みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
あれ?景気ってそんなに悪いの?
──あなたの違和感は正しかった。
最近よく耳にしませんか?
「日本はもう景気後退に入ってる」とか、「リセッション確実」なんて話を。
でも、実際の生活でそこまで感じてますか?
- 行列ができるラーメン屋
- 週末のショッピングモール
- にぎわう観光地
この現実と「景気後退」というワードのギャップに、モヤッとした違和感を覚える人は少なくないはずです。
しかし、数字はウソをつきません。
このブログでは、“見えないリセッション”の正体を、会計と投資の視点から紐解きます。
このブログで得られる3つのポイント
「今はまだ大丈夫」は本当か?
→ GDPやPMIなど統計の“死角”をデータで解説
自動車関税が企業の財務3表に与える具体的な影響とは?
→ 実際の数値を使ってPL・CF・BSをシミュレーション
リセッション下でも資産を守る“会計発”ポートフォリオ戦略とは?
→ 数字で選ぶ「勝ち残る企業」と「沈む企業」の違いを可視化
知らなかったでは済まされない“静かな金融危機”が、すでに足元で始まっています。
いま、会計のレンズを通して見ることで、あなたの投資判断は変わります。
この一記事が、あなたにとって「経済ニュースの見え方がガラッと変わる瞬間」になるかもしれません。
それでは、「景気後退は始まっていた」という驚きの真実を、静かに、しかし深く追いかけていきましょう。
目次 [hide]
「実感なき不況」はなぜ起こる?——数字に現れた“静かなリセッション”

「景気が悪い」と言われても、なぜか実感がない理由
ニュースでは「景気後退」「リセッション入り」と騒がれているのに、生活の現場ではまだそれほど深刻な変化を感じない——そんな違和感を持つ人は少なくありません。
たとえば、街の飲食店はそこそこにぎわっているし、SNSでは「旅ログ」や「ホテルビュッフェ」の投稿も相変わらず。消費税が上がったときのような財布のヒリヒリ感はあまり感じない。
これは、「可視化された統計」と「人々の体感」に時間差があるために起こるズレです。
特に日本の場合、「統計が後出し」「景気がジワジワ悪化する」「家計が貯金を削って耐えてしまう」という3拍子が揃うため、不況の初期は「なんとなくやりくりできる」フェーズが続きます。
ところがこの“やりくりフェーズ”こそが、最も見落とされやすく、投資判断を誤らせるポイントなのです。
GDPとPMIが示す、すでに始まっていた後退のサイン
事実、数字はとっくに“悪化”を告げています。
2023年10-12月期(Q4)のGDP成長率は▲0.4%。その直前の7-9月期も▲3.3%と大きなマイナスで、すでに「テクニカルリセッション」(2期連続マイナス成長)入りが確定しています。
さらに、先行指標として注目されるPMI(購買担当者景気指数)にも明確なサインが出ています。製造業PMIは50を下回ると景気の縮小を示しますが、日本は2024年に入っても50を下回ったまま。新規受注は22か月連続でマイナスという“異常事態”が続いているのです。
それでもメディアが「景気は堅調」と言い続けられるのは、企業決算が黒字であること、株価が高止まりしていること、失業率が急激には上がっていないことが背景にあります。しかし、これらの指標も時間差で崩れ始める兆候が見えています。
“利益があるのにキャッシュが減る”——会計的リセッションの入り口
数字を見るなら、PL(損益計算書)ではなく、CF(キャッシュフロー計算書)を見ろ。
これは投資の世界で繰り返される鉄則です。実際、ここ半年の決算を読むと「黒字なのにキャッシュが減っている企業」が増えています。これは“会計的に見たリセッション”の入り口にあたります。
その典型が自動車部品メーカー。2024年12月期の第1四半期決算では、在庫回転日数が前年より平均11日延び、営業キャッシュフローが前年同期比で▲40%近く落ちた企業も。これでは利益が出ていても資金繰りに不安が生じ、設備投資や配当、場合によっては借入金の返済すら滞りかねません。
このように、“景気は悪化しているが、企業の利益はまだ壊れていない”というズレこそ、マーケット参加者にとっての落とし穴。ここで読み違えると、リスク資産への過信によって大きな含み損を抱えることになりかねません。
この後のセクションでは、まさにこの“ズレ”を破壊的に拡大させる要因——トランプ政権の「25%自動車関税」という現代版ショック・ドクトリンが、どれほど日本企業の財務を揺るがすかを、具体的に見ていきます。
25%関税が企業を直撃する──「数字で見る関税ショック」

自動車関税という“想定外の弾丸”
2025年4月3日、トランプ大統領陣営が発表した「完成車への25%関税」は、まさに企業経営者にとっての“想定外の弾丸”でした。しかも、その照準の先には日本の自動車産業が真っ直ぐに入っている。
日本の完成車メーカーは、アメリカ市場を最大の販売先としており、ホンダ・日産・トヨタを筆頭に対米依存度は売上全体の30〜50%を占める企業も珍しくありません。そこに25%という税負担が追加されれば、単純計算でも利益率が2桁削られかねないインパクトです。
現に日産は、アメリカ向けの主力車種「ローグ」の国内生産分を13,000台減産する決定を下しました。仮に1台あたりの売上が200万円とすれば、減産による売上減は約260億円。限界利益率を20%とすれば、単純に50億円超の営業利益が蒸発する計算になります。
しかも、これは“初動”にすぎません。問題は、この関税が構造的なコスト負担と供給網の再編を迫る「中長期の痛み」になることです。
財務三表にどう効くか?PL・BS・CFを横断して見る
まず損益計算書(PL)への影響です。
完成車メーカーは、関税負担を価格に転嫁できない場合、自社でコストを吸収するしかありません。営業利益率が5〜10%台にとどまる自動車業界にとって、25%の関税は致命的なコスト増となります。
次に貸借対照表(BS)。
関税を回避しようと現地生産を拡大すれば、固定資産(工場・設備)が膨張します。しかも現地通貨(ドル建て)での投資になるため、為替の変動リスクも抱えることになる。仮にFRBが金融緩和に踏み切りドル安が進めば、日本本社の評価額は目減りし、ROA・ROEはともに圧迫されます。
そしてキャッシュフロー計算書(CF)。
在庫調整・物流再編・追加関税支払いといった“前向きではない支出”が増えることで、営業CFは急減。それを埋めるために借入や社債発行に頼れば、財務CFが悪化し、Net Debt/EBITDAが2倍を超える企業も出てくるでしょう。この指標が2.5〜3倍を超えると、格付け機関は「財務の健全性に懸念あり」とみなすため、信用コストの増加につながりかねません。
“一次請け地獄”の波及と、ROE低下の構造的リスク
関税による影響は完成車メーカーだけにとどまりません。自動車業界の裾野には、何千もの部品・素材・加工企業がぶら下がっており、ひとたび完成車の生産が減れば、ドミノのように波及します。
とくに「Tier1」と呼ばれる一次サプライヤーは、売上の8割以上を特定メーカーに依存していることが多く、減産はそのまま減収に直結します。そして、製品の多くは専用設計のため、他社にすぐ売ることもできない。こうした構造的制約の中で、急な稼働率低下は、減価償却や人件費といった固定費の“重さ”を一気に浮き彫りにします。
結果として、利益は確保できてもROEは急落する。なぜなら、ROEは「当期純利益÷自己資本」で算出される指標であり、利益が微減でも自己資本が維持されていれば、資本効率が悪化したように見えるからです。これは投資家にとって極めてネガティブに映るサインです。
会計的にはまだ“黒字”、でもマーケット的には“見限られる”——このズレこそ、関税ショックの本質なのです。
次のセクションでは、この難局においても数字を武器に“勝ち残る企業”をどう見つけるか、投資家が取るべき3つの防御策をお伝えします。会計の数字は、崩れる企業だけでなく、生き残る企業を浮かび上がらせる鏡でもあるのです。
数字で選ぶ“勝ち残り企業”──会計から導く投資の防御ライン

キャッシュを生み続ける企業だけが生き残る
関税リスク、円高圧力、消費の低迷。どれも企業にとって致命的な外的ショックですが、こうした逆風を乗り越えられる企業にはある共通点があります。それが、「景気の波に関係なく、安定的にフリーキャッシュフロー(FCF)を生み出せること」です。
フリーキャッシュフローとは、営業活動で得られたキャッシュから投資に使ったキャッシュを引いたもので、企業が“自由に使える現金”を示します。これは配当、株主還元、借入返済、設備投資など、企業の生存力の源になる指標です。
たとえば、2024年時点で東証プライム上場の自動車関連企業の中でFCFマージン(売上高に対するFCFの割合)が3%を超える企業は約7社。その大半は、完成車メーカーではなく、電装品や半導体素材など高付加価値の部品を扱う中堅企業です。たとえば、半導体検査装置のメーカーや電池材料のサプライヤーなど、関税の直接影響を受けにくい“周辺領域”で堅実に稼ぐ企業こそ、逆風時のオアシスとなり得ます。
財務健全性の見極めは「ネット有利子負債/EBITDA」から
次に注目したいのがネット有利子負債/EBITDA(企業の借金耐性)です。これは、企業が返済能力に見合った水準の負債しか抱えていないかを示す重要指標です。2倍以下であれば健全、3倍を超えると格付けに影響し、金融機関からの借入条件や社債の発行コストが跳ね上がる可能性があります。
とくに警戒すべきは、ドル建ての社債を多く抱える企業です。アメリカが金融緩和に転じ、ドル安が進めば、円換算で利払いコストが跳ね上がるだけでなく、為替差損の形でPLにも影響します。これが“利益が出ているのに純利益が減る”という現象につながり、株価下落の要因となるのです。
この点で言えば、自己資本比率が高く、かつ金利上昇時にもキャッシュが潤沢な企業は明らかに防御力が高い。2025年のような不確実性の高い年には、「借金が少ないこと」「キャッシュが多いこと」そのものが最大の武器となります。
“守り”の投資戦略3ステップ──景気後退でも勝つポートフォリオ構築法
では、実際の投資戦略としてどう動くべきか? 以下の3ステップで守りのポートフォリオを再構築することをおすすめします。
①キャッシュマシン銘柄でポートフォリオの土台を固める
電力会社、通信インフラ、リース企業など、不況でも需要が一定で、かつストック型ビジネスを展開する企業は、CFの安定感が抜群です。利回り3〜4%の高配当株でインカムを得ながら、相場全体が荒れる局面でも心が揺れないベースを築きます。
②為替ヘッジ付きの米国債ETFでドル安に備える
通常、米国金利が下がるとドル安が進みます。為替ヘッジ付きの米国債ETFを組み入れることで、利下げ局面での価格上昇と、円高のリスクヘッジを同時に取りに行くことが可能です。特に、長期債(20年超)を使えば、FRBの大幅利下げがあれば大きなリターンが期待できます。
③原油安メリット銘柄をアクセントに加える
原油価格が下落すれば、輸送コストやエネルギーコストの高い業種——たとえば空運・化学・素材産業は恩恵を受けます。景気後退による原油安が進む局面では、これらのセクターが“逆張り的”に機能します。
不況は、すべての企業に平等に降りかかるわけではありません。数字を持っている者だけが、防御の盾を手にできます。このセクションで紹介した指標を使えば、表面的な業績や株価の動きに惑わされず、真に“生き残る企業”を選び出すことができるでしょう。
次の章では、これまでのデータをもとに、実際にどの企業が“光”で、どの企業が“影”なのかを、リストで可視化していきます。未来を選ぶ武器は、いつだって「数字」です。


結論|数字は冷たい。でも、それを読むあなたは温かい。
「景気が悪い」と言われても実感がなかった。だけど、数字は静かに教えてくれていた。
私たちは、派手なニュースの裏で動く“静かなリセッション”の中を、すでに歩いていたのです。
自動車関税はその“見えない後退”に最後のトドメを刺す可能性がある。
でも、それは終わりではなく、選別の始まりです。
利益率、キャッシュフロー、財務体質。
会計の数字は、単なる計算ではなく、「この企業は未来に耐えられるのか?」という問いに答えるための言葉。
その数字を“読む力”こそが、未来の行動を決め、資産を守り、誰かの生活を守ります。
景気後退の中でも、挑戦をやめない企業がある。
真っ暗な工場の片隅で、新しい試作品に向き合うエンジニアがいる。
そして、そこに投資する私たちの資金が、未来の光を点けていく。
数字は冷たい。
でも、その数字を信じて行動する私たちは、温かい意思を持っている。
だからこそ、何があっても投資は“未来に対する希望”であり続けるのです。
さあ、もう一度、自分のポートフォリオを見てみよう。
そこには、未来を信じて行動するあなたの意思が宿っているはずです。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『世界の潮流2024-25』
世界情勢の混迷を背景に、経済や政治の動向を分析。
中東情勢、ウクライナ侵攻、中国経済危機など、グローバルな視点から日本経済への影響を考察しています。
マッキンゼー出身の著者が、複雑な世界の動きをわかりやすく解説しています。
『トランプ経済 グレート・クラッシュ後の世界』
トランプ政権下の経済政策とその影響を分析。米国経済のリセッション入りや、覇権国家としての米国の危機について詳述しています。
日本経済への波及効果も含め、グローバルな経済の動向を理解するのに役立つ一冊です。
『日本車は生き残れるか』
ガソリン車の廃止や世界規模の再編が進む中、日本の自動車産業の未来を探る。
世界の自動車産業を知り尽くすコンサルタント・ジャーナリストが、5年後の日本車の姿を描き出します。
『グローバル金融資本主義の危機 – 混迷の世界と経済学』
グローバル金融資本主義の構造的な問題点と、その危機について分析。
混迷する世界経済の中で、日本が直面する課題やリスクについても考察しています。
『大変革期 日本自動車産業は優位性を保てるか』
戦前から戦後、高度成長期に至るまでの日本自動車産業の歴史を振り返りつつ、現在の大変革期における課題と展望を探る。
日本の自動車産業が今後も優位性を保てるかを問う内容です。
それでは、またっ!!

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