『スピリチュアルズ』と無意識の力に学ぶ“本当の私”の見つけ方

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

無意識があなたの未来設計図を描いているとしたら?

皆さんは、自分がなぜそのように行動してしまうのか、不思議に思ったことはありませんか? 最近ではMBTI(16タイプ性格診断)などが若者の間で流行し、自分の性格タイプを知ろうとする人が増えています。しかし、本当の“自分”を理解する鍵は、もっと根源的なところ——無意識にあるのかもしれません。

橘玲(たちばな あきら)氏の著書『スピリチュアルズ 「わたし」の謎』は、「人間の行動のすべては意識ではなく無意識が決定している」という大胆な主張から始まります。私たち一人ひとりがどんな人間か、その性格や資質は実は自分でも気づかない心の奥底(無意識)に握られており、それらはたった8つの要素で説明できるというのです。もしこの「8つの要素」を理解し、自分の無意識のメカニズムに気づくことができれば、あなたは自己理解を深め、日々の働き方や対人関係にも活かすことができるでしょう。また、「なぜ自分はこうしてしまうのか?」という無意識に左右される行動の理由が腑に落ちることで、自分自身に優しくなれるかもしれません。


本記事では、『スピリチュアルズ』の内容をもとに、無意識と自己探求のテーマを3つのポイントに分けて深掘りします。1章では「無意識の正体と行動への影響」について、2章では橘氏が提唱する新しい性格モデル「ビッグ8」の概要と使い方、そして3章では自分の特性を活かすための戦略と環境の選び方について解説します。最後には、自己理解を深めた先に見えてくる「本当の私」を活かして生きる希望について、感動的なメッセージをお届けします。それでは、無意識の力を学び、“本当の私”を見つける旅に出発しましょう。

無意識の正体と行動への影響

人間の心には、自分で自覚できる「意識」のほかに、自覚できない膨大な情報処理を行う「無意識」の領域があります。私たちが「こうしよう」と意識で決めたつもりのことも、実は無意識がすでに決定してから意識に上ってきたに過ぎないケースが多いのです。実験によると、たとえば野球でバットを振るかどうかの判断は、本人が意識的に決断したと思うより約0.5秒も前に脳内で無意識的に実行されていたと報告されています。つまり行動の大半は“オートパイロット”のように無意識が操縦し、意識は後から「自分で決めたぞ」と物語をつけているだけかもしれないのです。

ノーベル賞受賞者の心理学者ダニエル・カーネマンは、人間には様々な認知バイアス(思考の偏り)が潜んでおり、そのせいで選択や行動が常に一定の方向にずれが生じることを明らかにしました。私たちがしばしば非合理的な判断を下してしまうのは、こうした無意識のバイアスが影響しているからです。しかし興味深いことに、これらのバイアスの多くは人類が進化の歴史を生き抜く中で身につけた「進化論的に合理的」な適応でもあります。要するに、私たちの無意識は原始時代の環境で役立つようデザインされており、現代では時にそれが“非合理”に見えるだけなのです。

無意識の力は、日常生活からビジネスまであらゆる意思決定に影響を及ぼします。たとえば投資の世界では、性格の違い(無意識的な気質の違い)がそのまま行動に表れます。経済学の分析によれば、心配性で慎重な人は「長期投資」が苦手な傾向があるそうです。リスクが怖くて途中で売ってしまったり、リスク自体を避けて投資の機会を逃したりしがちなのでしょう。一方、楽観的でリスク許容度の高い人は大胆にチャレンジできる半面、過信して失敗することもありえます。仕事でも同じです。無意識に染み付いた思考パターンや性格によって、「新しいプロジェクトに飛び込める人」「慎重に裏付けを取りたがる人」など行動スタイルが変わります。そしてそれぞれに強みと弱みがあるのです。

このように、私たちの無意識は善し悪しではなく一種の「クセ」のようなもので、知らず知らずのうちに意思決定を方向付けています。まずは「自分にはこんな無意識の傾向があるんだ」と気づくことが、自己理解の第一歩です。それが分かれば、無意識に振り回される場面を減らし、自分に合った決断や行動を選び取りやすくなるでしょう。

『ビッグ8』という性格モデルとその使い方

橘玲氏は、人間の性格を構成する8つの要素をまとめて「ビッグ8」と呼んでいます。これは心理学で広く知られるビッグファイブ(Big Five)理論をベースにしつつ、人間理解に重要な要素をいくつか追加した独自モデルです。ビッグファイブでは5つの因子(外向性や協調性など)で性格を説明します。一方、橘氏のビッグ8では次の8つの特性が挙げられています:

  • 明るい / 暗い(社交的で陽気か、内向的で静かか)
  • 楽観的 / 悲観的(ポジティブでストレスに強いか、心配性で不安に陥りやすいか)
  • 同調性が高い / 低い(周囲に合わせるのが得意か、自分の信念を貫きやすいか)
  • 共感しやすい / 冷淡(他者の気持ちに寄り添いやすいか、あまり感じないか)
  • 信頼できる / あてにならない(責任感が強く計画的か、ルーズで計画通りにいかないか)
  • 面白い / つまらない(好奇心や創造性が豊かで会話が魅力的か、平凡で退屈に見えるか)
  • 知能が高い / 低い(問題解決が得意か、認知スピードやIQ面で劣るか)
  • 外見が魅力的 / そうではない(容姿に恵まれているか、平均的かそれ以下か)

これら8要素の組み合わせで、私もあなたもできている——すなわち人間の個性はすべて説明できる、というのが橘氏の主張です。実際、「面白い」「知能が高い」「外見が魅力的」といった項目は従来の性格五因子には含まれませんが、人生の成功や幸福を左右し得る重要な資質でしょう。

では、このビッグ8を私たちはどのように活用できるでしょうか?まず、自分の8つの特性がそれぞれどちら寄りかを自己診断してみることが考えられます。最近流行しているMBTI(16Personalities)のようなタイプ分けとは異なり、ビッグ8(やビッグファイブ)のアプローチでは自分の性格を連続尺度で把握できます。たとえば「自分はかなり明るいほうだが、楽観性は中くらい。共感力は高いけど同調圧力には弱くない」といった具合に、細かなプロファイルが描けるのです。心理学的にもこちらのほうが信頼性が高いとされ、多くの適性検査にも応用されています。

もし自分で判断が難しければ、インターネットで受けられるビッグファイブ診断を試してみるのも良いでしょう。一度自分の特性の「盛り合わせ」を把握すれば、日常生活での言動に思い当たる節が色々と見えてくるはずです。「だから自分は周りに比べて不安になりやすいんだ」「自分は人より計画通りに物事を進めるのが苦手だな」など、モヤモヤの正体が言語化できるでしょう。

さらに興味深いのは、こうした性格特性の分析が他者理解にも絶大な威力を発揮することです。なんと、Facebookの「いいね!」データをAI解析してビッグファイブ(本書ではビッグ8)を推定するアルゴリズムでは、「いいね!」10個で同僚、70個で友人、150個で両親のレベルに達するほどその人物を理解できてしまうと言われています。数百個の投稿に対する反応から、その人の8要素が丸裸にできてしまうイメージです。このように私たちの「無意識」の特徴はデータから暴き出され得るのです。

とはいえ、多くの人にとってビッグ8は自己理解や対人コミュニケーションのツールとして役立つはずです。自分や他人の傾向がわかれば、「あの人は細かいミスが多いけど、それはクリエイティブで大雑把な気質ゆえかも」と寛容になれたり、「この提案は論理より感情に訴えた方がこの上司には響くだろう」などアプローチの工夫ができたりします。橘氏も述べるように、科学的に自分を理解できれば自分だけのオリジナルな物語が描け、さらに「あなた」がわかれば人との付き合い方や人を動かすコツも見えてくるのです。ビッグ8は決してスピリチュアル(精神論)的な当てずっぽうではなく、実生活に活かせる実践的な指針と言えるでしょう。

自分の特性を生かす戦略と環境の選び方

自分のビッグ8プロファイルが分かったら、次に大事なのはそれをどう活用するかです。ポイントは、「ないものねだりをしない」こと。にあるように、パーソナリティの約半分は遺伝で決まり、残りの半分も生まれてからの環境要因(主に本人だけの経験)で形作られます。つまり、あなたの気質は“もって生まれたもの”と“偶然出会った出来事”の産物であり、基本的には変えがたいのです。であれば、無理に「明るい人間にならなきゃ」「完璧主義を直さなきゃ」と自己否定するより、今の自分を受け入れ、その特性をどう生かすかを考えた方が建設的ですよね。

幸い、性格には良し悪しの二面性があります。裏を返せば短所は長所になり得るし、その逆も然りです。たとえば「悲観的で心配性」という人は、裏を返せばリスク管理能力に優れているとも言えます。そういう人こそ慎重さが求められる仕事(経理や監査、安全管理など)で力を発揮できるでしょうし、投資でも堅実な資産運用で失敗を防げるかもしれません。一方、「楽観的で大胆」な人は新規ビジネスやクリエイティブなプロジェクトでチャンスを掴みやすいでしょう。大切なのは、自分の特性に合った戦略を立てることと、そうした自分を生かせる環境を選ぶことです。

これはまるで投資や会計にも似ています。橘氏の別著『幸福の「資本」論』によれば、人生の幸福は「金融資本」「人的資本」「社会資本」の3つの資本の組み合わせで決まるといいます。性格も自分の人的資本の一部です。つまり自己分析とは自分という資源の棚卸しだということ。自分という資産をどこに配分すれば幸福や成功というリターンを最大化できるか——そんな発想でキャリア戦略を練ってみましょう。

環境選びも非常に重要です。これは職場だけでなく、付き合う人間関係や住む場所なども含みます。自分の特性と環境のミスマッチが少ないほど、ストレスが減りパフォーマンスも上がります。たとえば、自由闊達な社風はルール重視の人にはストレスかもしれませんし、逆にカッチリした組織は創造性豊かな人には窮屈でしょう。可能であれば、自分に合った雰囲気や価値観を持つコミュニティや仕事を選ぶのが理想です。それが叶わなくとも、部署異動を願い出たりテレワークで働き方を調整したりと、環境側を調節する余地はあります。無意識レベルの気質は変えづらいですが、環境は変えられるのです。橘氏の言う通り、「人生は変えられる」と気づくことがまず一歩と言えます。

自分の特性を正しく理解し、それを最大限に活かせる場所で力を発揮する——それができたとき、あなたはきっと「これが本当の私の強みだ!」と実感できるでしょう。

おわりに:自分を否定せず“本当の私”を生きる

ここまで読んでくださったあなたは、無意識の仕組みや8つのパーソナリティ要素について多くのヒントを得られたのではないでしょうか。最後にお伝えしたいのは、自分を否定するのではなく活かすことの大切さです。誰しも完璧ではなく、得意不得意や向き不向きがあります。しかしそれこそがその人の個性であり、それを活かす方向で考えるべきです。他人と比べて「あれもこれも足りない」と嘆くより、「今の自分にはこれがある」と持ち味に目を向けてみましょう。

橘玲氏も「自分を知ることが大事なのは、けっきょく自分がもっているものでなんとかやっていくしかないのだからだ」と述べています。無いものを数えるのではなく、今あるもので未来を切り拓くしかない——この言葉はシンプルですが力強い真理です。さらに氏は、「自分さがし」とは自分のキャラ(性格)に合った物語を想像することだとも言っています。裏を返せば、人生とは自分という主人公にふさわしいストーリーを創造していく営みなのかもしれません。だとすれば、あなたがこれまで抱えてきたコンプレックスや悩みも物語の一部として意味を持つはずです。“本当の私”を受け入れて、その強みも弱みも物語の伏線に変えてしまいましょう。

自分の無意識のパターンを理解し、性格の特性を受け入れ、それを最大限に活用し始めたとき、人は本当の力を発揮できます。自分らしさを否定せずに伸ばすことで、今まで見えなかった道が開け、自分自身に対する信頼と希望を取り戻せるでしょう。周りがどう評価しようと、あなたにはあなたにしかない良さがあります。無意識の力を正しく認識し、“本当の私”という資産を上手に運用できたとき、人生は今よりずっと生きやすく、そして明るくなるに違いありません。あなたの中の無意識(スピリチュアルズ)に静かに耳を傾け、自分だけの物語を紡いでいってください。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』
橘玲氏の代表作であり、最新の経済環境に合わせてアップデート。個人が資産形成を行う際の戦略や、税制、社会保険制度の活用法など、実践的な知識が豊富に解説されています。『スピリチュアルズ』での自己理解を経て、具体的な行動に移す際の指針となる一冊です。


『行動経済学の逆襲』
ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー氏による、行動経済学の入門書です。人間の非合理的な行動パターンや意思決定のメカニズムを解説しており、自己理解や投資判断における心理的バイアスを認識するのに役立ちます。


『会計の世界史』
会計の歴史を通じて、経済や社会の発展を読み解く一冊です。会計の基本的な概念や仕組みを学びながら、ビジネスや投資の視点を深めることができます。『スピリチュアルズ』での自己理解を、経済活動や社会との関わりに結びつける際の参考になります。


『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』
世界の現状を正確に理解するための思考法を紹介するベストセラーです。データに基づいた現実的な視点を持つことで、偏見や誤解を排除し、冷静な判断が可能になります。自己理解を深めた後、世界との関わり方を見直す際に有益です。


『サピエンス全史』
人類の進化と文明の発展を俯瞰する壮大な歴史書です。人間の行動や社会構造の背景を理解することで、自己の位置づけや価値観を再考する手助けとなります。『スピリチュアルズ』での自己探求を、より広い視野で捉えるための一冊です。



それでは、またっ!!

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