水道は“公共サブスク”だった:減価償却の請求書が家計に届く日

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。 

その水道代、本当は“未来の工事費”まで入ってるって知ってましたか?

コンビニの値上げは「またか」で終わるのに、水道料金の値上げは妙にザワつく。だって水道って、生活の土台で、止められない“固定費”だから。最近は「老朽化で水道料金が上がる」「20%前後アップの予定もある」といった報道が増えています。たとえば千葉県営水道は26年度に約20%値上げの方針が報じられました。

でもこれ、単なる物価高の話じゃありません。もっと会計っぽく言うと——いままで先送りしてきたインフラの“減価償却(40年の法定耐用年数を超える管路が増える)”を、これから利用者がガツンと回収しにいく局面に入った、ということ。国の資料でも、法定耐用年数を超えた管路の割合(経年化率)が上がる一方、更新率は0.64〜0.65%と低い水準だと示されています。つまり「壊れてから直す」だと追いつかない。道路陥没など“地面のトラブル”が話題になるのも、地下インフラが限界に近づいているサインとして無関係ではありません。

さらに厄介なのは、料金の決め方そのもの。制度上は、将来の更新投資を見据えた“資産維持費”も料金原価に含める考え方が示されている一方、実際には算入していない事業体も多い、という指摘があります。つまり今までの料金が「安かった」のではなく、「将来分のツケを薄く先送りしていた」可能性があるわけです。

この記事でやりたいのは、怖がらせることじゃなくて、構造を見える化すること。ポイントは3つです。
・水道料金の値上げは、自治体のBS(貸借対照表)に積み上がった設備更新のツケが「料金」という形で回ってくる現象
・これは公共セクター版の“資本政策”(更新投資をどれだけ、いつ、誰が負担するか)の問題
・だからこそ投資テーマとしては、管材・工事・検査・漏水検知・維持管理といった「更新需要の長期トレンド」に接続できる(銘柄は出さずに産業テーマとして考えられる)

読み終わる頃には、「水道料金が上がるらしい」で止まらず、ニュースの裏にある会計のロジックと、これから伸びる仕事・産業の地図がつかめるはず。次は、まず“なぜ今いきなり請求書が来たように見えるのか”を、減価償却と料金原価の目線で掘っていきます。

値上げの正体は「水道版・減価償却の回収モード」

水道料金が上がるニュースって、「自治体がケチだから」でも「物価高だから」でも片づけると、たぶん見誤ります。いま起きているのは、もっと会計的に言えば“インフラ資産の寿命が来たのに、更新投資が追いついていない”という構造の表面化。
40年の法定耐用年数を超えた管路が増えている一方で、更新率は0.6%台と低く、このペースだと単純計算で更新に100年以上かかる水準だと国の資料で示されています。 そりゃ、どこかで料金に跳ね返る。ここを押さえると、値上げが「突然の請求書」じゃなく「溜まっていた請求書の開封」に見えてきます。

水道は“公共サブスク”——でも料金の中身は「資産の返済」

水道って、毎月払うから感覚的にはサブスクです。でも会計の中身は、映画や音楽のサブスクと違う。
水道事業が抱えるコストはざっくり2種類あります。

  • 当期費用:薬品・電気・人件費・日々の修繕など(その年に使って終わるお金)
  • 資本費用:浄水場や配水管など“長く使う資産”の購入・更新(複数年に効いてくるお金)

企業なら、設備投資(CAPEX)をして減価償却で費用化しつつ、売上で回収します。水道も似ていて、料金は「日々の運営費」だけじゃなく、本来は“資産を維持するためのお金”も回収しないと回りません。
そして国の考え方として、将来の更新投資に備える「資産維持費」を料金原価に含める」整理が示されています。 逆に言うと、これを薄くしてきた地域ほど、後からドカンと来やすい。

値上げの引き金は「老朽化×人口減」——固定費を少人数で割る地獄

水道の怖いところは、支出が“固定費寄り”なことです。管路・浄水施設・ポンプ…インフラは、使う人が少し減ったからといって、コストが比例して下がりません。
その一方で、人口減や節水で水量が落ちると、収入はじわじわ減る。つまり、

  • 分子(コスト):下がりにくい(むしろ更新で上がりやすい)
  • 分母(収入の土台=利用者・水量):減りやすい

この“ハサミ”で料金は上がりやすくなる。
だから「20%アップ予定」みたいな話が出ても、自治体が急に強欲になったわけじゃなく、事業モデルとして“値上げしないと維持できない”局面に入ったと見るほうが筋が通ります。実際に千葉県営水道でも26年度に約20%値上げ方針が報じられています。

道路陥没は偶然じゃない——地下インフラの“貸借対照表”が語っていること

「道路が陥没した」みたいなニュースを見ると、つい“事故”として処理しがち。でも会計の視点では、あれは資産の劣化が表面化したイベントです。
企業で言えば、老朽設備の故障が増えると、修繕費が膨らみ、操業停止リスクも上がり、いずれ大型投資が必要になる。水道も同じで、法定耐用年数を超える管路の割合が増え、更新率が低い状態が続くなら、トラブルは「たまたま」より「統計的に増える」。

そして自治体BSの感覚で言うなら、過去の設備がまだ帳簿上残っていても、実態として“使える価値”が落ちている。だから会計のツケは、「減価償却をちゃんと回す」「資産維持費を織り込む」「更新投資を増やす」のどれかで必ず回収される。
その回収手段として最も分かりやすいのが、家計に届く“料金”なんです。


このセクションの最後に一言だけ。
水道料金の値上げは、生活防衛の話であると同時に、「公共インフラをどう資本政策として回すか」という超ど真ん中の経営テーマでもあります。次のセクションでは、その資本政策を「更新投資 vs 料金 vs 補助金(税)」の三つ巴で整理して、どこに無理が溜まりやすいのかを解像度高く見ていきます。

公共セクター版「資本政策」—更新投資・料金・税金の三つ巴

企業なら、設備が古くなったら「更新投資をするか」「配当を抑えるか」「借金するか」「値上げするか」を決めますよね。水道も同じです。違いは、売上=料金が“政治と生活”に直結していて、値上げがめちゃくちゃ難しいこと。
その結果どうなるかというと、更新投資が先送りされ、ある時点で一気に回収モードに入る。国も、更新の必要性や更新率の低さ、そして将来の更新に備える費用を料金に織り込む考え方(資産維持費)を示しています。
ここからは、水道事業の「資本政策」を、①更新投資 ②料金 ③税金(補助)の3つのレバーで整理していきます。

レバー① 更新投資(CAPEX)—先送りは“複利”で効いてくる

更新投資って、先送りするとラクです。予算も通しやすいし、住民も今すぐ困らない。でもインフラは“腐らない”わけじゃない。古くなるほど、

  • 漏水や故障が増えて修繕費が増える
  • 緊急工事が増えて工事単価が上がる(計画工事より高い)
  • 事故・断水などのリスクが上がる

要するに、先送りのツケは「後で一括」になりやすい。
更新率が0.6%台で、経年化した管路の割合が増えているというデータは、まさに“先送りの残高”が積み上がっているサインです。
企業で言えば、老朽設備を使い続けて、減価償却は終わってるのに更新投資をしていない状態。BSに「見えない負債」がたまっていく感じです。

レバー② 料金—「原価」を全部入れた瞬間、世界が変わる

水道料金の値上げって、ニュースでは“家計負担”として語られがち。でも会計の視点では、もっとドライに「原価回収の設計」問題です。
ここで重要なのが、さっき触れた資産維持費。制度上、将来の更新投資に必要な費用を料金原価に含める整理があるのに、実際は算入していない事業体もある、という指摘があります。

これ、めちゃくちゃ大きい話で、イメージはこうです。

  • これまで:運転費+最低限の修繕中心(“今の生活を回す”料金)
  • これから:上に加えて、更新投資に備える費用も本格的に回収(“未来も壊さない”料金)

後者に切り替えた瞬間、値上げ幅が大きく見えやすい。だから「20%アップ予定」みたいな話が出ても不思議じゃない。
しかも料金って、一度上げると下げにくい。だから自治体は上げたがらない。でも上げないと、更新投資が詰む。これが“詰みの構造”です。

レバー③ 税金(補助・交付金)—万能じゃないけど、現実的な逃げ道

「じゃあ税金でやればいいじゃん」と思うのは自然です。実際、公共インフラは外部性が大きいし、地域の持続性にも関わる。
ただ、税金にも限界があります。少子高齢化で社会保障が重くなる中、自治体財政は余裕があるところばかりじゃない。税で穴埋めするほど、別の公共サービスを削る圧がかかる。

ここで起きがちなのが、“見えにくい負担”の押し付け合いです。

  • 料金に寄せると:家計の固定費が上がる(しかも水道は逃げられない)
  • 税に寄せると:全体の予算配分がきつくなる(他のサービスと競合)
  • 先送りすると:事故リスク・緊急工事・将来の値上げが肥大化

結局、どれか一つで解決じゃなく、3つのレバーを現実的に“混ぜる”しかない。だからこそ、今は各地で料金改定が議題に上がりやすいし、報道の頻度も増えやすいわけです。


このセクションで言いたかったのは、値上げの善悪ではなく、公共セクターの資本政策は「料金の話」に見せかけた「BSの整理」だということ。
次のセクションでは、ここから投資・産業テーマへ接続します。銘柄は出さずに、更新需要が長期で効く「管材・工事・検査・漏水検知・維持管理」あたりを、どんなロジックで見れば“ブレないテーマ”になるのかをまとめます。

銘柄は出さない。でも“産業テーマ”は逃げない—更新需要の長期トレンドを読む

ここまでで「水道料金の値上げ=老朽化インフラの減価償却(更新投資)を回収する局面」という骨格が見えました。
じゃあ投資目線ではどう見るか。ポイントはシンプルで、“水道は止められない”という強烈な前提です。需要が景気でブレにくい一方、更新は先送りできてもゼロにはできない。だから銘柄を当てにいくより、まずは「どの仕事が増えるか」を産業テーマとして押さえるのが強い。ここでは、更新需要を5つのレイヤーに分けて、長期テーマとしてブレない見方を作ります。

管材・更生—「掘る」だけじゃない更新が広がる

水道管の更新=道路を掘り返して新品に替える、と思いがち。でも現場はもう少し現実的で、全部を一気に入れ替えるのはコストも人手も足りない。だから、更新需要は大きく2種類に分かれます。

  • 更新(入替):古い管を撤去して新しい管に
  • 更生(延命):中にライニングを施すなど、寿命を伸ばす

更新率が0.6%台と低いのに、経年化率が上がっているという構図は、「入替だけで追いつかない」ことを示唆します。
この状況では、更生や部分更新の比重が上がりやすい。すると増えるのは、管材そのものだけじゃなく、ライニング材、接合部材、施工技術、現場の段取りまで含めた“パッケージ”です。テーマとして見るなら「管を作る会社」より、「更新を成立させる工法・材料・施工体系」に目線を広げたほうが、息が長い。

工事・維持管理—人手不足時代の“施工能力”がボトルネック

更新需要が増えるほど、当たり前に工事は増えます。でもここで必ず出る壁が人手と施工能力
「お金は用意した、さあ更新だ」で一気に進むほど単純じゃなくて、実務上は、

  • 設計・調査
  • 交通規制・近隣調整
  • 夜間工事・短工期化
  • 安全管理・品質管理

みたいな“非製造コスト”が重い。だから、単価が上がりやすいし、緊急工事が増えればなおさら高くつきます(計画工事より高いのは、企業の設備更新でも同じ)。
ここで投資・会計っぽい見方をすると、更新需要の波は「モノ」だけでなく、役務(サービス)としての工事・運用に利益が乗りやすい局面を作りやすい。水道が“公共サブスク”なら、今後の伸びしろは「新規の派手な建設」より「既存資産のメンテ運用」に寄る、という読みです。

検査・漏水検知・DX—“見えないロス”を可視化するほど、料金の痛みは減る

値上げ局面で、住民が一番イヤなのは「上げるだけ上げて、何が良くなるの?」が見えないこと。ここに刺さるのが、検査・モニタリング・漏水検知です。
水道のロスは、意外と「地下でこっそり」起きます。だから、

  • 漏水の早期発見
  • 圧力・流量の監視
  • 管路の健全度診断
  • データで更新優先順位を付ける(どこから替えるか)

こういう“可視化”が進むほど、更新投資の効率が上がり、結果的に料金上昇のスピードを緩められる可能性がある。
国が示す「資産維持費を料金原価に含める」という整理は、裏を返せば「資産を維持するための活動」にお金を回す正当性が増すということでもあります。 つまりDXは“便利だから”ではなく、値上げを説明可能にし、費用対効果を上げるための武器になっていく。


このセクションのまとめとして、投資テーマの芯を一言で言うならこうです。
「水道の値上げ=家計に痛いニュース」だけど、産業としては“更新を回す仕組み”が長期で伸びる。
更新率の低さと経年化の進行が同時に進んでいる以上、トレンドは短期では終わりにくい。 だから銘柄当てより、①管材・更生 ②工事・維持管理 ③検査・漏水検知・DXという「勝ち筋のレイヤー」を押さえるのが、ブレない見方になります。

結論:請求書の正体を知った人から、暮らしは守れる

水道料金の値上げって、感情的には「また固定費が増えるのか…」で終わりがちです。でも今日ここまで見てきた通り、これは“理不尽な値上げ”というより、ずっと先送りされてきたインフラの減価償却(更新投資)の回収が、ついに家計に到達したという話でした。法定耐用年数を超える管路が増える一方で更新率は0.6%台、という現実は、「いつか払う」を「今払う」に変えざるを得ない圧力そのものです。

しかも水道は“逃げられない”。スマホのサブスクなら解約できるけど、水道は解約できない。だからこそ値上げは痛いし、ニュースになる。けれど同時に、水道は地域の生命線です。止めた瞬間に困るのは、住民だけじゃなく、病院も、飲食店も、工場も、全部。自治体が料金を上げるとき、その裏には「更新投資・料金・税金(補助)」の三つ巴で、どうにか破綻を避けるための資本政策があります。将来の更新に備える費用(資産維持費)を料金原価に含める考え方が示されているのも、まさに“維持すること”を正面からコストとして認める流れです。

ここで大事なのは、私たちができることが「嘆く」だけじゃない、という点です。請求書の正体が見えると、行動が変わる。たとえば、値上げが進む地域では「どこまでが運転費で、どこからが更新費なのか」を自治体の資料や改定理由で確認するだけでも、納得感は変わります。家計側でも、水道代が上がる前提で固定費の設計を見直すと、焦りが減る。さらに投資・産業テーマとして見れば、これは“短期のニュース”ではなく、管材・工事・検査・漏水検知・維持管理といった領域に長く効く需要の波でもある。銘柄当てをしなくても、社会の変化を先に掴む視点として、十分価値があります。

水道料金の値上げは、たしかに痛い。だけどそれは、「見えない地下の資産」を放置してきた時代が終わり、維持することにちゃんとお金を払う時代へ移る合図でもあります。請求書が届いた今こそ、恐れるより先に、読み解く。読み解けた人から、暮らしも、選択肢も、そして未来への備えも、少しずつ強くなっていきます。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『50のポイントでわかる 公会計』

「自治体のBSって結局なに?」を、ポイント形式で“必要なところだけ”拾えるタイプ。水道料金の話を、感情論じゃなく「資産・負債・原価回収」の言葉で整理したい人ほど刺さります。


『インフラメンテナンス大変革 老朽化の危機を救う建設DX』

“老朽化×人手不足”の現場で、何が変わり始めているのかが具体例で見える一冊。漏水検知・点検の高度化・データ活用など、あなたの生活の裏側で進む「守り方のアップデート」を追いかけたい人向け。


『地域社会のための公共サービス 官民連携の評価と新たな展開』

公共サービスを「善意」じゃなく制度と成果で評価する視点が手に入ります。水道・下水道改革を扱う章もあり、「官民連携って結局、誰が得して誰が払うの?」がクリアになります。


『よくわかる水道民営化 契約内容と海外の潮流』

「民営化=良い/悪い」で終わらせず、契約と収支構造から冷静に見られるようになる本。ニュースの“煽り”に振り回されず、自分の言葉で判断したい読者にぴったりです。


『上下水道事業PPP/PFIの制度と実務 ウォーターPPP/コンセッションまで官民連携手法を徹底解説』

水道の値上げ局面で必ず出てくるPPP/PFIの話を、制度・実務・成功の勘所まで一本でつなげて理解できます。「料金で払う」「税で払う」「民間と組む」——その設計図を知りたい人へ。


それでは、またっ!!

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