みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
追加メニュー、その20分は本当にあなたのゴールに効いていますか?
「トリートメントだけで何種類あるの…?」——いま、美容院の“ケア/トリートメント”系メニューが爆増しています。髪質改善、酸熱、超音波、◯◯ミスト…名前は違っても、共通点はひとつ。「あなたの滞在時間が伸びる=お店の時間を買い足している」という事実。会計の言葉に訳すなら、追加メニューは“時間の追加購入”。だからこそ、価格は“分単価(1分あたりいくら)”で比べるのがシンプルでブレません。
実際、施術の多くは時間でできています。たとえばサロンのトリートメント所要は概ね15〜40分。ここにブローまで入れると1時間前後になることも普通です。つまり、メニュー名より「何分かかるか」のほうが、あなたの財布と予定に直結します。
業界側の景色も少しだけ。日本の美容室は年々増え続け、2024年度末で約27.4万店。競争が激しいほど、差別化のためにメニューは増えがちです。価格の“基準感”としては、カット相場は約4,400円、カラー約6,700円などのデータも出ていますが、ここにも“かける時間”の差が潜んでいます。
じゃあどう選ぶ? この記事の主張はシンプルです。
- 追加メニューは“分単価”で比較する。
- 自分の“髪の目標KPI(ツヤ/持ち日数)”を先に宣言する。
- 目標に関係ない追加はスパッと断捨離。
たとえば“髪質改善”は平均1時間で1万円前後という目安。もしあなたのKPIが「カラーの色持ちを2週間延ばす」なら、その1万円=60分が本当に最短ルートか? 分単価で他の手段(ホームケア見直し、別の短時間ケア)と比べると、納得感のある選択に近づきます。
さらに時間はお店にとっても“原価”です。業界では10分あたりいくら、という考え方が広く使われ、時間生産性6,000円/時を目安にする論点もあります。つまり「+20分の追加=お店のコスト+あなたの時間」。数字で見ると、余計な迷いは減ります。
この先の本文では、分単価の出し方、KPIの決め方、当日の“断り方”まで、会計の視点でやさしく整理します。読み終わる頃には、長いメニュー表を前にしても、迷わず自分で選べるようになります。
目次
「分単価」で迷いをなくす

メニュー名はカラフルでも、あなたが買っているのは“時間”。ここを数字で見える化すると、メニュー表のごちゃごちゃが一気に静かになります。やることはシンプルで、「分単価=税込価格÷施術にかかる総時間」を出して比べるだけ。総時間には“待ち時間・流す時間・仕上げ(乾かす/ブロー)”も含めます。名前の派手さや説明の長さに引っ張られず、「1分いくらで、どんな効果がどのくらい続くのか?」に視点を合わせる。これが、後悔しない選び方の土台になります。
分単価の出し方:3ステップ
① 所要時間を聞く(合計)
「どのくらいの時間を見ればいいですか? 仕上げまでで。」——この一言でOK。カウンターの目安ではなく、当日の実施ベースの“合計時間”を聞きます。
② 税込価格で割る
表示価格が税抜なら、支払い金額ベース(=税込)に直してから使います。
式:分単価=税込価格 ÷ 合計時間(分)
③ “効果の持ち”も必ず並べて書く
分単価だけだと“安いけどすぐ切れる”が見抜きにくい。ノートやスマホに「ツヤ:◯週間/色持ち:◯週間」と一緒にメモ。分単価×持続週数で、期間あたりのコスパ感もつかめます。
例)
Aトリートメント:6,000円/40分 → 分単価150円、ツヤ3週間
B髪質改善:10,000円/60分 → 分単価167円、ツヤ6週間
“その場の安さ”はA、“持ちの長さ”まで見るとB、という判断もありえます。
よくある勘違いポイント
・「塗るのは15分です」に注意
塗布時間だけを聞くと短く見えます。実際は“置く・流す・乾かす”で+20〜40分。合計時間でそろえて比較しましょう。
・仕上げ時間がノーカウントになりがち
ブローやアイロンで質感が上がって見えることもあります。施術の効果と“仕上げの演出”は分けて考えると冷静になれます。
・セット割に惑わされない
「カラー+ケアで○円オフ」はありがたいですが、時間は足されている前提。割引前の分単価と、割引後の分単価を両方計算して“本当に得か”を確認。
・“最新っぽい名前=最強”ではない
髪の履歴(ブリーチ回数、日常の乾燥、アイロン温度)で相性は変わります。名前より、目的(KPI)との距離で選び替え。
数字で比べるサンプル
ケース1:短時間×高頻度 vs 長時間×低頻度
- 短時間ケア:4,500円/30分/ツヤ2週間 → 分単価150円
- 長時間ケア:8,800円/60分/ツヤ5週間 → 分単価147円
分単価はほぼ同じでも、来店頻度まで含めると後者のほうが“通う手間”が減る。仕事が忙しい人は、時間の節約価値も加点。
ケース2:ホームケアの見直しと比較
- サロン追加20分:3,000円 → 分単価150円(即効)
- シャンプーを1本アップグレード:3,000円/約6週間 → 毎日の“質感時間”に効く
“当日の見栄え”がゴールなら前者、“持ち日数”がKPIなら後者が効率的なことも。
そのまま使える一言
- 「仕上げまでで何分くらい見ればいいですか?」
- 「このメニュー、ツヤはどのくらい持ちますか?」
- 「同じ目的で、もう少し短時間の選択肢はありますか?」
- 「今日は“色持ち延長”がKPIなので、そこに効かない追加は外します」
“分単価で見る”“持続でならす”“KPIに合わない追加は外す”。この3点がそろうと、メニュー名の派手さや「今だけ割引」に揺れなくなります。あなたの目的にまっすぐなお金と時間の使い方に寄せていきましょう。店側にとっても時間は原価。敬意を持って数字で会話できるお客さんは、提案の質も上がりやすい。結果として、あなたの髪も予定も、ちゃんと整います。
“髪のKPI”を決めて、追加をスッキリ断捨離

メニュー迷子になる一番の理由は、「何を良しとするか」がふわっとしているから。だから先に髪のKPI(目標指標)を決めます。むずかしくありません。①ツヤ感 ②持ち日数 ③ダメージの進行を止める——この3つから、いま一番大事な1つを選ぶだけ。次に、目標ラインを数字に置きます。「ツヤ:鏡で天使の輪が見える」「持ち日数:前回より+10日」など、自分の言葉でOK。ここまで決まれば、提案された追加が目標に関係あるか/ないかでスパッと分けられます。関係ないものは“今はやらない”。これが断捨離のコアです。
KPIの決め方(3つの質問で即決)
Q1:今日いちばん気になるのは?
鏡を見て、直感で1つ。「パサつき」「色落ちが早い」「うねりで広がる」など。
Q2:その悩み、いつ困る?
「朝のスタイリングが決まらない」「3週目から一気に落ちる」→時間軸が出ます。持ち日数がKPIになるサイン。
Q3:今日の時間と予算は?
「60分延長まで」「追加は5,000円まで」→この枠が決まると、サロン側も提案を絞れます。
例:
KPI=持ち日数を+10日。枠=追加は+30分/5,000円。
→ 長時間・高額の“総合ケア”より、色持ち特化の短時間ケア+ホームケア指示のほうが合う。
断捨離ルール:線引きは“目的との距離”
ルール1:KPIに効かない説明は聞き流す
「最新」「SNSで話題」は判断材料になりません。“KPIにどう効くか”だけを聞く。
ルール2:重複は1つにまとめる
“ツヤUP×3メニュー”の提案は、一番コスパが良い1つに集約。重ねても効果が薄いことが多い。
ルール3:ホームケアで代替できるなら、今日は外す
“毎日1分の積み上げ”で解決できるなら、サロンでの+20分は見送り。次回の結果で再評価。
使える断り方(やわらかver.)
- 「今日は持ち日数がKPIなので、そこに直結しない分はまた次回に。」
- 「時間の枠が+30分までなので、効果が強い1つに絞りたいです。」
- 「ホームケアで置き換えできる案があれば、そちらで。」
KPIカード&当日の会話テンプレ
ポケットKPIカード(スマホメモでOK)
- ゴール:ツヤ / 持ち日数 / ダメージ抑制(最優先1つに★)
- 目標値:例)ツヤ=“天使の輪”/ 持ち=+10日
- 枠:追加〜分 / 〜円まで
- 髪の履歴:前回施術、ブリーチ回数、普段のアイロン温度
- NG:におい強め、長時間は×、など
当日の一言テンプレ
- 「今日のKPIは(例:色持ち+10日)です。」
- 「このKPIに一番効くメニューはどれですか?」
- 「枠は+30分/5,000円まで。 その中でベスト1つに絞ってください。」
- 「そのほかの追加は、今日は見送ります。」
ミニスコアで高速判定(5点満点)
- KPI一致度:0〜5
- 分単価の納得:0〜5
- ダメージ影響の少なさ:0〜5
合計12点以上なら“やる”、未満は“次回検討”。迷いが消えます。
KPIを先に決めると、選択は驚くほど軽くなります。あなたは“すべてにお金を出す人”ではなく、ゴールに最短で近づく人になる。サロン側も目的と枠がはっきりしたお客さんには、余計な提案を外しやすい。結果、時間もお金も、髪の体力も節約できる。流行の名前より、あなたのKPI。ここさえ外さなければ、メニューは増えても怖くありません。
当日の動き方と“後日”の回収プラン

ここまでで「分単価で比べる」「KPIで断捨離」は整いました。最後は当日の動き方→家での回収までつなげて、効果とコスパを逃さない流れにします。コツは、事前に決めた型を当日そのまま口に出すことと、帰宅後の2週間を設計しておくこと。目的に沿わない追加を外しつつ、選んだ1手の“持ち”を最大化します。
来店〜会計まで:3つの会話スクリプト
① カウンセリング開始(最初の30秒)
- 「今日のKPIは(例:ツヤ)、目標は天使の輪が出ること。枠は+30分/5,000円です。」
→ 先に目的・目標・枠を置く。これで提案が整います。
② 提案を受けるとき(迷いどころ)
- 「仕上げまで何分かかりますか? 持ちは何週間くらい見込めますか?」
- 「同じKPIで、短時間で似た効果の案はありますか?」
→ 分単価と持続で比較。数字が出れば判断は早い。
③ 断捨離と確定(やわらか断り)
- 「今日はKPI直結のこちら1つにします。ほかは次回検討でお願いします。」
→ 角は立たず、主導権はあなた。
会計前の最終確認(10秒)
- 「所要時間とホームケアの重要点を1分で教えてください。」
→ 家に帰ってから迷わない。
家で“持ち”を伸ばす:2週間プラン
Day0〜3:定着期
- 熱は低〜中温、摩擦を減らす。濡れ髪での摩擦が一番の敵。
- 夜は目元用の柔らかいティッシュ1枚分の優しさでタオルドライ(=力を入れないの意)。
Day4〜10:維持期
- シャンプーは“ぬるめ・泡たっぷり・すすぎ長め”。
- トリートメントは毛先集中。時間に余裕がなければ耳下だけでもOK。
Day11〜14:リフト期(次回につなぐ)
- ツヤが落ち始めたらオイル1滴→手のひらでよく伸ばしてから毛先へ。
- 色持ちKPIなら紫シャンプー/カラシャンを2回/週に。やりすぎは乾燥のもと。
ミニログ(スマホでOK)
- 「ツヤ見えた日」「引っかかった日」「湿気で崩れた日」をメモ。
→ 次回の提案精度が上がり、無駄な追加が減ります。
数字で振り返る:簡易PL(損益)と次回予約
かかったコスト
- 施術代:○円
- 追加メニュー:○円(○分 → 分単価○円)
- 来店の時間価値:移動・待ち・施術=○分(あなたの時給換算で金額化)
得られた価値
- KPI達成度:0〜5
- 持ち日数の実績:○日(前回比+○日)
- 朝のスタイリング短縮:1日○分×○日=○分
→ 「1分単価あたりの満足」「1日延長あたりの費用」まで見えると、次回の選択がブレません。
次回予約のコツ
- “KPIが落ち始める少し前”に設定(例:持ち実績28日の場合→3〜4週後)。
- 予約時にメモを共有:「前回は+30分/5,000円でツヤ+12日。今回は同等 or もう-10分で挑戦」
→ 時間=原価の視点で、提案がシャープになります。
当日の一言テンプレと、帰宅後の2週間プラン、最後に数字で振り返る。この3点セットが回り出すと、あなたの美容院体験は“運”ではなく再現性で組み立てられます。メニューは増えてOK。選ぶ基準が強ければ、むしろ選択肢があなたの味方になります。


結論|“時間を買う”と決めた瞬間、迷いは消える
美容院のメニューは増え続けます。名前は派手でも、本質はシンプルでした——あなたはお店の時間を買い足している。だからこそ、分単価で比べるとノイズが落ち、KPI(ツヤ/持ち日数/ダメージ抑制)に沿って要・不要を仕分けられる。今日あなたがやったのは、難しい専門知識ではなく、目的→数字→行動の順に並べ直すこと。たったこれだけで、提案は“受けるもの”から“選ぶもの”に変わります。
分単価は財布の言語、KPIは髪の言語。この二つを同時通訳するのが、あなた自身です。時間はあなたにとってもお店にとっても原価。だから「+20分の意味」を自分の言葉で確認し、「今日は目的に直結する1つだけ」を選ぶ。帰宅後は2週間の小さな習慣で“持ち”を回収し、最後に数字で振り返る。これを1サイクル回すたびに、あなたの選択は磨かれ、再現性のある“美の意思決定”になります。
もう、長いメニュー表に気後れする必要はありません。流行は風、KPIは羅針盤。時間=原価の視点があれば、増え続ける選択肢は脅威ではなく味方です。今日の一歩は小さいけれど、積み上がると“迷いのコスト”がごっそり消える。ツヤの輪も、色持ちの延長も、あなたの予定が空くことさえも——数字で守れる。次にサロンへ行く日は、もう“受け身の客”ではありません。目的に時間を投資する人として、静かに、気持ちよく、選び切ってください。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
入門 ビューティービジネス
美容業界の構造やビジネスの基本を俯瞰。サロンを“時間を売るサービス業”として捉える土台づくりに◎。施策をKPIで見直す視点を持ちやすくなります。
その決定に根拠はありますか? 確率思考でビジネスの成果を確実化するエビデンス・ベースド・マーケティング
“勘”ではなく“検証”で選ぶための実務本。効果の持ち日数や満足度を指標化し、次回の施術にフィードバックする…というこの記事の流れと相性抜群。
価格支配力とマーケティング
「値付け=価値設計」の実践。“市場で最初の値付け者になる方法”まで踏み込み、分単価を上げつつ納得感を担保するヒントが拾えます。
値決めの教科書――勘と経験に頼らないプライシングの新常識
手順に沿って価格を設計する入門〜実務。“時間の追加=何円に設計するか”を、顧客価値・コスト・競合の3点でロジカルに決める流れが学べます。
印象は髪がすべて 大人髪のトリセツ
髪の科学と生活習慣のつながりを解説。サロンの“その場のツヤ”と、ホームケアによる“持ち”の関係を理解でき、KPI「ツヤ/持ち日数」を現実的に設計しやすい。
それでは、またっ!!

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