みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
あなたの投資判断、AIに飲み込まれていませんか?
ChatGPTに株の銘柄を尋ねたことがありますか?
SNSで流れてきた“AIが選んだ注目企業ランキング”をついクリックしてしまった経験、きっとあなたにもあるはず。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。
その判断、誰が責任を取るのでしょうか?
AI? それとも、あなた自身?
本ブログでは、ユヴァル・ノア・ハラリの新刊『NEXUS』を土台に、AI時代の「情報」「判断」「投資」の落とし穴を、会計とファイナンスの視点から深掘りします。
情報があふれるこの時代、インプットすればするほど正しい判断ができる──そんな神話は、もう通用しません。
むしろ、“繋がりすぎる世界”が、あなたを愚かな判断へと誘う時代が来ているのです。
🔍 このブログでわかる3つのこと
- なぜAI時代は「情報の摂取」がリスクになるのか?
──エコーチェンバーと投資判断の歪みを、実例とともに解説。 - AIのリスクを財務数値でどう読み解くか?
──WACC、のれん、シャープレシオ…会計の視点で可視化する新たな分析法。 - 企業価値は“繋がり”に左右される。では何を見れば良いのか?
──連結決算、サプライチェーン、炭素コストに潜むネットワーク脆弱性を暴く。
投資家がAIを使いこなすのではなく、AIに“使われる”時代。
このブログは、そんな未来に抗い、「人間の知性が市場で勝つための条件」をあなたに伝えるものです。
読み終えたとき、あなたの投資判断は、確実に一段階上のレベルに引き上がっています。
さあ、ノイズに満ちたこの世界で、真実に届く情報だけを選び抜く技術を手に入れましょう。
目次
情報が多すぎる時代に、なぜ私たちは“愚か”になるのか?

「情報を集める=賢い」の神話が崩れた日
私たちは長年、「情報は力だ」と教えられてきました。たくさんの情報を集めれば、より正確で冷静な判断ができる。だから、決算短信もIR資料も、SNSのインフルエンサーのポストまで、隅々までチェックする──そうやって自分の投資判断を“知的”なものだと信じていたのです。
しかし、ユヴァル・ノア・ハラリの『NEXUS』が突きつけたのは、その信念の危うさでした。ハラリは「人間は“真実”より“繋がり”のある情報を信じる生き物だ」と言います。つまり、私たちが無意識に選びとっているのは、客観的な情報ではなく、自分の感情や意見を“正当化してくれる情報”なのです。
これは投資において致命的です。例えば、自分が保有しているハイグロース銘柄がメディアに取り上げられたとき、私たちは無意識にその記事を共有し、「この企業には未来がある」と再確認する。PERが80倍?「成長企業なら常識」と納得してしまう。それがポジション・バイアスです。そしてそれをAIが補強し始めた瞬間、私たちは“判断の自由”を失います。
AIがつくる“あなた専用の幻想”──エコーチェンバーの罠
現代の情報収集は、もはや「検索」ではなく「サジェスト」に支配されています。YouTube、Google、X(旧Twitter)…それらは全て、私たちがクリックしそうな情報を優先的に表示し、好みや思考傾向を強化します。
AIがその中心にある今、「情報を集める」という行為自体がリスクになっているのです。特定の仮説を立てた瞬間、AIはその仮説を補強する情報だけを見せ続け、反対意見を排除し、やがて私たちは“自分の考えが正しい”という確信に飲み込まれる──それがエコーチェンバー現象です。
ここで注目すべきは、「正しい判断を妨げる要因が、外部のノイズではなく自分自身の欲望にある」ということです。しかも、AIはその欲望に“最高効率”で応える。あなたが強く信じるほど、視野は狭まり、判断の自由度は減っていく。つまり、「情報過多=思考停止」なのです。
情報を“読む”ではなく、“捨てる”技術を持て
では、どうすればこの時代に賢い判断ができるのか?
私はまず、「手で読む」作業を取り戻すことが重要だと考えています。四半期決算が出たら、IRスライドをChatGPTで要約させる。それ自体は問題ありません。ただし、その後が肝心です。要約された文に違和感がないか、削られた注記に不自然な点がないか、自分の目で追う。そして、キャッシュフロー計算書の“その他”欄や、棚卸資産の回転日数など、AIが軽視しがちな指標を手動で検証する。そこにしか“判断のヒント”は隠れていません。
また、「読まない勇気」も必要です。SNSでバズっている“注目の5銘柄”まとめ記事や、“○○が言ったから買い”といった単純な誘導から距離を置くこと。情報は消費するものではなく、“検査”するものだと認識を改めましょう。
投資の本質は、空白を読む力
最後に強調したいのは、投資とは“情報を詰め込むゲーム”ではないということです。むしろ、どの情報を排除し、どのデータに“沈黙”を読み取るかが勝負の分かれ目です。
インプットする情報量を減らす勇気。AIが提案してこない指標を、自分で問い直す執念。財務データの行間に漂う“違和感”を読み取る感性。それらは全て、AIには真似できない投資家の“人間力”です。
あなたが次に開く決算書が、他の誰とも違う光を放って見える日。そこに、情報社会を生き抜く「本当の知性」が宿っています。
AIリスクを数字に変える──会計と投資の交差点で見抜く「本当の価値」

「AIは便利な道具」という誤解が企業価値を歪める
AI活用が進むにつれ、多くの経営者が「我々のビジネスはAIドリブンで成長しています」と語るようになリポスト。だが、投資家としてこの言葉をそのまま受け取ってはならない。なぜなら、その“成長”の裏側には、定量化されないリスクと、可視化されないコストが山積しているかです。
たとえば、AIが自律的に判断を下す領域(信用スコアリング、コンテンツ推薦、保険料決定など)では、誤動作やバイアスのリスクが常に存在します。それらは損害賠償や風評リスクにつながり、将来的には収益性を損なう可能性がある。だがこれらのリスクは、多くの企業の財務諸表にまだ織り込まれていない。投資家はこの“数字にならないリスク”を、独自に補足して読み取る必要があります。
AIリスクの定量化にあたって「擬似的引当金モデル」を採用してみる方法が考えられます。たとえば、ユーザーが1000万人いるプラットフォームがAI判断ミスで炎上した場合、想定損失額は1件あたり数百円規模でも数億円に達します。その金額をDCFのFree Cash Flowから控除することで、より現実的な企業価値を導くことができる。リスクは“想定外”ではなく“予見しなかっただけ”なのです。
財務指標に埋もれる「AIガバナンス」の本当の価値
一部の先進企業は、すでにAIの運用リスクを会計的に表現し始めています。たとえば2025年、欧州のフィンテック大手は、AI倫理審査委員会の運営費用やリスク管理体制の強化費用を「持続的競争力確保コスト」として明示的に開示しました。これにより営業利益率は一時的に悪化したが、投資家はその“真面目さ”を評価し、株価は逆に上昇しました。
これは「ガバナンスプレミアム」の表れです。AIモデルの透明性を担保し、トレーサビリティを確保する企業は、レピュテーションリスクを減らすだけでなく、将来的に規制対応コストの削減や入札競争力の向上にもつながります。つまり、“見えない資産”のひとつとして、AIガバナンスは企業価値に確実に貢献しています。
しかし、こうした価値は、従来のPBRやPERでは正しく捉えられません。だからこそ、「AIガバナンス対応度」を独自にスコアリングし、ROICに調整係数を加えるモデルを使うのもいいと思います。AIを本気で扱うには、既存の財務指標を“自分用に再設計”する必要があるのです。
リスクプレミアムの中に「企業の未来」が透けて見える
企業価値評価の最後のピースが、資本コスト(WACC)です。特にAI関連事業においては、この数値の設定が命取りになります。なぜなら、技術進化のスピードが速すぎて、競争優位が一瞬で崩壊する可能性があるからだ。よって私は、WACCに「AI不確実性係数(AI-U)」を掛け合わせるようにしています。
この係数は、以下のようなファクターで構成される:
- 自律型AIの導入率(高いほどリスク増)
- 第三者監査済みのAI倫理レポートの有無
- 業界内の規制導入の進展度
- マルチモデル依存(LLM、画像認識など)の度合い
これらを踏まえて、たとえばAI倫理レポートが未開示の企業は、WACCに+1.5ptの加算を行います。一方で、AIによる売上貢献度が50%以上でも、規制対応が徹底されていればWACCを引き下げるケースもあります。リスクを恐れてAI銘柄を避けるのではなく、リスクを“再価格付け”することこそが投資家の役割なのです。
そして、見落とされがちな要素が「IFRS vs US-GAAP」の会計基準の差異です。AI開発費用を費用処理する欧州企業と、資産計上する米国企業とでは、表面上の利益率に大きな違いが生まれます。これを放置すると、比較分析に歪みが生じます。私は“仮想の統一基準”を設け、EBITDAに修正を加えることで比較可能性を担保しています。
AIという言葉に市場が熱狂するとき、その熱を冷ますために必要なのは「数字を冷静に歪ませる力」。数字は真実を語らない。語らせるのは、読み手であるあなたの目と手なのです。
つながりの時代に、“のれん”をどう評価するか?──ネットワーク資本主義の読み解き方

「のれん」に潜む“崩壊のタイマー”を見抜け
かつては有形資産が企業価値の中心でした。しかし現代では、買収によって生まれた“のれん”や、顧客ネットワーク、API連携によるエコシステムが、価値の大半を占めています。投資家として問題なのは、その“のれん”がいつまでも同じ価値で残っていると錯覚してしまうことです。
のれんは通常、会計上では非償却=ずっと資産のまま。けれども、例えばあるSaaS企業が連携している外部サービスが停止したり、ユーザーが競合に流出したらどうなるのでしょうか?連結したネットワークが目に見えないまま“ほつれ”、突然大きな減損を引き起こします。これは単なる数字の問題ではない。“つながりの質”が時間とともに変質し、ネットワークが死んでいく音は、キャッシュフローからしか聞こえてきません。
そこで独自に「エコシステム耐用年数」を設定し、のれんを一定割合で償却するモデルを採用してみるという方法もあります。DAU/MAUのウォッシュアウト率、API依存率、ユーザーリラーニングの頻度など、行動データをもとに、ネットワークの“摩耗”を数値化し、DCFモデルに反映させるなど。GAFAのように“長命なつながり”を持つ企業と、バズ頼みの一発屋を、定量的に区別するためです。
“サプライチェーン”もまた、無形資産である
投資家の多くは、つながりというと“消費者”との接点ばかりに目を向けがちだが、真のエコシステムとは、顧客だけでなくパートナー企業・下請け企業・インフラベンダーとの連携から構成されます。
たとえば、ある製造業がAIによって需要予測を高精度化し、部品在庫を25%削減したとします。これは一見、素晴らしい効率化に見えるが、その結果、納入業者のキャッシュフローが干上がり、1年後に調達コストが跳ね上がる事例が実際に起きています。つまり、AIの最適化は“ネットワークの疲弊”という形でコストを未来に繰り越します。
このような非対称の影響を無視したまま、ROEやROICだけを追いかけても企業の持続可能性は見えません。私はこのため、連結外企業に対する依存度や、支払サイトの変化を含む「エコシステム安定度スコア」を使っています。数字として現れにくい“サプライチェーンの健康”を、資本コストの変動やのれんの償却比率に反映させる。この視点は、特にB2B企業の評価において、今後ますます重要になるでしょう。
ネットワークの価値連鎖は“環境負債”でも崩れる
エコシステムを語るとき、環境問題はもう避けられないテーマです。特にAI時代において、生成AIが消費する電力量の急増は、ネットワーク全体の炭素コストを増大させています。
データセンターの稼働が集中する国や地域では、排出権価格の上昇が加速度的に進行しており、2030年にはトンあたり200ドルを超える可能性すら指摘されています。これは電力会社やAIクラウドプロバイダーの直接コストに跳ね返るだけでなく、ネットワークにぶら下がるあらゆる企業のコスト構造をじわじわと変えていきます。
環境に優しい企業は“環境的に繋がったネットワーク”を持っているという見方ができるようになります。エコロジーではなく、経済合理性の視点から“つながり”を評価することが、次の世代の投資判断を支えるでしょう。
「つながりの価値」は、時に収益より深く、そして静かに企業価値を動かします。
だからこそ、ネットワークは償却しなければならない資産なのです──数字には現れないが、最も重いのは“関係性の摩耗”です。それを見抜ける投資家だけが、次の10年の勝者になります。


結論:AI時代に人間が投資で勝つために、最後に残る「静かな技術」
AIは私たちの未来を塗り替えるかもしれない。
情報を溢れさせ、判断を加速させ、企業の価値すらリアルタイムに揺さぶる。
けれど、そんな時代においても、最後に問われるのは「人間にしか持ちえない力」だと、私は信じています。
それは、あえて疑う力。
あえて遅く進む勇気。
そして、誰もがスルーする“数字にならない兆し”に、耳を傾ける静かな感性です。
会計は、未来を語るための「言語」であり、投資とは「信頼」の物語です。
AIがいくら速く、正確でも、それがあなたの未来を保証してくれるわけではありません。
むしろ、判断をAIに預けるたびに、私たちは自分自身の責任を手放していくのかもしれません。
でも、私たちにはまだ選べる自由があります。
情報の波に溺れず、本質だけをすくい上げる力。
それは、何度も失敗し、考え、疑い、学び、積み重ねてきた人間にしかないものです。
AIに勝つ必要はありません。
ただ、AIに飲み込まれずに、自分の“知性”で選び取る。
それができる人は、これからの市場でも、静かに、強く、生き残っていけるでしょう。
未来を決めるのは、AIではなく、「あなたの選択」です。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『AI 2041 人工知能が変える20年後の未来』
AIの未来を10のストーリーで描き出し、技術解説とともに20年後の世界を予測しています。
AIが社会やビジネスに与える影響を理解するのに最適な一冊です。
『CFO思考 – 日本企業最大の「欠落」とその処方箋』
日本企業におけるCFO(最高財務責任者)の役割と、その思考法を解説。
AI時代における財務戦略の重要性を理解するための指南書です。
『AI経営で会社は甦る』
AIを活用した経営改革の必要性と方法を提案。
企業がAIを取り入れることでどのように変革できるかを具体的に示しています。
『日本の新構想 – 生成AI時代を生き抜く6つの英智』
生成AI時代における日本の課題と可能性を、多角的な視点から分析。
未来を見据えた戦略的思考を養うための一冊です。
『会計学入門<第5版>』
会計の基本的な概念から財務諸表の作成までを丁寧に解説。
AI活用においても重要な会計知識を身につけることができます。
それでは、またっ!!

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