みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。
従業員の“ひと声”が、広告予算を超えるヒットを生むって知ってましたか?
新商品を開発しても、ヒットさせるのは簡単ではありません。広告に多額の予算を投じても顧客の心を掴めず、静かに消えていく商品は数知れず…。その突破口となるのが、「現場の確信」から生まれる発想です。
コンビニ業界では、従業員が自ら“市場調査装置”となり、ヒットする商品を選び抜くというユニークな試みが実際に成果を上げています。森永製菓の人気ソフトキャンディ「ハイチュウ」とセブン-イレブンのコラボ企画で、まさにこの手法が用いられ、見事に“当たる商品”を生み出しました。
本記事では、その具体例である「セブン限定ハイチュウ」プロジェクトの舞台裏を深掘りしながら、現場発のアイデアがどれほど強力なR&D(研究開発)になり得るかを探っていきます。現場を信じ、従業員をコストではなく“最強の資産”と捉える視点が、いかにヒット率を高め、ビジネスに新風を巻き起こすのか――投資や会計の視点も交えて考察します。
読み終える頃には、あなたは「従業員の声を活かす」ことの真の価値に気づくでしょう。明日からの商品企画やチーム運営に活かせるヒントが満載です。それでは早速、物語の始まりです。
現場発ヒット:セブン限定「ハイチュウ」はこうして生まれた

発端は50周年企画:店員アンケートが商品化に直結
「ハイチュウ」は1975年発売のロングセラーキャンディで、2025年に発売50周年を迎えました。その節目に企画されたのが、セブン-イレブン現場スタッフへのアンケートです。全国の店舗で働く従業員12,594人に対し、「今、一番発売してほしいハイチュウの味」を尋ねるアンケートが実施されました。これは従来のマーケティング調査とは一線を画すユニークな試みで、“現場のプロ”である店員たちが自分たちの経験と勘に基づいて「この味なら売れる!」と思うものに投票したのです。
このアンケートでNo.1に選ばれ、商品化が決定したフレーバーが後に大きな話題を呼ぶことになります。森永製菓とセブン-イレブンの担当者たちも、結果に込められた現場の熱量に手応えを感じたと言います。現場のお墨付きを得た新商品が、いよいよ世に出ることになりました。
第1弾「ギャラクシーアップル味」:宇宙をイメージした未知の果実
アンケート結果から生まれた第1弾が、2025年12月発売の限定商品「ハイチュウ〈ギャラクシーアップル味〉」です。名前からしてインパクト大ですが、その味わいもユニークでした。青りんごの爽やかな酸味にハチミツの甘みとスパイスの香りを加え、「宇宙のどこかで育つ架空のフルーツ」を表現した前代未聞のフレーバーです。まさに未知の果実をかじるような不思議なおいしさで、大きな話題を呼びました。
発売後はメディアやSNSで取り上げられ、店頭でも品切れが出るほどの人気となります。個性的なパッケージデザインや遊び心ある仕掛け(※個包装におみくじメッセージが印刷されていたことも話題に)も奏功し、社内外の期待を背負ったギャラクシーアップル味は見事にその期待に応えたと言えるでしょう。
第2弾「セブンカラー3色MIX」:企業カラーを味で再現
第1弾の盛況を受け、2026年1月には早くも第2弾が登場しました。「森永 ハイチュウ セブンカラー3色MIX」は、その名の通りセブン-イレブンのコーポレートカラー(オレンジ・緑・赤)をモチーフにした特別なハイチュウです。マンゴー(セブンオレンジ)、キウイ(セブングリーン)、ストロベリー(セブンレッド)という3つの人気フレーバーを1粒に凝縮し、鮮やかな3色ストライプ模様のキャンディに仕上げました。
このフレーバーも従業員アンケートで上位に選ばれ、商品化を望む熱い声が特に多かったものです。担当者は「3つの味がシンクロするジューシーな新感覚を楽しんでほしい。忙しい日々のささやかなご褒美になれば嬉しい」と自信を見せています。セブン-イレブンでしか手に入らない特別なハイチュウとして、発売日には多くのファンが店頭に足を運びました。
第1弾のギャラクシーアップル味と食べ比べてみる楽しさもあり、ネット上でも「どっちも美味しい!」「次の限定も期待」といった声が上がっています。従業員アンケート発の商品が2連続でヒットしたことで、社内では「第3弾もあるかも?」と早くも盛り上がりを見せているようです。現場発の企画が成功する手応えを、企業全体が感じ始めています。
広告より強し?“現場の確信”がもたらすもの

広告では生めない「お墨付き感」と信頼
多くの消費者にとって、店員さんの「実はこれ、スタッフ投票で生まれた商品なんです!」という一言は、テレビCM以上に心強い推薦に聞こえるはずです。なぜなら現場のスタッフは日々お客様と向き合い、売れ筋や流行を肌で知っているプロだからです。そんな人たちが「これぞ」と選んだ商品なら、「きっと美味しいに違いない」と思わせる力があります。一方通行の広告とは異なり、現場発の商品には双方向の共感が宿るのです。
例えば、店員さん自身が「これ、私たちスタッフが選んだ味なんですよ!」と胸を張って勧めれば、お客様も「店員さんイチオシなら試してみようかな」という気持ちになるでしょう。企業が何億円かけても買えないこの「信頼距離の近さ」こそ、現場の確信が生み出す武器と言えます。
調査コストゼロ?内製マーケットリサーチの威力
新商品開発には本来、市場調査やテストマーケティングに多大なコストと時間がかかります。しかしセブン限定ハイチュウの企画では、そのプロセス自体を内製化してしまいました。社員アンケートという形で膨大な声を社内から集め、外部リサーチ会社を介さずダイレクトに商品企画へ反映したのです。
このアプローチの強みはコスト削減だけではありません。むしろ重要なのは、調査の精度と実効性です。全国のコンビニ従業員から寄せられた1万2千件超の声には、日々の現場観察に基づく生きた知見が詰まっています。「最近のお客様は何を求めているか」「地域ごとの嗜好の違い」といったリアルな感覚が反映されており、ハズレの少ない企画立案が可能になります。
新商品がヒットする確率は高くありません。実際、とある調査では新商品プロジェクトの成功率は10%未満とも言われます。しかし現場の知恵を借りれば、その成功率を引き上げることができるでしょう。事実、アンケートで上位に選ばれた時点で一定の支持が保証されており、商品のポテンシャルが担保されています。さらに「従業員アンケート1位!」という触れ込み自体がニュースバリューとなり、メディアやSNSで拡散される効果もありました。高額な広告を打たずとも、商品自らが宣伝塔になってくれるのです。
巻き込まれた現場が生む無敵の販促
自分たちの意見で誕生した商品には、従業員も愛着が湧きます。自信を持ってお客様におすすめできるので、接客にも自然と熱が入るでしょう。「これ、本当に美味しいんですよ!」という言葉に嘘偽りがなく、売り場でも積極的にプッシュされるはずです。
現場の士気向上と商品のヒットは好循環を生みます。現場が盛り上がれば売上も上がり、売上が上がればさらに現場に還元される――そんなポジティブなスパイラルが期待できます。従業員が自ら仕掛け人となった商品は、誰よりも従業員自身がファンになり、率先して広めてくれるのです。人件費を宣伝費に転化できているとも言え、これ以上心強い販促はありません。
従業員は最強の資産:現場発R&Dの未来

人件費は「未来への投資」:会計を超えた考え方
企業の財務諸表では、従業員に支払う給与や研修費用は「費用(コスト)」として計上されます。一方、研究開発費は将来の利益を生むと期待されれば資産計上も可能です。この違いが、「人件費=削減すべきコスト」という誤解を生んできました。しかし近年、人的資本という考え方が脚光を浴びています。人材は企業の資産であり、給与は将来価値を生む投資だという視点です。
今回のセブン-イレブンのケースでも、アンケート実施や商品化に多少のコストはかかったでしょう。ですが、それに見合う膨大なリターン(ヒット商品・メディア露出・ブランド向上 etc.)が得られました。従業員の声を引き出すことは、企業にとってROIの高い投資行為だと言っていいでしょう。
実際、ESG(環境・社会・ガバナンス)の潮流の中で、「人件費は将来価値を生む資産」という見解も提唱されています。社員への支出を単なる費用でなく投資と捉える企業の方が持続的に成長できる、というわけです。今回の取り組みは、そうした時代の流れを先取りした好例と言えるでしょう。
現場こそ隠れたR&D部門:アイデアは草の根から
こうした現場発イノベーションは何もセブン-イレブンだけではありません。例えば無印良品では、全国の店舗スタッフ発の地域色豊かなアイデアから新商品を選び、顧客投票で上位3品を商品化する企画が実施され、大きな話題を呼びました。現場とお客様が一緒に作り上げたストーリーは、商品への愛着やブランドへの共感を一層高める力があります。
R&Dを特定の部署や専門家だけに任せず、現場や顧客の声を掛け合わせることが、これからのスタンダードになるかもしれません。身近なところにこそヒントがあり、そこに耳を傾ける企業が次のヒットを掴むのでしょう。
エンゲージメント経営が作る最強チーム
最後に、「従業員はコストじゃない」の根底にあるエンゲージメント(従業員の愛着心・主体性)について触れましょう。従業員のエンゲージメントを高める経営は端的に言って強いのです。GEの元CEOジャック・ウェルチも「従業員のエンゲージメントなくして企業が中長期で勝ち続けることは不可能だ」と強調しています。
セブン-イレブンが今回行ったのはまさにそれでした。現場の声を尊重し、商品という形でフィードバックすることで、「あなたたちを大事に思っているから力を貸してほしい」というメッセージを示したのです。従業員から「自分たちは会社に貢献できた」という実感を引き出し、さらなるコミットメント(高い協力意欲)を誘発する狙いがありました。
その結果得られたのは、商品ヒットという目に見える成果だけではありません。従業員たちの会社への信頼感や誇り、「次も頑張ろう!」という前向きな空気といった、財務諸表には表れない無形の財産です。これらは長期的に見れば企業の競争力そのものでしょう。意欲に満ちた従業員ほど強力なR&D資源はありません。
従業員を単なるコストではなく「未来をともにつくるパートナー」と見る発想が、これからの企業の成長を左右すると言っても過言ではないでしょう。現場発のハイチュウ成功は、そのことを雄弁に物語っています。
おわりに
従業員が“市場調査装置”になったハイチュウ開発秘話から浮かび上がるのは、シンプルで力強い教訓です。「人を信じる会社は強い」――これに尽きます。
私たちは数値やマーケティング理論に頼りがちですが、目の前で頑張る人の“確信”ほど頼れるコンパスはありません。その確信が込められた商品には人の温もりが宿り、必ずお客様に伝わるものです。
今回のセブン限定ハイチュウは、一粒のキャンディに従業員たちの想いと自信が詰まった特別な例でした。「従業員はコストじゃない」という言葉は決してきれい事ではありません。従業員は会社にとって財産であり、最強のR&Dでもあるのです。それをこの小さなハイチュウが教えてくれました。自社のスタッフを信じて力を引き出せば、どんな企業にも“次のヒット”の芽が眠っているはずです。
深掘り:本紹介
もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。
『マーケティング1年目の教科書』
「そもそも“売れる”って何で決まる?」を、数字と現場感のあいだで往復しながら整理してくれる入門書。リサーチの位置づけや、SNS・店舗の接点の捉え方がまとまっていて、今回の“現場=調査装置”の話にすぐ接続できます。
『人的資本経営ストーリーのつくりかた:経営戦略と人材のつながりを可視化する』
「人は資産」と言うだけで終わらせず、どう語れば投資家・社内・現場が同じ地図を見られるかに踏み込むタイプ。ブログの結論を“きれいごと”にせず、骨太にしたい人に効きます。
『図解 人的資本経営』
人的資本って、言葉だけが先に歩きがち。これは図解で腹落ちさせてくれる本。「人件費=コスト」の呪いを、会計の言葉でほどくのに向いてます。読者の“抵抗”を先回りして潰せる。
『チームのワークエンゲージメントを仕組み化する スキルマネジメント』
「エンゲージメント上げよう!」みたいな精神論じゃなく、チーム運用として仕組みに落とす方向。現場投票が“単発のイベント”で終わらず、継続的な学習ループになる設計を考えるときの芯になります。
『イノベーションの経済学:「繁栄のパラドクス」に学ぶ巨大な社会課題の解決と収益化』
新規性のある企画って、だいたい社内で反対されます。これは「なぜ“すごい技術”が勝てないのか」を、経済の観点から言語化してくれる本。現場起点の開発が“なぜ強いのか”を、少し高い場所から補強できます。
それでは、またっ!!
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