みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
“働かずにズルい”は誤解だ!投資家が語る本当のリスクと税制の真実
皆さんは「投資と税制」と聞くとどんな印象を持ちますか?
「なんだか難しそう」「自分には関係ないかも」「投資家なんてお金を持っている人たちでしょ?」……多くの方がそう考えているかもしれません。
しかし、今の日本では、働いて給与をもらう“労働所得”よりも株式や投資信託などの“金融所得”にかかる税率が低いのは「おかしい」と批判する声が上がる一方で、投資家や経営者サイドから見ると「そもそも二重課税やリスクの大きさを考慮しているのか?」という疑問の声も絶えません。
実際、複雑な税制やリスクを正しく理解せずに「働かずにぼーっとしているだけで稼いでいるなんてズルい」という論調には、矛盾や誤解が多々存在します。
本ブログでは、ひろゆき氏が「金融所得課税を総合課税化すべき」という意見を示したことをきっかけに、投資家目線・会計の視点・税制の構造から徹底的に論破してみせます。
ここで得られるベネフィットは以下のとおりです。
- 金融所得課税の仕組みが理解できる
20%課税がどうして設定されているのか?総合課税にするとどんな影響があるのか?
実例を挙げながらわかりやすく解説します。 - 投資家と企業の会計上の視点がわかる
「会社の内部留保が多い」「配当は“働かない収入”」と考える人に対して、実はそこに至るまでにさまざまな費用やリスクがあることを知り、より深く理解できます。 - 今後の資産形成への心構えが養える
日本でも老後2000万円問題などがクローズアップされる中、投資は将来を見据えた生活防衛策としても重要です。
本ブログを読むことで、投資と税制の両面から自分の資産をどう考えていくべきかを学べます。
最後まで読んでいただければ、
「なぜ投資家は低率課税を主張するのか」
「金融所得課税の引き上げが本当に国のためになるのか」
など、いま巷(ちまた)で語られる断片的な情報とは異なる“本質”を理解できるはずです。ぜひ最後までご覧ください!
(↓前回の記事です。)
投資家にとっての“二重課税”とリスクの重要性

まず、ひろゆき氏の指摘する「労働者が50%の税率を払っているのに、金融所得の課税は20%程度で済むのは不公平」という主張の背景を整理しましょう。
法人税と配当課税で既に二重課税が生じている
株式投資をしている方の配当所得の源泉は、企業の利益です。
この企業利益にはまず「法人税」が課せられます。日本の実効税率(法人税、地方税などを含む)は約30%前後です。
つまり、企業が出した利益にはまず一度、しっかりと税金がかかっています。
そしてそこから株主に配当が支払われる段階で、個人の投資家もさらに20%(所得税・住民税)を負担することになります。
- 企業利益(法人税:30%)
- 配当所得に対して個人投資家が20%課税
これはいわゆる“二重課税”です。
もし配当を受け取っている投資家が総合課税(労働所得と合算)で例えば50%もの税率を課されると、企業としても投資家にとっても税負担は相当重くなり、企業の資金調達意欲や投資意欲を削ぐ結果になりかねません。
キャピタルゲインもリスクと隣り合わせ
株式投資や投資信託などの金融商品には、「配当所得」だけでなくキャピタルゲイン(譲渡益)も生じます。
しかしこのキャピタルゲインは、企業の業績や市場の状況に左右され、大きく損失が発生するリスクを常に伴います。
いわゆる「働かずに儲ける」と言われがちですが、それはリスクを背負っていることを見落としていると言ってもよいでしょう。
- 上昇相場で利益が出る場合もあれば、暴落で大損害を被ることもある
- 投資家がリスクを負うからこそ、企業は資金を市場から調達できる(株式発行や社債発行など)
投資家は「努力せずにぼーっとしているだけで勝手にお金が入る」ように見えるかもしれませんが、実際にはリスクマネーを提供しているのです。
もし総合課税で50%の税率がかかるなど大きな負担となれば、投資家は国内株式への投資を避け、海外へ資金を逃がしたり、リスクの低い預金で塩漬けにしたりする可能性が高まります。
日本市場への資金が干上がれば国内企業の成長も鈍化し、結局は日本経済全体にマイナスの影響を及ぼしかねません。
金融所得への課税を「低い」と見るのは早計
ひろゆき氏の意見は「金融所得だけを切り出して税率が低い!」と批判しているようにも捉えられます。
しかし、以下のように視野を広げると一概に「低税率で優遇されている」とは言い切れないのです。
- 企業が法人税をすでに支払っている
- リスクマネーがあるから企業は成長し、雇用や税収を増やしている
- 配当が増えれば、株主がさらに消費を行うことで経済が回る可能性がある
働くことで得られる給与所得とは性質がまったく異なるため、そのまま同等に扱うのはナンセンスです。
給与の場合、企業は法人税を支払いつつも、人件費として給与を経費計上できますが、投資家の配当は経費にはなりません。
ここが労働所得と金融所得を単純比較できない大きなポイントです。
総合課税がもたらす歪みと投資マインドへの悪影響

ひろゆき氏は「全部、総合課税にしちゃえばいい」と主張していますが、これは投資家のみならず社会全体にも悪影響をもたらす可能性が高いと言えます。
総合課税による意図しない“資本逃避”
もし総合課税が導入されると、高所得者層だけでなく一定以上の金融所得がある層も、配当やキャピタルゲインに対して大きく課税されるリスクが高まります。
すると、一部の富裕層や投資家は次のような行動を取るかもしれません。
- 海外投資へ資金を移す
海外の株式や海外不動産など、日本よりも税率が低い(あるいは優遇制度がある)国・地域へ資金を逃がす動きが進む。 - タックスヘイブン的な地域を利用する
税率が極端に低い国に投資用口座を開いたり、ファンドを設立したりして、国内課税を回避しようとする。 - 株式投資を敬遠し、貯蓄や債券中心に
ハイリスク・ハイリターンの株式投資を避け、低リスクの商品に資金を置くことが増える。
こうして国内の投資資金が減少すれば、企業の資金調達が滞り、国内経済の活性化が阻害される可能性があります。
元々日本は「貯蓄好き」と言われ、投資マインドが強くない国です。総合課税化でさらに投資を冷え込ませれば、国全体の生産性や経済成長力の低下につながりかねないのです。
株式市場の流動性低下と時価総額の縮小
投資マインドが冷え込めば、株式市場の取引量が減少し、市場の流動性が落ちます。
流動性が落ちると、投資家同士の売買が成立しにくくなり、株価の変動が大きくなったり、時価総額の減少を招いたりする悪循環に陥ることも考えられます。
- 流動性の低下
- 時価総額の下落
- 企業価値が低く評価される → 海外投資家に割安で買い叩かれるリスク
さらに、時価総額が低迷すると、企業は株式による資金調達が難しくなり、事業拡大や研究開発への投資資金を十分に得られなくなるかもしれません。
こうした悪循環を避けるためにも、適正な金融所得課税のあり方が重要です。
課税強化による想定外の“格差拡大”?
ひろゆき氏の意図としては「高所得者に負担を多く求めることで格差を縮小したい」という思いもあるのかもしれません。
しかし金融所得課税が過度に高くなると、実は本当に富裕層であればあるほど合法的に税金を回避するスキームを使えるため、中途半端な中流階層が一番痛手を被る恐れがあるのです。
- 税理士や国際税務の専門家の力を使って、富裕層ほど海外口座やファンドを利用できる
- 中流〜準富裕層はそうしたハードルが高く、国内課税をストレートに被る
- 結果的に、課税強化は“逃げられない”層の負担を増やし、かえって格差を広げる可能性がある
このように、総合課税による「公平」を求めた結果、逆に税回避のすべを持たない多くの投資家層がダメージを負い、格差拡大や投資意欲の低下を招きかねないのです。
投資家目線&会計視点で見る“本当の課税の公平”とは

ここまでは、ひろゆき氏の主張に潜む問題点を指摘してきました。
最後に、投資家や企業側の視点に立ったとき「税制の公平」とは何なのかを考えましょう。
労働所得と金融所得の本質的な違い
- 労働所得:労働力を提供し、その対価として給与・賃金を受け取る。企業側は人件費として経費計上できる。
- 金融所得:投資家が資金を提供し、企業がその資金をもとに事業を行う。企業の利益には法人税がかかり、そこから株主が受け取る配当に個人の税金がかかる。
労働所得と金融所得は、課税ベースに至るまでのプロセスが全く違います。
前述の通り、法人税を支払った後に受け取る配当はすでに企業が税負担をしている状態で成り立っているものです。
ここにさらに累進課税をかけるということは、企業側の経済活動と個人投資家のリスク負担を無視した過度な課税になりかねません。
税の抜け道を減らし、段階的な改革を進めること
もちろん、現行の20%程度の金融所得課税がすべて完璧というわけではありません。
例えば、NISA制度などを通じて「少額からの投資であれば非課税にする」という仕組みは、投資の裾野を広げるためには有効ですが、いわゆる富裕層の大量投資にも優遇が及ぶケースがあります。
そこに際限なく優遇措置を与えるべきかどうかは慎重に検討すべき部分です。
しかし、だからといって一足飛びに総合課税へ移行しろ、というのは極端です。
現実問題として、投資マインドの萎縮や海外資産逃避を招きかねません。
税制改革は段階的に見直しながら、「真に必要としている層への優遇」「富裕層の過度な税回避への対策」をバランス良く行っていくことが望ましいのです。
投資を促し、日本企業を支え、税収を増やすトライアングル
税制の目的は、単に「税金を集めること」ではなく、経済活動を健全に発展させながら国を支える財源を確保することです。
投資家が国内で積極的に投資を行うことで、企業は資金調達がしやすくなり、事業拡大や雇用創出につながります。
雇用が増えれば所得税などの税収も増え、企業の利益拡大によって法人税も増収する。
配当によって豊かになった投資家も消費を拡大し、また税収が増える――こうした“理想的な循環”を目指すためには、投資意欲を削ぐような極端な増税策よりも、ある程度の優遇措置やリスクに見合った課税バランスが必要となるわけです。


結論
ひろゆき氏が主張する「金融所得課税を総合課税にすべき」という提案は、一見すると“格差是正”や“公平性の確保”を目指しているように見えます。
実際に労働所得と金融所得だけを切り取って単純比較すれば「労働で2000万円稼いだ人が50%なのに、配当で2000万円なら20%だけ?ズルい!」という感覚を持つ人がいても不思議ではありません。
しかし、そこには企業が既に法人税を支払っている事実や、配当を生み出すまでに投資家がリスクを負って資金を提供している事実がほとんど考慮されていません。
総合課税を導入すれば、富裕層ほど海外投資や巧妙な節税策を駆使して日本の課税をすり抜け、一方で中間層の投資家が過度な税負担を強いられる可能性が高まります。
結果として、国内の投資マネーは減少し、日本企業は資金調達に苦しむことになるかもしれません。
それが巡り巡って、企業の成長鈍化、株価低迷、経済停滞につながるリスクを孕んでいます。
金融所得課税をどう扱うかは、税制全体や日本経済の成長戦略との整合性を考えながら慎重に検討すべき課題です。
単に「ズルい」「不公平」だけで語れるほど単純ではありません。
むしろ、現状の20%課税が“絶対に正しい”わけでもなく、段階的な見直しや狙いを定めた課税・優遇措置が求められる場面もあります。
今後、私たちが意識すべきは“投資と経済成長の両立”です。
優遇措置だけを求めるのではなく、日本経済を支えていくためには、投資家も企業もウィンウィンの関係を築く必要があります。
そのためには、投資家のモチベーションを奪わない仕組みと、富裕層と中間層との税負担のバランス、そして逃げ道をなくすための国際的な連携を見据えた制度設計が欠かせません。
「働かずに儲けるなんてズルい」という感情的な議論ではなく、経済全体の仕組み、法人税・二重課税・国際的な投資環境などの多角的な要素を加味して考えることが、ひろゆき氏の主張を超えて“本当の課税の公平”へと近づく一歩ではないでしょうか。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『2024年度版 投資家のための税金読本』
最新の税制改正を踏まえ、投資家が知っておくべき税金の知識を網羅的に解説しています。
所得税・住民税の基礎知識から、有価証券に対する課税の原則、特定口座における株式・債券・投資信託と税金、NISA(少額投資非課税制度)など、幅広いトピックをカバーしています。
『金融・投資商品の税務Q&A』
国内外の取引を広く扱い、豊富な事例を厳選して解説しています。
金融所得一体課税をはじめ、最新の改正税法にも対応しており、株式、債券、投資信託、ETF、EB債、リース取引、海外不動産投資、仮想通貨など、多岐にわたる金融商品の税務をQ&A形式で分かりやすく説明しています。
『金融商品の仕組みと税金(令和7年3月申告用(令和6年分))』
金融商品の基本的な仕組みと、それに伴う税金の知識を解説しています。
最新の税制に対応しており、申告時に役立つ情報が満載です。
『上場株式等に係る利子・配当・譲渡所得等の課税方式選択を踏まえた申告実務 二訂版』
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それでは、またっ!!

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