イオン“まいばすけっと”が東京を呑む日――徒歩5分経済が家計と小売の常識を塗り替える

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

家から5分の店に切り替えるだけで、あなたの家計はどれだけ“黒字化”しますか?

通勤前の5分、帰宅後の7分。わざわざ大型店まで行く気力はないけれど、牛乳と卵と納豆は切らしたくない。そんな首都圏の“生活のすき間時間”に、静かに根を張ってきたのがイオンの小型食品スーパー「まいばすけっと(通称:まいば)」。この“近さ”を武器にしたモデルが、2030年までに再び店舗網を倍増――そんな観測と論評が出てきました。しかも、利益率は同業他社を上回るとの指摘。小粒だけど高収益、そして密度で勝つ。これが東京の買い物地図を書き換える引き金になりつつあります。

この記事で伝えたいポイントは3つです。①“家から近い”は単なる楽さではなく移動コストの削減というれっきとした会計インパクトを生み、家計の実質的な営業利益を押し上げること。②事業側も同じ論理で、小さく近く多点在することで出店スピードと粗利率(PBや即食の比率上昇)を引き上げ、都市の空き物件(旧コンビニ跡など)を活用して初期投資を圧縮できること。③消費行動を「月1遠征のまとめ買い」から「徒歩圏の高回転リピート」に切り替えるだけで、在庫損(買い過ぎ・賞味切れ・ムダな置き場所)が家計から消えること。言い換えると、あなたの冷蔵庫は小さな物流センターではなく、食べ切る直前補充の終端ノードに戻る、という話です。

背景には、まいばの30坪前後×生鮮+日配フルラインという「コンビニ級の近さ×スーパー級の品揃え」の掛け算があります。イオンは首都圏でこのモデルを加速し、2030年度に約2,500店、将来は5,000店体制まで視野に入れる発言も。小型ゆえの標準化と教育効率、PBの価格優位、それにグループの製造・プロセスセンター網を背中に、“近さのネットワーク効果”を積み増しているのが現在地です。都市生活者にとっての利得は明快。移動時間が消え、冷蔵庫の在庫も軽くなる。結果としてキャッシュの滞留(家の中のデッドストック)が薄まり、家計の回転率が上がる。これが「徒歩5分経済」の本質です。

この記事では、まず「なぜ“近さ”が家計のPL(損益計算書)を良くするのか」を、1行会計の考え方で噛み砕きます(“家の近さ”=移動コストの削減=家計の営業利益↑)。次に、まいばモデルの収益構造(坪効率、PB比率、値入れと廃棄)を、投資と会計の視点で読み解きます。最後に、今日の一手として「徒歩圏の店を主戦場化し、月1の遠征まとめ買いをやめる」という実践プランを提示。難しい数式は使いません。都市で働くあなたが、時間・お金・冷蔵庫容量の三位一体で得するための、やさしいロードマップです。

“近さ”は家計のPLを強くする――移動コストが消えると、手取りが増える

家から徒歩5分に店があるだけで、家計は静かに強くなります。理由はシンプル。買い物にかけていた移動コスト(時間・交通費・体力)がほぼゼロになるから。遠出して安く買ったつもりでも、行き帰りの30〜60分や電車代、ついで買いの誘惑が積み上がると、実質の支出は増えがちです。一方、まいばすけっとのような“家のそばの小型スーパー”を主戦場にすると、必要な時に必要な分だけ買えて、廃棄やデッドストック(使い切れず眠る在庫)も減らせます。イオンはこの「近さ」を武器に2030年に2,500店規模まで拡大する構想を掲げ、都市の空き物件を活用して素早く展開中。小さく多点在のネットワークは、お店側の利益率も押し上げると言われています。都市の暮らし方そのものが、“徒歩5分経済”に寄っていく流れです。

1行会計で考える:家の近さ=移動コスト削減=家計の営業利益↑

家計のPL(損益計算書)をざっくり1行で表すなら――
〈手取り収入 − 生活コスト〉=家計の営業利益
ここで「生活コスト」にはモノの代金だけでなく、買うための移動コストも含まれます。たとえば月4回の“遠征まとめ買い”で、1回あたり往復60分+交通費400円かけているなら、時間価値(時給換算)+交通費が毎月の見えない支出です。徒歩5分の店で小まめに補充すれば、この見えない支出がほぼ消えます。結果、同じ収入でも家計の営業利益が上がるわけです。

在庫は「お金のかたち」:冷蔵庫に眠るキャッシュを解放する

家にある食材や日用品は、買った瞬間に“在庫(=お金の固定化)”になります。まとめ買いは単価が安いように見えても、使い切らないと廃棄ロスに。さらに在庫が多いほど置き場所(家賃の一部)も使います。徒歩圏で必要な分だけ買うと、在庫の滞留が減ってキャッシュの回転が速くなります。お店側も小型店の高回転で廃棄を抑え、グループPB(トップバリュなど)で粗利を確保するモデルを強化。近さ×高回転は、家計と店舗の双方にプラスです。

時間の“黒字化”:買い物にかけないことで自由度が増える

時間はお金と同じくらい貴重です。遠征の往復1時間が消えれば、睡眠・運動・副業・学びに振り向けられます。これは目に見えないけれど、長期では収入の伸びにも効く“投資”になります。都市部で小型スーパーが伸びている背景には、生活動線の短縮という価値があります。イオンのまいばすけっとは、コンビニ跡などの既存物件を活用して初期投資を抑えつつ、生活圏のすき間に入り込み、結果として「行かなくていい」を提供しています。


要は、「安く大量に」より「近くて適量」のほうが、お金・時間・心の余白をまとめて増やせる、ということ。まいばすけっとのような徒歩圏の店が増えるほど、私たちの毎日の意思決定は軽くなります。家計のPLは、派手な節約テクよりも移動をなくす設計でじわっと改善する。ここが“徒歩5分経済”の起点です。

まいばの“稼ぐ仕組み”――小さく・近く・高回転で、利益を生む

「なぜ小型なのに利益が出るの?」――答えは、初期費用が軽い・ムダが少ない・回転が速いの三拍子。まいばすけっとは、コンビニ跡地などの居抜き物件を活用して出店スピードを上げ、初期投資をぐっと抑えています。結果として早く開けて、早く回収できる。さらに、生鮮+日配の“毎日使うもの”中心の品揃えで来店頻度を高め、廃棄も管理。だから小さくても稼げるわけです。イオンはこのモデルを軸に、2030年度2,500店を目指し、将来は5,000店体制まで視野に入れるとしています。直近の発言では年間200店以上のペースで出す方針も示されました。

初期費用を“軽くする”――居抜き&小面積

  • 居抜き出店:閉店したコンビニなどの既存設備を生かすことで、改装コストと工期を短縮。出店までの時間が短いほど、売上が早く立ち上がり、投資回収が早まります。業界報道でも、まいばが空き物件を積極活用している点が繰り返し指摘されています。
  • 小面積・標準設計:30坪前後の小型フォーマットは内装・什器のパターン化が効き、教育・オペもシンプルに。標準化は“ミスとムダ”を減らし、固定費の天井を低くします。
  • 数字の裏付け:24年度の資料でも、小売各社の粗利率をPB(自社ブランド)強化で押し上げる動きが示され、まいばはセグメント利益を引き上げる役回りを担いました。小型でも利益に貢献できる体質がうかがえます。

“毎日使うもの”で回す――高回転×PBで粗利を作る

  • 品揃えの芯:牛乳・卵・豆腐・惣菜・野菜など、今日必要なものが中心。だからお客さんは高頻度で来店し、在庫は早く動く。動きが速いほど廃棄ロスが下がり、現金回収も早い
  • PB(トップバリュ等):自社ブランドは値ごろ感と粗利率の両立がしやすい。イオン全体でも、PB強化は粗利の改善要因として明記されています。まいばはこの武器と相性が良いフォーマットです。
  • 価格の姿勢:インフレ環境下で“常に手頃”を意図的に出すのが強み、と報じられています。高く見えない日常価格はリピートの原動力

運ぶ・並べる・売るを“短距離で”――物流と人件費の最適化

  • 都市密度のメリット:都内などに店舗が密集していると、1台のトラックで複数店を効率よく回れるため、配送の“1店あたりコスト”が下がる。短距離・高頻度の補充は売れ筋集中とも相性が良く、在庫の持ちすぎを防ぎます。
  • 人の動きも短距離:売場が小さければ品出し・レジ・清掃といった動線も短く、1人あたりの生産性が上がる。作業が標準化されていれば教育コストも低下します。
  • 出店の加速:2025年10月時点で1,262店。26年度以降は年200店以上の増設方針が明言されており、密度のネットワーク効果がさらに増す見込みです。

まとめると、まいばの収益構造は「初期費用を軽く・在庫を早く動かし・近距離で回す」に尽きます。小さいから弱いのではなく、小さいから強い――特に毎日使うものを扱う小売では、このロジックが効きます。市場側の温度感としても、2030年2,500店の話題は各所で取り上げられ、直近のコラムでも“価格を手頃に保つ小型スーパーの優位”が論じられました。都市の買い物は、ますます短距離・高頻度・無駄なしへ。家計の側がこの波に乗れば、使う手間も、眠る在庫も、余計な支出も細くなっていきます。

今日の一手――徒歩圏を“主戦場化”、月1の遠征まとめ買いはやめる

やることは単純です。家から歩いて行ける店を“ホーム”にする。そして、月1回の大型店遠征でドカ買いする習慣をやめる。これだけで、移動のムダ・買い過ぎ・賞味期限切れがスッと消えます。まいばすけっとのような小型スーパーは、今後も首都圏での出店が加速する見通し。つまり“近い店”はこれからますます増え、近さを味方にするほど家計は楽になる環境です。

ルールは3つだけ:近く・少量・高回転

  1. 徒歩圏=主戦場
    最寄りの“小型スーパー2店+コンビニ1店”を地図アプリでピン留め。基本はこの3拠点だけで回す。距離が近いほど行くのが面倒にならない=継続しやすい。まいばは居抜き出店で街中の空き物件に増える流れなので、選択肢は広がりやすいです。
  2. 少量で買う=冷蔵庫は軽く
    牛乳・卵・豆腐・パン・野菜など、3〜4日で食べ切る分だけ。余らせる不安は、歩いて補充できる安心で打ち消します。
  3. 高回転=行く頻度を小分けに
    買い物は2〜3日に一度、10分で終える。時間を短く切ると、ムダな「ついで買い」が減ります。小型スーパーは“毎日使うもの”中心+PB(トップバリュ等)で値ごろ感が出やすく、日常買いと相性◎。

実務フロー:家・店・財布の“動線最適化”

  • 買い物リストは“固定枠+変動枠”
    固定枠=毎回買うもの(牛乳・納豆・食パン)。変動枠=旬の野菜や特売。5品以内に絞ると、所要10分で帰れます。
  • カゴを小さく、頻度を増やす
    物理的に入らないと、買い過ぎない。徒歩で行けるから重い失敗も起きにくい
  • 価格の“アンカー”を1つ持つ
    PBの定番(例:カップ麺のベストプライス帯)は日常価格の基準に。アンカーがあると、他の商品の割高感・割安感が判断しやすくなります。実際、まいばはPB構成比が高く、日常価格を手頃に保つ姿勢を打ち出しています。
  • 冷凍庫は“短期待機”だけ
    肉・魚は1〜2回分を小分け冷凍。ストック目的でパンパンにしない。冷凍は逃がし場であって、貯蔵庫ではない。
  • 家の在庫は“見える置き方”
    同じカテゴリは1カ所に集約。奥に押し込まない。見えれば、使い切れる
  • 遠征をやめる代わりに“比較の目”は持つ
    月一で大型店を巡る代わりに、徒歩圏2店の“相場”を把握。卵・牛乳・豆腐など自分の定番5品だけ、いつもの価格帯を覚えておくと、割高な日を避けられます。

数字で確認:無理なく“黒字化”する

  • 移動コストの削減
    片道30分×月4回の遠征(合計240分)をやめ、徒歩5分×12回=60分へ。180分の回収。この時間は睡眠や運動、資格学習に回せます。
  • 在庫損の削減
    まとめ買いをやめると、廃棄と“行方不明在庫”(奥に眠って忘れる)が減る。食費の-5〜10%は現実的(体感でOK。家計簿アプリで“食品”の前年比を見れば効きます)。
  • PBの活用でベース単価を下げる
    同等品質ならPBを基準に。まいばはPB比率が高いとされ、即食・デリカの強化も明言。毎日の定番をPBで固めるだけで、家計の下支えになります。
  • ネットワークの追い風
    イオンは2030年度までに2,500店、将来は5,000店体制を掲げ、26年度以降は年200店以上の増設方針。徒歩圏の選択肢は今後さらに増え、“近さの優位”は強まる見込みです。

コツは、“少量・高頻度・近距離”で回すこと。家の在庫を軽くして、必要なときに必要な分だけ補充する。これで、移動に払っていた時間とお金が丸ごと戻ってきます。まいばすけっとの拡大で、徒歩5分の買い物はこれからさらに当たり前になるはず。ならば先に生活設計を合わせてしまう。近さを味方にした家計運営が、静かに効いていきます。

結論|“徒歩5分経済”に舵を切る――小さな一歩が、家計と暮らしを静かに変える

東京の地図は派手に動きません。けれど、角を曲がった先にいつも開いている小さな店が増えるだけで、私たちの毎日は確実に軽くなります。買い物に使っていた移動の30分が消える。冷蔵庫の奥で眠っていた“いつか食べるはずの何か”が消える。ついで買いの罪悪感が消える。消えるものが増えるほど、手元には時間とお金と余白が残る――たったそれだけの話です。

まいばすけっとの拡大は、都市の生活に“近さの規格”を入れていきます。小さく、近く、必要な分だけ。お店側は高回転でムダを絞り、私たちは在庫を持たずに暮らす。「たくさん持つ強さ」から「持たないで回す強さ」へ。この価値観の転換は、むずかしい節約術よりずっと穏やかで、長く続きます。

今日からできるのは、派手なことじゃない。最寄りの小型スーパーをホームに決めて、月1の遠征まとめ買いを降りるだけ。買い物時間は10分単位に分割、冷蔵庫は常に軽量。これで家計のPLはじわりと黒字化し、気持ちにも余白が生まれます。余白は、睡眠になり、散歩になり、学びになり、友だちとの一杯になります。暮らしの回転が静かに上がるのを、きっと体でわかるはず。

東京は巨大ですが、家の半径500メートルの世界はあなたのサイズです。そこを整えるだけで、都市はやさしくなる。徒歩5分経済は、誰かの英断ではなく、あなたの小さな選択の積み重ねで完成します。まずは今週、牛乳と卵だけ買いに行こう。帰り道の風が少し軽くなったら、それが合図です。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

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実践リテールメディア — デジタルとリアルが融合する小売とマーケティング
来店データを広告・販促にどう変えるかの実務本。徒歩圏の高頻度来店=データ量が増えるほど効く、という“近さの経済”を具体例で理解できます。


デジタルマーケティングの教科書 — データ資本主義時代の流通小売戦略
価格・品揃え・導線をデータで設計する基礎がまとまっている。PBの見せ方、日常価格の作り方、回遊を抑える売場作りなど、本記事の“ムダを減らす”視点と相性がいい。


誰も教えてくれない「SCM計画立案・遵守」の疑問
需要予測→在庫→補充までの“計画の回り方”をQ&Aで解説。高回転・少量補充の思想を、供給側(小売・メーカー)の視点で押さえられます。


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