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Jindyです。
“金利0.何%の世界”が終わる今、あなたの配当戦略はそのままで大丈夫?
超低金利が長く続いた日本では、「金利0.何%の世界」が当たり前でした。しかし、その常識が今、大きく揺らごうとしています。本ブログでは、金利上昇によって私たちの投資環境や家計管理がどう変化するのか、投資と会計の視点から深掘りしていきます。読むことで得られるベネフィットは大きく二つあります。第一に、日銀の金融政策や円相場の動きなど最新のマクロ動向を踏まえ、高配当株やREIT(不動産投資信託)の価値がどのように見直されるかが理解できること。第二に、その知識を踏まえてあなたの“家計のバランスシート(BS)と損益計算書(PL)”をアップデートし、新しい金利環境に適応する術が身につくことです。難しい経済の話も噛み砕いて解説しますので、20代~30代の投資初心者や若手社会人の方でも安心してください。「低金利の常識」が終わる今こそ、自分のお金の働かせ方を見直すチャンスです。それでは、さっそく本題に入りましょう!
目次
金利0%時代の終焉:日銀政策と揺れる円相場の今

東京・日本橋にある日本銀行本店(旧館)の外観です。明治時代に建てられた重厚な建物が、長らく続いた超低金利政策の舞台でした。ところが今、日銀を取り巻く状況に大きな変化が訪れています。今年9月20日(※金融政策決定会合)では政策金利の据え置きがほぼ確実視されていますが、市場では「年内にも追加利上げがあるのでは?」との思惑がくすぶっています(参考:smd-am.co.jp)。実際、植田総裁も記者会見で追加利上げに含みを持たせる可能性があり、市場参加者は次の一手を固唾を飲んで見守っています。つまり、「金利0.何%」という異例の時代がいよいよ終わりを迎え、正常化に向かう兆しが見えてきたのです。
では、金利が動けば円相場(為替)はどうなるのでしょうか?結論から言えば、現在の円相場は材料次第で上下に振れやすい不安定な地合いです。たとえば、米国や欧州の金利政策や景気ニュース一つでドル円が大きく動く場面も増えています。長年続いた「円キャリートレード」(低金利の円で資金調達し他国資産に投資する手法)の巻き戻しもあって、昨今の円は非常にボラティリティが高い状態です。事実、2024年にはドル/円が半年で何度も1%以上乱高下するなど、異例の変動率を記録しました。これは、ちょっとしたニュースや政策示唆で投機筋が一斉に動くため、「為替がちょっとした材料で敏感に反応する相場」になっているからです。
このように金利も為替も、かつての安定した低波動の状況から、変化が当たり前の新時代に突入しようとしています。若い世代にとっては初めて経験する「金利上昇期」かもしれませんね。しかし慌てる必要はありません。次章では、その金利上昇が具体的に高配当株やREITなど資産価値に何をもたらすのかを、会計的な考え方も交えてわかりやすく見ていきましょう。
金利上昇で何が変わる?高配当株とREITの評価モデル再考

ゼロ金利が当たり前だった時代には、企業の将来キャッシュフローや配当を割り引く金利(割引率)も極めて低く設定されていました。そのため、将来の利益や配当の現在価値が高く算出され、株価や不動産価格が押し上げられやすかったのです。しかし金利が上昇すれば割引率も上昇し、同じ将来価値でも現在価値は小さく見積もられてしまいます。会計の世界では、これを「割引現在価値」の低下と言い、企業価値評価モデル(DCF法など)では株価の理論値が下落する要因となります。端的に言えば、「金利の上昇=お金の時間価値が上がる=遠い将来のお金より今手にするお金のほうが相対的に価値がある」ということです。その結果、市場全体では金利上昇局面に株価が調整局面に入ることが多くの経験則で知られています。
では、高配当株やREITはどうでしょうか?一般に、これらは「債券的な魅力」を持つ資産とされ、景気より利回り重視で投資される傾向があります。金利が上がると債券利回り(安全資産の利回り)が上昇するため、それと競合する高配当株やREITの相対的な魅力は低下しかねません。実際、米国長期金利の上昇局面ではJ-REIT指数が下落しやすいことが確認されています。理由は二つあります。一つは、REIT自体が多額の借入れで不動産を運用するビジネスモデルのため、金利上昇は借入コスト増による収益圧迫要因になること。もう一つは、投資マインドとして「債券利回りが上がったなら、無理してリスク資産を持たなくてもいいのでは?」という心理が働くことです。そのため、特に利回り商品として人気だったJ-REIT市場は金利上昇に敏感で、外国人投資家の売りが出たり価格が低迷するケースがみられます。
一方で、高配当株(典型的にはバリュー株)については必ずしも悲観一色ではありません。金利上昇局面では、将来成長を織り込んで割高に買われていたグロース株が大きく調整する一方で、手堅い高配当・バリュー株が相対的に見直され、市場をアウトパフォームする傾向も指摘されています。例えば2023年の日銀YCC修正直後の相場では、日経平均が軟調な中で銀行株など金融セクターが急騰し、高配当株50指数も上昇しましたが、J-REIT指数は下落しました。これは、高配当株は今の利益をすぐ株主に還元するため将来価値に対する割引率上昇の影響が相対的に小さいのに対し、REITは金利コスト増の直接的な悪影響を受けるからです。要するに、金利上昇で株式市場全体が一律にダメージを受けるというより、「銘柄によって明暗が分かれる」のが本当のところなのです。
ここで会計的な視点にも触れておきましょう。企業側から見ると、金利上昇は資産評価や財務状況にも影響を及ぼします。例えば、日本銀行自身が保有する巨額の国債は、金利上昇による価格下落で2023年度末に約9.4兆円もの含み損(評価損)を抱えたと報じられました。植田総裁も「金利が1%上昇した場合、日銀保有国債の評価損は約40兆円発生する」と試算を示しており、そのインパクトの大きさがわかります。民間企業でも、低金利期に資産を時価以上の価格で取得していた場合、金利上昇によって回収可能価値が目減りし減損処理(資産価値の引き下げ)が必要になるケースがあります。また、金融機関では保有債券の含み損拡大がバランスシート上のリスクとして意識されるでしょう。実際、過去には金利上昇でJ-REIT価格が急落した際、金融機関が決算前に減損回避のため保有REITをロスカット売却したことが一因で下落に拍車をかけた例もあります。このように、金利上昇は企業会計にも波及し、保有資産の評価見直しや損失の顕在化を促す側面があるのです。
少し専門的な話が続きましたが、ポイントは「これまで金利低下で恩恵を受けていた資産クラスほど、金利上昇局面では逆風にさらされる」ということです。ただし、高配当株のように企業の実力と配当維持力が高い銘柄は生き残り、場合によっては見直し買いが入るため、しっかり選別すればチャンスもあります。一方、構造的に金利上昇に弱いREITや高負債銘柄は、今後の資産配分を考える上でリスク管理が必要です。では、その「資産配分の見直し」や「家計の再設計」とは具体的に何をすれば良いのでしょうか?次の章では、あなた自身の家計を企業のBS/PLになぞらえてチェックし、新しい金利環境に適したポートフォリオ戦略を考えてみましょう。
家計のBS/PLをアップデート!新金利時代に備える実践編

金利環境の激変に対応するには、自分の家計を一度“財務諸表”に見立てて棚卸しすることをおすすめします。難しく聞こえるかもしれませんが、要するに家計の全体像を「バランスシート(資産と負債の一覧)」と「損益計算書(収入と支出の一覧)」に整理してみようということです。
まずは家計のバランスシート(BS)を簡単に作ってみましょう。手元の資産(現預金、株式・投資信託〈高配当株も含む〉、債券、持ち家など)と負債(住宅ローン、自動車ローン、カードの支払い等)を書き出します。次に、それぞれに金利上昇の影響をざっくり想像してみてください。預貯金は今後利息が増えるかもしれませんし、国債や社債も選択肢に入ってくるでしょう。一方、株式は先述のように銘柄によって明暗が分かれます。お持ちの高配当株があれば財務の健全性や減配リスクを再点検しましょう。必要であれば一部利益確定して現金や債券に振り向けるなど、ポートフォリオの再配分も検討します。不動産資産がある方は、賃貸物件なら利回りや空室リスク、自宅なら市場価格やローン金利への影響をチェックしましょう。負債については、変動金利ローンの返済額増加に備えたり、繰上返済や固定金利への借り換えを積極的に検討します。特に金利の高い借入(カードローン等)がある場合、繰上返済で利息コストを減らす効果は絶大です。金利上昇局面では「借金を減らすこと自体が最良の投資」とも言えます。
次に家計の損益計算書(PL)、つまり毎月の収支も見直しましょう。収入面では、本業の収入がインフレに追いついているか確認します。副収入や配当・利息収入がある人は、金利上昇で多少追い風になりますので継続して強化すると良いでしょう。配当金はなるべく再投資に回せば将来の収入源を増やせます。一方、支出面ではローン利払いが増えて家計を圧迫しないかシミュレーションしてみます。変動金利の住宅ローンがある場合は特に注意です。また物価高で生活費もじわり上がるので、定額サービスの見直しや無駄遣いの削減など支出圧縮も心掛けましょう。こうしたBSとPLの棚卸しによって、あなたの家計が新しい金利環境に耐えうるか、どこを改善すべきかが見えてくるはずです。あとは自分なりのルールで実行あるのみ。超低金利期とは違う発想でお金を働かせる準備を、ぜひ今のうちに始めてみてください。


おわりに
“金利0.何%”という夢のような低金利時代の終焉は、一抹の寂しさもあります。しかし、それは同時に新しいチャンスの幕開けでもあります。金利が正常化していく世界では、お金の価値や増やし方に対する私たちの常識もアップデートが必要です。最初は戸惑うかもしれませんが、本記事でお伝えした視点を持てば、きっと冷静に対処できるでしょう。
振り返れば、超低金利に慣れきった日本の家計はある意味「ぬるま湯」の中にいました。しかし今、少しずつ水温が上がり、私たちは目を覚ましつつあります。確かに、金利上昇で住宅ローンの負担が増えたり、株価が乱高下したりと、不安になる材料もあります。それでも、だからこそ自分のお金と真剣に向き合う良い機会だと言えます。家計のBSとPLを見直し、不要な負債を減らし、資産を賢く働かせるプランを練る――そのプロセス自体が、将来のあなたの財産になります。
最後に、大切なのは環境の変化を前向きに捉えることです。金利0%の温室を出た私たちは、これから適度な雨風にさらされるかもしれません。でも、それは強くしなやかな「マネー筋力」を鍛えるチャンスでもあります。配当を再投資してコツコツ殖やすも良し、新しい金融商品に挑戦するも良し。あなた流の家計再設計で、ぜひ“金利1%時代”を味方につけてください。
金利という追い風を受けて帆を張るもよし、逆風ならば帆の向きを変えるもよし――時代の変化を怖がらず、自分のお金の舵取りを楽しむことで、きっとこれからの人生航路はより豊かなものになるはずです。新たな航海に出るあなたを、心からエールを送ります。健闘を祈ります!
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
金利——「時間の価格」の物語
金利の本質と歴史的役割を通して、「ゼロ金利の終わり」が資産価格・経済行動に何をもたらすかを俯瞰できる一冊。配当株やREIT評価に効く“割引率”の感覚を養うのに最適。
世界一やさしい REITの教科書 1年生
J-REITの仕組み・分配金・金利感応度・借入構造まで基礎から網羅。金利上昇局面での注意点や指標の見方をやさしく学べます。
高配当5%投資術 新NISA+J-REITで月5万の「余裕」をつくる。
新NISA対応で、高配当株×J-REITをどう組むかの実践ガイド。銘柄リストや配当設計の考え方が具体的で、配当再投資プランの叩き台にしやすい。
為替ってこんなに面白い!
金利と為替の関係、ニュースで相場が動くメカニズムを会話形式で解説。円相場のボラティリティを体感的に理解でき、外貨建て配当や為替ヘッジ判断の基礎固めに役立ちます。
2025年度版 法人投資家のための 証券投資の会計・税務
有価証券の評価・減損・税務を最新制度で整理。保有資産の含み損益や減損リスクを“会計のことば”で把握したい人に。ブロガー視点の「家計のBS/PL」へ応用もしやすい。
それでは、またっ!!

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