円安でもパスポートが止まらない。「経験投資」はどこまで家計BS的にアリなのか?

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。 

円安時代の海外旅行は、本当に「浪費」だけと言い切れますか?

円安で海外旅行が高くなっているのに、周りを見ると「ハワイ行ってきた」「ヨーロッパ最高だった」と、パスポートがどんどんスタンプで埋まっていく──そんな光景、増えていませんか?

JTBの最新調査では、今年の年末年始(12/20〜1/5)に海外旅行へ出かける日本人は100万人。1人あたりの平均旅行費用は27.5万円と、2000年以降で最高水準だそうです。
「円安だし我慢しよう」どころか、「せっかくなら遠くへ」が選ばれていて、ハワイやヨーロッパなど長距離の人気も戻ってきています。

一方で、2025年の消費トレンドを追うと、「節約一服」「コスパ」だけじゃなく、

  • 推し活
  • ご褒美消費
  • 経験への投資

といったキーワードが目立ち始めています。
つまり、「モノよりコト」にお金を使う流れが、本格的に“当たり前”になりつつあるということです。

とはいえ、給料が無限に増えるわけでもないし、家計の財布はひとつ。
「推し活もしたい、海外にも行きたい、でも将来のお金も不安」
この三つ巴の戦いに、静かにメンタルを削られている20〜30代も多いはず。

そこでこの記事では、海外旅行をただの「浪費」「消費」と切り捨てるのではなく、家計のバランスシート(BS)と損益計算書(PL)の両方から見直すという、ちょっと会計っぽい視点を持ち込みます。

  • 旅行を将来のキャッシュフローや人的資本に効いてくる「無形資産投資」として整理したらどう見えるか
  • 「浪費・消費・投資」のざっくり3区分ではなく、
    「経験投資・関係投資・虚栄消費」の3つに仕分けたら、自分の旅はどこに入るのか
  • 「海外旅行1回=◯万円の“幸福減価償却”」という発想で、
    1回きりで終わらせず、じわじわ効いてくる旅行にするにはどうしたらいいのか

こうしたフレームを、難しい会計用語や数式はできるだけ抜きで、会社の決算を家計にたとえるイメージで、やさしく噛み砕いて解説していきます。

読み終わるころには、

  • 「この旅行は、自分のBSでいうと“人的資本”のどこを厚くした?」
  • 「これは将来の収入や選択肢に返ってきそうか? それともその場の見栄で消えたお金か?」

を自分で判断できるようになります。

円安の中で海外に行くかどうかを、
「気合い」ではなく「設計」で決められるようになる。
そのための“家計版・投資思考”を、一緒にインストールしていきましょう。

円安なのに海外に行くのは本当に「バカな選択」なのか?

「円安なのに海外なんて、ただの浪費でしょ」
そう言われると、ちょっとグサッときますよね。

でも、ほんとうにそうでしょうか?

会社のお金の世界では、お金の使い方を

  • その場で消えていく「費用」
  • 未来のために積み上がる「資産」

に分けて考えます。
家計も同じで、旅行だからイコール浪費、とは限りません。

このセクションでは、まずは
「家計のBS(バランスシート)ってなに?」
という超入門からスタートして、

  • P/L(その年の収支)だけで旅行を見ると、ただのマイナスに見える
  • でもBS(自分の資産の棚おろし)で見ると、「経験」や「つながり」という無形資産が増えているかもしれない

という考え方を、ゆっくり整理していきます。

「家計のP/L」と「家計のBS」をざっくりイメージしてみる

まずはカタカナを日本語にしてしまいましょう。

  • P/L(損益計算書)
    その年・その月の「収入−支出」を見る表。
    家計簿アプリで
    「今月の収入:28万円、支出:26万円、残り:2万円」
    と出てくる、あのイメージです。
  • BS(バランスシート)
    いま持っている「資産」と「負債」の一覧表。
    ざっくりいうと、
    「貯金いくら? 投資いくら? ローンいくら? 自分の“持ち物の全体像”」
    をまとめたものです。

多くの人は、旅行をP/Lだけで見てしまいます。

  • 「今月、旅行で25万円飛んだ」
  • 「カードの請求がしんどい」

ここだけを見ると、たしかにマイナスです。
でも、BSのほうに目を向けると、ちょっと違う景色が見えてきます。

旅行が「見えない資産」になる、という考え方

BSには、ふつうは「現金」「株」「不動産」などの“目に見えるモノ”が並びますが、
ここにあえて「見えない資産」もイメージとして足してみます。

例えばこんなものです。

  • 異文化に対する理解
  • 英語や現地語に慣れた感覚
  • 海外で使える度胸・コミュ力
  • 海外の友人・仕事のつながり
  • 「あの時がんばれた」という成功体験

こういうものは、通帳には一切出てきません。
でも、将来のキャリアや収入に効いてきたり、メンタルの安定・幸福度にかなり影響します。

会社の会計だと、こういうものをまとめて「無形資産」と呼んだりします。
家計でも同じで、海外旅行に行くことで“自分という人間のスペック側”が底上げされるなら、それは資産の一種と考えていいはずです。

もちろん、何でもかんでも「経験だから資産!」と言い張るのは危険ですが、

「今回の旅行で、将来に向けてどんな“見えない資産”が増えた?」

と自分に問いかけるだけでも、お金の使い方の質はぐっと変わります。

「経験投資」「関係投資」「虚栄消費」という3つの箱

ここで、旅行のお金の使い方を、
ざっくり3つの箱に分けてみます。

  1. 経験投資
    • 例:現地のスタートアップイベントに参加、現地のビジネス街を歩いてみる、英語ツアーにあえて参加してみる
    • 将来の仕事のイメージが広がったり、スキルや視野が広がるもの。
    • 「帰国後の自分の行動」「キャリアの選択」に影響しそうなら、ここに入れてOK。
  2. 関係投資
    • 例:パートナーとの記念旅行、家族旅行、友人との卒業旅行など
    • 関係性が深くなったり、「一緒に乗り越えた思い出」が増えるもの。
    • 将来の支えになったり、メンタルの安定につながるなら、これも立派な資産。
  3. 虚栄消費
    • 例:SNS映えのためだけの高級ディナー、全部クレカ分割で実は帰国後ずっと苦しい、仲間内のマウント合戦のためだけのブランドホテル
    • 「誰かに見せるためだけ」「後から振り返っても何も残ってない」使い方。
    • 一番モヤモヤしやすいゾーン。

同じ「ハワイ旅行」でも、

  • 朝から晩までショッピングセンターを回ってブランド品を買いまくるのか
  • ローカルの人と話しながら現地の暮らしを見に行くのか
  • パートナーと、これからの人生設計をじっくり話す旅にするのか

で、中身はまったく違う3パターンになります。

大事なのは、他人からどう見えるかではなく、

「この旅のお金は、自分の中ではどの箱に入る?」

と、自分でラベルを貼ることです。
これをやるだけで、同じ20万円でも、使い方の濃度が変わってきます。


このセクションではまず、
「海外旅行=単なる浪費」ではなく、
家計のP/LとBS、そして“見えない資産”という視点を足してみようという話をしました。

次のセクションでは、もう一歩踏み込んで、

  • 「海外旅行1回=◯万円の“幸福減価償却”」ってどういうこと?
  • 27.5万円の旅行費を、“何年かけて回収するイメージ”にすると、どこまでアリになるのか

を、もっと生活感のある例で掘り下げていきます。

海外旅行1回=◯万円の“幸福減価償却”という考え方

「27.5万円の海外旅行です」
こう聞くと、多くの人は

  • 「うわ、高い…今年は無理かも」
  • 「それならNISAに回したほうがよくない?」

と感じると思います。

もちろん、将来のための金融資産を増やすことも大事です。
でも、お金を「一度で燃え尽きる花火」にするか、「じわじわ効いてくる投資」にするかは、実は使い方次第です。

ここで持ち込みたいのが、
「幸福減価償却」という考え方。

むずかしく聞こえますが、イメージはこうです。

「旅行でドカッとお金を使っても、
その後の何年間も、じわじわ幸福や学びを取り出せるなら、
1年あたりで見た“コスパ”はそこまで悪くなくない?」

という発想です。

このセクションでは、

  • 「買った瞬間で終わらせない」が投資っぽい使い方になる理由
  • 27.5万円の旅行を“何年に分けて回収するか”という考え方
  • そのために旅行中&帰国後にできる、具体的な3つの工夫

を、できるだけ生活に近い言葉で整理していきます。

「買った瞬間で終わらせない」が投資っぽいお金の使い方

まず、イメージしやすいところからいきましょう。

  • 5万円のソファを買って、1ヶ月で飽きて物置行き
  • 5万円のソファを、5年間、毎日くつろぎタイムに使う

どちらが「いい買い物」かは、感覚でわかりますよね。
同じ5万円でも、“使われた回数”と“心地よさの総量”が全然違うからです。

旅行も同じです。

  • 行っているあいだだけ楽しい → 帰ってきたら完全に終了
  • 帰国後も、ふとした瞬間に思い出してニヤニヤする
  • 仕事や転職の決断に影響する
  • 人との会話のネタになる
  • 生き方の基準がちょっと変わる

こうやって何度も“使いまわされる旅行”なら、
1回の旅行費を「未来の自分へのサブスク料金」みたいに考えてもいいはずです。

会計の世界では、長く使うモノにお金を使ったとき、
「買った年で全部ドーンと費用にする」のではなく、
何年かに分けて少しずつ費用にしていきます。
これが「減価償却」という考え方です。

これを、あくまでイメージとして、旅行にも持ち込んでみるのが
“幸福減価償却”という視点です。

27.5万円の旅行を“何年で割るか”考えてみる

では、さっき出てきた平均旅行費27.5万円を例にしてみましょう。

たとえば、こんな前提で考えてみます。

  • この旅行での体験や気づきは、5年くらいは自分の中で生きる
  • 少なくとも年に数回は、
    • 写真を見返して元気をもらったり
    • 旅行で決めた「働き方の基準」を思い出したり
    • 英語を勉強しようと思った原点になったり
      といった形で、自分の行動やメンタルに影響を与えてくれる

そうすると、ざっくりですが、

27.5万円 ÷ 5年
= 1年あたり 5万5千円分の「幸福+学びコスト」

みたいなイメージになります。

ここで大事なのは、正確な数字よりも「割って考える」クセです。

  • 「1年5万5千円なら、月あたり約4,600円くらいか」
  • 「毎月4,600円で、
    将来の方向性を考えるきっかけや、
    メンタルの支えになる思い出が買えるなら、アリかも?」

といったように、一気にドカンと使ったお金を、時間軸に伸ばしてあげると、判断の感覚が変わってきます。

逆にいうと、

  • 帰国して1ヶ月後には、ほぼ何も覚えていない
  • 写真も見返さないし、日常の行動もまったく変わらない

こんな旅だと、5年間で割るどころか、ほぼ“その場限り”になってしまいます。
これが、いわゆる「高いだけの浪費旅行」です。

「回収できる旅行」にするための3つのコツ

では、同じ27.5万円でも、
「回収しやすい旅行」と「回収しにくい旅行」の差はどこに出るのでしょうか。

ここでは、今日から意識できる3つのコツに絞ります。

① 記録する:メモ・写真・一言日記

人は、驚くほどすぐ忘れます。
「めちゃくちゃ刺激的だった!」旅行でさえ、
数ヶ月経つと、だんだん輪郭がぼやけてきます。

だからこそ、旅行中〜帰国直後の「温度が高いタイミング」で記録を残すのがポイントです。

  • スマホのメモに、印象に残った一言・出来事を書く
  • 「このカフェの雰囲気、将来こんな働き方したい」など気づきを残す
  • 毎日1行だけでも「今日のハイライト」を書く

これをしておくと、後から見返したときに、
その場の感情ごと蘇ってきます。
これは、幸福減価償却の「原本」を残すようなものです。

日常に持ち帰る:行動が1つでも変わるか

経験を「思い出」で終わらせるか、「行動の変化」につなげるかで、投資としてのリターンがまったく変わります。

たとえば、

  • 海外で見た働き方をヒントに、副業を始めてみる
  • 現地のカフェ文化に感動して、「休日の朝は必ず1時間自分時間をとる」と決める
  • 英語を話す楽しさを知って、オンライン英会話を週1回だけ始める

といった具合に、生活の中に1つでも行動を追加できると、「旅行 → 人生のルート変更」が起こりやすくなります。

これは将来の収入アップに直結するかもしれないし、
メンタルの安定や、燃え尽き防止につながるかもしれません。

どちらにしても、P/L(その年の支出)だけでは見えないリターンです。

③ 誰かとシェアする:話す・発信する・教える

最後のポイントは、「誰かに話す」ことです。

  • 友人に「○○がめちゃよかった」とおすすめを語る
  • 家族に写真を見せながら、現地の面白かった話をする
  • SNSやブログで、旅の学びを整理して発信してみる

こんなふうにアウトプットすると、自分の中の理解も深まるんですよね。

「なんであの景色に心が動いたんだっけ?」
「自分はどんな働き方をうらやましいと思ったんだろう?」

と、言葉にしようとする過程で、
旅行で感じたことが“ただの感想”から、“自分の価値観”に変わっていきます。

ここまで来ると、27.5万円の旅行は、
「自分の軸を作るための講座代」に近くなってきます。


このセクションでは、

  • 旅行のお金を「一度きり」ではなく、「何年にもわたって回収するイメージ」でとらえる
  • そのための具体的な行動として、
    記録する/日常に持ち帰る/誰かとシェアする
    の3つが効いてくる

という話をしました。

次のセクションでは、

  • 「経験投資・関係投資・虚栄消費」の3つの箱をもう少し細かく分解しつつ
  • 読者が自分の旅をセルフ診断できるチェックリスト

を用意して、「この海外旅行、BS的にアリか?」を自分で判定できるようにしていきます。

あなたの旅はどのタイプ?「経験投資・関係投資・虚栄消費」セルフ診断

ここまで、

  • 旅行を「家計のP/L(その年の収支)」だけでなく
  • 「BS(自分の資産の棚おろし)」としても見てみよう
  • 27.5万円の旅行も、何年かけて“幸福減価償却”するイメージを持とう

という話をしてきました。

でも、いざ自分の旅行に当てはめようとすると、
「で、これは経験投資なの? それともただの浪費?」
と、ちょっと迷いますよね。

このセクションでは、もっと実務的に、

  • 自分の旅が「経験投資・関係投資・虚栄消費」のどこ寄りなのか
  • 円安の中で、「どこまでならBS的にアリ」と言えるか

をセルフ診断できるようにしていきます。

「経験投資」寄りの旅かどうかをチェックしてみる

まずは経験投資タイプの旅から。

経験投資のキーワードは、
「将来の自分の選択肢やスキルが増えるか?」です。

次の中で、いくつ当てはまるか数えてみてください。

  • この旅で「やってみたいチャレンジ」が1つはある
    • 例:現地の人が集まるバーに1人で行ってみる
    • 現地の言語で「ありがとう」以外のフレーズを覚えて使ってみる
  • 「仕事のこと」「自分のキャリア」について考える時間を、旅のどこかで取りたい
  • 観光地だけでなく、「普通の人の生活エリア」にも足を運んでみたい
  • 現地のビジネス街・コワーキングスペース・大学など、「学びになりそうな場所」にも行ってみたい
  • 帰国後に、「この旅で得た気づきを3つ書き出そう」と決めている
  • 旅先で出会った人と、帰国後もSNSなどでゆるくつながるイメージがある

3つ以上当てはまるなら、
その旅はかなり「経験投資寄り」だと言っていいと思います。

こういう旅は、家計のBSでいうと、

  • 人的資本(スキル・マインドセット・視野)
  • 情報資産(現地のリアルな感覚、データではわからない肌感)

がじわじわ増えていくタイプです。

もちろん、すべての旅を「ガチガチの学びモード」にする必要はありませんが、

「せっかく円安の中で行くなら、1つくらい“未来につながるタネ”を持って帰ろう」

と意識しておくだけで、旅行の設計が自然と変わってきます。

「関係投資」になっているかをチェックしてみる

次は関係投資タイプの旅です。

関係投資のキーワードは、
「その人との関係が5年後・10年後に効いてくるか?」です。

こちらもチェックしてみましょう。

  • 「一緒に行く人は誰か?」が、旅の一番大事なポイントになっている
  • 旅先で「一緒にやりたいこと」のイメージがある
    • 例:同じ景色を見て感想を話す
    • 一緒にちょっとチャレンジングなことをする(知らない店に入る、現地ツアーに参加するなど)
  • 普段は忙しくて、ゆっくり話せない相手との時間を取り戻したいと思っている
  • 旅先で、「お金・仕事・将来」の話も、少しはできたらいいなと思っている
  • お土産も「モノそのもの」より、「この人が喜びそう」という顔が浮かんで選んでいる
  • 将来、「あのときあそこで一緒に行ったよね」と何度も思い出せそうな予感がする

これも、3つ以上当てはまるなら、
かなり関係投資の要素が強い旅行になっているはずです。

関係投資のリターンは、

  • メンタルの安定(しんどいときに支えてくれる人がいる)
  • 仕事や人生の大きな決断のときに、ちゃんと相談できる相手がいる

といった形で、間接的にお金にも効いてくることがあります。

家計のBSでいえば、

  • 社会関係資本(つながり、信頼残高)

が積み上がるイメージです。

「推し活」も、単なる消費ではなく、
推しのおかげで日々の仕事をがんばれているなら、
ある意味で自分のメンタルを支える“関係投資”と考えることもできます。

「虚栄消費」が強すぎないか、危険サインを見ておく

最後は、ちょっと耳が痛いかもしれない虚栄消費タイプです。

虚栄消費のキーワードは、
「自分の内側より、他人からどう見えるかが中心になっている」こと。

当てはまるものが多すぎないか、チェックしてみてください。

  • 旅の一番の目的が「SNSで映える写真を撮ること」になっている
  • どこの国に行くかよりも、「どのくらいすごいと言われそうか」で行き先を選んでいる
  • 旅費の支払い計画をあまり考えていない(とりあえずカードで後回し)
  • 「正直そんなに行きたくないけれど、みんな行くから行く」という理由が大きい
  • 帰国後を想像したとき、「出費のことを考えるとちょっと気が重い」感じがすでにある
  • 旅の内容より、「どのブランドホテルに泊まったか」のほうが頭の中で主役になっている

これがひとつもダメというわけではありません。
誰だって、ちょっとは「見栄で動いちゃったな」という買い物はありますし、
ある程度の虚栄は、人生のスパイスにもなります。

大事なのは、全体のバランスです。

ざっくりイメージとして、

  • 経験投資 + 関係投資 = 7〜8割
  • 虚栄消費 = 2〜3割まで

くらいに収まっているなら、
「まあBS的にもギリ許容範囲かな」と言いやすくなります。

逆に、

  • ほぼ虚栄消費だけ
  • 経験も関係も、あまり積み上がる感じがしない
  • 支払いだけがどっしり残る

このパターンが増えてくると、
家計のBSがじわじわと、でも確実に苦しくなっていきます。

円安のときに海外に行く、というのは、
ある意味で「いつもより高いコストで経験を買う」という選択です。

だからこそ、

「今回の旅は、自分の中で
経験投資/関係投資/虚栄消費の比率はどれくらい?」

と、一度立ち止まって“配分”を考えてみる価値があります。


このセクションでは、

  • 旅を
    「経験投資」「関係投資」「虚栄消費」
    の3つに分けてセルフ診断してみる
  • 経験と関係の比率が高いほど、家計BS的に「アリな旅行」になりやすい
  • 虚栄消費はゼロにしなくていいけれど、「スパイス程度」に抑えるのがコツ

という話をしました。

ここまでくると、
「円安なのに海外行くなんてバカじゃない?」という問いに対して、

「いや、今回はこういう経験投資・関係投資になるように設計してるから、
自分のBS的にはアリなんだよね」

と、自信を持って答えられるようになっていきます。

結論:円安の「行かない理由」に飲み込まれないために

円安がすすぐむニュースを見るたびに、
「海外旅行なんて、しばらくムリだよな…」
と、なんとなくあきらめモードになる。

一方で、SNSを開けば
「年末はハワイ!」「ヨーロッパ一周してきました」
という投稿が、ふつうに流れてくる。

このギャップの中で、

  • 行きたい気持ちはある
  • でも、お金の不安もちゃんとある
  • 行ったら行ったで、後から「やっぱりムチャだったかな…」と後悔しそう

そんなモヤモヤを抱えている人は、きっと少なくないと思います。

ここまでの記事でお伝えしたかったのは、
「海外に行くべき/行くべきじゃない」という正解を出すことではありません。

そうではなくて、

  • 旅行をP/L(今年の収支)だけで“悪者扱い”しないこと
  • 自分のBS(資産の棚おろし)にとってプラスになる“経験投資・関係投資”になっているかを考えること
  • 27.5万円というまとまった金額も、
    「何年かけて自分に返ってくるか」という時間軸で見るクセをつけること
  • そして、「これは虚栄消費が強すぎるな」と気づいたら、一歩引ける自分でいること

このあたりの考え方の土台を一緒に作る、ということでした。


「円安なのに海外行くなんて、ただの浪費だよ」

この一言に、なんとなく従ってしまうと、
お金はたしかに減らないかもしれませんが、

  • 新しい景色を見たときの「世界って意外と広いんだ」という感覚
  • 異なる価値観に触れて、今の働き方を見直すきっかけ
  • 大切な人と過ごす、忘れられない時間

こういった“見えない資産”を手に入れるチャンスも、一緒に手放してしまうかもしれません。

逆に、何も考えずに

「経験は全部投資だから! 自分へのご褒美だから!」

と言い続けてしまうと、
カードの請求だけが積み上がり、
BS的にはかなりキツい状態になってしまいます。

だからこそ、

「この海外旅行は、自分の中で
・どれだけ経験投資になっているか?
・どれだけ関係投資になっているか?
・どのくらい虚栄消費が混ざっているか?
を、いったん整理してみる」

このワンクッションが、とても大事になってきます。


お金は有限だけれど、
どう使うかを決める「考え方」は、あとからいくらでもアップデートできます。

  • 「行かない」という選択も、
    自分のBSを守るための立派な戦略です。
  • 「行く」という選択も、
    自分の経験・関係・幸福をふくらませるための投資になり得ます。

大事なのは、

「なんとなくの空気」や「他人の価値観」に合わせるのではなく、
自分の家計BSと、自分の人生の優先順位にもとづいて選ぶこと。

この記事で紹介した

  • 家計のP/LとBSで旅行を見てみる
  • 「経験投資・関係投資・虚栄消費」の3つに分けて考える
  • 旅行費を“幸福減価償却”の感覚で、時間軸にのばして考える

というフレームが、
あなたの「行く/行かない」の迷いを整理するための、小さなツールになればうれしいです。

次に海外旅行の話が出たとき、
「円安だからやめとくか…」だけで終わらせるのではなく、

「今回の旅を、どんな“経験投資”に設計しよう?」

と、少しニヤッとしながら家計と相談できる自分でいられたら、
それだけでもう、あなたの“お金との付き合い方”は一段レベルアップしています。

さあ、あなたなら──
次の海外旅行を、どんな投資にしますか?

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『シンプルで合理的な人生設計』橘 玲

「幸福の『資本』論」のアップデート版ともいえる一冊。
お金・仕事・健康・人間関係を、“感情”ではなく“合理性”で組み立て直す人生設計書です。前作で出てきた「金融資本・人的資本・社会資本」の考え方をベースに、実際にどう行動を変えていくかが具体的に語られています。

このブログとの相性ポイント

  • 「人的資本」や「社会資本」をどう増やすか=“経験投資”の考え方とぴったりリンク
  • 旅行だけでなく、キャリアや住む場所など「人生のポートフォリオ」を組む視点が学べる

こんな人におすすめ

  • 「とりあえず貯金」から一歩進んで、自分のBS全体を設計したい人
  • 無駄な浪費は減らしつつ、やりたいことにガンガンお金を回したい人
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

シンプルで合理的な人生設計 [ 橘玲 ]
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『幸福の「資本」論 あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」』橘 玲

このブログで話してきた「金融資本・人的資本・社会資本」というフレームの“原典”的な本。
お金(金融資本)だけでなく、スキルやキャリア(人的資本)、人とのつながり(社会資本)をどう組み合わせるかで、どんな人生パターンになるのかを整理してくれます。

このブログとの相性ポイント

  • 旅行を「人的資本」「社会資本」を増やす投資と見る、という発想を深掘りできる
  • 自分が今どの“資本”が弱いのかが分かるので、どこにお金と時間を投下すべきかがクリアになる

こんな人におすすめ

  • 「なんとなく不安だけど、何を増やせばいいのか分からない」20〜30代
  • 一冊で“人生とお金のマップ”をざっくり掴みたい人

『きみのお金は誰のため ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」』田内 学

タイトルどおり、「きみのお金は誰のため?」という問いからスタートする、お金と社会のストーリー本。
銀行・国・企業・家計がどうつながっているのか、お金がぐるぐる回る仕組みを、物語形式でめちゃくちゃ分かりやすく教えてくれます。「お金=自分のためだけのもの」という感覚が、いい意味で壊れます。

このブログとの相性ポイント

  • 「自分の消費は、社会のどこにつながっているのか?」という視点が手に入る
  • 海外旅行で使うお金も、「単なる娯楽費」ではなく、社会との関わりを作る一部として考えられるようになる

こんな人におすすめ

  • 「経済とか社会とか苦手だけど、ちゃんと知っておきたい」人
  • ストーリーで理解したいタイプの人(活字が得意じゃなくても読みやすい)

『TIME SMART(タイム・スマート) お金と時間の科学』アシュリー・ウィランズ

「お金」と同じくらい、もしくはそれ以上に大事なリソース=時間にフォーカスした本。
“お金はあるのに時間がない人”と“時間はあるのにお金がない人”、どちらが幸せか?という問いを、心理学とデータで解き明かしていきます。「お金より時間に投資する」ことが、幸福度を上げるカギだと教えてくれる一冊。

このブログとの相性ポイント

  • 旅行はまさに「時間とお金を同時に使う」行動なので、この本の内容と相性バツグン
  • 「高いけど、時間を濃くしてくれる旅行ならアリ」という判断基準が持てるようになる

こんな人におすすめ

  • 忙しく働いているのに、「なんか幸せ実感が薄い」と感じている社会人
  • 残業代よりも自分時間がほしい派の価値観を言語化したい人

『60分でわかる! 行動経済学 超入門』中川 功一

人がなぜ「分かっているのにお金の使い方をミスるのか?」を、行動経済学の視点でサクッと教えてくれる入門書。
たった60分で読めるようにコンパクトにまとまっていて、「ついセールに釣られる」「ご褒美買いが止まらない」といった“あるある”行動の裏側にある心理が、図解入りで理解できます。

このブログとの相性ポイント

  • 「虚栄消費」にハマってしまうメカニズムを、感覚ではなく理屈で理解できる
  • 自分の消費行動を客観視して、「ここは経験投資に変えよう」と設計し直すヒントになる

こんな人におすすめ

  • お金の本は苦手だけど、行動のクセを直したい人
  • 衝動買い・浪費を減らして、旅行や経験への投資比率を上げたい人
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それでは、またっ!!

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