“なぜかやめられない”の正体──MLMと負債感情の構造分析

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

その“負けたくない”が、あなたの人生を赤字にしていませんか?

「気づいたら赤字なのに、なぜかやめられない…」もしあなたがそんな “マルチ商法(MLM)の沼” にはまり込んでいる人を知っているなら、この記事はきっと役立ちます。あるいは、今まさに自分自身が抜け出せずに苦しんでいるなら、ここで得られる知識があなたの目を覚まし、未来を取り戻す助けになるでしょう。この記事では、マルチ商法で商品が売れず赤字が続いても辞められない人々の心理メカニズムを、投資・会計の視点も交えながら徹底分析します。その裏には、洗脳にも似た経済心理のワナと、まるで宗教のような信じ込みが潜んでいるのです。

まず、本記事を読むことであなたは 「なぜ人は損してまでMLMを続けるのか」 という疑問の答えを明らかにできます。ただ好奇心を満たすだけでなく、そうした心理の正体を知ることは被害を未然に防ぐ強力な武器になります。友人や同僚が巧みな勧誘に苦しんでいるなら、ここで紹介する知識を共有することで大切な人を守れるかもしれません。また、自身が「もう後に引けない…」と感じている場合でも、本記事の内容は冷静な自己分析と決断を促し、泥沼から抜け出すきっかけになるでしょう。読み終える頃には、マルチ商法の負のループに潜む心理構造がクリアに理解でき、二度と同じ過ちに陥らないためのヒントを得られるはずです。

では早速、“なぜかやめられない”と言われるマルチ商法の泥沼について、その 「負けたくない」心理信仰にも似た執着、そして サンクコスト(埋没費用)の罠 に至るまで、一つひとつ深掘りしていきましょう。

商品は売れないのに「辞めたら負け」──損切りできない心理

マルチ商法で陥る最初の心理トラップは、「ここで辞めたら全てがムダ(=負け)」 という強烈な思い込みです。商品がまったく売れず、ビジネスとして破綻しかけている状況でも、なぜか本人は 「まだやれる、今辞めたら損だ」 と感じてしまうのです。この心理は株式投資やギャンブルにも例えられます。例えば、多くのギャンブラーは大損しても続けてしまい、「損したままじゃ終われない、一発逆転できるはずだ」 と考えます。同様に、MLM従事者も 「負けを確定させたくない」「諦めたら自分の否定になる」 という感情に囚われているのです。

こうした心理の背景には、人間に共通する損失回避の傾向プライドが潜んでいます。人は得をすること以上に、損をすることを強く嫌う生き物です。既にお金や時間を注ぎ込んでしまった分、「ここで辞めたら全部ムダだ」と感じてしまう のは自然な反応とも言えます。実際、とあるQ&Aサイトでも「株式投資と同じで損切り(損失確定)の決断ができないだけ」との指摘がありました。投資の世界では、見込みのない株を抱え続けて損失を拡大させる人がいますが、MLMにハマる人も同じ状態なのです。

さらに厄介なのは周囲からの目自尊心です。マルチ商法に熱中する人ほど、SNSなどで「絶対成功する!」と宣言していたり、友人知人にビジネスの夢を語っているものです。それゆえ内心では辞めたいと思っても、「辞める=失敗」と周囲に思われたくないプライドが邪魔をして、なかなか撤退できません。特に積極的に勧誘をしていた人ほど、「今さら自分が騙されていたなんて認められない」「もう引き返せない」と意地になってしまう。自分が他人を巻き込んでしまった罪悪感も加わり、当事者はますます現実直視を避けてズルズルと居残ってしまうのです。

例えば、ある元A◯◯会員の告白では、彼は借金まみれで首が回らなくなっても 「一度やると言ったからには曲げられない。今は借金で首が回らない状態だけどいつか復帰してまた頑張らないといけない。関わってる人全員に俺はA◯◯で成功すると言ったんだから」 と自分を追い込み、重い負担を3年も抱え続けたそうです。このように、マルチ商法には合理的判断を麻痺させる「辞めたら負け」心理が存在します。それは損失を確定させたくない人間の本能であり、同時にプライドや罪悪感によって増幅された強力な呪縛なのです。

経済合理性を失った先に…“信仰のバランスシート”

マルチ商法の泥沼が深まるにつれ、当初あったはずの経済的な合理性は崩壊していきます。普通のビジネスであれば、収支が合わなければ撤退を考えるものです。しかしMLMに傾倒した人は、その段階を過ぎるとお金の勘定ではなく“信仰”に近い感覚で続行を正当化し始めます。言わば、頭の中に都合の良い“バランスシート”を作り上げるのです。そこでは現実の赤字や負債というマイナスは直視されず、代わりに 「得難い経験を積んでいる」「素晴らしい仲間と巡り会えた」 といった “精神的なプラス” が計上されます。

例えば、多くのMLM会員が口にするのが 「このビジネスで人脈が広がった」「人として成長できた」 というフレーズです。確かに自己成長や友情は尊いものですが、だからといって毎月高額な商品を買い続け友人を勧誘する理由にはならないのは明白です。これはMLM組織側が用意した巧妙なロジックであり、稼げていない大多数の会員に「続けていれば金銭以外の価値がある」と思い込ませるための方便に他なりません。こうして多くの人は経済的失敗を直視せず、まるで宗教の信者が教義を信じ込むようにビジネスの意義を信じ続けるのです。

実際、MLMにのめり込んだ人の様子は宗教的狂信に近いと指摘する声もあります。あるブログでは、洗脳された若手起業家が涙目で「先に始めた者勝ちなんだ!」と半ば呪文のように唱えていたというエピソードが紹介されています。それはまるで新興宗教の信者が「救われるぞ…救われるぞ…」と念仏を唱えるかのような光景です。MLM組織内ではポジティブ思考や成功哲学が過剰に称揚され、失敗や批判は「ネガティブな波長」として忌み嫌われます。こうした環境下では、たとえ心のどこかで「おかしい」と感じても、その疑念を打ち消すように成功物語や自己啓発セミナーに没頭してしまうのです。

この段階の心理状態を、ここでは皮肉を込めて「信仰のバランスシート」と呼んでみましょう。現実の収支計算(Balance Sheet)が真っ赤でも、心の中で「いつか必ず報われる」「成功している人もいる」と都合良く帳尻を合わせてしまう。確かに、ごく一部のトップ層は豪華な成功体験を語ります。しかし忘れてはならないのは、その“一部の成功”がその他大勢の犠牲の上に成り立っているという構造です。夢や希望という名の「資産」を信仰のBSに計上し、目を覆いたくなる現実の「負債」から目を背ける—この自己欺瞞の構図に陥ると、もはや経済合理性は完全に失われてしまうのです。

「サンクコストの罠」が個人財務を蝕む

マルチ商法がやめられない理由として最後に挙げるのが、経済心理学で言う「サンクコスト効果(埋没費用の罠)」です。これは簡単に言えば「すでに投下したお金や時間を惜しむあまり、不合理な継続をしてしまう心理現象」のことです。人は誰しも過去の投資を無駄にしたくないため、たとえ 「この先も成果は見込めない」 と分かっていても 「あともう少し頑張れば何とかなる」「ここまで来たんだから続けるしかない」 とズルズル継続してしまいます。この効果に囚われると冷静な判断力が奪われ、結果的にますます損失を拡大させる方向へ進んでしまうのです。

マルチ商法はまさにこのサンクコストの罠に個人を引き込み、財産を蝕んでいきます。最初は数万円のキット購入から始まり、セミナー参加費、毎月の自社商品の買い込み、遠征費用…と気づけば出費が嵩みます。それでも本人は 「これだけ費やしたんだ、成功するまで止められない」 と感じてしまう。MLM業界では「成功者は諦めなかった」「続ければ必ず成功できる」といったフレーズが頻繁に使われ、未達成の会員を鼓舞します。このポジティブ神話がサンクコスト効果をさらに増幅させ、泥沼から抜け出す出口を心理的に塞いでしまうのです

その結果、多くの人が借金を抱えるまでに至ります。高額商品をカードローンで買い続けたり、ビジネスのためと称して消費者金融から借り入れたりするケースも少なくありません。先述のA◯◯体験者の例では、彼はついに複数のローンに手を出し、総額200万円以上の負債を抱えました。それでも借金返済のプレッシャーで正常な思考ができず、「借金してでも続けるしかない」という欠乏のループにはまり込んでいったのです。サンクコスト効果に陥ると、このように自分で自分の首を絞める悪循環に気づけなくなります。MLMが個人の経済を蝕む最大の理由は、まさにこの 「もったいない」心理の暴走にあるのです。

冷静に考えれば、ビジネスで利益が出ず借金まで背負う状況は即刻撤退すべき破綻状態です。しかし当事者は 「今やめたら借金だけが残る」「あと少しで軌道に乗るかも」 と未来の幻にすがり、sunk cost(埋没費用)にさらに費用を注ぎ込んでしまう。これはちょうど、泥沼にはまった車のアクセルを更に踏み込んで抜け出そうとするようなものです。当然ながら状況は悪化し、個人の財務状況は取り返しのつかないほどボロボロになってしまいます。こうした悲劇を防ぐには、サンクコスト効果という人間のクセを理解し、勇気を持って「損切り」する決断が必要なのです。

結論:本当の“勝ち”は理性を取り戻すこと

マルチ商法が赤字でも続いてしまう理由を、心理・経済両面から解き明かしてきました。そこには、負けを認めたくない人間の性、仲間や自分を裏切れない罪悪感とプライド、そして過去の投資に引きずられるサンクコストの罠が絡み合っていました。これらは決して特殊な人だけが陥るものではなく、誰の心にも潜む落とし穴です。だからこそ重要なのは、その存在に気付き客観視すること。そして一度冷静になれば、もはやMLMの幻想に縛られる必要はありません。

最後に覚えておいてほしいのは、本当の意味で“勝つ”とは損失を取り返すことではなく、自分の理性と人生を取り戻すことだという点です。たとえ今までの時間やお金を失ってしまったとしても、そこで立ち止まり軌道修正できたなら、それは決して敗北ではなく勇気ある勝利なのです。むしろ損失を膨らませ続ける方が、人生という大きなスパンで見れば真の敗北でしょう。マルチ商法の渦中にいる人も、かつてハマってしまった人も、決して自分を責めないでください。普通の真面目な人が巧妙な手口で心理を突かれ、誰でも陥り得るものなのです。

大切なのは、そこから何を学びどう生かすかです。失ったお金以上に、あなたは貴重な教訓と強さを手に入れたはず。借金を完済するまでに5年かかったとしても、人はやり直せます。これからの人生という 「まだ埋まっていないページ」 に目を向けましょう。過去の埋没費用に惑わされず、新たな一歩を踏み出す時、あなたは既に“負け”ではなく 大きな勝利者 になっているのです。自分の意思と未来を取り戻したその先に、本当の意味で豊かな人生が待っていることを信じてください。読んでいただいたあなたの勇気ある決断が、明日への希望につながることを心から願っています。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『あなたも狂信する──宗教からマルチ商法まで〈内側からの狂信論〉』
「洗脳」の正体を当事者視点で解剖。スピリチュアル・自己啓発・MLMを横断し、“信じ込み”がいかに合理性を奪うかを追う。MLMの心理構造を深掘りしたい人の必読書。

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『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』
note発・大反響ノンフィクション。リアルな損失額と感情の揺れが克明で、「辞めたくても辞められない」当事者心理を体感できる。


『サンクコスト──過去の投資の力を解き放ち、より良い意思決定へ』
“もったいない”で泥沼に沈むメカニズムを数理モデルと事例で解説。MLMだけでなく投資・キャリア選択にも応用できる「損切り」の教科書。


『世界は行動経済学でできている』
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それでは、またっ!!

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