みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
あなたのマンション、“多数決”で売られる日が来たら…どうする?
集合住宅の総会は、まさに小さな国家のようなもの。ここでの「民主主義」は、賛成・反対・無関心・所在不明……といった住民の声が交錯する舞台だ。なんと今、「多数決であなたの家が売られる」未来が現実味を帯びている。決議が通りやすくなる区分所有法の改正が進むことで、これまで1人でも欠席者がいると頓挫していた判断が、少数意見を押し切って成立する可能性が増えるからだ。この記事では、そんな波乱のマンション管理の世界を、投資・会計の視点も交えて読み解く。読者は、改正法の具体的な内容から「自分のマンションの資産価値を守る方法」まで、投資・会計の視点からも学べるだろう。最後には、わずか数十のオーナーが作る“国家”の未来を、感動的なメッセージで締めくくる。読むほどに面白く、気づきに満ちた内容をお届けしよう。
目次
集合住宅という民主主義の地獄

マンションとは、同じ建物を所有する人々で構成される一種の共同体。高齢化や相続の複雑化が進み、住民の半分近くが総会を無視するような状態では、合意形成はまさに“地獄絵図”だ。例えば、あるマンションでは「UberEats禁止」や「来客追加料金」など理不尽なルールがまかり通っていた。これらは管理組合の一部役員が決定したものだが、住民の賛否が分かれ、少数派は反発。多数派が無関心なら現状維持され、不条理が放置される。意見が割れると、多数決で決定されるのが原則だ。修繕を重視するオーナーが多ければ工事が進み、費用を節約したい人が多数派なら予算は凍結される。投資の視点でいえば、こうした意思決定が建物の資産価値を大きく左右する。
賛否両論:住民同士の意見対立
マンションでは、ひとつの問題に対し賛成派と反対派が激しく対立する。例えば大規模修繕の予算を巡る議論を思い浮かべてほしい。新しく外壁塗装すれば建物価値が上がると考える人がいれば、修繕積立金を増やしたくない人もいる。意見の対立自体は民主主義の醍醐味だが、その結果、少数意見が潰されるのは痛烈な経験だ。多数決では少数派の意見が切り捨てられてしまうため、「なぜ自分の懸念を誰も聞かないのか」と憤る人もいる。これは会社の株主総会にも似ている。多数の株主が経営方針を決め、会社資産の運用が左右されるからだ。しかしマンションの場合、少数派の懸念が完全に無視されて強行決議されると、納得しない住民にとって大きな不利益になる。たとえば、工事に多数決でゴーサインが出た結果、負担増に不満を持つオーナーは「突然倍になった積立金を払うしかない」という現実に直面する。ここには、民意と財務管理の摩擦が生じているのだ。
無関心の影響:会議が開けなくなる
しかし最も深刻なのは、「無関心な所有者」の存在だ。多くのマンションで住民の総会出席率は著しく低下している。たとえば100戸のマンションで総会に60人しか集まらず、その60人が全員である修繕案に賛成したとしても、従来の集計方法では残り40人も母数に含まれるため「60/100の賛成」で決議は通らない。会議に出席した60人は全員賛成しているにもかかわらず、30%の無関心者によって決議が成立しない理不尽。つまり、議員が全員賛成でも何も動かせない状況が生まれる。会計的に考えれば、この状態は「資金が凍結され、劣化リスクが累積する」状況に似ている。必要なメンテナンスが先送りされ、建物は劣化し、修繕費用は将来さらに増大してしまう。誰が止めているかと言えば、総会に来ないオーナー自身だ。無関心を決め込むことでトラブル回避に見えても、実際には自らの資産価値を毀損しているのだ。
所在不明者:見えない所有者の壁
さらに厄介なのは、「所在不明」の所有者だ。海外に移住したオーナーや、移転先のわからない相続人……こうした幽霊オーナーは、かつては議決の母数に無条件で含まれていた。つまり、会議で出席者全員が賛成しても、所在不明者がいると「○○戸中○○名賛成」には届かず決議が成立しない。投資・会計上、まったく説明がつかない非効率な状況だ。こうした見えないオーナーが「便宜的に反対とみなされる」ルールが続けば、いくら修繕案を提案しても実現できず、「老朽化に耐え切れず解体か売却しかない」という絶望的な結末を迎える恐れすらある。第1章では、こうした意見対立と「無関心・不在者問題」によってマンション自治が停止状態に陥る様子を描いた。まさに小さな国家が行き詰まる「民主主義の地獄」といえる。
法改正でどう変わる? 多数決の起死回生

このような「民主主義の死」にメスを入れるべく、国は区分所有法を大胆に改正した(2026年4月施行予定)。改正後は、建替えや売却など特別事項を除く総会決議について、「出席者の多数決」が原則となる。つまり、会議に出席した人(委任状提出や書面決議を含む)の過半数で決める仕組みに切り替わった。これにより、無関心者が議決の母数を押し上げる旧態依然のルールが撤廃される。先ほどの例でいえば、60人集まって全員が賛成すれば「60/60=100%」となり、新法下ではこれで可決される。国交省も将来の合意形成困難を見越し、こうした「出席者多数決」制度を導入している。この結果、会議に出れば意志を反映でき、管理が大きく前進することになった。
出席者多数決がデフォルトに
改正後の基本ルールはこうだ。総会出席者(実際に来た人、委任状提出者、書面決議者)の過半数で決議する。たとえば従来「区分所有者および議決権の過半数」が要件だった普通決議は、新法下で「出席者およびその議決権の過半数」に変わる。高齢者の多いマンションでも、会議に出席する意思があれば決断を後押しできるようになったわけだ。もちろん、建替えや売却といった特別決議では出席者が建物全体の過半数になる定足数も必要だが、いずれにせよ「会議に出なかった人が議決を握る」構図は大きく崩れる。投資家目線で言えば、意思決定がストップするリスクが減り、迅速な修繕投資や再生計画が可能になる。
所在不明者の除外制度
所在不明オーナー対策も盛り込まれた。改正法では、裁判所が「所在不明と認定した」所有者を決議の母数から除外できる仕組みが新設された。これまでは所在が不明だと議決を阻む要因になっていたが、今後は正式に除外申請し、総会の母数から外せるようになる。つまり、誰かが行方不明でも決議を速やかに成立させられる。会計管理の観点からも大きな前進だ。たとえば修繕積立金の使途が決められず凍結されていた状況は改善し、所在不明者の影響で予算が停滞することがなくなる。
その他の緩和策と管理制度
このほかにも、決議要件と管理体制に様々な緩和策が導入された。共用部分のバリアフリー化など重要な改修では、従来の3/4以上から3/4(状況により2/3)へ要件が引き下げられた。標準管理規約の見直しでは、総会招集時に議案要領の記載を必須化したり、通知期間を最短1週間に延長したりと、住民が検討しやすい環境を整えた。さらに、マンションに特化した“財産管理制度”も充実した。例えば、管理不全に陥った専有部や共用部を裁判所が選任する管理人に委ねる制度や、海外在住オーナーに代わって管理を行う「国内管理人」制度が創設された。これにより、海外に住む人が増加しても連絡体制が整備され、管理費滞納や共有部立ち入り拒否といった支障を未然に防げるようになる。第2章では、このように合意形成を劇的に進める改正点を見てきた。結果として、これまで停滞していた修繕や再生案が通りやすくなり、管理組合の機能回復が期待されているのだ。
マンション“終活”時代――地獄と救いの行方

改革によって、マンションの“再生オプション”が大きく広がる時代が来た。出席者多数決により運営は迅速化したが、さらに注目すべきは“終活メニュー”の解禁だ。これまで建替え決議と同等のハードルだった「マンションの解体・売却」や「まるごとリノベーション」が、多数決で可能になった。築古マンションの取り壊しや敷地売却も、条件を満たせば過半数で実行できるようになった。これを「終活マンション」の新形態ととらえる声もある。
修繕・再生が加速するメリット
制度の本来の目的は、滞っていた修繕・再生を加速することにある。例えば耐震不足が指摘される古いマンションでは、改正で建替え決議要件が5分の4→3分の4に緩和された。つまり、少しでも安全性の懸念があれば約75%の賛成で工事を進められる。必要な修繕が行われれば建物は安全性を保ち、長期的な資産価値も維持できる。投資家目線では、物件価値を上げる(価値維持する)ための投資が下りやすくなるわけだ。また、今後は「建物・敷地の一括売却」や「建物取り壊し+敷地売却」、「一棟リノベーション」といった従来は全員同意が必要だった再生手法も、多数決で可能になる。管理組合が「いっそ現金化したい」と考えた際、全員ではなく多数派の合意で実行できる自由度は、財務状況が逼迫したマンションにとって大きな救いになるだろう。
マイノリティの不安:「小さな国家」の落とし穴
一方で、この仕組みは民主主義の「多数決原理」から免れない。一部住民は「自分は反対なのに……」と立場を追い込まれるリスクを背負う。例えばマンション売却を考えてみよう。大多数が「高値で売り抜けたい」と多数決を進めると、少数意見で居住継続を望む人は覆す手段を失う。賃貸に出したいオーナーであっても、早期売却を望む人たちに押し切られるかもしれない。これこそ「多数決で進む時代の地獄」である。会計・投資の視点では、利益分配の問題も浮上する。売却で得た資金を各自の持分に応じて分配する必要があるが、納得できない補償交渉も起きるだろう。多数派になれば出口戦略を迅速にとれる半面、少数派は少数株主のように「反対できない」もどかしさを感じる。こうして多数決は選択の自由を与える一方で、その過程で切り捨てられる少数者の思いに冷酷な一面を持つ。
ビジネスチャンスと投資家の動向
改革によってマンションは投資対象としても面白い市場になってきた。たとえばデベロッパーや投資ファンドは、「ある程度住戸を買い占め→総会決議を掌握」という戦略を考えるかもしれない。また、海外資本が魅力的な築古マンションを一棟取得し、実質支配して再開発を進める動きも想像できる。実際、合意形成困難を避ける目的で「区分所有者の高齢化や多様化に対応する施策」を打ち出しており、外国人居住者対策や国内管理人制度などが検討されている。マンション管理はもはや単なる居住空間の問題ではなく、「小さな企業の会計・投資戦略」に近づいた感すらある。つまり保守コストとリターンを計算し、最適な決断を多数決で下す時代になったのである。
結論:沈黙から行動へ――一人ひとりが主人公
マンションという“都市の縮図”では、民主主義の難しさが日々の暮らしで実感される。だが法改正は、このジレンマを乗り越えるカギでもある。これからは「選択しない」ことが最大の損失を生む時代だ。お互いの生活を尊重しつつ、自ら声を上げて議論に参加しないと、権利も財産も静かに失われていく。喜ばしいことに、必要な修繕や再生はもはや少数派に阻まれず進められる。これはまさに危機を救う一筋の光だ。
なお、この改正法は2026年4月に施行予定なので、管理規約の見直しなどは早めに進めておきたいことだ。しかし、この光を生かすも殺すも住民次第だ。この法改正は単なるルール変更にとどまらない。マンションという小さな国家に生きる私たち一人ひとりが、自らの「当事者意識」を高める契機でもある。マンションの未来は、管理組合員である私たちが決める。だからこそ、誰もが主人公なのだ。新しいルールを味方につけ、未来を信じて行動すれば、自分たちのマンションは荒地から花畑へと変わる。自ら参加して声を上げることで、あなたのマンションは真の救いを手にできるだろう。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『Q&A 区分所有法の改正‐マンションの管理と再生の新しい仕組み‐』渡辺 晋
「結局、何がどう変わるの?」を最短距離で回収できる“地図”。所在不明・無関心・担い手不足…改正が狙う痛点がQ&Aで整理されていて、初心者でも読み進めやすい。ブログの「多数決要件の見直し」パートの骨格づくりに強い。
『新旧対照でわかる 改正区分所有法の要点』日本弁護士連合会 司法制度調査会
“多数決で動く制度”の変更点を条文ベースで腹落ちさせたい人向け。新旧対照なので、改正前の常識がどこでひっくり返るかが一発で見える。ブログの「民主主義の地獄=ルール設計の地獄」を描くのに相性が良い。
『マンション管理法律相談201問 —— 弁護士が答えるマンション管理会社・管理組合からの質問』編著:香川希理/著:島岡真弓・松田優・上田陽太
「賛成・反対・無関心・モンスター・善意の素人理事」が全員出てくる“現場の百科事典”。裁判例や規約、実務の落とし穴が具体的で、ブログにリアリティ(=読者の背筋)を入れられる。
『マンション管理 建替え・修繕 徹底ガイド 2025年版(日経ムック)』
“建替え or 延命”が家計じゃなく「共同体の意思決定」になる瞬間を、費用感・進め方の解像度で補強できる。投資視点なら「資産価値」「流動性」「出口(売却・建替え)」の言語化に使える一冊。
『マンション管理組合の経理実務〈第2版〉——問題となりやすい税務・会計・監査がわかる』
民主主義の地獄は「議決」だけじゃなく「お金の見えなさ」からも生まれる。修繕積立金、滞納、監査、税務、第三者管理…“燃えやすい論点”がまとまっていて、会計の説得力を注入できる(管理組合のPL/BSっぽい発想で語れるようになる)。
それでは、またっ!!
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