みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
その決算、本当に“数字”だけで読み解けますか?
「AIってすごいらしいけど、結局どこに投資すればいいの?」
「NVIDIAってよく聞くけど、何がそんなに強いの?」
──もしあなたがそんな疑問を感じたことがあるなら、この記事はまさに“読むべき一冊”のようなブログです。
2025年5月28日、NVIDIAが発表した最新決算。
その数字はまさに“AIの覇者”と呼ぶにふさわしいものでしたが、ただの好調な業績報告に留まりませんでした。
この決算には、「未来の稼ぎ方」と「企業が取るべきリスクとの向き合い方」、そして「個人投資家がどう動くべきか」という、3つの本質が詰まっていたのです。
このブログでは、社会人として働くあなたが「投資」や「企業経営」にもっと深く触れ、数字の奥にある物語を感じられるよう、以下の3つの視点から決算を徹底的に読み解いていきます:
✅ ポイント1:
NVIDIAはなぜこれほどの成長を維持できているのか?
──データセンター売上激増の本質と、それを支えるAIインフラの経済構造を解説します。
✅ ポイント2:
45億ドルの在庫評価損に潜む“ガバナンス力”とは?
──一見ネガティブな数値に見える損失の中に、会計的な誠実さと長期視点の重要性を見つけます。
✅ ポイント3:
Blackwellチップと未来の会計設計
──次世代製品が生み出す「減価償却×ストック収益モデル」の可能性と、投資家が取るべき戦略とは?
読み終わったとき、ただの決算分析ではなく、未来を読む力と、数字の背後を見抜く目が手に入っているはずです。
さあ、NVIDIAという“数字の物語”を一緒に読み解いてみましょう。
その先には、きっとあなた自身の新しい「投資戦略」が見えてくるはずです。
目次
AIの熱狂を数字で証明した男たち

売上441億ドル──“ブーム”ではなく“構造変化”
2025年5月28日に発表されたNVIDIAの決算は、市場の予想を大きく超えるものでした。売上は前年同期比+69%の441億ドル。しかもそのうち、実に391億ドルがデータセンター部門からの収益。これは前年比+73%という異常な伸びです。
けれどこの数字、ただのAIブームで説明するには不十分です。もっと重要なのは、「なぜここまで急拡大したのか」という構造的な背景。答えは、“生成AIの爆発的な普及”と、それを支える演算インフラの必然性にあります。
ChatGPTのような生成AIは、人間の脳に近い処理を再現するために、従来のコンピュータよりも遥かに高性能な計算能力を必要とします。しかもこれは一時的なトレンドではなく、社会の基本インフラとなりつつある領域。つまりNVIDIAは、ただの半導体企業から、デジタルインフラ企業に進化したのです。
売上だけじゃない、会計構造の進化も始まっている
売上と利益の拡大はインパクトがありますが、本当に面白いのはその“会計的背景”です。AIインフラを導入する企業は、NVIDIA製のGPUを購入し、それをサーバーやクラウド環境に組み込んでいきます。これらはすべて固定資産としてバランスシートに乗り、減価償却を通じて費用化されていく。
つまり、いまはNVIDIAの売上として計上されるその1台1台が、数年後にはユーザー企業の費用として表れ、PL(損益計算書)にインパクトを与えていく構図です。これは、単なる“今だけ儲かる”商売ではなく、長期的に資本と会計が循環するエコシステムが形成されている証です。
会計を知っている投資家なら、NVIDIAの好決算に対して“次はどこで費用が出てくるか”まで考えます。そしてそのときに見えてくるのが、企業体力・減価償却負担・キャッシュフローの持続性。利益率だけでは判断できない投資判断の深さがここにあるのです。
投資家に問われる“視点のアップグレード”
NVIDIAの数字を見て「すごい!」と思ったあと、あなたは次に何を考えますか? 売上成長に酔うのは簡単ですが、それは株価が上がるかどうかとは別の話です。むしろ今後求められるのは、この企業が何を資産にし、どんなリスクを抱え、どこまで持続可能な構造を築いているかを見抜く力です。
たとえば、データセンター部門が売上の大半を占めるという事実は、収益の集中リスクでもあります。また、その売上が一時的な大量発注によるものか、それとも定常的なニーズに基づくものかも見極めるべきポイントです。
数字の“高さ”よりも、“質”を読むこと。これが、次の時代の投資家に求められる視点のアップグレードです。NVIDIAの決算は、その格好の教材となるでしょう。
リスクは“会計”に語らせろ──NVIDIAの損失に潜む力強さ

45億ドルの在庫評価損は、恐れるに足らず
今回のNVIDIA決算でもう一つ注目されたのが、中国向けAIチップ「H20」にまつわる損失です。米政府の対中輸出規制により、同社は約25億ドル分のH20チップを出荷できなくなり、最終的に45億ドルという在庫評価損を計上しました。この数字だけ見ると、NVIDIAに暗雲が立ち込めているように見えるかもしれません。
しかし、ここにこそNVIDIAの“強さ”がにじみ出ています。在庫評価損というのは、企業が「これはもう今の価値では売れないかもしれない」と自ら判断して帳簿上の資産価値を引き下げる処理。つまり、未来に起こるかもしれない損失を、先に会計上で織り込むという、極めて慎重な対応なのです。
これは投資家からすれば、むしろ歓迎すべき会計姿勢です。多くの企業は損失をできるだけ先延ばしにしようとします。しかし、NVIDIAは自らのリスクを正直に見せ、財務の透明性と投資家への信頼を優先した。これを「短期的な痛みで済ませて、長期で勝ちにいく戦略」と捉えるか、「ネガティブ材料」と見るかで、投資家の成熟度が試されているのです。
ガバナンスの質は、P/Lににじみ出る
数字には表れにくいけれど、確実に企業価値を決める要素──それが「ガバナンス(企業統治)」です。そしてそれは、NVIDIAのこの在庫評価損にも如実に現れています。
例えば、損失計上を決断したタイミング。H20チップの中国出荷が規制されたのはごく最近のこと。にもかかわらず、四半期内に即座に45億ドルもの評価損を計上するというのは、驚くほどの判断スピードです。経理部門と経営層が一体となって、リスクを先読みし、投資家への説明責任を果たすために動いた証拠と言えるでしょう。
こうした“会計に現れる経営判断”は、短期的な株価には直接反映されないかもしれませんが、長期で見れば確実に評価されます。なぜなら、それは企業の誠実さや判断力、そして意思決定の文化そのものを表しているからです。
「透明な会計は信頼の源」──この原則を、NVIDIAは今回の決算で実行してみせたのです。
投資家に求められる“損失の読み解き力”
ここで考えてほしいのは、「損失=悪」ではないということ。投資初心者ほど、赤字や損失の文字を見ると身構えてしまいます。でも、重要なのはなぜ損失が出たのか、その背景にどんな戦略や文化があるのかを読み解くことです。
たとえば、今回の在庫評価損は、「売れないものを抱えている」のではなく、「売れなくなった理由が政治的リスクに起因している」という、NVIDIAには非がない事象。それでも自社の責任として処理したという事実が、将来的なガバナンスリスクの低さを証明しているとも言えます。
また、こうした“会計上のバッファ”があることで、将来的に規制緩和や市場回復が起きた際、逆に収益として戻る余地も生まれます。つまり、損失は時に、次の成長の「埋蔵資産」にさえなりうるのです。
目先の数字だけに一喜一憂せず、その背後にある会計の思想や戦略を読む力。これがあるだけで、あなたの投資判断の質は一段と高まるはずです。
未来は設備から“仕組み”へ──Blackwellが変えるNVIDIAの収益構造

Blackwellという“資産”が示す戦略
NVIDIAの次なる一手──それが次世代AIチップ「Blackwell」シリーズの投入です。性能面の進化はもちろんですが、投資家として注目すべきは、その背景にある“戦略的な資産設計”です。
Blackwellは、従来のGPUと比べて消費電力を抑えつつ、演算能力を飛躍的に向上させたアーキテクチャです。つまり、ユーザー側からすれば、電力コストも冷却コストも削減でき、TCO(Total Cost of Ownership=総保有コスト)が下がる。ここが投資判断において非常に重要です。なぜなら、コスト削減はすなわち設備投資の回収期間が短くなるということであり、企業の意思決定を後押しするからです。
しかも、このチップは単なる“モノ”ではなく、“サービスモデルへの入り口”でもあります。Blackwellを導入することで、ユーザーはNVIDIAのソフトウェアやクラウドサービスとより深く連携するようになり、継続課金型の収益構造へと転換が進むのです。
設備投資がストック収益を生む──PLの構造転換
従来のNVIDIAは、GPUを売って終わりの“売切型”ビジネスが主流でした。しかし、Blackwell以降の戦略を見ると、その構造は明らかに変わっています。具体的には、「初期投資+年間サブスクリプション」というモデルが拡がり始めているのです。
これが何を意味するかというと、PL(損益計算書)の安定性が増すということです。売上の大半をハードウェアに依存していた頃は、四半期ごとの受注状況で業績が大きくブレやすかった。しかし、サブスク型の収益が増えていくと、未来のキャッシュフローの見通しがつきやすくなり、企業価値の算定が容易になります。投資家にとって、これは非常に心強い材料です。
また、この構造転換は減価償却の観点からも重要です。GPUの出荷によって短期的には売上が立ちますが、NVIDIAにとってはその後のソフトウェア利用料が安定収益として計上される。つまり、一度の設備投資が、長期にわたって利益を生み続ける“資産”になるのです。
このように「モノ売り」から「仕組み売り」へと転換していくNVIDIAの収益モデルは、企業の成長をより持続的なものにし、評価の基準を単なる売上高からLTV(顧客生涯価値)へと引き上げる力を持っています。
インフラ輸出が導く“地政学的収益多様化”
NVIDIAは、アメリカだけでなく、中東のサウジアラビア、アジアの台湾など、世界中でAIインフラの構築プロジェクトを進めています。また、ボストンでは量子コンピューティング研究拠点の設立も表明しました。
このグローバル展開が持つ意味は、単なるマーケット拡大にとどまりません。地政学リスクを分散し、特定国への依存度を下げることで、外部環境に左右されにくい経営体質を実現しようとしているのです。先のセクションで触れた中国リスクの反省を、戦略に落とし込んでいる形とも言えます。
さらに興味深いのは、これらのプロジェクトが一部国営資金や政府主導で進められている点です。これはつまり、NVIDIAが「国家レベルのITインフラ」として認知されているということであり、民間企業でありながら公共性のある収益源を獲得していることを意味します。
企業が持つリスクというのは、数字で割り切れるものではありません。しかし、NVIDIAのように収益源の地理的多様化や政府とのパートナーシップを強化している企業は、長期的に見て“予期せぬ衝撃”に強い体質を持っているのです。


結論:数字の向こうに見える“人間の選択”
NVIDIAの決算は、ただの“好業績の報告”ではありませんでした。それは、時代の変化に対して真っ正面から向き合い、時に損失を受け入れながらも、自らの価値を未来に繋ごうとする、ひとつの企業の“意思表明”だったのです。
売上や利益という数字の裏側には、リスクを直視する勇気もあれば、変化を恐れず前進する戦略もある。そして何より、それを支える“誠実な会計”と、“人間の判断”がありました。
私たち個人投資家が決算を読むとき、必要なのは数字の大きさに一喜一憂することではなく、その数字が語る“物語”を聴くことです。
なぜこの損失を今、計上したのか。なぜこの製品を次に打ち出したのか。なぜこの国へ進出したのか──
その背景には、数字では語れない無数の“選択”があります。だからこそ、投資とは単なる利益追求ではなく、企業の歩みに共感し、その未来を信じる行為なのかもしれません。
この決算から何を感じ、どう動くか。答えはひとつではありません。けれど、数字の向こうに“信念”を見つけたとき、あなたの投資は、きっとただの運用ではなく、“物語の一部”になっていくはずです。
数字の先に、人間がいる。
そのことを教えてくれる決算に、私は素直に、感動すら覚えました。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『図解でスッキリ収益認識の会計入門』
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それでは、またっ!!

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