には、予算も時間も体力も限られていて、どこかで「ほぼカニ」的な選択をしないと回らない場面はたくさんあります。
でも、この記事でずっとお伝えしてきたのは、
「全部を本物にしなくていい。その代わり、どこを本物にするかだけは、自分で決めよう」
ということです。
企業側でいえば、
- 日常用の商品は、代替品とうまく付き合う
- でも、看板商品・記念日商品では“らしさ”を絶対に削らない
- 値上げが必要なら、きちんと理由を伝え、別の価値も一緒に出していく
こうしてブランド資本を守る覚悟があるかどうかが、長く選ばれるかどうかを分けます。
そして私たち個人も、まったく同じです。
- 日常は、ほぼカニ・イチゴ少なめでもOK
- でも、「ここだけは」という場面では、あえて本物を選ぶ
- お金・時間・気力を、“本当に大事にしたい体験”に寄せていく
これを続けていくと、あなたのメンタルBSの「資産側」に、
- 思い出として何度も話題に上る旅行
- 家族みんなで覚えている記念日のごちそう
- 将来の自分を助けてくれるスキルや人間関係
といった“減損しにくい資産”が増えていきます。
逆に、「なんとなくのなんちゃって贅沢」が多すぎると、
- すぐ忘れてしまう出費
- 大して満足していないのに続いている習慣
- どんどん基準が上がるのに、心の満足度はあまり上がらない
という、“減損まみれの資産”がたまりやすくなります。
イチゴ1粒を乗せるか、乗せないか。
ほぼカニにするか、本物カニにするか。
この小さな選択の違いは、単なる「食費の問題」ではなく、
「自分は何に本気でお金と時間を使いたいのか?」
という、かなり根っこの問いに直結しています。
だからこそ、今日の記事を読み終えたこのタイミングで、ぜひ一度、
- 自分の「なんちゃって贅沢ランキング」を書き出してみる
- その中から「ここだけは本物にしたい3つ」を選んでみる
- 来月から、どこか1つだけ“ほぼカニ枠”を減らしてみる
そんな小さなアクションを試してみてください。
インフレのニュースを見ると、つい「また値上げか…」とため息が出ます。
でも視点を変えれば、これは「自分のお金の使い方をアップデートするチャンス」でもあります。
- 企業には、「イチゴなしケーキでブランドを削ってない?」という問いを
- 自分には、「ほぼカニ贅沢で、メンタルBSを減損させてない?」という問いを
静かに投げかけていく。
その繰り返しが、数年後のあなたの“本物感”をつくっていきます。
さて、あなたの家の食卓と財布の中には、どんな「イチゴなしケーキ」と「ほぼカニ」が隠れているでしょうか。
よかったらXで、
「うちの“なんちゃって贅沢”ランキング、こうでした」
とこっそり教えてください。
その投稿こそが、あなたのメンタルBSを健全に保つ「最初の減損テスト」になるはずです。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『今さら聞けない お金の超基本 改訂新版 ― 節約・貯蓄・投資のきほん』泉 美智子 監修
「そもそもお金ってどう管理すればいいの?」という超基本から、節約・貯金・投資までを一冊でおさらいできる定番入門書の最新版です。
イラストや図が多く、専門用語もできるだけかみ砕いてくれているので、「お金の教科書を1冊だけ持つならコレ」というポジションにピッタリ。
この記事で書いた“メンタルBS”を、実際の家計簿や資産管理に落とし込みたい人にとって、最初の一冊としてかなり心強い相棒になってくれます。
『今日から楽しむ“金育”(趣味どきっ!)』塚本 俊太郎
NHK「趣味どきっ!」テキストとして作られた、“お金の勉強ビギナー向け”のやさしい入門書です。
貯蓄や投資とは何か、今の自分のお金の使い方にムダがないか、つみたてNISAなどの制度をどう活かすかまで、テレビ感覚でサクサク読み進められる構成。
「なんちゃって贅沢」をちょっと減らして、未来の自分に回すお金を作りたい人は、この本を片手に“金育”を始めると、行動がかなり変わります。
『今さら聞けない 行動経済学の超基本 ― ミクロ・マクロの前に』浅田 昭司 ほか
「わかってるのに、ついムダ遣いしてしまう…」
その“人間らしい矛盾”を、行動経済学という学問でやさしく解きほぐしてくれる入門書です。
経済学と心理学を組み合わせて、「なぜ私たちはそういうお金の使い方をしてしまうのか?」を、日常の例から解説してくれるので、難しい数式が苦手でもスッと入ってきます。
この記事のテーマである「なんちゃって贅沢」や「ほぼカニ」に、もう一段深くツッコミを入れたい人にはドンピシャの一冊です。
『ブランディングが9割』乙幡 満男
イオンやマツモトキヨシのプライベートブランド再生に関わり、Japan Branding Awardsの最高賞も受賞した著者が、「ブランドとは何か」を徹底的に噛みくだいて教えてくれる本です。
「なぜあの店の“イチゴなしケーキ”は許されて、あのメーカーの“ほぼカニ”は炎上するのか?」――そんなモヤモヤを、“ブランド資本”という視点から理解できるようになります。
自分のビジネスやキャリアを「ブランド」として育てていきたい人にも刺さる内容なので、企業目線の話をもっと知りたい読者におすすめです。
『このままではあなたの現金の価値が下がる! インフレ・円安からお金を守る最強の投資』朝倉 智也
タイトルからして強いですが、中身は「インフレと円安が続く世界で、現金をそのまま持っているリスク」と「個人が取りうる現実的な防衛策」を、データと具体例で整理してくれる一冊です。
投資初心者でも読みやすいように、商品選びやポートフォリオの考え方が丁寧に書かれているので、「そろそろ“なんとなく貯金”を卒業したい」という人の背中を押してくれます。
この記事で触れた「インフレで実質的に削られていく資産」を、ちゃんと守りたい人は、最初の“本気の一歩”として手に取る価値大です。
それでは、またっ!!
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