みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
出席率より“孤立率”を下げるほうが、未来の税金が救われるって知ってましたか?
学校に行けない=学びが止まる、じゃない。いま自治体が「不登校支援×メタバース」に本気でお金を出し始めています。たとえば千葉県は、メタバースを活用した不登校児童生徒支援事業として「放課後メタバースちば~こさぽんの家~」を開設すると発表しました。
熊本県でも、県内5自治体を対象に3Dメタバースを使った「くまもとオンライン教育支援センター」を試行し、2026年3月まで運用する計画です。 さらに名古屋市のように、学習だけでなく交流・相談の機能まで含めて“つながる居場所”として設計する自治体も出てきています。
ここで面白いのは、メタバースが“教育の代替”というより、「家でも学校でもない、第3の居場所」を行政が調達している点。家は安心だけど閉じこもりやすい。学校は社会につながるけど、いまはそれがしんどい子もいる。その間に「今日はアバターなら行ける」を置くと、孤立がほどけていく。これは現場の先生の根性論ではなく、システムと運用で“再接続”を作る発想です。
そして、この投資は“出席率を上げる施策”として語ると急に小さく見えます。むしろ尖るのは、行政SaaSとして捉えてKPIを設計し直すこと。出席日数より、孤立率(誰ともつながれていない割合)や復帰率(段階的にリアルへ戻れた割合)、医療・福祉コスト、そして将来所得(=納税力)まで含めた「長期キャッシュフロー」で評価する。要するに、不登校支援は“福祉×教育×財政”のクロスで、自治体のバランスシートに効いてくるテーマなんです。実際、企業側も3Dメタバース空間+支援員+教材をセットにした提供を進め、自治体利用の広がりをうたっています。
この記事では、①なぜいま自治体がメタバースに踏み出したのか(千葉・熊本の動きから読み解く)、②行政SaaSとしての設計図—KPIをどう置き、費用対効果をどう語るか、③失敗しない導入の勘所(調達・セキュリティ・伴走人材・リアル復帰の導線)を、難しい言葉をなるべく使わずに整理します。読み終わるころには、ニュースが「良い取り組みだね」で終わらず、予算要求や事業設計の会話として語れるようになります。仕事で自治体や教育業界に関わる人はもちろん、ただの納税者としても「子どもの孤立が減ると、社会コストがどう変わるか」を具体的に想像できるはずです。
目次
自治体が動いた理由——「第3の居場所」はもう“福祉つきインフラ”

不登校支援にメタバース、って聞くと「流行りもの?」と感じるかもしれません。けれど自治体が予算を付け始めたのは、現実の“穴”を埋める道具として筋が良いから。まずは、なぜ今なのかを数字と事例で腹落ちさせます。
不登校は「増えた」だけじゃない。“未接続”が残りやすい
文科省の調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は 353,970人(小:137,704人/中:216,266人)で過去最多です。
さらに刺さるのが中身。不登校のうち、学校内外の機関で専門的な相談・指導などを受けていたのは 218,246人。一方で、専門的な相談・指導を受けていない児童生徒が 135,724人 いる。
ちなみに「何らかの相談・指導を受けていた」割合は 95.8% とされています。裏を返すと、支援の網は広がったけど、“深い関わり”に入れていない層が一定数いる、ということ。 (参考:文部科学省)
支援が届かず孤立が長期化すると、のちに医療・福祉・就労支援など別会計のコストに転がりやすい。教育費だけで見ると赤字っぽく見えても、自治体全体の支出(と将来の税収)で見ると「損失を減らす投資」になり得ます。
「第3の居場所」が効く理由:アバターは“最初の一歩”を軽くする
家は安全。でも、ずっと家だけだと世界との接点が細くなる。学校は社会だけど、いまはそこに戻るのが重い。そこで間に挟むのが“第3の居場所”。
千葉県は、メタバース上で交流できる居場所として「放課後メタバースちば~こさぽんの家~」を開設すると発表しています。自宅からアクセスし、児童生徒同士のコミュニケーションや支援員との相談ができる設計です。
運用も具体的で、開始は2025年11月下旬予定、毎週火・木の15〜17時に開室、定員は580名。さらに、ワークショップ等の交流イベントや「ワンストップオンライン相談窓口」との連携も明記されています。
ポイントは「出席の代替」じゃなく「接続の回復」。アバターなら顔出し・声出しの心理的負担を下げられて、“今日は見てるだけ”からでも参加できる。ここで小さな成功体験を積むと、リアル復帰の導線が作りやすくなります。
なぜ自治体が買うのか:実証が“運用モデル”に寄ってきた
単発の実証で終わらず「運用の形」まで見え始めたのが大きい。
熊本県では、3Dメタバースを活用したオンライン教育支援センターを県内5市町で試行運用し、試行期間は 2026年3月まで と報じられています(DNPとレノボが支援)。
名古屋市でも、教育メタバースを使った不登校支援の実証が“2年目”として継続し、学習だけでなく交流・相談ができる居場所として設計されていることが示されています。
ここまで来ると発想は「良い取り組み」から「継続運用できるSaaSとして調達」へ。端末(GIGA)・支援員・相談窓口・イベント・データの取り方まで一気通貫にして、毎年改善できる“型”にする、という流れです。
次のセクションでは、この「行政SaaS化」をさらに尖らせて、KPIを“出席率”からどうずらすか(孤立率・復帰率・医療費・将来所得など)を具体化します。
行政SaaSとしての設計図——KPIは「出席」より“孤立と復帰のキャッシュフロー”

メタバース不登校支援を「教育の代替」にすると、評価軸がすぐ“出席率”に吸い寄せられます。でも自治体が本当に買いたいのは、孤立をほどいて社会に戻すプロセスそのもの。だからこそ、行政SaaSっぽく「毎月アップデートできるKPIセット」に作り変えると、事業が急に強くなります。
KPIを“短期の出席”から「孤立の解消」へ置き換える
文科省資料では、不登校のうち学校内外の機関等で専門的な相談・指導等を受けていない児童生徒が135,724人(38.3%)と示されています。
ここを「出席できたか」だけで追うと、そもそも接点に入れていない層が見えない。なのでKPIの一段目はシンプルに、
- 孤立率:一定期間「誰ともつながれていない」割合
- 接続率:ログインや滞在だけでなく、支援員・他者との接点が発生した割合
- 安心指標:発言の有無ではなく「来られた」「居られた」を評価
みたいに、“まずつながったか”を勝ち筋にします。千葉県の「放課後メタバースちば」も、交流やイベント、相談窓口との連携が明記されていて、設計思想が「接点づくり」に寄っています。
“復帰率”はゴールを分解する:リアルに戻る道を段階にする
復帰=教室に戻る、の一択にすると失速します。ここはステップを切るのが行政SaaS流。たとえば、
- ステップ0:アバターで入室できた(居場所の入口)
- ステップ1:支援員と定期接点ができた(伴走の入口)
- ステップ2:学習・活動に参加した(自信の入口)
- ステップ3:校内支援センター/教育支援センター/別室登校へ(現実の入口)
- ステップ4:教室・行事・外出などへ(社会の入口)
みたいに分けて「どこで詰まっているか」を可視化します。名古屋市は、家から出にくい児童生徒の“新たな学びの場”として教育用メタバースを開設し、実証事業を開始しています(開始は2024年9月2日)。
この“実証→運用”の繰り返しが、まさにSaaSの改善サイクルです。
会計っぽく語る:コストは「教育費」だけで見ない
ここが尖りポイント。費用対効果を教育の枠に閉じ込めると、どうしても「高い?」で止まる。なので行政の財布を分解して、
- 短期:支援員稼働、相談導線の整備、フリースクール等との連携コスト
- 中期:医療・福祉につながる前の“予防”としての支出削減(メンタル悪化の深掘りを防ぐ)
- 長期:就学・就労の復帰による将来所得→税収(=自治体に戻るキャッシュフロー)
まで含めて「投資案件」として説明する。熊本県の取組は、県内5市町が参加し、対面が難しい児童生徒にも学びとコミュニケーション機会を増やす狙いが示されています。
この手の事業は、効果が“翌月の出席率”に出なくても、孤立の解消→復帰→社会コスト低下の線で効いてきます。
つまり、不登校×メタバースは「登校させる装置」じゃなく、孤立を溶かす行政インフラ。KPI設計を変えた瞬間、予算要求の説得力が一段上がります。
失敗しない導入の勘所——「買う」より「回す」が9割

メタバース不登校支援は、良いサービスを入れただけでは回りません。刺さる自治体はみんな、調達(契約)+運用(人)+評価(数字)をセットで設計しています。ここを外すと「箱はあるけど誰も来ない」「来ても次につながらない」になりがち。逆に言えば、勘所を押さえれば“行政SaaS”として強い事業になります。
調達設計:仕様書は「機能」より「成果物」と「運用」を書く
ありがちなのが、仕様書が“機能一覧”で終わるパターン。ここはSaaSらしく、成果物と運用条件を契約に織り込むと一気に安定します。たとえば、
- 運用体制:支援員配置、開室時間、イベント頻度、緊急時の連絡フロー
- SLA(稼働品質):障害時の復旧目標、問い合わせ一次回答時間
- データ仕様:取得するログ項目、自治体への月次レポート形式、匿名化の方針
- 出口戦略:契約終了時のデータ返却・削除、他社移行のしやすさ(ベンダーロック回避)
こういう“回し方”を書いておく。千葉県の事例でも、ただ「空間を作る」だけでなく、交流イベントや相談窓口連携まで含めて設計されているのがポイントです。
個人情報・安全:怖いのは情報漏えいより「現場が怖がって止まる」こと
不登校支援はセンシティブなので、個人情報や子どもの安全設計が甘いと一発で止まります。ここは“守り”だけじゃなく、現場が安心して運用できる形にするのが重要。具体的には、
- 本人特定を最小化:表示名・アバター運用ルール、顔出し強制はしない
- 権限設計:児童生徒・支援員・管理者で見える範囲を分ける
- 記録の線引き:ログは「支援の改善」に必要な範囲に絞り、保存期間も明確化
- トラブル対応:迷惑行為、いじめ、危機介入(自傷他害の兆候など)の手順を事前に用意
ここが整うと、学校側も保護者も「使っていいんだ」と腹落ちしやすい。逆に曖昧だと、担当者が変わった瞬間に“怖いからやめよう”が起きます。
運用設計:主役はメタバースじゃなく「支援員」と「導線」
メタバースは“場”でしかなく、価値を作るのは人と導線です。うまくいく自治体は、最初から「居場所→相談→学び→リアル」の流れを描いています。
- 支援員の型:雑談できる人、学習支援できる人、福祉・医療につなげられる人の役割分担
- 学校との接続:担任・養護教諭・SC/SSW・教育支援センターへの引き渡しルート
- 参加ハードルの段階化:見るだけOK、チャットだけOK、音声は任意…で入口を広く
- イベントは“目的別”:ゲーム・創作は孤立解消、学習会は自己効力感、相談会は次の一歩
千葉の取り組みでも、交流イベントやワークショップなど“居られる理由”を最初から組み込んでいるのが強いところ。
熊本のように複数自治体で試行するケースは、運用ノウハウを横展開しやすいのもメリットです。
最後に、導入で一番の落とし穴は「成果を急ぎすぎる」こと。出席率を追うと、子どもは“評価される場所”に感じて逃げます。最初は徹底して、孤立が薄まったか/接点が続いたかを勝ちにする。その上で、復帰を“段階”として設計し、月次で改善していく。これが行政SaaSの勝ち方です。
結論
不登校×メタバースの話って、つい「子どもが学校に戻れるか?」に着地しがちです。でも本質はそこじゃなくて、“孤立の時間を短くできるか”なんだと思います。学校に行けない日があること自体より、誰にも会えない・話せない・頼れない状態が続くことのほうが、心にも将来にも効いてしまう。だから自治体が今、「家でも学校でもない第3の居場所」に投資し始めたのは、かなり合理的です。
ここで面白いのは、メタバースが“魔法の教室”ではないこと。むしろSaaSみたいに、運用して、測って、改善して、つながりを回復するインフラなんですよね。KPIを出席率に置いた瞬間に、現場は苦しくなる。子どもは評価されに来ているわけじゃないから。でもKPIを孤立率や接続率、段階的な復帰率に置けば、評価は「今日も来られた」「誰かと話せた」「次の一歩が見えた」に変わる。勝ち方が変わります。
さらに会計っぽく言うなら、これは“福祉予算を食う支出”というより、将来の社会コストを減らす投資です。孤立が深くなる前に接点を作れれば、医療や福祉の負担が軽くなる可能性がある。回復のステップが進めば、学び直しや就労につながって、将来所得=納税力にも影響する。短期の成果が見えにくいからこそ、「長期キャッシュフロー」で語れる自治体が強い。まさに“国家の長期投資”です。
そして何より、これって技術の勝利じゃなくて、「もう一度つながれる世界」を社会が用意するという意思の話です。アバター越しでも、チャット一行でも、そこに誰かがいて「大丈夫」と返してくれる。たったそれだけで、人は戻ってこられる。自治体が買っているのは、メタバースそのものじゃなくて、未来の再接続の確率なのかもしれません。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『メタバース・XR技術の教育利用と国際協創』
「メタバースを教育で使う」話が、ふわっとした理想論で終わりがちな人に刺さる一冊。学校・大学・国際協創といった現場目線で、XR活用が学びの設計や運用にどう効くのかを整理できます。あなたがこの記事を読んで「自治体の導入って、結局“どう設計するか”だよね」と感じたなら、次に読む本はこれです。
『公共サービスのSaaS化と自治体』
この記事の“尖り”である行政SaaS/KPI/運用の発想を、言葉として腹落ちさせたい人向け。教育だけでなく公共サービス全体を、SaaS=継続改善する仕組みとして捉える視点が入ります。読み終わると、メタバース支援も「導入の是非」ではなく、仕様書・運用体制・成果指標の話として語れるようになります。
『教師と支援者のための“令和型不登校”対応クイックマニュアル』
メタバースは“場”で、価値を作るのは“支援の型”。その肝心の型を、短時間で把握したい人におすすめです。不登校対応を、精神論ではなく現場の判断・動き方に落とし込む視点が手に入ります。読者が「理屈はわかった、じゃあ支援者は何をすれば?」に進むための一冊。
『小中高・不登校生の居場所探し 全国フリースクールガイド2024-2025年版』
「第3の居場所」を語るなら、オンラインだけで完結させないのが強い。リアルの選択肢を“地図”として持っているだけで、支援設計が一段現実的になります。この記事の文脈で言えば、メタバースは入口、リアルの居場所は出口。その出口候補を具体的に知れるのがこのガイドです。
『不登校のはじまりから おわりまで』
不登校を「ある日突然の事件」ではなく、始まり方・続き方・回復の道筋として理解したい読者に向きます。メタバース支援のKPIを“出席”から“孤立の解消・段階的復帰”へ置くには、そもそも不登校のプロセス理解が必須。制度やツールより先に、現象の輪郭をつかむための一冊です。
それでは、またっ!!
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