みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。Jindyです。
投資を始めると、利回りが気になる。
新NISAで何を買うか。
毎月いくら積み立てるか。
老後までに何千万円つくれるか。
どれも大事だ。
ただ、その計算には一つ、大きな前提が抜けている。
そのお金を使う自分が、動ける状態であることだ。
資産が増えても、階段を上るだけで息が切れる。旅行へ行く体力がない。休日は疲れを取るだけで終わる。
そうなれば、通帳の残高は増えていても、人生で使える選択肢は減っている。
これは少し厳しい。
でも、会計の目で見ると当たり前でもある。
企業が現金だけを積み上げても、工場が壊れ、人材が疲弊し、事業基盤が傷んでいれば、その会社を健全とは呼べない。
個人も同じだ。
金融資産だけを見て、身体という事業基盤を簿外に置いている。
この記事を読むと、健康を根性論ではなく、資産管理として捉え直せる。
なぜ歩くのか。
なぜ眠るのか。
なぜ酒や食事を管理するのか。
長生きしたいから、だけでは弱い。遠すぎて、今日の行動につながらないからだ。
健康管理の目的は、寿命の数字を伸ばすことだけではない。
仕事の集中力を守る。
子どもと出かける体力を残す。
病気になったときに立て直せる余白を持つ。
そして、稼いだお金を自分の人生に使える状態を長く保つ。
ここまで落とし込むと、健康は節制ではなく投資になる。
ただし、金融投資と同じように扱うと間違える。健康には元本保証がない。努力した人が病気にならないとも限らない。八千歩を歩けば寿命が何日増える、という商品でもない。
健康は、利益を約束する資産ではない。
将来の大損を減らし、人生の選択肢を守るための資産だ。
身体は資産ではなく、毎日減価する事業基盤 – 健康を貸借対照表に載せてみる

健康経済学には、健康を資本として扱う考え方がある。
代表的なのが、マイケル・グロスマンによる健康資本モデルだ。健康は時間とともに減耗し、運動、休養、医療、食事などへの投入によって維持されると考える。
会計屋には、この説明が妙にしっくりくる。
身体は買った瞬間の価値を保つ土地ではない。
むしろ、使うほど傷み、何もしなくても年齢とともに性能が落ちる設備に近い。
つまり、減価償却は止まらない。
問題は、減価することではない。減価を無視して、帳簿上は何も起きていないふりをすることだ。
健康は貯金ではなく、稼働能力である
健康という言葉から、病気がない状態を想像しがちだ。
けれど、実際に価値を生むのは、健康診断で異常なしと書かれた紙ではない。
朝に起きられる。
仕事で判断できる。
歩いて移動できる。
人に会える。
休日に何かを楽しめる。
この稼働能力こそ、健康資本の実体だ。
企業でいえば、工場の帳簿価額より、安定して製品をつくれるかの方が大事になる。
個人も、体重や歩数の数字だけでなく、その身体で何ができるかを見なければならない。
健康を壊すと全部終わる、という表現は強すぎる。
治療やリハビリで回復できることもあるし、病気と付き合いながら豊かに暮らす人もいる。
ただ、健康上の問題が生活の固定費を押し上げるのは確かだ。
通院の時間。
医療費。
疲労による生産性の低下。
仕事や家事を代わってもらう負担。
挑戦を見送る機会損失。
健康の毀損は、医療費だけで測れない。
見えないコストの方が大きいことすらある。
複利より、損失回避と相乗効果で考える
健康の積み立てには、複利が効くと言いたくなる。
気持ちは分かる。
運動を始めると眠りやすくなり、睡眠が整うと食欲も管理しやすい。体力がつけば外出が苦にならず、活動量がさらに増える。
良い行動が次の良い行動を呼ぶ。
たしかに、複利っぽい。
ただし、医学的に一定利率で健康が増えるわけではない。毎日歩いた分が口座に残り、十年後に利息付きで引き出せるわけでもない。
より正確に言えば、健康習慣には相乗効果がある。
一つの習慣が、別の習慣の実行コストを下げるのだ。
逆もある。
睡眠不足で判断力が落ちる。甘いものに手が伸びる。運動をやめる。体重が増える。さらに眠りが浅くなる。
こちらは負の複利に見える。
健康投資で狙うべきは、劇的なリターンではない。
悪い循環へ落ちる確率を下げることだ。
早く始めるほど有利。でも、遅すぎる日はない
投資では、時間が味方になる。
健康も基本は同じだ。若い頃から動き、眠り、食生活を整えてきた人は、その期間だけ身体への負担を抑えられる。
一方で、若い頃に何もしてこなかったから手遅れ、という話でもない。
中年期から健康的な生活習慣を採用した人で、その後の死亡や心血管疾患が少なかったという観察研究がある。
日本人を対象にした研究でも、改善可能な生活習慣と平均余命の関係は、高齢者や持病のある人にも見られた。
ここは希望を持っていい。
健康投資は、積立開始が遅れたから口座を閉じるような商品ではない。
今日の一歩にも意味がある。
むしろ危ないのは、過去の不摂生を理由に、これからの改善まで放棄することだ。
含み損を見て、もうどうでもいいと追加で損失を広げる。投資なら避けたい行動を、健康では平気でやってしまう。
健康資本は、帳簿に出ないから軽視される
会社なら、設備の劣化を点検し、修繕し、更新計画をつくる。
ところが自分の身体になると、壊れるまで使う人が多い。
痛みが出る。
眠れない。
健康診断で数字が悪化する。
それでも、忙しいからと先送りする。
これは健康意識の問題というより、会計制度の問題に近い。
身体の劣化は、毎月の損益計算書に費用として出てこない。だから、まだ大丈夫に見える。
見えない減価償却ほど怖いものはない。
一万歩より、健康ポートフォリオを組む – 一つの正解へ集中すると、健康も事故る

健康の話は、すぐに一銘柄投資になる。
一日一万歩。
睡眠スコア八十点。
糖質を抜く。
酒をやめる。
筋トレをする。
分かりやすい目標は行動を起こしやすい。
けれど、一つの指標を絶対視すると、全体を見失う。
投資で高配当株だけを集めても、成長性、通貨、業種、流動性が偏ればポートフォリオは弱い。
健康も、歩数だけ良くて、血圧、筋力、睡眠、食生活が崩れていれば安心できない。
必要なのは、健康の分散投資だ。
歩行は優良資産。ただし、全額投資はしない
歩くことは強い。
特別な道具がいらない。移動や買い物に混ぜられる。運動が苦手でも始めやすい。日常に組み込めるので、継続コストも低い。
歩数と死亡リスクを調べたメタ分析では、歩数が多い人ほど全死亡リスクが低く、効果が緩やかになる範囲は年齢層によって異なった。
六十歳以上では一日六千から八千歩、六十歳未満では八千から一万歩付近が一つの目安とされた。
ここから、一万歩未満は無意味とは読めない。
むしろ、あまり歩いていない人が歩数を増やす局面に、大きな改善余地がある。
厚生労働省のガイドも、成人には一日八千歩を目安としつつ、今より少しでも多く身体を動かす考え方を示している。
ここ、落とし穴だ。
一万歩を達成できない日にゼロ点をつけると、習慣は続かない。
五千歩だった人が六千歩になれば、行動は前進している。
ただし、歩行だけでは筋力と骨への刺激が足りないことがある。特に将来の生活機能を守るなら、週二、三日の筋力トレーニングも組み込みたい。
歩行はインデックスファンドに近い。
低コストで、広く効く。
筋トレは、将来の移動能力を守る成長投資だ。
睡眠スコアは決算書であって、経営目標ではない
睡眠を数値化すると、管理しやすくなる。
昨日は何時間眠ったか。
途中で何度起きたか。
スコアは何点だったか。
ただ、睡眠スコア八十点に医学的な共通基準があるわけではない。
機器ごとに計算方法が違い、消費者向けデバイスは睡眠時間の傾向を見るには使えても、覚醒や睡眠段階の判定には誤差がある。
数字は便利だ。
便利すぎるから、支配される。
八十点を取るために早く寝床へ入り、眠れないことに焦り、翌朝の点数を見て落ち込む。
健康管理をしていたはずが、採点される生活に変わってしまう。
睡眠スコアはKPIではなく、決算書として使った方がいい。
見るべきは単日の点数より、傾向だ。
就寝と起床の時刻は乱れていないか。
必要な睡眠時間を確保できているか。
朝に休養感があるか。
日中に強い眠気がないか。
厚生労働省の睡眠ガイドも、成人は個人差を踏まえながら六時間以上を一つの目安とし、時間だけでなく睡眠休養感を見るよう示している。
いびき、呼吸停止、強い日中の眠気が続くなら、アプリの改善ではなく医療機関への相談が先になる。
経営数値が悪いとき、Excelの色を変えても事業は良くならない。
それと同じだ。
食事と飲酒は、利益を増やすより損失を止める
健康食品を足す話は人気がある。
新しい食材、サプリメント、特別な飲み物。買えば何かを始めた気になれるからだ。
でも、会計的には順番が逆だ。
利益率を上げる施策の前に、毎月流出している無駄な費用を止める方が効く。
食事も、特別な一品を足すより、甘い飲料、過剰な塩分、食べ過ぎ、頻繁な多量飲酒を減らす方が土台になる。
ただし、食べ物を善と悪に二分するのは雑だ。
糖質そのものが敵ではない。量、頻度、食品の組み合わせが問題になる。
塩もゼロにはできない。管理したいのは過剰摂取だ。
酒については、健康のために飲み始める根拠はない。
世界疾病負担研究では、複数の健康上の損失を総合した場合、リスクを最小にする飲酒量はゼロと推計された。
一方、年齢や疾患によってリスクの形は異なり、飲んだ瞬間にすべてが壊れるという話でもない。
現実的には、飲むか飲まないかの道徳論より、量と頻度を把握する方が役に立つ。
一回の量を決める。
寝酒に使わない。
飲まない日をつくる。
一度に大量に飲まない。
健康管理は、人格審査ではない。
最適な健康法より、破綻しない配分
健康ポートフォリオに、万能銘柄はない。
歩行、筋力、睡眠、食事、節酒、血圧管理、検診。
地味な資産を組み合わせる。
しかも、年齢、仕事、持病、家庭環境によって配分は変わる。全員が同じメニューを持つ必要はない。
正解を当てるより、偏りを減らす。
投資と同じで、これが長く残る。
続く仕組みは、健康の管理会計でつくる – 意志の強さを予算に入れない

健康習慣が続かないと、自分は意志が弱いと思う。
でも、毎日強い意志を必要とする計画は、そもそも設計が悪い。
会社の予算を、社員が毎朝やる気満々で出社する前提では組まない。
忙しい日もある。
トラブルも起きる。
判断力が落ちる日もある。
健康も同じだ。
頑張れる自分ではなく、疲れた自分でも回せる仕組みにする。
日次KPI、月次決算、年次監査を分ける
健康管理では、測れる数字を全部追いたくなる。
歩数、睡眠、体重、摂取カロリー、心拍数。
データが増えるほど、管理できている気になる。
だが、指標が多すぎると、見るだけで疲れる。
管理会計の役割は、数字を集めることではない。
行動を変えることだ。
健康指標も階層を分けると扱いやすい。
日次KPIは、歩数、睡眠時間、飲酒の有無。
月次決算は、体重、腹囲、家庭血圧の傾向。
年次監査は、健診、血液検査、歯科検診。
すべてを毎日評価しない。
LDLコレステロールを毎朝測る必要はないし、一日の体重増減で事業撤退を決める必要もない。
指標ごとに適切な確認頻度がある。
米国心臓協会のLife’s Essential 8は、食事、身体活動、ニコチンへの曝露、睡眠、体格、血中脂質、血糖、血圧を扱う。
歩数だけでは見えないリスクがあることが分かる。
特に血圧は、症状がなくても進む。
日々元気だから大丈夫、は監査証拠にならない。
習慣化の本体は、目標ではなく取引コスト
運動を続けるために、立派な目標を立てる。
毎朝走る。
週三回ジムへ行く。
夜は必ず自炊する。
そして、仕事が延びた日に崩れる。
続ける鍵は、目標の高さではなく、開始までの摩擦を下げることだ。
運動着を前日に出す。
通勤や買い物に歩行を混ぜる。
家で数分だけできる種目を持つ。
友人や家族との予定に運動を組み込む。
スポーツクラブが続かなくても、友人と行うゴルフなら続く人はいる。
競技として最適かより、生活の中で反復できるかの方が強い。
投資でも、自動積立が続くのは意志が強いからではない。
毎月の意思決定を消しているからだ。
健康にも自動積立がいる。
歯磨きの後にスクワットをする。
昼休みに十分歩く。
休日の予定に散歩を入れる。
既存の行動へ接続すると、実行のための決裁が減る。
健康にも、減損テストと予備資金がいる
生活習慣だけで病気を完全に防ぐことはできない。
遺伝、感染症、事故、職場環境、経済状況。
自分で制御できない要因はいくらでもある。
だから、病気になった人を努力不足と見るのは間違いだ。
健康投資は、病気にならない人間をつくる制度ではない。
病気の確率を下げ、異常を早く見つけ、起きたときに立て直しやすくする制度だ。
ここで必要になるのが減損テストである。
痛みが続く。
眠れない。
体重が急に変わる。
息切れが増える。
気分の落ち込みが長引く。
こうした兆候を、忙しいからと放置しない。
いつもと違う状態が続けば、専門家へつなぐ。
そして健康の予備資金は、お金だけではない。
相談できる人。
休める働き方。
家事を分担できる関係。
受診する時間。
回復するまで予定を減らす余白。
現金があっても、休めない生活では使えない。
健康の流動性とは、必要なときに立ち止まれることだ。
健康管理は、自分を責める制度ではない
数字を記録する目的は、悪い自分を発見することではない。
少し早く気づくためだ。
歩数が落ちた。
眠りが浅い。
飲酒が増えた。
血圧が上がった。
数字は叱るためではなく、生活から届いた小さな警告である。
管理会計が現場を責める道具になると、悪い数字は隠される。
健康管理も同じだ。
自分を責めるほど、体重計に乗らなくなり、健診結果を見なくなる。
必要なのは反省会ではない。
次の一手だ。
結論 最後に残したいのは、残高ではなく選択肢
私たちは、将来のためにお金を積み立てる。
働けなくなったときのため。
子どものため。
老後のため。
いつか自由になるため。
その考えは正しい。
ただ、自由には資金だけでなく、身体がいる。
行きたい場所へ行ける脚。
会いたい人に会える体力。
新しいことを始める気力。
食事を楽しみ、よく眠り、朝を迎えられる日常。
それらは、証券口座の評価額には出てこない。
だからこそ、意識して守らなければならない。
健康は、努力すれば必ず報われる投資ではない。
事故も病気もある。丁寧に暮らしていても、理不尽なことは起きる。
それでも、今日少し歩く。
眠る時間を守る。
酒を一杯減らす。
健診の封筒を開く。
その小さな行動は、不老不死を買うためではない。
未来の自分に、選べる余地を残すためにある。
人生の最後に、いくら持っていたかだけが決算ではない。
誰と笑えたか。
どこへ行けたか。
何を始められたか。
大切な人の隣に、どれだけ元気でいられたか。
お金は、人生を支える資産だ。
健康は、その人生を実際に使うための資産である。
今日の散歩は、数字にならない。
早く眠った一夜も、財務諸表には載らない。
けれど、その見えない積み立てが、何年後かのあなたを、行きたかった場所まで連れていく。
健康を知識で終わらせないための5冊
健康について学ぶと、やるべきことが一気に増えたように感じる。
もっと歩く。
早く寝る。
食事を整える。
きちんと休む。
それを毎日続ける。
全部正しい。
だからこそ、全部を一度に始めると止まりやすい。
まずは、自分の健康状態を会社の決算書だと思って眺めてみてほしい。
運動不足なのか。
睡眠が足りないのか。
休んでも疲れが抜けないのか。
分かっているのに続かないのか。
今、一番赤字になっている項目から一冊選ぶ。
その方が、健康への投資は動き始める。
1.『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』大平哲也
健康情報の世界では、強い言葉が勝ちやすい。
これを食べれば若返る。
この運動だけで体が変わる。
この習慣ですべて解決する。
けれど、本当に知りたいのは、派手な成功例ではない。
多くの人を長く追いかけたとき、どんな生活をしている人が健康でいられたのかだ。
本書は、日本人を対象とした長期の追跡データをもとに、食事、運動、ストレスとの付き合い方を整理している。健康法を信じる前に、そもそも何を根拠と呼べるのか。その見分け方から学べるのがいい。
健康投資の土台を一冊でつくりたい人に向いている。
流行の健康法を次々に乗り換えるより、確率的に負けにくい生活を選びたい。
そんな人には、最初に手に取ってほしい一冊だ。
2.『運動脳』アンデシュ・ハンセン
運動というと、体重を減らすために仕方なくやるものだと思われがちだ。
仕事が忙しい。
勉強することもある。
それなのに、運動へ時間を使う余裕はない。
この感覚、よく分かる。
ただ、本書を読むと、運動をコストとして扱う見方がひっくり返る。
歩くことや走ることが、集中力、記憶力、意欲、創造性とどう関係するのか。精神科医である著者が、脳科学の研究を交えながら解説している。
運動は、仕事の時間を奪う費用ではない。
仕事の質を底上げする設備投資かもしれない。
そう考えると、散歩の意味が変わる。
運動不足を反省する本ではなく、動く理由を腹落ちさせる本だ。仕事のために運動を後回しにしている人ほど、読んだ後の行動が変わりやすい。
3.『今さら聞けない 睡眠の超基本』柳沢正史
睡眠時間を削ると、一日が長くなったように感じる。
ただ、会計でいえばかなり怪しい処理だ。
活動時間という売上は増えている。
その裏で、集中力や判断力という資産が減っている。
しかも、その損失は数字に出にくい。
本書は、睡眠研究の第一人者である柳沢正史氏の監修で、睡眠不足が心身へ与える影響、睡眠負債、眠る環境の整え方、睡眠障害などを図解で整理している。
睡眠スコアを上げる小技だけを集めた本ではない。
そもそも人はなぜ眠るのか。
睡眠不足のとき、体と脳で何が起きているのか。
土台から理解できる。
寝る時間を惜しいと感じる人にこそ読んでほしい。
睡眠は、仕事が終わった後の余り時間ではない。
翌日の自分を仕込む時間だと分かる。
4.『今さら聞けない 休養の超基本 疲労ゼロを習慣化する』片野秀樹
休日に長く寝たのに、疲れが取れない。
ソファで一日過ごしたのに、月曜日の朝から重い。
そんな経験があるなら、休んだ時間ではなく、休み方を見直した方がいい。
本書では、疲労の仕組み、睡眠、自律神経、入浴、森林浴などを扱いながら、体力や活力を回復させる攻めの休養と、そもそも疲労を増やしにくくする抑疲労という考え方を紹介している。
健康を資産運用にたとえるなら、運動は成長投資だ。
一方、休養は設備の修繕に近い。
どれだけ優秀な設備でも、稼働させ続ければ壊れる。休養を怠ることは、頑張っているのではなく、必要な修繕費を削っているだけかもしれない。
休むことに罪悪感がある人。
寝る以外の回復方法を持っていない人。
休日の使い方が分からない人。
そんな人の休養ポートフォリオを増やしてくれる一冊だ。
5.『科学的に証明された すごい習慣大百科』堀田秀吾
健康に関する知識は、知っただけでは資産にならない。
歩いた方がいい。
睡眠は削らない方がいい。
酒は控えた方がいい。
それを知らない人は、ほとんどいない。
問題は、正しい行動を知っているのに、今日もやらないことだ。
本書は、心理学、脳科学、行動経済学などの研究をもとに、生活や仕事へ取り入れられる具体的なテクニックを多数紹介している。見開き単位で読めるため、最初から全部を実践しようとせず、今の生活に差し込めそうなものを選べる。
健康習慣が続かないのは、意志が弱いからとは限らない。
行動を始めるまでの手間が大きすぎる。
目標が高すぎる。
実行する時間や場所が決まっていない。
仕組みの赤字を、根性で埋めようとしているケースが多い。
この本は、健康そのものの教科書というより、健康投資を自動積立へ変えるための実装マニュアルだ。
知識は十分ある。
あとは続け方だけが分からない。
そんな人の最後の一冊になる。
ここで紹介した本を、すべて読む必要はない。
今の自分に足りない一冊を選び、そこから一つだけ生活へ入れる。
十分歩けていないなら、靴を履く。
眠れていないなら、夜の予定を一つ減らす。
疲れが抜けないなら、休み方を変える。
続かないなら、意志ではなく仕組みを変える。
本を買っただけでは、健康資産は増えない。
けれど、一冊の中の一行が、明日の行動を変えることはある。
その小さな行動が積み上がり、いつか行きたかった場所へ、自分の脚で行ける未来をつくってくれる。
それでは、またっ!!
引用論文・公的資料
- Grossman M. On the Concept of Health Capital and the Demand for Health. Journal of Political Economy. 1972.
- Li Y, et al. Impact of Healthy Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population. Circulation. 2018.
- Li Y, et al. Healthy lifestyle and life expectancy free of cancer, cardiovascular disease, and type 2 diabetes. BMJ. 2020.
- Sakaniwa R, et al. Impact of modifiable healthy lifestyle adoption on lifetime gain from middle to older age. Age and Ageing. 2022.
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