税収80兆円の時代に覗く、国家と家計の「収支表」──僕らの年収はいかに“共同運営”されているのか

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

あなたの年収、本当は何割が「国家と共同運営」されているか知っていますか?

2025年度の国の税収が過去最高水準を更新する一方で、なぜ私たちの家計は苦しいままなのか。そのギャップの理由を国と家計の「損益計算書(PL)」比較から数字で深掘りします。さらに所得税・社会保険・消費税を含めて「自分の年収のうちどれくらいが国家と共同運営されているのか」(いわば“国家への配当率”)を計算し、可視化します。これを読めば、自分自身の「国家配当率」をサクッと計算してみたくなる楽しさと、社会を見る新しい視点を得られます。

国家の収支表:税収絶好調、その陰に隠れた課題

ニュースで話題の通り、2025年度の国の一般会計税収は78.4兆円に達し、6年連続で過去最高を更新する見込みです(参考:techgym.jp)。かつて60兆円台だった税収がわずか5年で78.4兆円となり、6年間で約20兆円も増加しています。その背景には、物価上昇(インフレ)や企業業績の好調、大手企業を中心とした賃上げなど複合要因があります。特に、物価上昇により名目所得が増えれば所得税も消費税も自動的に増加するため、最近は「インフレによる税収増」の恩恵を大きく受けています。株式市況の活況や企業の好業績で法人税収も増え、大企業の賃上げが高所得者層を増やして所得税増加につながるなど、国の“売上”は文字どおり膨らんでいます。

税収80兆円の背景は何か?

政府見通しでは、2025年度税収見込みは78.4兆円で6年連続過去最高を更新します。企業業績の上昇、円安・株高に伴う法人税増加、さらに大企業中心の賃上げで給与所得者が増えたことが寄与しています。たとえば2021~2023年に年収800~1500万円層が49万人増え、税収に3000億円以上のプラス効果が出ています。要するに「お金のプール」が大きくなっており、国が取れる取り分も増えているわけです。ただし、これはあくまで名目上の数字です。私たちの手取り給与や実質購買力はインフレ負担で追い付かないのが現実です。

歳入歳出の構成:国債依存も低下

2025年度予算では、歳入総額115.2兆円(過去最大)に対し、税収は78.4兆円、約24.8%が国債で賄われます。国債依存率は27年ぶり低水準ですが、それでも歳出115.2兆円の半分以上を税以外の借金でまかなっています。つまり国の会計は「税収78.4+国債28.6≒歳出115.2」という構造で、帳簿上は均衡しているように見えても、新たな借金で乗り切っている状態です。国としては「見かけ上の黒字」ですが、その先には大量の借金(2025年度末で約1129兆円)が待ち受けていることを忘れてはいけません。世代間不公平に配慮した財政運営も叫ばれているのは、この「借金頼み」を変えたいという動きの表れです。

課題山積:社会保障費と金利負担

税収の伸びにも関わらず、国家PLには巨額の支出が並んでいます。社会保障関係費は38.3兆円と過去最大(一般歳出の56.2%)に達し、年金・医療・介護・子育て支援など負担は膨張の一途です。また国債費(借金の利払い)も28.2兆円と過去最大。つまり政府が税収として得たお金の多くは先払いで社会保障に充てられ、その残りを利子返済に回している構図です。今後金利上昇局面を迎えれば借金の利払いはさらに増え、財政を圧迫しかねません。税収が増えている今は、増収分を果たして将来負担の軽減や成長投資に回せるかが問われる「チャンスの時期」でもあります。


国のPLをざっくりまとめると、名目税収は急増して“絶好調”に見えますが、その多くは社会保障と利払いに消え、政府の「利益」が大幅に増えているわけではありません。税収8割を先取りで使う財政構造ゆえに、実は常に借金前提のゼロサムゲーム状態とも言えます。今は税収が膨らんで財政改善の好機ですが、支出改革を怠るとせっかくの果実も手放しになってしまうでしょう。

家計の収支表:僕らはカツカツ暮らし

一方、同じように家計のPLを見てみると、雰囲気はまるで逆です。最新の統計で日本の平均年収は約460万円(全体)で、30代平均は約451万円です。これに対し最近の物価上昇は平均3%超と高止まりし、名目賃金(約1.9%増)では全く追いついていません。その結果、実質賃金は9ヶ月連続で前年割れという厳しい状況が続いています。財務省の試算でも2025年の「国民負担率」(税+社会保障負担の割合)は46.2%とされ、所得の半分近くが国家に吸い上げられている計算です。つまり家計の売上(給料)は伸び悩む中で、家計の税負担率が上がっているわけです。以下は、その実態を深掘りしていきます。

平均年収とその内訳

国税庁の民間給与統計によれば、平均年収は約460万円で、男性は約567万円、女性は約280万円と大きな性差があります。年齢別に見ると、20代は約360万円、30代は451万円、40代で519万円、50代以上では600万円超になります。30代男性は平均504万円、女性は390万円というデータもあり、性別や年代で稼ぎに大きな開きがあります。読者世代(20~30代)なら、年収400~500万円前後が一つの目安でしょう。しかしそれだけで浮かれてはいけません。給料から引かれるものを除いて手取りを計算すると話が変わってきます。

年収から差し引かれるお金

具体例として、年収500万円のサラリーマンの場合を見てみましょう。この年収で天引きされる主な項目は、所得税・住民税と社会保険料です。所得税+住民税が約36.4万円、厚生年金保険料が約45万円、健康保険料が24.6万円(雇用保険料を含む)となり、合計約109万円が差し引かれます。年収500万円の21.8%を税+保険料で先取りされている計算です。手取りは約391万円(月約32.6万円)しか残りません。

さらにこの391万円を生活費に使うと、そこに消費税(10%)が上乗せされます。手取り391万円を全部使った場合、消費税は約35万円になります。結果として、年間で約144万円(109+35)が国家への“配当”として消えるわけです。年収500万円に対して約29%、ざっくり3割近いお金を国に共同運営されている計算になります。年収400万円や600万円の人も同様に計算すれば、自分の国家配当率がおおむね20~30%であることが分かります。

この負担割合の高さは財務省の国民負担率推計(約46.2%)にも合致します。つまり日本人の手取りの4~5割は広い意味で税金・社会保障に消えており、家計に回るのは半分以下。家計にとっては、どれだけ給料が増えても物価と税負担で帳消しになる厳しい状況が続いているのです。

物価高・実感不足の生活

加えて、電気・ガス・食料品などの生活必需品価格は上昇傾向が続いており、家計の実質負担はさらに増しています。数年前に消費税が10%に引き上げられた影響も根強く、今や給料の3~4割は見えない形で税金に消える計算。これだけ高い負担感があると、「国が儲かっていても自分は生活が楽にならない」という感覚は当然です。実際、貯蓄率の低下や追加借入での生活補填など、節約や副業に頼る家庭が増えています。売上が伸び悩む中で固定費(税+社会保険)や消費コストが膨張する家計のPLは、今まさに赤字寸前。大きな要因の一つは、国家収入が上がっても給料に反映されず支出だけ増える点にあります。


家計のPLを見ると、税収増で潤っている国家とは真逆に、私たちは給料の2~3割を国に取られた上で消費し、物価上昇でさらに食いつぶされる日々です。平均年収400~500万円でも、所得と社会保険で20%以上、そこから消費でさらに10%取られるため、「手元に残るのは年収の半分にも満たない」という状況です。この現実こそが「家計はカツカツ」問題の正体であり、国家の業績と家計実感が大きく乖離する理由です。

あなたの年収はどれだけ「国家と共同運営」されているか?

ここまで国家と家計のPLの違いを見てきました。最後に、投資・会計の視点で考える「国家配当率」を自分で計算してみましょう。国家配当率とは「あなたの所得のうち、何割が国(社会)に回されているか」を示す比率です。株式投資で配当率(配当÷株価)を見るように、自分が『社会という会社』にどれだけ資金提供しているかを考えると、税金や社会保障の意味がグッと身近になります。

「国家配当率」とは何か?

「国家配当率」は造語ですが、イメージは会社の配当と同じです。私たちは働いて得た所得の一部を税金・社会保険料・消費税という形で国家に渡しますが、これを「国に払った配当」と考えます。株主は会社から配当をもらいますが、私たちがもらえるものは社会インフラや教育、将来の年金・医療など見えない還元です。つまり私たちは国家の共同株主兼債権者とも言えます。この意識を持てば、税金がただの搾取ではなく「投資」であり、配当(税負担)が大きいほど将来受け取るリターンにも目を向けるようになります。

自分の配当率を計算してみよう

具体的に年収500万円の例で配当率を計算しましたが、計算式は単純です。まず「税金+社会保険料」でいくら払っているかを確認し(上記例で109万円)、手取りから予算消費した金額の10%をさらに計算します(上記例で35万円)。国家への配当額 =(税+社会保険)+(手取りの使途×消費税率) です。配当率はそれを年収で割ります。年収500万円なら(109+35)÷500=約29%になります。このやり方で自分の給与明細と家計の支出から計算すれば、あなたの配当率もすぐ分かります。例えば年収400万円なら手取りは約312万円、消費税約28万円で合計約88万円、配当率22%程度。年収600万円ならさらに大きくなります。あなたの手取りからどれだけ国家に入っているか、ぜひ電卓で確かめてみてください。

投資・会計視点で考えると

国家配当率を投資目線で眺めると面白い発見があります。日本政府は債券発行や税金で大規模に資金を調達し、社会インフラやサービスに投資します。しかし私たちが銀行預金に回しているお金のリターンはほぼゼロです。一方、企業の株主に配当される金額は通常数%台です。もし会社が株主に30%もの配当を出し続けたら、誰でも「今後資金繰りが心配」と感じるでしょう。つまり配当率が高い=先払いしている負担が大きいということです。私たちが30%近い配当を支払うのは、将来の年金医療などのリターンに備える投資とも言えます。会計的には、国家PLで税収が増えても利益は少なく、社会保障に回される費用が膨大なため、見せかけの黒字以上に将来負担が積み上がっているのです。


家計に置き換えると、「年収500万円なら年間約150万円を国に投資している」とも言い換えられます。自分の配当率を知ることで、私たちが国のPLにどれだけ関与しているかが実感できます。国は国家予算という大きな帳簿を開示しませんが、少なくとも一人ひとりの給料明細には、社会への貢献と投資の側面が表れています。

結論:意識すれば未来は変わる

国の税収が80兆円を超え、「国家レベルのPL」は好転が続いています。しかし私たちの家計は相変わらず苦しく、「国は絶好調なのに自分は生活が厳しい」という矛盾を抱えています。重要なのは、その矛盾を理解し建設的に向き合うことです。数字を知ることで「自分はこの国の重要な投資家であり利害関係者である」という自覚が生まれます。給料明細と同様に、国家の会計にも目を向ければ、「なぜこの税金が必要か」「もっとこう使ってほしい」という具体的な視点が持てるようになります。私たちは大きな社会という事業の社員兼株主なのですから、自分の投資先を無関心に見過ごすのではなく、意見を持つ権利があります。

最後に伝えたいのは、未来は決して決まったものではないということです。税金や物価は、法律や政治が決めている仕組みの結果であって、固定された自然現象ではありません。この事実を理解したあなたは、すでに次の一歩を踏み出す力を持っています。給料の「配当」を意識することは、自分の権利や責任を再認識すること。これが建設的な行動につながれば、「国家と家計の共同運営」はより健全なものになるはずです。この記事で紹介した計算を自分で試してみてください。「こんなに支えていたんだ!」という驚きが、きっとあなたの中に芽生えるでしょう。それこそが未来を変える第一歩。みんなで少しずつ、より良い日本を作っていきましょう。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『図解 いちばん親切な税金の本 25-26年版』高橋 創

税金まわりを“丸ごと整理したい”人向けの決定版。
所得税・住民税・相続税・贈与税まで、用語の基本から制度のしくみ、計算方法、申告書の書き方までを図解とマンガで解説してくれる一冊です。巻頭では2025年度の税制改正ポイントもまとめられているので、「自分の税金がどう変わったのか?」をサクッと把握できます。
・給与明細の“よく分からない天引き”が一気にクリアになる
・確定申告やふるさと納税まで視野に入れたい人にも相性◎
「税金の全体像を一回ちゃんと掴んでおきたい」という読者に、ぜひ押さえておきたい基本書です。

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図解 いちばん親切な税金の本 25-26年版 [ 高橋 創 ]
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『明解 日本の財政入門』大和総研

「国のPLって結局どうなってるの?」を一冊で俯瞰。
消費税引き上げ、赤字国債、社会保障費の急増、財政投融資など、ニュースで聞きかじるだけでは分かりにくい日本の財政の“全体像”をやさしく整理してくれる入門書です。
・国家予算がどう決まり、どこにどれだけお金が流れているのか
・成長戦略と財政の関係、財政再建がなぜ進まないのか
といったテーマを、図やQ&Aを使いながらスッキリ解説。
今回のブログのように「国のPL vs 家計PL」という視点で考えるとき、この本を読むと“国家への配当率”をより立体的に理解できるようになります。

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明解日本の財政入門 [ 川村雄介 ]
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『データで見る日本経済の現在地 働くときに知っておきたい「自分ごと」のお金の話』明石 順平

グラフとデータで「日本の給料と税・社会保障」をえぐる一冊。
タイトルどおり、統計データとグラフをベースに、日本経済と僕らの給料・税金・社会保障の関係を“自分ごと”として解説してくれる本です。
・なぜ日本人の給料は上がらないのか
・インフレと実質賃金、社会保険料の負担増が家計にどう効いているか
・若い世代がこれから何を意識して働くべきか
といった問いを、数字でバシバシ見せてくれます。
ブログ読者の20〜30代にはドンピシャで刺さる内容なので、「記事の続きが読みたい感覚」でそのまま読みたくなるタイプの一冊です。


『現代日本の消費分析』宇南山 卓

家計の“使い方”をガチな経済学で解析した本。
この本は、日本の家計がどのように消費を決めているかを、経済学の実証研究で明らかにしていく少しガチめの一冊です。
・消費税率引き上げが家計行動に与えた影響
・特別定額給付金(10万円)の消費刺激効果
・児童手当や老後不安が支出行動をどう変えるのか
など、ニュースで見た出来事を「家計データ」で読み解いてくれます。
家計のPLを“感覚”ではなく“データとモデル”で見たい人には最高の教材。投資・会計好きの読者なら、「家計をミニマムなマクロ経済モデルとして見る」視点が手に入り、思わず家計のエクセルを作り直したくなるはずです。

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現代日本の消費分析 [ 宇南山 卓 ]
価格:7,480円(税込、送料無料) (2025/11/26時点)


『ゼロからわかる マネーの常識 NISA、イデコから保険、税金、住宅ローンまで』

20〜30代の「お金の教科書」を今の制度で総ざらい。
2024年5月発売の新しめの一冊で、新NISA・iDeCo・保険・税金・住宅ローンまで、働く世代に必要なマネー知識をオールインワンで解説してくれます。
・NISAやiDeCoで“税金を減らしながら”資産形成する方法
・社会保険や税金の仕組みを踏まえたうえで、どの金融商品を選ぶか
・住宅ローンを「人生のPL/BS」でどう位置付けるか
など、今回のブログテーマである「国家と家計の共同運営」を、実務レベルで自分の人生設計に落とし込むのにぴったり
「とりあえずこの一冊から始めれば、お金まわりの“わからない”をだいぶ潰せる」という意味での鉄板本です。


それでは、またっ!!

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