ドラッグストアは“薬の金融業”になる?──2026年の規制強化×オンライン解禁で、粗利の稼ぎ方が変わる

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。 

その“薬の売り方”、来年も同じ利益を生みますか?

2026年5月1日から、市販薬の売り方がじわっと、でも確実に変わります。オーバードーズ対策として「指定濫用防止医薬品」の販売方法が厳格化され、買う側の“気軽さ”が減る一方で、売る側の“確認・説明・記録”が増える。さらに、これまで対面販売が前提だった「要指導医薬品」について、薬剤師の判断とオンライン服薬指導を条件にネット販売が可能になる流れも示されています。

ここで大事なのは、「健康の話」…というより小売ビジネスの“粗利”と“コンプラコスト”の話だという点。たとえば指定濫用防止医薬品は、購入者の年齢や購入状況、複数・大容量の理由確認、リスク説明と理解確認などが求められ、現場オペが重くなります。しかも陳列にも工夫が必要で、近づけないようにするなど設備・導線の設計まで絡んできます。つまり、売上は同じでも“さばける量”が減る(=人件費あたりの生産性が落ちる)可能性がある。これ、地味に利益構造を揺らします。

一方でオンライン解禁は、チャンネルの地殻変動を起こします。これまで「店頭で薬剤師に会う」ことがボトルネックだった商材が、条件つきで“通販の棚”に並ぶ。すると勝負は、店舗の立地や品揃えだけじゃなく、本人確認・問診・説明・記録・配送までを一体で回す“仕組み化”に移っていく。

この記事では、投資と会計の視点で次の3点を整理します。

  1. 規制強化がもたらす「粗利の目減り」と「オペコスト増」の正体
  2. 要指導医薬品のオンライン化で起きる“チャネル再編”と競争の変化
  3. 最後に勝つのは誰か──キーワードは「規制対応を仕組みにできる側」

ドラッグストアは、ただ薬を“売る”だけの業態から、ルールの中でリスクを管理しながら回転率を最適化する=ちょっと“薬の金融業”っぽい業態へ。2026年は、その分岐点です。

規制強化は「売上」より先に“粗利”を削る——指定濫用防止医薬品が重くする店頭オペ

ドラッグストアの利益って、実は「薬が売れた」よりも“どれだけ軽いオペで回せたか”で決まりがちです。今回の薬機法改正で、オーバードーズ対策として指定濫用防止医薬品の販売方法が2026年5月1日から厳格化されます。
ポイントは、規制が「売るな」ではなく「売るなら確認・説明・記録を増やせ」型だということ。これ、小売のPL(損益計算書)で見ると、売上より先に粗利率と販管費に効いてきます。

“レジで詰まる”がいちばん高い——確認・説明が生む隠れコスト

厳格化では、購入者への説明や確認がより重要になり、販売現場の負担が増えます。例えば、18歳未満への大容量・複数個の販売を禁止し、乱用時の危害などを説明することが省令で規定された、という報道も出ています。
これが何を意味するかというと、「販売1件あたりの時間」が伸びること。レジ前で止まると、

  • 回転率が落ちる(ピーク時間の取りこぼし)
  • 応援要員が必要になる(人件費↑)
  • 混雑で顧客体験が悪化(ついで買い↓)
    みたいに、売上総利益(粗利)を稼ぐ“流れ”が細っていきます。しかもこのコスト、棚卸資産みたいに見えないから、経営側が気づくのが遅れがち。

「手順書」「陳列」「教育」——コンプラ対応は“固定費化”する

さらに効いてくるのが、コンプライアンスの固定費です。省令公布に伴い、店舗側には販売方法・陳列・確認・情報提供などの手順書を作成し、それに基づいて薬剤師・登録販売者が販売する体制を求める流れが示されています。
ここ、会計っぽく言うと「一回きりの対応」ではなく、

  • マニュアル整備(本部工数)
  • 研修(教育コスト)
  • 監査・記録(管理コスト)
  • 陳列変更や導線設計(場合によっては什器コスト)
    みたいに、毎期の販管費として積み上がりやすい。店舗数が多いほど、“1店舗あたり小さな負担”が全社では巨大になります。

粗利商品が“扱いづらい商品”になる——高マージンのジレンマ

一般にOTCは、食品より粗利を取りやすいカテゴリとしてドラッグストアの収益を支えてきました。だからこそ、指定濫用防止医薬品のような売れ筋が「扱いづらい商品」になるのは痛い。
しかも、店頭オペが重いと現場は自然にこう考えます。
「その商品、なるべくトラブルなくさばける売り方に寄せたい」
つまり、同じ棚でも

  • 説明が必要な商品は控えめに
  • ついで買い導線から外す
  • 代替商品の提案を強める
    みたいに、粗利ミックス(利益が出る商品の組み合わせ)そのものが変わり始める。規制は“売れ行き”だけじゃなく、利益の出し方に直接手を突っ込んできます。

このセクションの結論はシンプルで、規制強化は「禁止」よりも「運用」を重くする分、粗利を稼ぐスピードにブレーキをかけるということ。だから次の勝負は、気合いではなく、確認・説明・記録を“詰まらない仕組み”にできるかです。

要指導薬のオンライン解禁が“売り場”を溶かす——ドラッグストアはチャネル再編の主戦場へ

規制強化が「店頭オペを重くする話」だとしたら、要指導医薬品のオンライン販売解禁は「そもそも売り場の前提を変える話」です。これまで要指導医薬品は原則“対面”が軸でしたが、改正でオンライン服薬指導を条件にネット販売が可能になり、対面が必要な一部は「特定要指導医薬品」として線引きされる流れが整理されています。
つまり、「店舗で薬剤師に会う」が絶対条件じゃなくなる。ここから先は、どこで売るかより、どうやって規制要件を満たしながら回すかが勝負になります。

“オンライン化”はEC強化じゃない——薬剤師の時間をどこで使うかの再設計

オンライン販売って聞くと「ネットで売れて便利!」で終わりがちなんですが、本質はそこじゃありません。薬は“説明と確認”が付き物で、その担い手は薬剤師。要指導医薬品のオンライン販売は、薬剤師の判断や服薬指導が前提です。
ここで起きるのは、薬剤師の時間配分の再設計

  • 店頭で一人ひとり対応する
  • オンラインで面談し、店舗や配送で渡す
  • 例外(特定要指導)だけ対面で厚くする

こういう“人材の稼働設計”ができる会社ほど、同じ薬剤師人数でも扱える件数が増え、結果的に粗利を取りやすくなる。逆に、設計できない会社は「オンラインを始めたのに忙しいだけ」になりがちです。

“受け渡し網”が価値になる——店舗は倉庫でも窓口でもなく「インフラ」になる

オンラインで売れるようになると、次に重要になるのが受け渡しです。改正の議論では、オンラインで説明を受けたうえで受け取り場所を柔軟にする方向性も語られてきました。
ここでドラッグストアの強みは、EC事業者が一朝一夕に作れない店舗ネットワーク

  • 近所で受け取れる(配送コストや再配達の痛みが減る)
  • 必要ならその場で追加相談(トラブル時のリカバリーが速い)
  • ついで買いが復活する(実はこれが粗利に効く)

店舗は「売り場」から、ラストワンマイルのインフラに役割が寄っていきます。すると競争相手は、隣のドラッグストアだけじゃなく、EC・プラットフォーム・コンビニ受け取り連合みたいな“連合軍”にもなる。

勝つのは“規制対応を仕組みにした側”——KPIが「店舗売上」から「適合販売の処理能力」へ

ここが今日いちばん言いたいところ。
規制が絡む商材は、最後に勝つのは「情熱」じゃなくて、手順を仕組みにできる側です。指定濫用防止医薬品の販売では、購入状況の確認や情報提供、若年者は1箱のみ・対面またはテレビ電話等での販売が求められるなど、運用がかなり具体化しています。
この世界のKPIは、店舗売上よりむしろ、

  • 適合販売(ルール通りに売る)の処理件数
  • 面談あたりの所要時間
  • 記録の精度と監査耐性
  • クレーム・行政リスクの低さ

みたいな“運用指標”に寄っていく。ここまで来ると、ドラッグストアは小売というより、ルールに適合した取引を大量処理して粗利を積む=金融業っぽいモデルになっていきます。


要指導医薬品のオンライン解禁は、「ネットで売れるようになりました」では終わりません。店舗・人材・コンプラ・物流を一体で組み替える号砲です。ここで先に“仕組み”を作った会社が、次の粗利の取り方を定義していきます。

勝つのは「規制対応を仕組みにできる側」——ドラッグストアが“薬の金融業”化する条件

ここまで見てきた通り、2026年5月1日から指定濫用防止医薬品の販売は“確認・説明・記録”が一段と重くなります。でも同時に、要指導医薬品は(特定要指導を除き)オンライン服薬指導を条件に販売チャネルが広がる。
矛盾してるようで、実はセットです。ルールは厳しくなる。でも売り方の自由度は上がる。 だから勝負は、「誰が一番うまく“ルールをコストに変えずに回すか”」に移ります。

“コンプラを現場の努力”にしない——販売フローをプロダクト化する

指定濫用防止医薬品は、購入時に購入状況の確認や情報提供、複数・大容量なら理由確認、若年者は1箱に制限し対面やテレビ電話等での対応が求められる、と整理されています。
これを「店員さんの頑張り」に頼ると、店舗ごとにムラが出てリスクもコストも増えます。逆に強い会社は、

  • レジ・接客の“聞くこと”を定型化(質問順・NG判定・次の動線まで)
  • 記録が自動で残る(後から追える、監査に耐える)
  • テレビ電話等の導線が用意されている(迷わせない)
    みたいに、販売フロー自体を“仕組み(=ほぼプロダクト)”にする。すると現場は速く回せるし、本部はガバナンスが効く。ここで初めて規制が「守るもの」じゃなく「差がつく武器」になります。

“データで守る”が粗利を守る——ID・購入状況・履歴の扱いが競争力に

今回の厳格化では、他店での購入の有無など購入状況の確認が必要になる、と明記されています。これ、裏を返すと「確認できる仕組み」を持つほど現場の手間が減るということ。
会計っぽく言うなら、ここは1件あたりの処理コスト(人件費)をどこまで下げられるかの勝負です。

  • 会員アプリ・ポイント連携で本人確認と履歴参照がスムーズ
  • グレーな買い方を早めに弾ける(クレーム・行政リスクも下がる)
  • 代替商品・受診勧奨など提案が“次の粗利”につながる
    こういう設計が進むと、薬の売り場は「棚」じゃなく、“与信審査みたいなチェック付き取引”に近づいていく。だから私はこれを“薬の金融業”って呼びたくなるわけです。

オンライン解禁で「薬剤師の使い方」が変わる——店舗は“窓口”から“拠点”へ

要指導医薬品は、オンライン服薬指導で販売できる方向性が示される一方、対面が必要なものは「特定要指導医薬品」として線引きする流れです。
ここで強いのは、薬剤師を“各店の職人”として抱えるだけじゃなく、

  • オンライン面談を一定の拠点に集約(予約・稼働を平準化)
  • 店舗は受け渡し・相談・ついで買いの起点に寄せる
  • 特定要指導のような「対面必須」を強く運用できる店舗を作る
    みたいに、人と店舗の役割分担を再設計できる会社
    この再設計ができると、「規制で店が重くなる」を、「オンラインで稼働が平準化して、むしろ回る」に変えられます。2026年の勝ち筋は、ここに集約されます。

このセクションの結論を一言で言うと、規制対応はコストじゃなく“オペのOS”。OSを先に作った側が、粗利を取り直します。

結論

2026年5月1日からの規制強化は、ドラッグストアに「薬をちゃんと売りなさい」以上の宿題を突きつけます。指定濫用防止医薬品は、売るたびに“確認・説明・記録”が乗り、店頭は今までより確実に重くなる。だから「売上が落ちるか?」より先に、「同じ売上でも粗利が残るか?」が問われます。人が詰まれば回転率が落ち、追加人員や教育・監査で販管費が膨らむ。小売の利益って、こういう“見えにくい摩擦”にいちばん弱いんですよね。

でも同時に、要指導医薬品のオンライン販売解禁は、売り場の前提を溶かします。対面が必須だった世界に、条件つきでオンラインが入ってくる。これは「ネットでも売れる」ではなく、「薬剤師の時間を、どこでどう使うか」を再設計できる会社が伸びる、という合図です。店舗は“棚”から“拠点”へ。薬剤師は“各店の職人”から“運用の中枢”へ。こうやって業態そのものがアップデートされていきます。

そして最後に勝つのは、やっぱり「規制対応を仕組みにできる側」です。ルールを現場の根性で守る会社ではなく、フローを標準化し、記録を残し、判断をブレさせず、忙しい時間帯でも詰まらせない。コンプラを“コスト”で終わらせず、“運用のOS”として自社の強みに変える。そこまでできた企業は、規制が厳しいほど参入障壁が上がり、逆に競争が楽になります。まるで金融業が審査と規律で利益を守るように、ドラッグストアも「薬を安全に回す能力」そのものが価値になる。だから私は、この変化を“薬の金融業化”と呼びたいんです。

規制は、誰かを困らせるためじゃなく、社会の歪みを止めるためにある。その前提に立つなら、ビジネス側に残る問いはひとつだけ。このルールを、摩擦にするか、仕組みにするか。 2026年は、ドラッグストアの稼ぎ方が変わる年です。変化に押される側ではなく、変化を設計する側へ。ここから先の勝負は、もう始まっています。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『薬事ハンドブック2025――薬事行政・業界の最新動向と展望』じほう編

「結局、制度変更って“現場に何が起きるの?”」を最短でつかみたい人に。行政・業界トピックや資料・データがまとまっていて、改正点を“点”じゃなく“流れ”で追えます。今回の記事のように規制→オペ→収益モデルまで考えたい読者ほど、辞書というより地図として効きます。


『詳説薬機法 第6版』團野浩

「ルールは分かった。でも、グレーの線引きが怖い」――その不安に効く“重い一冊”。条文の解釈や運用のポイントを丁寧に追えるので、薬機法をコンプラコストとして捉えるのではなく、どうやって仕組みに落とすかの発想が持てます。現場任せにしない会社ほど、こういう“基準書”の価値が刺さります。

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『令和6年度版 薬事法令ハンドブック――医薬品医療機器等法、施行令、施行規則』

「まず一次情報(法令)に当たりたい」読者向けの実務派。改正の議論やニュースを読んだ後に、条文や規則へ戻って確認できると、理解の精度が一気に上がります。“解釈本+法令ハンドブック”の2冊持ちは、制度対応を強みにしたい人ほど効きます。


『改革・改善のための戦略デザイン 薬局DX』淺沼晋ほか

規制が厳しくなるほど重要なのは、気合いよりオペ設計。この本は、薬局現場のDXを「概念」じゃなく「改善の手順」として落としてくれるタイプです。オンライン服薬指導や記録・標準化など、今回の記事のキーワードである“詰まらない仕組み”を作る発想が欲しい読者に刺さります。


『物流革命2026(日経ムック)』角井亮一

オンライン解禁で最後に効いてくるのは、結局受け渡しラストワンマイル。売り方が変われば、物流・在庫・店舗網の設計が利益を左右します。制度対応だけでなく、「配送コスト/店舗受け取り/オムニチャネル」まで含めて収益モデルを組み替える視点が手に入る一冊です。

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それでは、またっ!!

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