みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
過去最高の経常黒字、その“儲け”は本当にあなたの資産に届いてる?
最近、「日本の経常黒字が半期で過去最高」というニュースが話題になりました。海外との取引で稼いだお金が増えた、つまり日本が大もうけしていると聞くと「それって日本に現金が入ってくるってこと?」と思いますよね。実は意外な答えがあります。このブログでは、ニュースの裏側にある日本経済の仕組みをひも解き、経常黒字が記録的な水準に達した意味を分かりやすく解説します。
このブログを読むことで、日本の“儲け”が本当に日本国内の現金の増加を意味するのか、そしてそれが円相場や私たちの生活・資産運用にどう影響するのかがスッキリ理解できるようになります。経済ニュースも会計や投資の視点で紐解けばクリアになるものです。日本という国の“家計簿”を読み解く目を養い、自分の資産を守り増やすヒントを得てください。
読み終えれば、日本経済の流れを自分ごととして捉え、為替変動にも冷静に構えられる自信がつくはずです。日本の経常黒字の秘密と今日から実践できるスマートな資産戦略を探っていきましょう。
目次
過去最高の経常黒字、その正体とは?

まずは今回話題になっている「経常黒字」そのものを理解しましょう。経常黒字とは、一言でいえば日本という“国の会社”の純利益のようなものです。経常収支は、海外とのモノやサービスの取引と、海外への投資収益などをすべて合計した日本の“もうけ”を表します。海外との取引で黒字(もうけ)が出ていれば経常黒字、赤字(損失)なら経常赤字と呼びます。国の収支を家計や企業に例えるなら、収入が支出を上回って貯蓄できている状態が経常黒字と言えるでしょう。「黒字=良いこと」という印象がありますが、その黒字分のお金が本当に日本国内に入ってきているのかは注意が必要です。
経常黒字って何?日本の“収入”をシンプルに理解
経常収支には大きく3つの柱があります。貿易収支(モノの輸出入)、サービス収支(旅行や物流などサービス取引)、そして第一次所得収支(海外投資からの利子・配当や給与など)です。このうち近年の日本の稼ぎ頭は第一次所得収支、つまり海外投資からの収入です。例えば輸出で稼いだドルや、海外子会社から受け取る配当金、外国債券の利息などもこれに含まれます。これらすべてを合算して、日本が海外から受け取ったお金から支払ったお金を差し引いた差額が経常黒字です。要するに、世界との取引で日本がどれだけ“儲けたか”を示す指標と言えます。ただし、経常黒字が大きいからといって、その額面通りに日本国内の現金が増えるとは限らないのです。
半期で過去最大の黒字、その背景に何が?
2025年度上半期(4〜9月)の日本の経常収支は、前年同期比で約14%増の17兆5千億円超という史上最大の黒字となりました。いったい何が日本の“儲け”をここまで押し上げたのでしょうか。背景には主に2つの要因があります。
一つ目は輸入額の減少です。特にエネルギー資源価格の低下が大きく、原油や液化天然ガス(LNG)などの輸入コストが前の年より大幅に下がりました。それにより近年赤字続きだった貿易収支が改善し、一部の月では黒字に転じています。例えば2025年8月は輸出減にもかかわらず輸入の減少がそれを上回り、前年8月の赤字から貿易収支が黒字に転じました。輸入の急ブレーキがモノの収支を押し上げ、経常黒字拡大に寄与したのです。
二つ目の要因は海外からの収入増加です。コロナ禍明けで外国人観光客が急増し、旅行収支は過去最高の黒字を記録してサービス収支の赤字縮小に貢献しました。さらに、日本企業が海外で得る利息や配当金といった第一次所得収支の黒字も依然巨額で、経常黒字を力強く押し上げています。こうした海外からの“稼ぎ”が日本の黒字を支え、記録更新を後押ししたのです。
黒字=現金が増える?国のPLとCFの関係
ここで冒頭の疑問に立ち返りましょう:「経常黒字が過去最大ということは、日本国内に現金がたくさん増えているの?」。答えは一筋縄ではいきません。確かに経常黒字は日本という国が稼いだお金の余剰ですが、その全額が日本円に両替されて国内に還流しているわけではないのです。
企業の決算でも、利益がすべて現金として残るとは限らないですよね。それと同じで、経常黒字が大きくても、即座に日本国内の現金が増えるわけではありません。日本の経常黒字の大半を占める第一次所得収支、すなわち「過去の海外投資のあがり」には、実際には日本に入金されずに海外に留まるお金が多く含まれています。例えば、日本企業が海外子会社から受け取った配当金や、日本の機関投資家が得た米国株の配当・債券利息の多くが、そのまま現地で再投資されて日本に持ち帰られないのです。その結果、「日本に戻ってこない黒字」が相当額存在するのです。
専門家の分析では、表面上は巨額の黒字でも再投資分を除けば収支がほぼトントンになってしまうケースもあるそうです。結局、黒字がそのまま円買い需要に直結しているわけではなく、大量の外貨が海外に留まりっぱなしというのが実情なのです。こうした仕組みを知ると、経常黒字が記録的でもすぐに円高にならない理由もうなずけるでしょう。次のセクションでは、この経常黒字の変化と円相場との関係をさらに掘り下げてみます。
経常黒字と円相場—「追い風」の本当のところ

巨額の経常黒字は本来、日本円にとって“追い風”になるはずです。海外から稼いだお金を円に両替すれば円を買う力が働くため、中長期的には円高要因になると考えられます。しかし現実の為替市場では、経常黒字過去最大のニュースがあっても円安基調がそう簡単に転換しない局面もあります。このセクションでは、日本の経常黒字の中身の変化と円相場の長期的な関係を振り返りながら、なぜ「黒字=円高一直線」にならないのかを考えてみましょう。その上で、将来的に円高に転じる可能性や、そのきっかけについても探ります。
貿易黒字が生んだかつての円高
まず歴史をひも解きます。かつての日本は主役が貿易黒字でした。高度経済成長期からバブル期にかけて日本製品の輸出が輸入を大きく上回り、莫大な貿易黒字が積み上がります。輸出企業が得たドルを円に両替し続ければ、長期的には為替レートは円高方向へ向かいやすくなります。事実、1971年に1ドル=360円だった円相場は、2011年には1ドル=75円前後という超円高水準にまで上昇しました。その背景には、長年続いた日本の貿易黒字があったとされています。
こうした“メイド・イン・ジャパン”の稼ぎが絶え間なく円を本国に呼び戻していた時代には、「日本は稼いでいるから円が強い」という図式が成り立っていました。しかし21世紀に入ると、この構造も少しずつ変化していきます。
所得黒字の時代と円への影響
現代の日本の経常黒字は、前述のとおり貿易収支より第一次所得収支(海外投資収益)の寄与が格段に大きくなっています。この経常黒字の構造変化は2000年代以降顕著です。2000年代前半には経常黒字の半分以上を貿易黒字が占めていましたが、近年では貿易黒字はほぼゼロになり、その代わり海外からの所得収支黒字が経常黒字の大半を占めています。また、訪日客増加などでサービス収支の赤字も大きく縮小しました。
このように「稼ぎ頭が輸出→投資収益へ」とシフトしたことで、為替への影響も変わりました。貿易黒字が大きかった時代には明確な円高圧力が常にありましたが、今や貿易収支はほぼトントンか赤字で、構造的な円買い要因は弱まっています。一方で巨額の所得収支黒字があるとはいえ、その全額が実際に円に換えられているわけではありません。前のセクションで見たように、海外からの配当金・利息のうち多くが現地に再投資され、「円に変えられないまま」のお金が増えています。
要するに、経常黒字の大きさがそのまま円高につながるわけではなくなったのです。長年世界一の対外資産国だった日本ですが、その地位に安心してはいられない理由がここにあります。
それでも円高になるときは?潜むトリガー
では、このままずっと円安基調が続くのでしょうか。実は、日本の巨大な経常黒字はある種の「円高予備軍」とも言えます。なぜなら、普段は海外に積み上がっているその利益が、何らかのきっかけで一斉に円に戻ってくる可能性もゼロではないからです。
専門家の中には「日本の莫大な所得黒字は、経常収支における貿易赤字を補ってあまりあるものだが、将来何らかのきっかけで円高に反転するトリガーになり得る」と指摘する声もあります。例えば世界的な金融危機など有事の局面では、投資家が海外資産を売却して円に換える「有事の円買い」が起こり、急激な円高が発生する可能性があります。
さらに日本が金融政策を転換して金利を引き上げれば、海外で運用されていた資金が円に戻ってくる動きも強まるでしょう。眠っている巨額の黒字マネーが一斉に円に換えられる状況になれば、円高への大きな転換が起こり得ます。それが明日か数年先かは誰にも分かりませんが、日本が稼ぐ力を持つ限り為替が大きく揺れる可能性は常にあります。
今は長く円安が続いていますが、突然円高に振れる局面も想定して備えておくことが重要です。それでは、私たち個人にできる備えとは何でしょうか。次のセクションで具体的な戦略を見てみましょう。
円高・円安に負けない資産づくりの一手

日本の経常黒字の記録更新と、それに伴う円相場の行方を見てきました。では、この大きな流れの中で、私たち個人は自分の資産をどう守り、どう増やしていけば良いのでしょうか。為替の変動は輸入物価や投資リターンに影響を与え、放っておくと家計に思わぬ打撃を与えかねません。でも心配はいりません。円高でも円安でも慌てずに済むポートフォリオの組み方があります。このセクションでは、経常黒字という“国の余剰”とうまく付き合いながら、自分の資産を為替リスクから守るヒントを紹介します。
円高・円安で何が困る?身近な影響をチェック
まず、円高・円安それぞれが私たちに与える影響をおさらいしましょう。円高になれば海外旅行や輸入品が安くなり生活費は軽くなりますが、ドル建て資産などの円換算価値は目減りします。円安になれば輸入品が値上がりして痛い反面、外貨建て資産の評価額は大きく膨らみます。円高・円安には一長一短があり、どちらに大きく振れても誰かに損得が生じるのです。
問題なのは、資産を円だけ、あるいは外貨だけに偏って持っているケースです。全資産を円で持っていれば急な円安で目減りし、全てを外貨で持っていれば円高で大きく損ないます。どちらに振れても困らないよう、資産を円と外貨に分散しておくことが重要です。
「海外資産」を持つことで得られる安心感
資産運用では「卵は一つのカゴに盛るな」とよく言われますが、資産をすべて円で持たず一部は外貨で持つことがリスクヘッジになります。日本円と外国通貨はシーソーのような関係です。円安なら外貨資産が潤い、円高なら輸入品が安くなる——そうしたどちらに振れてもメリットがある状態を作っておくのが理想です。
日本円が将来ずっと安泰かどうかは誰にも分かりません。だからこそ、為替の変動に両面待ちで構えることが大切です。資産の一部をドルやユーロ建てにしておけば、急激な円安でも資産全体へのダメージを和らげられますし、円高なら円の購買力が上がるメリットを享受できます。
海外資産を持つことは、日本経済全体の戦略とも共通します。国が海外で稼いで黒字を蓄えているように、私たちも海外投資からの収入をポートフォリオに取り入れれば“第二の収入源”になり得ます。日本人は世界から稼ぐ力を持っています。その恩恵を個人でも享受するため、資産の一部を海外に振り向けておくのは賢明と言えるでしょう。
外貨資産はどのくらい?比率と「目標レンジ」の考え方
では外貨資産はどのくらい持てば良いのでしょうか。一つの目安として、外貨資産比率を50%(資産の半分を円、半分を外貨)にする考え方があります。円100%では円高リスク、外貨100%では円安リスクに偏りますが、半々なら両方のリスクをバランス良く抑えられるというわけです。
もちろん人によって適正比率は異なります。この50%をベースに、自身の見通しや状況に応じて±10%程度外貨比率を増減させる方法もあります。円安が続くと思えば60%、円高局面が来ると思えば40%にする、といった調整です。要は、50%前後の範囲で自分なりの目標レンジを決めて柔軟に調整することがポイントです。
肝心なのは、どちらに振れても「しまった!」とならないバランスを保つことです。為替の予想は難しいもの。どちらに転んでも大丈夫と思える心構えと資産配分が、長期的な安心につながります。海外資産の安心感と円資産の安定感、その両方を取り入れたポートフォリオを目指しましょう。
セクション3で述べたような通貨分散の戦略は、日本という国が巨額の経常黒字を稼いで蓄えている状況ともシンクロしています。日本全体が海外からの収入源を確保しているからこそ、エネルギー価格高騰などで貿易赤字になっても経常収支は黒字を保てています。私たちも個人レベルで外貨収入や海外資産を適度に取り入れることで、自分の“家計”のバランスシートを強くすることができるのです。
おわりに
「黒字=現金が増えるとは限らない」という経済のリアルを知り、国のPLとCFの違いを理解できれば、表面的な数字に振り回されず本質を見抜けます。巨大な黒字を生み出す日本経済は侮れない存在であり、その恩恵を受け取れるかどうかも私たち次第だと分かりました。
円高・円安に揺さぶられない資産戦略を取れば、為替の変動を怖がる必要はありません。日本が長年培った世界から稼ぐ力を、私たち一人ひとりも活用して将来に役立てていきましょう。経常黒字のニュースを自分自身の成長と行動の追い風に、これからも賢く資産を築いていきましょう。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
弱い円の正体 仮面の黒字国・日本
円安・物価・経常黒字の「つながり」を最新データでほどく一冊。黒字でも円が買われない理由=再投資や資金循環の実態に迫る。“黒字=円高”の思い込みを捨てて、通貨分散の腹落ち度が一気に上がる。買っておくと、為替ニュースの見え方が変わります。
「ガラパゴス・日本」の歪んだ円相場
2022〜24年の円安ショックを総点検。日米金利差だけで説明できない“日本固有の歪み”を、構造面から読み解く。円がどこで強含むのか/何がトリガーかを考える素材が満載。ポートフォリオの為替リスク管理をアップデートしたい人に。
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ビッグマックと弱い円ができるまで
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それでは、またっ!!
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