みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
その一杯のうな丼、ほんとうに守りたいのは“胃袋”ですか?それとも“未来の家計”ですか?
「ウナギ、まだ食べられるのか。じゃあセーフでしょ?」
そんな空気でニュースを流し見した人、多いかもしれません。
ウズベキスタンで開かれたワシントン条約(CITES)の会議では、EUなどが出した「ニホンウナギを含むウナギ全種の国際取引規制」案が、賛成35・反対100という大差で否決されました。
日本も「資源管理はできている」「規制すると値段が上がる」と反対側に回っています。
ぱっと見、「土用の丑の日は守られた」「ウナギチェーンも一安心」といった話に聞こえますよね。でも、ここであえてこう問いたいんです。
「それ、本当に“勝利”ですか? それとも、後からじわじわ効いてくる“フードインフレリスク”の先送りですか?」
この記事でやりたいのは、ESGとかサステナビリティを難しい横文字で語ることではありません。
むしろ逆で、
- 「絶滅危惧気味なウナギを、これからもガンガン食べ続ける社会」と
- 「代替プロテイン・養殖技術・価格高騰の波」
この2つを、「食卓のP/L(損益計算書)」という、めちゃくちゃ生活寄りのレンズで見ることです。
- 今日の夕飯にウナギを選ぶ=その瞬間の「満足度」と「食費コスト」をどう切るか
- ウナギの価格高騰や規制リスク=将来のフードインフレ、つまり「食材が高すぎて選べない日」が来るリスク
この関係を、「ちょっと狂ったフレーム」で整理してみます。
今日の夕飯選び=未来のフードインフレリスクに対する“ヘッジ(保険)”
という発想です。
もちろん、「じゃあウナギ禁止!」みたいな話ではありません。
ポイントは、
- ウナギをはじめとした“レッドゾーン寄り食材”が、
これからどれくらい値上がりしやすい構造なのか - その一方で、“サステナ飯(サステナブルな食事)”が、
どんな形であなたの家計のBS(バランスシート)に効いてくるのか
を、投資と会計っぽいけど、ちゃんと初心者にもわかる言葉で整理していくこと。
この記事ではざっくり、こんな流れで話を進めます。
- ウナギ規制が否決された本当の意味
─「まだ食べられる」じゃなく、「これからもっと“値動きが激しい銘柄”になるかもしれない」という視点。 - “絶滅危惧メニュー”と“代替プロテイン”を、食卓のP/Lで比較
─同じ1,500円の夕飯でも、どんなリスクとリターンを抱えているのか。 - サステナ飯が、家計のBSに積み上げる3つの資産
─健康資本・スキル資本・選択肢資本。なぜ「なんとなくヘルシー」以上の価値があるのか。
経済ニュースとグルメネタのあいだにある“おいしいゾーン”を、ちょっとニヤっとしながら読み解いていきます。
ウナギ好きな人も、ESG投資がよくわからない人も、「自分の財布と胃袋に関係ある話」として楽しんでもらえるはずです。
目次
ウナギ規制「否決」は“勝利”じゃなくて、食べ物ボラティリティ警報かも

まずは、今回ニュースになった「ウナギ規制の否決」で何が起きたのかを、ざっくり整理します。
ウズベキスタンで開かれているワシントン条約の会議で、
EU(ヨーロッパ連合)などが
「ニホンウナギを含む、すべてのウナギの国際取引をもっと厳しく管理しよう」
という案(全ウナギを規制リストに載せよう、という提案)を出しました。
この案は「賛成が3分の2」を超えないと通らない仕組みですが、
実際の投票は
- 賛成:35か国
- 反対:100か国
- 棄権:8か国
となり、大差で否決。
日本は世界最大のウナギ消費国で、その7割以上を中国などからの輸入に頼っています。
その日本政府も「資源管理はできている」「絶滅の恐れはない」として反対側に立ち、各国にかなり積極的にロビー活動をしていたと報じられています。
ここまで聞くと、
- 「よかった、土用の丑の日が守られた!」
- 「うな丼チェーンも一安心!」
と感じる人が多いと思います。
でも、“値段”と“リスク”の視点で見ると、話がちょっと変わってきます。
ここからは、できるだけシンプルに「食べる側のリスク」として整理してみます。
ルールは変わらなかった=値段はこれからも“生身で”リスクを受ける
今回のEU案が通っていたら、どうなっていたか。
- ウナギを輸出する国は、「ちゃんと資源に悪影響を与えずに取引してますよ」という許可証が必要になる
- そのぶん手間もコストも増えるので、短期的には価格が上がる可能性が高い
- ただし、国際的に「ちゃんと管理してますよね?」というチェックが入るので、
長い目で見れば資源が守られ、供給が安定しやすくなる可能性もあった
こんなイメージです。
一方で、今回「否決」されたということは、
- 今のところ、国際的な新しい“ブレーキ”はかからなかった
- 各国が「自分の国ルール」で資源管理を続けていく
という状態が、しばらく続くということです。
ここで大事なのは、
「ルールが変わらなかった=リスクが消えた」
ではなく、
「ルールというクッションがない状態で、資源リスクと価格リスクを食卓がモロに受け続ける」
という見方です。
ウナギの資源量は、世界的には「かなり減っている」と言われていますし、ダム・水質悪化・気候変動・違法漁業など、マイナス要因は盛りだくさんです。
つまり、「ルールは助けてくれない+資源は心もとない」という状態で、
私たちは**“おいしいけど不安定な食材”を食べ続けている**ことになります。
ウナギは「安定銘柄」じゃなくて、ボラ高めのグルメ銘柄
投資の世界でよく出てくる言葉に「ボラティリティ(値動きの激しさ)」があります。
- 値段があまり動かない銘柄=ディフェンシブ(安定)
- 値段が上下に大きく揺れやすい銘柄=ボラ高め(ハイリスク寄り)
みたいなイメージです。
これをそのまま食材に当てはめてみると、ウナギはどう見えるか。
- 資源量が減っている
- 乱獲・違法取引のニュースも多い
- 気候変動で稚魚(シラスウナギ)の来遊量も読みづらい
- 国際会議で「規制するかも」「やっぱりしない」が続く
このあたりを考えると、ウナギは
「おいしいけど、価格も将来もかなり揺れやすいグルメ銘柄」
と言えます。
実際、ウナギの稚魚(シラスウナギ)は、海外では1ポンド(約450g)あたり1,000ドル超えで取引されることもあり、かなり“高リスク・高価格”な世界になっています。
私たちがスーパーで「うなぎ1尾 1,980円」を見るとき、その裏では
- 資源量
- 為替
- 国際規制の気配
- 違法取引への取り締まり強化
みたいな、いろんな要素がぐちゃぐちゃに絡んでいます。
つまり、
ウナギを食べる=値動きが荒い銘柄を、その日の気分で“成行注文”しているようなものとも言えるわけです。
資源リスク+規制リスク=「いつドカンと来るか分からない」ダブルパンチ
もうひとつ、押さえておきたいのが
- 資源リスク(そもそも数が減っている)
- 規制リスク(ルールが急に厳しくなるかもしれない)
この2つが、同時に存在している点です。
ウナギの一部の種は、1980年代から見て9割以上減ったとする研究もあります。
それに対して、今回のような国際会議では
- EUなどが「もっと国際的にしっかり管理しよう」と提案
- いったん否決されたものの、「次の機会を待つ」という声も報じられている
さらに、今回の否決も「完全に終わり」ではなく、12月5日の全体会合で再投票の可能性が残っているとされています。
つまり、
- 「資源が減っている」という現実は消えない
- 「国際的にもっと規制しよう」という動きも、今回で完全に終わりではない
という状況です。
投資の世界でいえば、
「業績がじわじわ悪化している会社」+「いつ大きな規制が入ってもおかしくない業界」
の株を持っているような感覚に近いです。
それでも今はまだ、
私たちは普通にスーパーでウナギを買えてしまう。
だからこそ、
- 今日は「うな重うめえ〜!」で終わっても、
- 数年後、「高すぎて手が出ない」「そもそも売ってない」世界が来ないとは言い切れない
そんな、「じわじわ効いてくるタイプのリスク」を、私たちは抱え続けていることになります。
ここでは、
「ウナギ規制の否決=今は食べられるけど、食べる側のリスクはむしろ見えにくくなっている」
という話をしました。
次では、
- 絶滅危惧寄りのメニュー(ウナギ、マグロなど)と
- 代替プロテインや養殖魚・大豆ミート的なメニュー
を、「今日の夕飯のP/L(いくら払って、どんなリスクとリターンをもらうか)」という視点で比べてみます。
同じ1,500円でも中身が違う? 食卓P/Lで見る「絶滅危惧メニュー」vs「サステナ飯」

さっきは「ウナギ=ボラの高いグルメ銘柄かも」という話をしました。
ここからは、もう少し生活寄りに落として、
「今日の夕飯1,500円で、どんな“リターン”と“リスク”を買っているのか?」
を見ていきます。
ここで使うのが、食卓版のP/L(損益計算書)という考え方です。
- P(Profit)=得られるもの(おいしさ・満足感・健康・学び など)
- L(Loss)=失うもの(お金・将来の値上がりリスク・選択肢の減少 など)
難しく聞こえますが、要するに
「いくら出して、どれだけ得して、どんなリスクを抱えるの?」
を、ちょっと整理してみよう、というだけです。
「絶滅危惧メニュー」のP/L:リターンはデカいが、将来コストがじわじわ増える
まずはウナギ・本マグロ・うに・車エビ…みたいな、
“ちょっとレッドゾーン寄り”の高級メニュー側から。
たとえば、1,500円のうな丼を食べるときのP/Lを、ざっくり言葉で書くとこうなります。
- P(得られるもの)
- 超うまい。テンション上がる
- 「今日は頑張った自分へのごほうび」感
- 土用の丑の日や季節のイベントを楽しむ体験
- 人と外食なら、話のネタにもなる
- L(失うもの・抱えるリスク)
- もちろんお金:1,500円ドーン
- 資源リスクが高い食材なので、将来さらに値上がりしやすい世界に一票入れているイメージ
- 「みんながガンガン食べ続けるほど、将来の自分が買いにくくなる」構造
ここでポイントなのは、
その1食は最高だけど、「続けて当たり前」にするほど家計には重くのしかかる
という点です。
月に1回のうな丼ならまだしも、週1ペースで積み上げると、
- 「月の外食予算のかなりを“ボラ高め銘柄”に突っ込んでいる」
- 「ほかの食材に回せるお金が減っていく」
という状態になります。
投資でいうと、
- 高リスク高リターン銘柄を、
- 生活防衛資金まで使ってガンガン買い増している
みたいな感じに近いです。
一発の満足はデカいけど、将来の家計P/LとBS(家計の体力)に、小さくないプレッシャーをかけている、という見方もできます。
代替プロテイン&サステナ飯のP/L:派手さはないが“安定配当株”に近い
一方で、代替プロテインやサステナ寄りメニューはどうでしょう。
ここにはいろいろ種類があります。
- 養殖サーモンやブリなどの養殖魚
- 大豆ミート・豆腐・厚揚げ・納豆・卵
- 鶏むね肉・サバ缶など、比較的安定供給されているたんぱく源
これらを組み合わせた「サステナ飯」1,500円のP/Lをイメージすると…
- P(得られるもの)
- たんぱく質はしっかり確保できる
- 野菜や豆類を増やしやすく、健康面のリターンが地味に大きい
- 調理スキルが上がる(レシピの引き出しが増える)
- 「安定して作れるメニュー」が増えるので、将来の食費設計が立てやすい
- L(失うもの・抱えるリスク)
- ウナギほどの「今日一番のごちそう感」「特別感」は薄い
- 大豆ミートなどは、当たり外れがある(味のハズレリスク)
- 手作りだと、多少手間と時間はかかる
投資でいうと、
「ディフェンシブ株+安定配当株を、コツコツ積み上げるイメージ」
に近いです。
- 値段が急に3倍になることはあまりない(=フードインフレ耐性が高い)
- 生産量を増やしやすいので、品薄になりづらい
- 体調が安定しやすく、医療費やダイエットコストが減る可能性もある
など、「表に出ないリターン」が多いのが特徴です。
短期の「うわ、今日の飯めちゃ豪華!」というパンチ力は弱いけれど、
長期で見ると家計のP/LとBSにじわじわ効いてくる“インフラ的メシ”と考えるとしっくりきます。
「今日の満足」と「明日の選択肢」のポートフォリオを組む
ここまでの話を、もう少し実生活に落としてみます。
毎日のご飯は、ざっくりいうと
「今日の満足度」と「明日の選択肢(将来の家計の余裕)」の配分ゲーム
です。
- 絶滅危惧メニュー:
- 今日の満足度:爆高
- 将来の選択肢:ちょっと削る方向に働きやすい
- サステナ飯:
- 今日の満足度:控えめ〜普通
- 将来の選択肢:増やす方向にじわじわ効く
なので、一番キツいのは、
「ほぼ毎日、絶滅危惧メニュー寄りで攻め続ける」
パターンです。
- 食費がかさむ
- 似たような資源リスクを何度も引いている
- フードインフレが来たとき、一気に家計にダメージ
になりやすい。
逆に、
「一生サステナ飯だけで、ウナギは一切禁止!」
も現実的ではないし、人生の楽しみとしても寂しいですよね。
そこでおすすめなのが、ポートフォリオ発想です。
- 普段:
- 魚・鶏・大豆・卵などを中心にしたサステナ飯をメイン
- 食費をそこまで上げずに、健康と料理スキルを積み上げる
- ごほうびデー:
- 月に1〜2回、「今日はウナギ!」「今日は本マグロ!」みたいな“ハイリスク高満足メニュー”を解禁
- その日を楽しむために、他の日のP/Lを少し引き締めておく
こうすると、
- 今日の自分もちゃんと楽しみつつ
- 未来の自分の家計と選択肢も守りやすくなる
というバランスが取りやすくなります。
ここまで来ると、
単に「ウナギが高いか安いか」という話ではなく、
「自分の食卓ポートフォリオ、ちょっと絶滅危惧メニューに寄りすぎてない?」
と考える習慣そのものが、フードインフレへの“ゆるいヘッジ”になっていきます。
ここでは、
同じ1,500円の夕飯でも、「絶滅危惧メニュー」と「サステナ飯」では、P/Lの中身とリスクの質がかなり違う
という話をしました。
次では、
- サステナ飯が家計のBS(バランスシート)に積み上がる“3つの資産”
─「健康資本」「スキル資本」「選択肢資本」
について、もう少し深掘りしていきます。
サステナ飯が守るのは地球だけじゃない。家計BSに積み上がる3つの資産

ここまで、
- ウナギみたいな“絶滅危惧メニュー”は、ボラティリティ高めのグルメ銘柄っぽい
- サステナ寄りのご飯は、地味だけど安定配当株っぽい
という話をしてきました。
じゃあ、そのサステナ飯って、実際に何を積み上げているのか?
ここで視点を「P/L(その日の損益)」から、一歩引いてBS(バランスシート=資産と負債の一覧表)に移してみます。
家計のBSと聞くと難しそうですが、ざっくり言えば、
「今の自分が持っている“体力・スキル・お金のゆとり”的なものの一覧」
と思ってもらえばOKです。
サステナ飯を続けると、ここに3つの資産がじわじわ積み上がります。
- 健康資本
- スキル資本(料理・やりくりスキル)
- 選択肢資本(将来の食材オプション)
順番に、できるだけシンプルに見ていきます。
健康資本:地味な食事が、将来の「働く力」と医療費を左右する
まずは健康資本。
- サーモン、サバ、鶏むね肉
- 豆腐、納豆、大豆ミート
- 野菜と雑穀を増やした献立
こういうサステナ寄りのメニューって、「ヘルシーそう」というイメージで終わりがちですが、もう一歩踏み込むと、
「将来の自分の“働く力”と“医療費”に効いてくる投資」
とも言えます。
たとえば、
- 脂質と塩分が高すぎる外食を連発 → 体重・血圧・血糖値がじわじわ悪化
- 野菜と魚・豆類多めのサステナ飯がベース → 体調が安定しやすく、太りにくい
こうした積み重ねは、20代のうちは分かりにくいですが、30代〜40代になると、
- 朝のだるさ
- 仕事終わりの疲れの抜け方
- 風邪をひいたときの治りやすさ
みたいな形で差になってきます。
これは、家計のBSでいうと、
- 「将来もちゃんと働ける力」という資産
- 「病気で長期休養」「医療費がかさむ」というリスクの減少
に近いです。
ウナギを否定するわけではなくて、
「特別メニューとしてウナギを楽しむためにも、ベースは健康資本が増えるサステナ飯にしておく」
というバランスが大事、というイメージです。
スキル資本:レシピは“無形資産”。作れるメニューが増えるほど強い
2つ目はスキル資本。
ここでいうスキルは、料理だけではありません。
- 安くて栄養価が高い食材を選ぶ目
- 冷蔵庫の余り物で1品増やす工夫
- 代替プロテイン(大豆ミート・卵・豆類など)をストレスなく使いこなす力
これらはすべて、「レシピという無形資産」です。
たとえば、
- サステナ飯の研究をする
→ 「豆腐ステーキ」「鶏むね南蛮」「サバ缶パスタ」みたいな、
安くて満足度が高い定番メニューが増える - 「高いウナギ」はイベント用、「普段はこのローテーションで十分」と決まる
→ メニュー決めと買い物のストレスが減る
このスキルがある人は、
食材価格が上がっても、「じゃあこっちの食材でこうアレンジすればOK」とすぐ切り替えられる
という強みがあります。
逆にスキル資本が少ないと、
- 「ウナギ高いな〜」「牛肉高いな〜」
→ でも、代わりのメニューが思いつかない
→ 結局、割高なのを承知で買ってしまう
というパターンにはまりやすい。
スキル資本は、家計のBSだと
- 「どんな環境でもそれなりにおいしく食べていける能力」
- 「値上がりに振り回されないレジリエンス(しなやかさ)」
としてカウントされます。
レシピ動画を1本見るのも、小さな投資。
実際に作ってみて、失敗しながら改善していくのも投資。
そうやって増えたレシピの引き出しは、将来の物価ショックに耐える“無形資産”になっていきます。
選択肢資本:フードインフレ時代に「まだ打てる手」がある状態をつくる
3つ目は選択肢資本。
これは、フードインフレ(食材の値上がり)が続く時代には、かなり重要なポイントです。
選択肢資本が少ない状態とは、たとえばこんな感じです。
- 「肉といえば牛・豚しか思いつかない」
- 「魚はウナギやマグロなどの高級寄りメニューばかり好き」
- 「豆・卵・鶏・青魚などが苦手で、あまり料理してこなかった」
この状態で、牛肉・ウナギ・マグロが一気に値上がりしたら…
「選べるものが一気に減り、“高いけど仕方なく買う”か、“諦める”の二択になってしまう」
これが、選択肢資本が低い状態です。
逆に、サステナ飯寄りの食生活をしていると、
- 魚:ウナギやマグロだけでなく、サバ・アジ・サンマ・イワシも使い慣れている
- 肉:牛・豚だけでなく、鶏むね・鶏もも・ささみも日常的に使う
- たんぱく質:豆腐・納豆・卵・大豆ミートも“普通の選択肢”
となっていきます。
すると、
- 「今日はウナギ高いから、サーモンと豆腐ステーキでいくか」
- 「牛肉が高くなってきたし、鶏むね&大豆ミートでボリューム出そう」
といった形で、まだ打てる手がたくさんある状態を保てます。
これは、家計のBSでいうと、
「物価ショックが来ても、いきなり詰まないための“オプション(権利)”をたくさん持っている」
状態です。
極端に言えば、
- 「ウナギしか勝たん!」よりも
- 「ウナギ“も”好きだけど、他にもいっぱい好きなメニューがある」
ほうが、フードインフレ時代には圧倒的に強い。
サステナ飯を通じて、この選べるメニューの幅=選択肢資本を増やしておくと、
将来の「え、今これこんな値段すんの?」というショックにも、かなり柔らかく対応できるようになります。
ここでは、
サステナ飯は「ちょっとヘルシーな食事」以上に、
健康資本・スキル資本・選択肢資本という3つの資産を、家計のBSに積み上げる行為
という話をしました。
ここまでくると、
- ウナギを食べるかどうか
- 代替プロテインを使うかどうか
という選択が、
「今日何を食べる?」だけでなく
「これからどんな家計と身体で生きていきたいか?」
という、少し長いスパンの問いにもつながってきます。
結論:ウナギを「やめる」じゃなくて、「ちゃんと楽しめる未来」を残すために
ここまでの話を、あらためてシンプルにまとめると、
- ウナギ規制が否決された=今はまだ食べられる
- でも、資源リスクも価格リスクも、実はじわじわ高まっている
- そんな中で、「サステナ飯」は
- 今日の食費を整えつつ
- 将来のフードインフレから家計を守り
- ついでに自分の健康とスキルも育ててくれる
そんな「地味だけど、かなりコスパのいい投資」だ、という話でした。
ポイントは、
サステナ飯=“意識高い人の趣味”じゃなくて、
「自分のBS(バランスシート)とP/Lを守るための、日々の小さな打ち手」
として見る、ということです。
- P/L(損益計算書)的には
→ 今日いくら使って、どれだけ満足と栄養を得ているか - BS(バランスシート)的には
→ 健康・料理スキル・選択肢という“見えない資産”がどれだけ増えていくか
この2つをセットで見ると、
- 「今日はウナギ食べたい!」もアリだし
- 「普段はサステナ飯ベースでいこう」も、ちゃんと意味が出てきます。
大事なのは、
「ウナギは悪だ」「肉はダメだ」と決めつけることではなく、
“ごほうび枠”と“ベースの食事”を、自分なりのルールで分けておくこと。
たとえば、
- 普段:
- 魚・鶏・豆・卵を中心にした“安定銘柄”メニュー
- 食費を抑えつつ、健康資本とスキル資本と選択肢資本を積み上げる
- 月に1〜2回:
- 「今日はウナギ解禁デー!」
- 思いっきり堪能して、「また頑張ろう」とエネルギーをチャージする
こうしておくと、
- 「ウナギが高くなった…」というニュースが出ても、家計はそんなにブレない
- 物価が上がっても、「まだ他に打てるメニュー」がたくさんある
- 何より、「ときどき食べるウナギが、前よりずっとありがたく、おいしく感じられる」
という、ちょっと良い循環が回り始めます。
ニュースで「ウナギ規制が否決されました」と聞くと、
どうしても「自分とは遠い世界の話」に思えます。
でも実は、
「今日の夕飯、何にしよう?」
と同じテーブルの上にある話です。
- 絶滅危惧メニューにばかり依存する食卓なのか
- サステナ飯をベースにして、「ご褒美ウナギ」を長く楽しめる食卓なのか
その違いは、今日の小さな選択から、じわじわ積み上がっていきます。
「環境のことも将来の物価も心配だけど、正直、何からやればいいか分からない」
もしそう感じているなら、
「とりあえず今週、サステナ寄りメニューを1回増やしてみる」
くらいの軽い一歩で十分です。
- いつも牛丼なら、1食だけサバ缶+豆腐メニューにしてみる
- 外食のうな重を月2回→月1回にして、その分でサーモンや鶏むねメニューを増やしてみる
たったそれだけでも、
- あなたの健康資本
- あなたの料理スキル資本
- あなたの選択肢資本
この3つの“見えない資産”は、間違いなく少しずつ増えていきます。
そしてその積み上げが、数年後の
「あの頃からちょっとずつ変えておいてよかったな」
という実感につながっていきます。
ウナギのニュースから始まった話ですが、
最後に残る問いは、とてもシンプルです。
「自分の食卓を、どんな“ポートフォリオ”にしていきたいか?」
その答えは、人の数だけあっていい。
でも、答えを考えようとすること自体が、もうすでに1つの“サステナ投資”になっています。
今日の一食が、
あなたの未来の家計と、ちょっと先の土用の丑の日を、少しだけ守ってくれますように。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『マンガでわかる 日本の食の危機 迫る飢餓……「質」も「量」も崖っぷちの現実から大切な命を守るために』鈴木宣弘
- どんな本?
日本の「食料安全保障」のヤバさを、ほぼマンガで読める形にした一冊。
「世界で最初に飢えるのは日本」の著者・鈴木宣弘さん監修なので、内容はガチなのに、コマ割りとキャラのおかげでめちゃくちゃ読みやすいです。 - このブログとのつながり
・ウナギ規制のニュースの“裏側”で語った、
「買いたくても買えない世界が来るかも」という話を、
日本全体の食料構造の視点で深掘りしてくれるイメージ。 - どんな人に刺さる?
「活字オンリーはちょっとしんどい…でも背景はちゃんと知りたい」という20〜30代社会人にドンピシャ。
読後、そのままニュースへの感度が1ランク上がるタイプの本です。
『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』鈴木宣弘
- どんな本?
タイトルはかなりショッキングですが、中身は数字と現場の話で淡々と語る実務派の食料危機本。
低い食料自給率、輸入依存、肥料・飼料価格の高騰など、「なんとなく危なそう」をデータで見える化してくれます。 - このブログとのつながり
記事で触れた- 「フードインフレって本当に来るの?」
- 「日本の食卓って、どれくらい海外依存なの?」
というモヤッとした不安に、かなりはっきり輪郭をつけてくれる本です。
- どんな人に刺さる?
「投資もNISAもやるけど、“食卓リスク”までは考えたことがなかった」という人に相性◎。
新書なので軽く読めるのに、ニュースの見え方ががらっと変わります。
『食の経済入門(2022年版)』村上陽子
- どんな本?
タイトルはお堅そうですが、中身は- 家計の動き
- 農業・漁業・食品メーカー・流通
- 食品の安全・フードシステム
などをやさしく一通りおさえる入門書。
2022年版なので、コロナ後の食の変化も反映されています。
- このブログとのつながり
「食卓のP/L」「家計のBS」という今回のノリを、もう一段“経済学っぽく”ちゃんと理解する背骨になってくれる本。
ウナギだけじゃなく、「食の全体構造」を押さえておきたい人向けです。 - どんな人に刺さる?
大学生〜社会人の「勉強し直し勢」にぴったり。
ざっと読むだけでも、ニュースの「食」「農業」「物価」の話がかなり整理されます。
『食料危機の経済学 虚構性と高度消費社会』神門善久
- どんな本?
世界人口増加=即食料危機、という“よくあるストーリー”を、データから検証し直す一冊。
危機をあおるだけではなく、「どこが本当に危なくて、どこが誇張なのか」を経済学の視点からかなり真面目に整理しています。 - このブログとのつながり
記事の中でチラッと触れた- 「フードインフレ」
- 「本当に足りないのか、それとも分配の問題なのか」
という論点を、理論的に深く掘っていきたい人にぴったり。
- どんな人に刺さる?
ある程度活字に慣れている社会人・院生向け。
「Twitterやニュースの“危機煽り”では満足できない」というタイプの読者が読むと、ものすごく腑に落ちるはずです。
『りなてぃの一週間3500円献立 物価高でも驚きのボリュームspecial(TJMOOK)』RINATY
- どんな本?
「日本で一番売れている献立本シリーズ」りなてぃの、物価高対応バージョン。
一週間3,500円でここまで食べられるの!? というレベルのボリューム&満足度レシピがずらっと並びます。 - このブログとのつながり
記事の中で書いた- 「サステナ飯=家計BSに効く安定銘柄」
- 「ポートフォリオとして“普段ごはん”を設計する」
を、そのまま具体的な献立レベルに落としてくれる本。
読んだその週から、リアルに食費とP/Lが変わります。
- どんな人に刺さる?
共働き・一人暮らし問わず、「節約したいけど、マズいご飯は嫌」という全人類向け。
写真もきれいで、パラパラ見るだけで「これ作ってみよ」と思えるタイプのムックです。
それでは、またっ!!
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