みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
その“関税ショック”、あなたのポートフォリオ原価にもう織り込めていますか?
最近、飲み会や社内で「7–9月期のGDP速報がヤバいらしい」という話題が飛び交っていませんか?いきなりネガティブなニュースを聞くとギョッとしますが、実際には何が起きているのでしょう。
本記事では、経済ニュースを自分の投資にどう活かすかを解説します。特に押さえるべきは輸出に対する追加関税リスク。これは企業の原価や利益を直撃しますが、会計と投資の目線で見ればその先が読めるようになります。さらに最後には保有株を評価するための3つのカンタン指標(輸出比率、粗利率、在庫回転率)も紹介し、「信号機チェック法」としてお伝えします。堅い経済理論ではなく、実践的な会計・投資の視点でお話ししますので、何度も読み返したくなる深い内容になっています。
目次
7–9月GDP速報プレビュー:何が起こっているのか?

11月17日に発表予定の7–9月期GDP一次速報は、予想以上に厳しい見通しです。民間調査の平均値では前期比年率-2.4%のマイナス成長、日経・時事の集計でも年率換算-2.5%の減少見込みで、6四半期ぶりのマイナスが視野に入っています。いずれの調査もその主因に「輸出の大幅減少」を挙げており、特に米国向け輸出が急落していることが響いています。なお、日本経済は個人消費と投資が内需の大半(合わせて約60%)を占め、輸出が約20%程度ですから、輸出の落ち込みが国内景気を直撃する構造になっています。
ブルームバーグの記事では、こうしたマイナス成長見通しは追加の経済対策拡大を正当化する可能性が高く、日銀の利上げペースを緩める圧力にもつながると報じています。いわば政治・金融両面で動きを強くするサインとも受け取れ、投資家としては注視すべき点です。
民間予測とその背景
多くのエコノミストがGDPマイナス成長を予想している背景には、4–6月期にかけて盛り上がった「駆け込み需要」の反動減があります。特に4–6月期には輸出が前期比+2.0%と大きく増えましたが、7–9月期はこれが一転して減少見込みとなっています。個人消費も物価高で伸びが前期比+0.4%から鈍化すると予想され、内需の力強さが足りません。こうした需給ギャップの悪化見通しが、GDPマイナス予想を後押ししているわけです。
輸出の急減:高関税の影響
GDP見通しを大きく左右しているのが「輸出鈍化」です。今年7月に米国と合意した15%関税の実施により、従来よりも輸出単価が上昇し、輸出企業の利益を直撃しています。実際、7–8月の輸出量は減少に転じ、特に米国向けが大幅に落ち込みました。多くの企業が関税分を販売価格に転嫁せず、自社の粗利で吸収しているため、輸出企業の粗利率は低下しています。言い換えれば、外需依存企業ほどコスト増に弱くなった状態です。
内需の動き:消費・投資はどうか
輸出減に加えて、内需にも冷え込みの兆候があります。足元では物価上昇の影響で消費増が鈍化し、消費者の購買力がやや疲弊しています。例年春闘で賃上げがあったとはいえ、専門家予測では消費は0.5%増にとどまる見通しです。住宅投資や設備投資も、金利上昇の影響で成長が鈍い状態です。これら内需項目の弱さが、GDP全体の足をさらに引っ張っています。
まとめると、7–9月期は「輸出減+内需の伸び悩み」によってマイナス成長が濃厚です。GDP統計は経済の最初の見積もりですが、これを手がかりにすれば市場の大局と政策の先行きが見えてきます。読者の皆さんはこの状況から、「経済対策や金融政策が次にどう動くのか」という視点もつかめるでしょう。
会計目線で見る関税ショック:企業への波及

GDPが落ち込むと言われても、具体的に自分の保有株にどう影響するのかはわかりにくいものです。帝国データバンクの試算によると、この関税ショックは2025年度の成長率を0.4ポイント押し下げ、企業の経常利益率を1.7ポイント押し下げると推計されています。では、その中身を会計的に分解してみましょう。企業の帳簿には、輸出税関リスクがどう表れるのでしょうか。
関税は仕入原価に直撃:粗利率低下のメカニズム
輸出企業が仕入れる部品や素材には、関税がかかります。会計上、関税は売上原価に算入されるので、関税負担が増えるとその分だけ粗利益が減ってしまいます。サンプランソフトの解説にもあるように、関税計上を忘れると「思った粗利」が倍違うケースが発生します。例えば、仕入額1万円・販売価格1.2万円で粗利2,000円のつもりでも、実は輸入品に関税1,000円がかかっていれば、実際の粗利はわずか1,000円になってしまうのです。このように、関税=追加の仕入原価ですから、輸出企業の売上総利益率は直ちに低下します。
業績への波及:自動車・電子部品を例に考える
輸出依存度の高い業種である自動車や電子部品メーカーでは、たとえ1%のコスト増があっても利益は大きく変動します。イメージとして、自動車メーカーが米国向けに100億円売っている場合、15%の関税で15億円の追加費用が発生すると、その分だけ利益が押し下げられるわけです。実際、ブルームバーグも「多くの企業は関税負担を吸収しており、その分利益率が低下している」と報じています。これにより、輸出比率の高い企業ほど営業利益へのダメージが大きくなります。
会計で見る具体例
ここまで堅苦しい数字ばかりでしたが、実際に企業の帳簿上ではどうなるのでしょうか。たとえば輸出自動車メーカーX社(仮)は、部品輸入に15%の関税がかかると、仕入れコストが跳ね上がります。帳簿上は、「売上原価↑→営業利益↓」となり、PLで利益率が下がります。実は有名企業でも、関税ショックで純利益が数%落ちた例もあります。損益計算書を見ると、以前は20%あった粗利率が17%に下がる…なんてことが起こり得るのです。
その先にあるもの
輸出減と粗利率低下は、連鎖的に他の部分にも影響します。たとえば、X社は部品の在庫を抱えたまま売れ行きが鈍り、翌年に値下げセールを行わざるをえないかもしれません。実際、昨年の輸出減で値引きした例もあり、こうした在庫処分セールが企業イメージにも影響します。会社の中の人にとっては「帳簿上の数字」がそのまま業績発表や社員ボーナスに影響するわけで、決して他人事ではないのです。
関税ショックを整理すると、「関税分だけ原価が上がり、粗利率が下がる」というカラクリが企業利益を直撃します。特に輸出依存度の高い企業や粗利率が低い企業ではダメージが甚大です。また、売れ行き悪化による在庫増は、さらなるコストと値下げ競争を招きます。読者はこれらを通じて「自分の保有株の決算にどのような影響が出そうか」をイメージできるでしょう。
今日の投資一手:3指標で株を信号機チェック

ここまで経済と会計の視点でリスク要因を見てきました。では最後に、具体的に自分の株が大丈夫かをチェックする方法を紹介します。それが、「輸出比率×粗利率×在庫回転率」の3指標セットです。これらの指標を信号機に見立てて、色でわかりやすく安全度を判定します。
- 輸出比率(輸出売上高/総売上高)
売上に占める輸出の割合です。数値が高いほど海外依存度が強く、関税リスクを受けやすくなります。一般的に60%以上なら要警戒(黄~赤信号)とし、80%超はかなり危険度大と判断します。逆に内需が中心なら青信号といえます。 - 粗利益率(売上総利益/売上高)
売上に占める粗利の割合で、高いほどコスト増への耐性が強いことを示します。たとえば食品メーカーや小売業では粗利率が30~40%と高めですが、素材・部品系は10%台の企業も珍しくありません。粗利率20%以上なら多少のコスト増に耐えうる(青信号寄り)ですが、10%前後だと1%のコスト増で大きく利益が減るため赤信号です。 - 在庫回転率(年換算:売上原価÷平均在庫金額)
一定期間で在庫が何回売れたかを示す指標です。在庫回転率が高い企業(例:年換算5回以上)は商品がよく売れキャッシュが滞留しにくい状態です。一方、回転率が低いほど滞留在庫が増えやすく、滞り=保管コスト増+値下げリスクが高まります。たとえば年5回以上なら青信号、年2~3回未満は赤信号と考えましょう。
これら3指標を組み合わせると、輸出比率50%・粗利率30%・在庫回転率8回の企業は青信号、輸出比率80%・粗利率5%・在庫回転率2回では赤信号といえます。この信号機チェックを定期的に行えば、保有株のリスク度合いが自分の手で即座にわかります。
紹介した3指標を使えば、企業の「輸出税関リスク」を誰でも簡単に可視化できます。信号機の色でリスクを判断し、赤黄信号なら売却やヘッジを検討、青信号なら安心して保有できます。ぜひ決算資料を引っ張り出して、これらの数値で一度チェックしてみてください。
結論:嵐を乗り越えるための羅針盤
7–9月期GDP速報値は悪い数字が予想されていますが、悲観する必要はありません。重要なのはリスクを知り、備えることです。輸出税関の嵐に直面しても、この記事で紹介した3指標はあなたの羅針盤になります。冷静な分析で嵐を乗り越えれば、再び青空が見えてくるのです。
経済ニュースは、正しく読み解けば最大の学びです。過去のリーマンショック後にも、データと準備で切り抜けた投資家は大きく成長しました。あなたも今、この記事を何度も読み返し、経済と会計という武器を手に入れたはずです。これからも持ち前のビジネスセンスと分析力で難局をチャンスに変えていきましょう。必ず晴れ間は訪れます。皆さんの投資航海に幸あれ!
迷ったらこの記事をもう一度読み返してみてください。常に最新情報と学びはあなたの味方です。目の前の数字に怯えず、分析と準備で前に進みましょう。投資では感情は禁物。数字を味方につけていれば、大きな波も切り抜けられます。皆さんなら必ず乗り切れます。自信を持って次の波を迎えましょう。あなたの未来に幸多からんことを祈ります。さあ、頑張りましょう!
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『日本経済防衛計画 ~トランプ関税に振り回されて、日本が壊される前に~』
トランプ関税が、日本の輸出産業とマクロ経済にどんなダメージを与えうるのかを、かなりストレートにえぐってくれる一冊。
「なぜ関税ショックが日本企業の原価と利益をむしばむのか」「日本はどう身を守るべきか」が、ニュースの裏側まで踏み込んで解説されています。
ブログで書いた“関税=仕入原価↑→営業益↓”のロジックを、より大きなマクロ視点で復習したい人にぴったり。読後には、日々のニュースの見え方がガラッと変わります。
『世界と日本経済大予測2026-27』
「これから2~3年、世界と日本はどっちを向くのか?」をざっくり掴むための未来予測本。
トランプ政権の再登場や関税政策、世界の資本移動、日本株の立ち位置などが俯瞰できるので、今回の7–9月GDPや輸出減少が“長い流れの中でどこに位置しているのか”を理解するのに役立ちます。
自動車・電子部品など輸出株を長期で持つ人にとって、「どのシナリオなら攻め、どのシナリオなら守りか」を考える材料になる一冊です。
『コンサルタントが毎日見ている経済データ30(日経文庫)』
GDP・物価・雇用・景気指数など、「プロはどの経済指標をどう読むか」がコンパクトにまとまった実務派の一冊。
ニュースで「7–9月期GDPマイナス成長」と聞いたときに、「じゃあ他の指標はどうなってる?」「次にチェックすべき数字は?」が自分で追えるようになります。
本書で“経済データの筋トレ”をしておくと、今回のブログで紹介したようなマクロと個別株のリンクを、日常的に自分で組み立てられるようになります。
『1社15分で本質をつかむ プロの企業分析』
証券アナリストが「この会社ヤバい/おいしい」を短時間で見抜くとき、どこを見ているのかを丁寧に教えてくれる本。
売上・粗利率・在庫・セグメント情報など、ブログで出てきた“輸出比率×粗利率×在庫回転”チェックにも直結する視点が満載です。
決算短信や有報を前に固まってしまう人でも、「ここだけ押さえればいいんだ」がわかる構成なので、20〜30代の兼業投資家の“決算書アレルギー”を治すのにちょうど良い処方箋になります。
『決算分析の地図 財務3表だけではつかめないビジネスモデルを読む技術』
タイトル通り、「P/L・B/S・C/Fを眺めるだけでは本当の姿は見えないよ?」と教えてくれる、“一段上の決算読み”入門。
財務情報と非財務情報(ビジネスモデル・競争環境・収益構造)を組み合わせて読む方法が解説されていて、関税や在庫調整といった外部ショックが“ビジネスモデルのどこを揺らすか”を考えるのに最適です。
それでは、またっ!!
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