みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
あなたの広告、実は「見ない自由」に負け始めていませんか?
スマホを見ていたはずなのに、気づいたら何も覚えてない。通知は鳴る、タイムラインは流れる、短尺動画は終わらない――。そんな「情報疲れ」は昔からありました。でも今、若者トレンドとして出てきたのは、単なる“SNS疲れ”というより「不特定多数の視線や反応に、注意(アテンション)を向け続けること自体に疲れて、意図的に距離を取る」動きです。FNNプライムオンラインでも、2026年のトレンドとして“アテンション・デトックス”が紹介され、「LINEに返事し、TikTokやリールを見続ける状況から離れること」と説明されています。さらにSHIBUYA109 lab.のトレンド予測でも、情報・コミュニケーション量への疲れが続き、少人数・オフラインで楽しむ体験へ向かう、と整理されています。
ここで刺したいのは、これが「気分の話」で終わらない点。広告ビジネスはざっくり言うと、①人が見る時間(注意)を集めて、②その“枠”を広告主に売るモデルです。つまりインプレッション(表示回数)という“在庫”を積み上げて売っている。でも、ユーザーが「見ない」「見たくない」「できれば遮断したい」に寄っていくと、その在庫は“見かけ上はあるのに価値が薄い”状態になりやすい。JICDAQも、ビューアブル率が50%なら予算の半分が「誰にも見られていない広告」に使われたのと同じ、と注意喚起しています。
そして最近、象徴的に増えているのが「広告を消すための課金」。動画も音楽もニュースも、“無料の代わりに広告を見る”前提が揺れて、「静けさ」や「集中」を買う感覚が広がってきました。これは広告主にとっては成果の悪化の火種で、媒体やプラットフォームにとっては“売り物(広告枠)”の単価が下がるサインにもなります。
一方で市場全体は伸びています。電通の推計では2024年のインターネット広告費は3兆6,517億円(前年比109.6%)。だからこそ厄介で、「市場は拡大しているのに、注意の取り合いは限界へ」というねじれが起きる。最近はIAB/MRCが“Attention(注目)”を測るためのガイドラインまで整備し、インプレッション偏重からの転換も進んでいます。
この記事では、アテンション・デトックスが“広告の減損”になり得る理由を、投資・会計の目線(在庫の価値、収益の質、KPIの見直し)で噛み砕きます。そして、広告主・媒体・個人それぞれが「見る/見ない」の新しい均衡の中で、どう勝ち筋を作るか――そこまで一緒に整理します。
目次
広告の“在庫”が余り始める――インプレッション価値が下がる仕組み

「アテンション・デトックス」が本当に厄介なのは、ユーザーの気分変化ではなく、広告ビジネスの土台である“在庫”の質を変えてしまう点です。広告は長らく「見られる可能性のある枠(=インプレッション)」を積み上げ、売り、回すことで成長してきました。ところが“見ない自由”が社会的に許され、むしろ推奨される空気になると、その在庫は“あるのに売れない/売れても効かない”に近づいていきます。ここでは、なぜそうなるのかを分解します。
在庫は増えるのに、価値は薄まる(供給過多+注意の上限)
広告枠って、実は増やそうと思えば無限に増やせます。スクロールを少し長くする、動画の前後に広告を足す、通知やリコメンド導線を増やす。供給側は在庫を増やせるのに、人の注意力は24時間で頭打ちです。
アテンション・デトックスが起きると、この“注意の上限”がさらに厳しくなります。結果として、インプレッションは出るのに「視界に入ってない」「記憶に残らない」「行動につながらない」枠が増え、同じ表示回数でも価値が落ちる。これが単価(CPM)の圧力になります。
「見えてない広告」が増えると、会計的には“減損っぽい”状態になる
会計の言葉でいうと減損は、資産が将来生み出す利益(キャッシュ)が当初想定より小さくなったときに価値を切り下げる考え方です。広告枠は会計上そのまま資産計上されるわけじゃないけど、感覚としては近いことが起きます。
つまり「枠(在庫)はあるのに、そこから生まれる成果が想定より薄い」。媒体側は“売上の質”が悪化し、広告主側は“同じ予算で取れる成果”が落ちる。すると、次の四半期から予算が絞られ、さらに単価が下がり…という循環に入りやすい。ここで怖いのは、数字上は配信できているから問題が見えにくいこと。配信レポートの“回数”は伸びているのに、心の中では誰も見ていない――このギャップが、静かに効いてきます。
指標が「回数」から「注意の質」へ移ると、勝ち負けが一気に入れ替わる
インプレッション偏重の時代は、「配信量をさばける媒体」「ターゲティングで当てられる運用」が強かった。でも、アテンション・デトックスが進むと、広告主が欲しくなるのは“見られたか”より“ちゃんと向き合われたか”。
ここで起きるのが、指標の世代交代です。ビューアブル、滞在、スクロール深度、音声オン、リピート視聴、ブランドリフト…いわゆる“注意の質”の指標が中心になると、ただ在庫が多いだけの媒体は不利になります。逆に、少ない枠でも「集中して見られる場」を持つメディア、コミュニティ、イベント、クリエイターは強い。
要するに、“大量生産の広告枠”がコモディティ化して、価値が二極化していく。ここまで来ると、広告は「どこで何回出したか」ではなく、「誰の時間を、どれだけ気持ちよく使わせてもらえたか」の勝負になります。
この流れは、広告を作る人・買う人・売る人、全員に痛みもチャンスもあります。次のセクションでは、広告主側(投資する側)が「じゃあ予算はどこに寄せるのか?」を、KPIと意思決定の観点で具体化していきます。
広告主の予算が“量”から“濃度”へ――投資判断のルールが変わる

インターネット広告費は伸び続けていて、2024年は3兆6,517億円まで拡大しています。
でも同時に、若者を中心に「不特定多数の目線から一時的に離脱する=アテンション・デトックス」がトレンドとして言語化され始めた。
この“拡大”と“離脱”が同時に進む局面では、広告主の意思決定がガラッと変わります。要は、配信量を買うから、集中が取れる環境を買うへ。ここを外すと、予算だけが溶けます。
KPIが「表示回数」だけだと、ムダに気づけない(=投資の盲点)
「ちゃんと配信できた」ってレポートは安心感がある。でも、ビューアブル率が低いと“そもそも見られていない”可能性が残ります。JICDAQは、ビューアブル率が50%なら予算の半分が「誰にも見られていない広告」に費やされたのと同じ、とストレートに警鐘を鳴らしています。
アテンション・デトックスの時代は、この“見えてない割合”が増えやすい。だから広告主側は、
- ビューアブル(見える位置に出たか)
- 不正・無効トラフィック(人に届いたか)
- ブランドセーフティ(出す場所は健全か)
みたいな「品質の土台」を、KPIの前提条件として固定しないと危ない。
「注意」を測りに行く広告主が増える(最適化の軸が変わる)
ここ数年、海外を中心に“Attention(注目)”を測って最適化する流れが強くなっています。IABも、アテンション指標をプログラマティックの最適化に活用できる、といった整理を進めています。
ポイントは、アテンション指標が流行ってるから入れる、ではなくて、広告主の目的に直結する形で使うこと。例えば、
- 認知:短期のCVじゃなく、想起・好意に効く環境へ寄せる
- 獲得:クリック単価より、無駄配信を削ってCPAを安定化させる
- LTV:刈り取りより、“嫌われない接触”を積み上げる
こういう発想に切り替えると、同じ予算でも“残るもの”が変わります。
「見ない自由」に課金する人が増えるほど、広告は“歓迎される形”しか生き残れない
象徴的なのが、広告を避けるための課金が当たり前になってきたこと。日本でもYouTubeは月額780円の「Premium Lite」を提供し、“広告なし視聴”をより買いやすくしました。
つまり広告主から見ると、「見せたい人ほど課金して見えなくなる」という皮肉が起きうる。だからこそ解は、広告を“消される側”から“選ばれる側”へ寄せることです。具体的には、
- 邪魔しないフォーマット(誤タップ誘導や画面占有を避ける)
- 文脈に合う出し方(コンテンツの流れを壊さない)
- クリエイティブの情報設計(短い時間でも伝わる、気持ちいい)
- オフライン/少人数体験への連動(デトックスの欲求と逆らわない)
この方向に投資できる広告主ほど、アテンション・デトックスを“逆風”じゃなく“選別の追い風”にできます。
次のセクションでは、媒体・プラットフォーム側がこの変化にどう適応するか――「広告を売る側の収益モデルはどう変わるのか?」を、もう少し会計っぽい目線(収益の質・単価・継続性)で掘ります。
媒体・プラットフォームはどう生き残る?――「広告で稼ぐ」から「体験で稼ぐ」へ

アテンション・デトックスが広がると、媒体側は“広告枠を増やして売る”だけでは苦しくなります。なぜなら、ユーザーが「見ない」「距離を取る」を選ぶほど、在庫(インプレッション)は増えても“効く枠”が減るから。FNNでも、LINE返信や短尺視聴など「注意を向け続ける状況から離れる」動きが説明されていました。
ここから先は、媒体が収益の柱を複線化できるかが勝負です。
最強のカウンターは「見ない課金」――広告モデルの“保険”になる
象徴的なのが、YouTubeの「Premium Lite」。日本では月額780円で“広告が少なめ(多くの動画が広告なし)”になる新プランとして報じられています。
これって、単にサブスクが増えた話じゃなくて、媒体の会計目線で見るとかなり大きい。
- 広告:景気や単価に左右されやすい(変動が大きい)
- 課金:毎月積み上がる(読みやすい、継続収益になりやすい)
つまり“見ない自由”が増えるほど、媒体は広告の変動リスクを、課金でヘッジできる。ユーザーにとっても「集中の時間を買う」感覚なので、アテンション・デトックスと相性がいいんですよね。
広告は「回数売り」から「注意の品質売り」へ――単価の決まり方が変わる
インプレッションが効かなくなると、媒体は“量”では差別化できません。そこで出てくるのが、注意(Attention)を測って売る方向です。IABとMRCは、アテンション測定のガイドライン(Version 1.0 / 2025年11月)を出していて、測定の考え方や監査の重要性まで整理しています。
ここで媒体が取るべき戦い方はシンプルで、
- 「見える場所に出たか(Exposure)」をまず固める
- その上で「どれだけ向き合われたか(Attention)」を説明できるようにする
この順番。国の資料でも、広告主側は“見られなければ意味がない”という前提でビューアビリティを問題視しています。
結果として、“広告を増やす技術”より、“集中が起きる場を作る編集力・体験設計”の価値が上がります。
媒体の次の資産は「コミュニティ」と「オフライン」――Z世代の動きと噛み合う
SHIBUYA109 lab.のトレンド予測では、2026年は“不特定多数からの目線から一時的に離脱できる”アテンション・デトックスにつながる消費、つまり少人数・オフラインの体験が増える、とされています。
媒体がここに乗るなら、打ち手は「広告枠」ではなく、たとえば
- クローズドなコミュニティ(会員制・サロン・限定コンテンツ)
- イベント/体験(リアル回帰、少人数の熱量)
- クリエイターとの共創(“見る”より“参加する”)
みたいに、“濃い関係”を育てる方向になります。
投資の視点で言うと、これは「短期のPV最大化」より「継続率・会員ARPU・イベント粗利」みたいなKPIに寄せること。広告一本足の媒体ほど揺れやすく、複線化できた媒体ほど強い…という構図がはっきりしてきます。
ここまでの話を一言で言うと、アテンション・デトックスは「広告が終わる」ではなく、“雑に出す広告”が終わるということ。媒体も広告主も、ユーザーの集中を奪う側から、集中を守る側へ回れるかが問われます。
結論
アテンション・デトックスは、広告が嫌われる時代の「反乱」ではなく、もっと静かな“選別”です。人は情報を拒絶したいわけじゃない。ただ、仕事も人間関係も忙しい中で、限られた注意力を、誰かの都合で削られ続けるのがしんどい。だから「見ない」や「距離を取る」が、自己管理のスキルとして当たり前になっていく。
ここで広告側がやりがちなのが、さらに強く押し込むこと。枠を増やし、頻度を上げ、追いかけ回す。でもそれは、短期の数字を守って長期の信頼を燃やすやり方です。投資で言えば、利回りを上げるために元本を削っているようなもの。短期のCPAが合っていても、ブランドが「うるさい」「邪魔」「信用できない」に寄った瞬間、将来キャッシュの源泉は細くなる。見た目の成果が、いつのまにか“減損の種”になってしまいます。
逆に、勝ち筋は意外とシンプルです。ユーザーの時間を奪うのではなく、守る側に回る。広告主は、回数よりも「向き合われた環境」を買う。媒体は、広告一本足から、課金・コミュニティ・体験へ収益を複線化する。クリエイティブは、叫ぶのではなく、短い時間でも気持ちよく伝わる設計にする。全部まとめると、“注意を奪う広告”から“注意に値する広告”へ、という話です。
個人の側も同じで、通知を減らす、見るアプリを決める、週末は“オフラインの予定”を先に入れる――そんな小さな設計だけで、集中は驚くほど戻ってきます。ビジネスの側は、その集中を壊さない設計をした企業ほど選ばれる。つまり、これからの競争は「どれだけ目立つか」より、「どれだけ信頼して見てもらえるか」に移っていきます。
静けさを取り戻した人は、必要な情報にはむしろ敏感になります。だから広告も、「買って」ではなく「助ける」に近づけば、再び歓迎される。見ない自由は広告の敵じゃない。広告が“本来の価値”に戻るための、いちばんフェアな審判です。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『戦わずして売る技術 クリック1つで市場を生み出す最強のWEBマーケティング術』
「広告を増やす」より先に、“見たくなる設計”で勝つための発想が欲しい人へ。SNSや広告の消耗戦に巻き込まれず、需要の作り方・伝え方を“戦略→実装”まで落とし込むタイプの一冊。記事の主張(見ない自由が強まる)を踏まえて、「じゃあ自分は何を変える?」に踏み出す背中を押せます。
『君は戦略を立てることができるか 視点と考え方を実感する4時間』
「結局、戦略って何?」を曖昧なままにしたくない人へ。広告・マーケの議論は“施策”に寄りがちですが、アテンションが有限になるほど戦略の差がそのまま成果の差になります。記事の「KPIが入れ替わる」「勝ち負けが変わる」を、自分の仕事に引き寄せて理解しやすくなる本です。
『実践リテールメディア デジタルとリアルが融合する小売と広告の未来』
「広告の次の主戦場」を具体的に掴みたい人へ。リテールメディアは、インプレッションの“量”より購買に近い文脈で勝負しやすい領域。アテンション・デトックスで“雑に見せる広告”が弱くなるほど、こうした接点の価値が上がります。記事の延長線として、「じゃあどこに予算が寄るの?」を理解するのに刺さります。
『1冊目に読みたい デジタルマーケティングの教科書』
「デジタル広告の全体像を、今の前提でサクッと整理したい」人へ。広告だけでなく、LINEやメールなども含めて“どこにどう効かせるか”を体系で押さえられるタイプ。今回の記事を読んで「面白いけど、用語が追いつかない…」という方に、置いておくと理解が一段ラクになる本です。
『アテンション・エコノミーのジレンマ 〈関心〉を奪い合う世界に未来はあるか』
「注目が価値になる世界」の構造を、ちゃんと腹落ちさせたい人へ。今回のブログテーマそのものを、もう一段深いところから捉え直せます。SNS疲れの話で終わらず、“関心の奪い合いが社会や意思決定にどう影響するか”まで視野が広がるので、読者が記事を“自分ごと”として語れるようになります。
それでは、またっ!!
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