0歳からNISA解禁。子どもは“未上場スタートアップ”、親はCFOとしてどう資本政策する?

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

あなたの家族は、“なんとなく貯金”と“CFOの資本戦略”、どちらで子どもの18歳を迎えますか?

「0歳から投資できます」――そんなニュースが現実味を帯びてきました。政府・与党は、新NISAのつみたて投資枠について年齢制限をなくし、0歳から使える「こどもNISA(仮称)」を創設する方向で調整しています。子ども名義で口座をつくり、年間の投資上限は60万円、非課税で持てる枠は600万円、引き出しは12歳から…といった案が報道されています(2025年12月時点)※制度の中身は今後変更される可能性があります。

このニュースを聞くと、多くの親御さんが思うのは「うちもやったほうがいいの?」「そもそも何から考えればいいの?」というところではないでしょうか。教育費も不安、老後も不安。そこに「こどもNISAまで…」と、頭の中のToDoリストがさらに増えてしまいそうです。

でも視点を少し変えると、この制度は「家族全体のお金の設計図」をアップデートするチャンスでもあります。この記事では、子どもを“人的資本を持つ未上場スタートアップ”、親をそのスタートアップを支える“CFO(最高財務責任者)”と見立てて、家族のお金を一枚のバランスシート(貸借対照表)で捉えてみます。

・子どもの教育費
・こどもNISAで育てる金融資産
・親の新NISAや老後資金

これらをバラバラに考えるのではなく、「一つのプロジェクトの中でどう資本配分するか?」という発想で整理していくのがこの記事のゴールです。難しい会計用語や数式は使いません。イメージとしては「自分の家が1社のスタートアップ企業で、自分はそのCFOになったつもりで数字を眺める」くらいの感覚で読んでいただければOKです。

記事の中では、こどもNISAを0歳から始めた場合、18歳の時点でざっくりどれくらいの金額になりそうかのイメージ表も用意します。「堅実モード」「標準モード」「攻めすぎモード」くらいの3パターンで、あくまでシミュレーションとして眺めてもらいます。

さらに、「これをやると後悔しやすいNG運用例」も具体的に紹介します。たとえば、
・教育費なのに、短期で大きく増やそうとしてハイリスク商品に全振りする
・親の投機資金を、子ども名義の口座に紛れ込ませてしまう
・12歳以降にお金が必要になるタイミングを考えず、ギリギリまでフルリスクで運用し続ける
…といったパターンです。

「0歳から投資」が当たり前になる時代は、良くも悪くも“自己責任ゲーム”の難易度が一段上がります。その中で、親がCFOとして冷静に資本政策を考えられるかどうかが、子どもの将来の選択肢にも、親自身の老後にも効いてきます。

この記事を読み終えるころには、
・こどもNISAの「位置づけ」と「限界」がなんとなくわかる
・教育費と老後資金を、一枚の家計バランスシートで考える感覚がつかめる
・「うちはどのくらいリスクを取っても大丈夫か?」のざっくりした軸が持てる

このあたりを持ち帰ってもらえるように、できるだけかみ砕いてお話ししていきます。

家族を一つの“企業”として見る

あなたの家は「○○株式会社」?

まずイメージの話からいきましょう。

あなたの家を「○○ファミリー株式会社」とします。
社員は家族、社長は親、そしてこれから大きく成長していく“未上場スタートアップ”が子どもです。

CFO(最高財務責任者)は誰かというと…そう、あなた(親)です。

CFOの仕事はシンプルに言うと、

  • 入ってくるお金を把握する
  • 出ていくお金をコントロールする
  • 将来のために「どこにどれくらいお金を置いておくか(配分)」を決める

この3つです。
ここに「こどもNISA」という新しい選択肢が1個増えそうだ、というのが今回のニュースです。

いきなり制度の細かい話に行くと混乱するので、まずは“家族を会社にたとえる”ことで、頭の中を整理しやすくしていきましょう。

家計をざっくり「バランスシート」で見る

バランスシート(貸借対照表)と聞くと、一気に難しそうですが、ここでは超ざっくりで大丈夫です。

左側:今持っているもの(資産)
右側:それをどうやって用意したか(負債+自分のお金)

このくらいのイメージでOKです。

家族で考えると、こんな感じになります。

  • 資産
    • 現金・預金
    • 親のNISAやiDeCoなどの投資
    • こどもNISAで積み立てる投資
    • すでに払った学資保険 など
  • 負債
    • 住宅ローン
    • 教育ローン など
  • 自分たちの元手(ざっくりの純資産)
    • これまで貯めてきたお金 + これから稼げる力(人的資本)

ここでポイントになるのが、子どもも「人的資本」を持つスタートアップだという視点です。

  • 親:すでに“上場済み企業”みたいなもの(年収やキャリアがある程度見えてきている)
  • 子ども:まだ売上ゼロだけど、将来のポテンシャルは未知数のスタートアップ

こどもNISAは、この“スタートアップの成長に向けた資本”をどう用意するか、という話だと考えるとスッと入ってきます。

「教育費」「こどもNISA」「親の老後」をバラバラにしない

多くの家庭で起きがちなことは、

  • 教育費は教育費
  • 親の老後資金は老後資金
  • こどもNISAは「なんかお得そうな制度」

と、全部別々の箱で考えてしまうことです。

でも、実態としてはお金の“元”は同じです。
給料という1本の川から、

  • 今の生活費
  • 子どもの教育費
  • 親の老後資金
  • そして新たに「こどもNISA」

取り合いをしているイメージに近いです。

だから本当は、

「うちの家計として、総合的にどこにどれくらい配分するのがちょうどいいか?」

を考えないといけません。

例えば、

  • 教育費を全部現金で貯めるのか
  • 一部をこどもNISAで長期運用して、残りを普通預金に置くのか
  • 親のNISAも使いながら、家全体として“リスクの取りすぎ”になっていないか

こういった視点で、「家族トータルの資本政策」を決めていくのがCFOとしてのスタンスです。

CFOとしてまずやることは「現状の棚卸し」

とはいえ、いきなり完璧なバランスシートを作る必要はありません。
最初の一歩として、CFOがやるべきことは“ざっくり棚卸し”です。

紙でもスマホのメモでもいいので、次の3つを書き出してみてください。

  1. 今ある資産
    • 普通預金の合計
    • 投資(NISA・iDeCo・特定口座など)の現在額
    • 学資保険の解約返戻金の目安
  2. これから必要になりそうな大きなお金
    • 子どもの進学費用(ざっくりでOK。例えば「大学まで行くなら合計1,000万くらい」など)
    • 自分たちの老後資金(今の年金見込み+自分たちで用意したいイメージ)
  3. 毎月のキャッシュフロー(ざっくり)
    • 手取りの合計
    • 毎月だいたいどのくらいは貯金に回せているか

この3つだけでも書き出すと、

  • 「そもそも今は、こどもNISAにいくら回せそうなのか」
  • 「逆に、今は無理して投資よりも、現金のほうを厚くするべきでは?」

といった感覚が見えてきます。

こどもNISAは、ニュースだけ見ると「やらないと損!」に見えがちですが、本当に大事なのは、

“自分の家のバランスシートの中で、どのポジションに置くか”

を考えることです。

この視点さえ持てれば、SNSで「こどもNISAやらないのは情弱」といった極端な情報に振り回されず、自分のペースで判断できます。


このセクションでは、

  • 家族を「○○株式会社」にたとえる
  • 子どもは“人的資本”を持つ未上場スタートアップ
  • こどもNISAは、そのスタートアップの成長を支える「資本の置き場所」のひとつ

というイメージを作りました。

次のセクションでは、具体的に「0歳からこどもNISAを始めたら18歳でいくらくらいになりそうか?」を、ざっくりシミュレーションしながら、教育費との付き合い方を考えていきます。

0歳から18歳まで、こどもNISAはいくらになりそう?

まず「ざっくりイメージ」が持てればOK

ここからは、いよいよ数字の話です。

  • 「年間60万円・累計600万円くらいまで投資できる“こども枠”をつくる案がある」
  • 「0歳から18歳未満まで使える“こどもNISA”を2026年度から始める方向」という情報も出ている

など、報道によって細かい条件は少しずつ違います。
制度の最終形は、これから決まっていく段階です。

なのでこの記事では、「もし年間60万円を10年間積み立てて、合計600万円を18歳まで運用したらどうなりそう?」という、あくまで一例でイメージをつかむことにします。

ポイントは2つだけです。

  1. 「利回り(りまわり)」=1年でどれくらい増えたかの割合
  2. 積み立てる年数(どのくらい長く続けるか)

この2つを変えると、同じ“元手600万円”でも、18歳のときの金額がわりと変わってきます。

シミュレーションの前提を決める

まず前提を整理します。今回のざっくりシミュレーションは、こんなイメージです。

  • 0歳〜9歳まで、毎年60万円ずつこどもNISAで積み立てる
    • 60万円 × 10年 = 元本は合計600万円
  • 10歳〜18歳は、新たな積み立てはせず、そのまま運用だけ続ける
  • 18歳になる頃の金額を、3パターンの利回りでざっくり見る

利回りの3パターンは、こんなイメージで置いてみます。

  • 堅実モード:年2%(かなり控えめな想定)
  • 標準モード:年4%(バランス型の投資信託イメージ)
  • 攻めモード:年6%(株式多めの攻めたイメージ)

※もちろん、これはあくまで机上の計算です。
現実の相場は毎年上下しますし、「絶対この数字になる」というものではありません。数字そのものよりも、「利回りが2%違うと、こんなに差が出るんだな」という感覚をつかむためのものだと思ってください。

ざっくり表:18歳時点でいくらくらい?

では、さっそく結果をざっくり表にしてみます。

前提:

  • 毎年60万円を10年間積み立て(合計600万円)
  • その後は追加なしで18歳まで運用
  • 利回りは毎年一定と仮定(※現実は上下します)
モード利回りのイメージ18歳のときの金額(ざっくり)利益(増えたぶんのイメージ)
堅実モード年2%約770万円約170万円
標準モード年4%約990万円約390万円
攻めモード年6%約1,260万円約660万円

元本(自分で入れたお金)は600万円です。

  • 年2%でも、約170万円プラス
  • 年4%なら、約400万円近くプラス
  • 年6%まで攻めた想定だと、600万円が1,200万円超にふくらむ可能性もある

もちろん、これは「きれいな右肩上がりモデル」の話です。
現実には、ある年はマイナス、大きくプラスの年もある…というジェットコースターを乗りこなしながら、トータルでこのぐらいに落ち着いたと仮定しているだけです。

ここで大事なのは、

「18年という時間を味方につけると、“元本600万円”のパワーがかなり変わる」

という感覚です。

教育費と組み合わせるとどう見える?

じゃあ、この金額は教育費の中でどんな立ち位置になるでしょうか。

ざっくりとした目安ですが、大学だけを取り出すと、こんなイメージがよく出てきます。

  • 国公立大学4年間:約250万円
  • 私立大学 文系4年間:約400万円
  • 私立大学 理系4年間:約550万円
  • 私立医学部6年間:2,000万円以上

もちろん、塾・予備校・高校までの費用などを入れると、トータルの教育費はもっと大きくなります。

先ほどのシミュレーションと重ねてみると…

  • 堅実モード(約770万円):
    → 国公立の大学費用だけなら、かなり余裕でカバーできるイメージ
  • 標準モード(約990万円):
    → 私立文系〜理系の学費+α(仕送りの一部など)も視野に入る
  • 攻めモード(約1,260万円):
    → 私立理系+下宿費の一部までカバーできるかもしれないレベル

ここから見えてくるポイントは2つです。

  1. こどもNISA“だけ”で教育費全部をまかなうのは、さすがにキツい
    • 塾・習い事・高校・私立中学などまで含めると、1,000万円を超えてくることも普通にあります。
    • こどもNISAは、「教育費の山」のうち大学以降を中心にカバーする“強力なサブエンジン”くらいに考えるのが現実的です。
  2. それでも、あるとないとでは“選択肢の自由度”が大違い
    • 「実家から通える国公立しか現実的じゃない」
    • 「私立理系や海外大は、宝くじレベルの奇跡がないと無理」
      という状態から、
    • 「頑張れば、下宿や私立も現実的に検討できる」
      くらいまでは、一気に景色が変わります。

ここで、CFOとしての考え方が効いてきます。

「うちの家計バランスシートで見たとき、
 こどもNISAでどのくらい“教育費の山”をカバーできたら合格ラインか?」

例えば:

  • 親の老後資金も心配 → こどもNISAでは“大学費用の半分くらい”を狙う
  • 親の年金や退職金にそこそこ余裕がありそう → “大学費用+留学1回分くらい”を視野に入れる

…という感じで、“目標金額”をざっくり決めると、毎年の積立額やリスクの取り方も決めやすくなります。

「児童手当をコアにする」という考え方

初心者でも取り入れやすいのが、

「児童手当を、そのままこどもNISAの積立原資にする」

というやり方です。

  • 今まではそのまま生活費の足しにしていた
  • 普通預金に入れっぱなしで、特に目的なく貯まっている

というケースも多いはずです。

こども向けNISAの解説では、児童手当をベースにして自動積立を設定する案がよく紹介されています。

  • 生活費からムリにひねり出すのではなく
  • 「もともと子どものための給付」を、「将来のための積立」に変えるだけ

この発想にすると、心理的なハードルがかなり下がります。

シミュレーションから見えてくる“ほどよい期待値”

ここまでの話をまとめると、

  • 18年という長い時間をかければ、“元本600万円”が“770万〜1,260万円”程度にふくらむ可能性がある
  • こどもNISAは、「教育費の全部」ではなく「大学以降を中心に支えるサブエンジン」と考えるとリアル
  • 児童手当をコアにすれば、「新しい負担感」をあまり増やさずにスタートできる

というあたりが見えてきます。

ここで重要なのは、

「攻めモードの1,200万円超」を“夢の上限ライン”くらいに見ておき、
堅実〜標準モード(770万〜1,000万円前後)を現実的な射程として考える

ことです。

このくらいの温度感で考えておけば、

  • SNSで「年利10%で回せば…」みたいな投稿を見ても、
  • 「いやいや、うちはそこまでギャンブルしない」と落ち着いてスルーできます。

このセクションでは、「0歳から18歳まで、こどもNISAを使うとどれくらいの規模感になりそうか」をざっくりつかみました。

次のセクションでは、CFOとして絶対に押さえておきたい

  • 「これはやっちゃアカン」NG運用例
  • リスクの取り方・引き出しタイミングの考え方

を、初心者向けにかみ砕いて整理していきます。

“やっちゃいけない運用例”とCFOとして決めておきたいルール

こどもNISAは「攻める場所」じゃなく「守りながら育てる場所」

ここまで見てきたように、こどもNISAはうまく使えば、18年という長い時間を味方につけて、子どもの選択肢を増やしてくれる強い味方です。

ただし一方で、

  • 「どうせ非課税なら、ここで一発当てたい…」
  • 「株で増やして、教育費も老後もぜんぶ解決したい…」

みたいな気持ちがムクムクと出てきやすい場所でもあります。

ここで大事なのは、

こどもNISAは、“大勝負をする場所”ではなく、“時間を味方につけてコツコツ育てる場所”

というスタンスです。

このセクションでは、CFOとして絶対に避けたい「NG運用例」と、安心して続けるための「マイルールの決め方」を見ていきます。

NG例その1:教育費なのに“カジノ運用”をしてしまう

まず一番わかりやすい失敗パターンです。

教育費として使うつもりのお金を、ハイリスク商品に全ツッパする

イメージとしては、

  • レバレッジがかかっている商品(値動きが2倍・3倍になるタイプ)
  • 1社の株だけを大量に買う
  • 新興国の超ハイボラティリティなテーマに全集中 …など

こういうのは、「当たればデカいけど、外れたら一気に半分以下」みたいな世界です。

ここで冷静に考えたいのは、

「このお金が、大学の入学金や初年度の学費になるかもしれない」

という事実です。

  • 18歳の春に大きく値下がりしていたら?
  • 「学費で使うから、今このタイミングで売るしかない」というときに暴落していたら?

そのとき、「いや、10年後に戻るはずだから放置しよう」とは言えません。必要なときに売らざるをえないお金だからこそ、「カジノ運用」はNGになります。

CFOとしての対策

  • こどもNISAでは、1本または少数の“分散された投資信託”だけにする
    • 例:全世界株式や先進国株式など、たくさんの会社に分散されているタイプ
  • レバレッジ商品や個別株は、「親の趣味枠(特定口座など)」でやる
  • 「教育費として使うお金」は、攻めすぎない・一発逆転を狙わないと決めておく

NG例その2:親の“投機枠”を、子ども名義にねじ込む

次のNGは、もう少しリアルな話です。

本当は親が短期勝負したいお金を、こどもNISA口座で運用してしまう

たとえば、

  • 自分のNISA枠や口座はすでにパンパン
  • でも、まだ「こどもNISA枠」がガラ空き
  • 「じゃあ、こどもの枠でちょっと短期の売買もしちゃおうか…」と発想してしまう

これは、気持ちはわかるのですが、CFOとしては完全にアウトに近い運用です。

なぜかというと、

  • 目的が「子どもの将来のため」ではなく、「親の投機枠の延長」になっている
  • 短期売買を繰り返すと、
    • 売るタイミングを外したときに、「学費に使えない」という事態も起こりやすい
  • 子どもが大きくなったとき、「なんでそんなギャンブルしてたの?」と説明しにくい

といった問題が出てくるからです。

CFOとしての対策

  • 口座ごとに「目的」をハッキリ決める
    • 親のNISA:自分たちの老後や資産形成
    • 特定口座:短期売買・遊び枠
    • こどもNISA:子どもの教育費・将来の選択肢のため
  • こどもNISAでは、「売買回数を少なくする」「基本は積立+長期保有」というルールを決める
  • 「これは子どものお金」と、自分の中で線を引く

「これは子どものお金だから、親の欲は持ち込まない」と決めてしまうと、判断が一気に楽になります。

NG例その3:引き出しタイミングを考えず、ギリギリまでフルリスク

もう一つのよくある落とし穴が、

必要になる時期を考えず、18歳直前まで“フルリスク運用”を続けてしまう

というパターンです。

教育費として使うタイミングは、ざっくりこんな感じでやってきます。

  • 高校入学
  • 大学受験・入学金
  • 大学の授業料・仕送り

こどもNISAの「引き出しは12歳からOK」というような案が出ているのは、
「中学・高校・大学と、徐々にお金が必要になるから」という事情もあります。

ところが、

  • 「せっかく18年運用するんだから、最後の最後まで株100%でいきたい」
  • 「ギリギリまで増やしたいから、売却は18歳の直前でいいや」

という考え方をすると、「使う直前の暴落」にモロに巻き込まれるリスクが高くなります。

CFOとしての対策

  • 「いつ、どのくらいお金を使うか」をざっくり決めておく
    • 例:
      • 高校入学時に◯◯万円
      • 大学入学時に◯◯万円
  • そのタイミングの2〜3年前から、少しずつリスクを下げていく
    • 投資信託を一部売って現金にしておく
    • 株式比率を下げ、値動きの小さい商品に切り替える
  • 「“出口戦略”も含めて運用」と考える
    • 買うときだけでなく、「いつ・どうやって売るか」までセットでイメージする

「必要なときに、ちゃんと現金で用意できる」
これができてこそ、CFOの仕事は完了です。

CFOとして決めておきたい“マイルール”

ここまでのNG例を踏まえて、こどもNISAを安心して続けるために、CFOとして次のような「マイルール」を決めておくと楽になります。

  • ① 目的
    → 「大学以降の教育費+将来の選択肢のため」とハッキリ言葉にする
  • ② 積立額の上限
    → 「児童手当+無理のない範囲の上乗せ」にとどめる
    → 生活防衛資金(生活費の6か月〜1年分)ができるまでは、積立を増やしすぎない
  • ③ 投資商品の範囲
    → 分散されたインデックス型の投資信託をメインにする
    → レバレッジ商品・個別株はこどもNISAでは買わない
  • ④ 点検のタイミング
    → 年に1回、「残高」と「必要な時期」を眺める日を決めておく
    → そのタイミングだけ、リバランスや売却を検討する(普段は画面を見すぎない)
  • ⑤ 家族での共有
    → 子どもが中学生・高校生になったら、ざっくり状況を見せて、「あなたのためのお金だよ」と話す
    → お金の話を“タブー”にしない

これくらいシンプルなルールでも、最初に決めておくと、

  • SNSの情報に振り回されない
  • 暴落が来ても「ルールどおりだからOK」と落ち着いていられる
  • 子どもが大きくなったときにも、胸を張って説明できる

というメリットがあります。


このセクションでは、

  • 教育費で“カジノ運用”する
  • 親の投機枠を子ども口座に持ち込む
  • 引き出しタイミングを考えず、ギリギリまでフルリスク

といった「やっちゃいけない運用例」と、
CFOとして決めておきたいマイルールを整理しました。

ここまでくると、

「こどもNISAをどう攻めるか?」ではなく
「家族全体のバランスシートの中で、どう“守りながら育てるか?”」

という視点がだいぶ固まってきたはずです。

結論:0歳からの資本政策は「今日の小さな一歩」から始まる

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。

0歳からこどもNISAが使えるようになるかもしれない――このニュースは、たしかにインパクトのある「パワーワード」です。でも、この記事を通して一番お伝えしたかったのは、

制度そのものよりも、「親がCFOとして家族全体のお金をどうデザインするか」が大事

という一点です。

子どもは、まだ売上ゼロの“未上場スタートアップ”です。
でも、時間という最強の味方と、親の資本政策しだいで、そのスタートアップは大きくも小さくもなります。

  • 家族を1つの「○○ファミリー株式会社」として見る
  • 教育費・こどもNISA・親の老後資金を、1枚のバランスシートの上でつなげて考える
  • 「攻める」のではなく、「守りながら育てる」こどもNISA運用を選ぶ

この3つを意識するだけで、「なんとなく不安だから、とりあえず貯金」といった受け身の状態から、
「うちの会社(家族)として、こういう方針でいきます」という、前向きな一歩に変わります。

完璧なプランである必要はありません。
最初は、

  • ざっくり現状を書き出してみる
  • 児童手当の一部だけ、こどもNISA用に回してみる
  • 投資信託を1本だけ選んで、少額で積み立ててみる

こんな「小さな一歩」で十分です。

大切なのは、「子どもの18歳」「自分たちの65歳」など、未来の自分たちの姿を一度イメージしてみて、

「そのとき、どんな選択肢を渡してあげたいか?」
を、親として・CFOとして言葉にしてみることです。

将来、子どもが18歳になったとき、
通帳や運用履歴を見せながら、こう言えたら最高です。

「あなたが生まれたときから、ずっとあなたのためにコツコツ積み立ててきたよ。
これは、あなたがやりたいことを選ぶための“スタート資本”だよ。」

その一言には、「お金」以上のメッセージが詰まっています。
親としての覚悟、時間をかけて育ててきた歴史、そして「あなたの可能性を信じている」という気持ち。

こどもNISAは、そのメッセージを形にするための一つのツールにすぎません。
でも、うまく使えば、家族のバランスシートに「安心」と「自由度」を足してくれる、頼もしい味方になります。

みなさんの「○○ファミリー株式会社」のCFOとして、
今日この瞬間からできる一歩を、ぜひ何か一つだけでも始めてみてください。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『子どもにかかるお金大全 NISA、保険、助成金もスッキリ分かる』寺澤真奈美・寺澤伸洋

こんな人に刺さる本
「とにかく教育費まわり、全部まとめて整理したい…!」という親CFO向けの1冊です。

NISAや保険、各種助成金まで、「子どもにかかるお金」をトータルで整理してくれる本。こどもNISAだけじゃなく、

  • 学資保険どうする?
  • どんな公的な支援が使える?
  • 結局いくらくらいかかるの?

といったモヤモヤを一気に整理できます。


『いちからわかる!お金のきほん 2025年最新制度対応版』横山光昭

こんな人に刺さる本
「お金の話がそもそもニガテ…」「NISAとか税金とか、一度きちんと整理したい」という、完全初心者〜ライト層にどハマりする1冊です。

2025年の最新制度に対応していて、

  • 収入と支出の基本
  • 教育費・住宅・老後などライフイベントごとの“必要なお金”
  • 新NISAなど、お金を増やす制度のざっくり解説

までを、図解とやさしい文章でまとめてくれています。


『月3000円からはじめる新NISA超入門』横山光昭

こんな人に刺さる本
「こどもNISAも気になるけど、自分の新NISAすら始められてない…!」という積み立てビギナーCFO向けの“背中を押す本”です。

タイトル通り、

  • 月3,000円レベルから新NISAをスタートする方法
  • ほったらかし投資の考え方
  • 忙しい人でも15分で始められるステップ

などが、かなり具体的に書かれています。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

月3000円からはじめる新NISA超入門 [ 横山光昭 ]
価格:1,397円(税込、送料無料) (2025/12/4時点)


『元外資系投資銀行トレーダーママが伝授 子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育』池澤摩耶

こんな人に刺さる本
「どうやって子どもにお金や投資の感覚を伝えればいいの?」と悩む教育熱心パパママCFOに刺さる1冊。

外資系投資銀行出身のトレーダーでもある著者が、

  • 子どもの“推し活”やブランド好きも「投資目線」でとらえ直す
  • 15歳からリアル投資ができる時代のマネー教育のポイント

などを、ストーリー仕立てで教えてくれます。


『パックンの森のお金塾 こども投資』パトリック・ハーラン(パックン)

こんな人に刺さる本
「子どもと一緒に、楽しく投資の話をしたい!」というご家庭向け。
投資歴30年のパックンが、小学生でもわかるように、

  • お金のキホン(貯める・使う・増やす)
  • 投資信託や株の基本
  • リスクとリターンの考え方

などを、動物キャラとマンガでやさしく解説してくれる本です。


それでは、またっ!!

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