みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
あなたの通信会社、“コミケという決算日”に耐えられますか?
コミケ当日、東京ビッグサイトに着いた瞬間に「あ、投稿できない」「地図が開かない」「連絡がつかない」——この“あるある”って、参加者にとってはストレスだけど、通信会社にとっては一年で最も評価が露骨に出る日だったりします。普段は「なんとなくつながる」でも許されるのに、コミケだけは違う。人が極端に密集して、同じ場所で、同じ時間に、みんなが一斉にスマホを触る。ここで耐えられない通信は、SNSで秒で拡散され、体感として「このキャリア、弱い」が刻まれます。つまりコミケは、通信会社にとって“通信品質の決算発表”みたいなものなんです。
実際、各社はコミケ107(2025年12月30日〜31日)に向けて対策を積んでいます。たとえばドコモは、西待機列エリアに臨時の5G基地局を新設し、東駐車場の待機列には従来より収容力が高い新型の移動基地局車(3セクタMMU)を投入、さらに会場全体の5G SA化も継続するとしています。
au(KDDI)も、会場向けに5G対応の車載型基地局3台・可搬型基地局6台を設置する、と明示しています。
ソフトバンクもイベント対策としてコミケ107を掲げ、移動基地局車や衛星Wi-Fiなどで混雑緩和に取り組む方針を公開しています。
ここが投資と会計の視点で面白いところで、移動基地局=短期のコスト(CAPEX/OPEX)なのに、狙いは“その場の速度”だけじゃありません。混雑でつながらないと不満が増え、乗り換え(解約=チャーン)につながる。逆に「コミケでも普通に使えた」は、信頼として残る。つまり通信会社は、コミケで短期コストを払って、長期の解約率低下とブランド価値を買いにいくわけです。
この記事では、この“決算イベント”の正体を、初心者向けにサクッと解体します。
- なぜコミケが「一番つながらない日」になりやすいのか
- 移動基地局/臨時局/5G SA/衛星Wi-Fiって何が効くのか
- そのコストはどこに計上され、どう回収されるのか(投資×会計)
- 参加者ができる「自衛策」(設定・回線の持ち方)
目次
なぜコミケは「一番つながらない日」になりやすいのか

コミケ会場で通信が重くなるのは、単に「人が多いから」だけじゃありません。ポイントは“同じ場所・同じ時間に・同じ行動をみんなが一斉にやる”こと。これが起きると、電波そのものよりも、基地局まわりの処理が追いつかなくなって「つながってるのに遅い」「アンテナ立ってるのに送れない」が発生します。ここを理解すると、キャリアがなぜ毎回ガチで対策するのかもスッと腑に落ちます。
電波は「空気」じゃなくて「席数」がある
電波って、無限に流れる空気みたいに思いがちなんですが、実際はライブ会場の座席に近いです。
そのエリアに使える“席数(通信できる枠)”があって、座りたい人(通信したいスマホ)が一気に増えると、席が足りなくなります。
しかもコミケは、みんなが同じタイミングで
- 入場前に地図・チケット・連絡
- 開場直後にSNS投稿
- 購入後に写真アップ
みたいに、同じ種類の通信を同時に投げがち。これが「席の取り合い」をさらに激しくします。
基地局は「会場全体」を1台で見てない(担当エリアが分かれている)
基地局は会場全体をドーンと1台で面倒見てるわけじゃなく、実は細かいエリアに区切って担当しています。
だから「自分の周りの一角に人が密集」すると、その担当基地局だけが一気に混みます。
さらに厄介なのが、混雑時はスマホが
- つながらない → 何度もつなぎ直す
- 送れない → 再送を繰り返す
…を自動でやること。これ、本人は何もしてないつもりでも、裏では“行列に割り込みしようとして押し合いへし合い”みたいな状態になって、ますます詰まりやすくなるんです。
「ダウンロード」より「アップロード」が詰まりやすい理由
体感的に多いのが「見るのはできるのに、送れない」「投稿だけ失敗する」。
これはシンプルに、会場ではアップロード(送信)が集中しやすいからです。
コミケって、
- 友だちに位置共有
- 戦利品の写真を送る
- SNSに画像付き投稿
- 決済アプリや認証
みたいに、“送る系”が多い。送信が増えると、基地局側の処理も混みやすくなって、結果として小さな通信(メッセージや決済)まで巻き込まれて遅くなることがあります。
「画像だけ我慢すれば…」と思っても、会場全体で同じことが起きるので、体感の悪化につながりやすいんですね。
こういう「同じ場所・同じ時間・同じ行動の同時多発」は、普段の街中ではなかなか起きません。だからコミケはキャリアにとって、通信品質の弱点が一気に露出する年に数回の“本番”になります。実際に各社は、臨時の基地局を増やしたり、移動基地局車や可搬型基地局を入れたりして、会場の混雑に合わせた対策を明言しています。
移動基地局=短期コストなのに“得する”投資と会計の話

コミケ対策って「通信を速くするための技術バトル」に見えますよね。でも、通信会社の頭の中はもう少し“経営っぽい”です。ざっくり言うと、短期でお金を使って(コスト発生)、長期で失うお金を減らす(解約=チャーン抑制)という発想。だから各社は、移動基地局車や可搬型基地局、臨時局など“増設パッケージ”を持ち込んで勝負します。実際、ドコモは臨時の5G基地局新設や移動基地局車の投入などを説明し、auも車載型・可搬型基地局の設置台数を明示しています。
「移動基地局」は“買い切り”というより「短期レンタル+運用」
ここで一度、超やさしく言葉を整理します。
- CAPEX(キャペックス):設備にお金を使うこと(ざっくり“投資”)
- OPEX(オペックス):運営にかかるお金(人件費・燃料・電気・回線調整など、ざっくり“運用費”)
移動基地局車は「車と機材を持ってくる」ので、イメージ的には“ドーンと高い買い物”に見えます。でも実運用では、イベント期間だけ集中的にコストが乗る部分が大きい。
たとえば、車両や機材を保有していても、コミケ当日に必要なのは
- 会場への搬入・設置・撤収
- 電源や回線の確保
- 現地での監視・調整(人が張り付く)
みたいな「短期の運用」。つまり、“短期レンタル+臨時スタッフ増員”に近い感覚でお金が出ていきます。これが「短期CAPEX/OPEX」として語れる理由です。
“回線が死ぬ”のは売上ダメージより「信頼ダメージ」が大きい
「つながらないなら、その日だけの問題じゃん?」と思うかもしれません。
でも通信って、生活の土台なので、体験が悪いと感情が残ります。
- 連絡が取れない
- 決済が止まる
- 地図が出ない
- 認証が通らない
こういう“詰み体験”があると、ユーザーは次の日からも不安になります。そこで効いてくるのが解約率(チャーン)。
通信会社から見ると、コミケは「売上を増やすイベント」じゃなくて、解約を増やさないイベントなんです。
つまり、移動基地局に払うお金は、スピードを買うというより
「悪い体験がSNSで拡散 → 印象悪化 → 乗り換え増」
この連鎖を止めるための“保険料”に近い。
それでもやる理由:一人の解約が“長期の損”になりやすいから
ここが会計っぽい話のキモです。通信って、いったん契約したら月々の支払いが続きますよね。だから通信会社は、ざっくり言うと
- 1人が解約しないだけで、この先の毎月の売上が守られる
- さらに家族割・光回線・サブ回線など、まとめて離脱のリスクもある
…という構造を持っています。
だから、コミケ当日にちょっとお金をかけてでも、「逃げたい気持ち」を発生させない価値がある。
そして、ここが“決算イベント”っぽいところで、コミケは評価が極端に出ます。
普段は目立たない差が、混雑ピークでは一気に可視化される。各社が、臨時局や移動基地局、可搬型基地局などの対策を毎回しっかり公表するのは、「やってます」以上に、信頼の説明責任があるからです。
まとめると、コミケ対策は「回線を強くする技術」でもありつつ、経営目線では“短期コストで長期の解約損を防ぐ投資”です。
この視点で見ると、次に気になるのは「じゃあ具体的に、何を増やすと効くの?」ですよね。
対策メニューの“効き方”と、参加者ができる通信の自衛策

コミケ対策って「基地局を増やす」で一言で片づけられがちですが、実は“効き方”がそれぞれ違います。キャリア側は「混む場所・混む時間・混む使い方」を読んで、道具を組み合わせて戦う。そして参加者側も、ちょっとした準備で「詰み体験」をかなり減らせます。
臨時基地局・移動基地局車・可搬型基地局:いちばん分かりやすい“席数追加”
まず王道は、さっき話した「席数(通信できる枠)」を増やすこと。
- 臨時基地局(新設・増設):会場の近くに“常設に近い追加席”を作る
- 移動基地局車:車で“席数の塊”を持ってきて、混むエリアにドンと置く
- 可搬型基地局:運びやすい“席数の追加パーツ”を複数置ける
実際、ドコモは西待機列の臨時5G基地局新設や、東駐車場待機列に新型の移動基地局車投入などを説明していて、auも車載型・可搬型基地局の台数を明示しています。
初心者向けに言うなら、「混みそうな場所の近くに、臨時の“電波の受付窓口”を増やす」という話です。
5G SA・セクタ増強・収容力アップ:同じ場所でも“さばき方”を良くする
次はちょっとだけ中身の話。でも難しくしません。
混雑時に効くのは、席数を増やすだけじゃなくて、並んでる人を速くさばく(処理能力を上げる)こと。
ドコモが触れている「5G SA」は、ざっくり言うと5Gをより“5Gらしく”動かして、遅延や制御を改善しやすい形にしていく取り組みです(細かい仕組みは覚えなくてOK)。
また、移動基地局車で「収容力が高い新型」「3セクタ」みたいな話が出るのは、同じ場所でも担当エリアの分け方を工夫して、さばける人数を増やすため。要は、屋台を1つ増やすだけじゃなく、レジを3つに分けて回転を上げるイメージです。
衛星Wi-Fi・Wi-Fiオフロード:混雑の“逃げ道”を作る
そして最近の「おっ」となるのが、携帯回線だけに頼らない逃げ道。
ソフトバンクはコミケ107の対策として、移動基地局車などに加え、衛星Wi-Fiにも触れています。
これは超ざっくり言うと、スマホの通信が混んだら、会場内の一部で別ルート(Wi-Fi)に人を流して渋滞を軽くする発想。道路で言えば、一般道が渋滞したときにバイパスを開通させる感じです。全員が救われる魔法ではないけど、うまくハマると「送れない地獄」を薄くできます。
参加者ができる「通信の自衛策」5つ(地味に効く)
最後に、キャリア任せにしない“自分の守り”です。難しい設定はほぼ不要です。
- 連絡手段を2つ持つ:LINEだけでなく、SMSや別アプリ(Discord等)も用意
- 地図・入場情報は事前に保存:スクショ、オフライン地図、Webページの保存で“開けない”を回避
- 決済の逃げ道:電子決済だけにせず、現金や予備カードも(通信が死ぬと認証で詰む)
- 写真はあとで送る:混雑ピークは投稿を我慢して、テキストだけ送ると通りやすい
- 端末の切り替え小技:一度機内モードON/OFF、5Gが不安定なら4G固定を試す(状況によって改善することがあります)
こういう“地味対策”は、キャリアの大規模対策みたいに派手じゃないけど、当日の満足度を確実に上げます。
コミケは、キャリアにとっては信頼を取りに行く「決算日」。そして参加者にとっては、準備と工夫でストレスを減らせる「攻略対象」でもあります。回線が強いか弱いかを語る前に、混雑の正体と対策の種類を知っておくと、見える景色が変わります。
結論:一番つながらない日に、一番“信頼”が決まる
コミケの通信対策って、表面だけ見ると「イベントの裏方仕事」です。だけど、投資と会計の目線で眺めると、あれは通信会社にとっての“決算イベント”そのものです。
なぜなら、コミケは通信が苦しくなる条件が全部そろうから。人が密集して、同じ場所で、同じ時間に、みんなが同じ行動(連絡、地図、決済、投稿)を一斉にする。ここで起きる「つながらない」「送れない」は、単なる不便じゃありません。参加者の記憶に残り、SNSで共有され、“この会社は弱い/強い”という印象が短時間で固まっていきます。
だからキャリアは、移動基地局車や可搬型基地局、臨時基地局のような“短期のコスト”を払ってでも、混雑の山を越えようとします。これって派手な売上アップを狙う施策というより、「失点を防ぐための投資」に近い。たった一度の最悪体験が「次は乗り換えよう」を生み、その一人が家族や固定回線までまとめて動く可能性もある。通信は、毎月の積み重ねで信頼ができる商売だからこそ、いちばんキツい日に崩れると、取り戻すのに時間がかかるんです。
そして面白いのは、ここが参加者側の“攻略”にもつながること。キャリアがどれだけ対策しても、混雑ピークはゼロにはならない。だから私たちも、連絡手段を複数にしたり、地図を保存したり、決済の逃げ道を作ったりして、「詰み」を減らせる。コミケの現場で“つながる/つながらない”は運だけじゃなく、準備と設計でも変えられます。
結局、コミケで評価されるのは「最速」より「最後まで使える」通信。
一番つながらない日に、普通に連絡が取れて、決済ができて、必要な情報が見られる——それだけで体験はガラッと変わります。キャリアにとっては信頼の決算、参加者にとっては安心の保険。たった2日間の混雑は、通信の“本質”をいちばん正直に映す鏡なのかもしれません。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『60分でわかる! ファイナンス 超入門』
「決算イベント」という言葉を、感覚ではなく“数字の言葉”で説明できるようになる一冊。利益やキャッシュの見方がつかめると、「通信対策=短期コストだけど、失点回避で効く」の意味が一気にクリアになります。忙しくても読み切れるボリューム感も強い。
『見るだけでKPIの構造から使い方までわかる 会計指標の比較図鑑』
チャーン(解約)やARPUのような指標が、「結局なにを良くすれば上がるの?」に答えてくれるタイプの本。数字を“暗記”するんじゃなく、“つながり”で理解できるので、コミケ対策の話が「施策→KPI→評価」まで一本線で語れるようになります。
『決算分析の地図 財務3表だけではつかめないビジネスモデルを視る技術』
決算書を眺めるだけで終わらず、「この会社は何で稼ぎ、何に投資し、どこで詰まりやすいか」を読み解く視点が手に入ります。通信会社の“短期CAPEX/OPEX”をニュースから一段深く理解したい人に相性抜群。
『ネットワークがよくわかる教科書 第2版』
“輻輳(ふくそう)”って結局なにが詰まっているの?を、ムリなく解像度アップしてくれる基礎本。専門用語に飲まれず、通信の流れ(どこがボトルネックになりやすいか)をつかめるので、混雑ニュースの見え方が変わります。
『インプレス標準教科書シリーズ 続・5G教科書 NSA/SAから6Gまで』
5Gの仕組みを「なんとなく」で終わらせたくない人向けの本格派。イベント会場での通信対策(基地局・コア側・設計思想)を、表面のニュースから“構造”として理解したいときに効きます。「推しキャリアがなぜ強い/弱いのか」を理屈で語れるようになりたい読者に。
それでは、またっ!!
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