“本社は東京”というブランド、そろそろ減損テスト入りです

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。 

“東京にいる意味”って、あなたの家計と時間に見合ってますか?

「うちの会社、本社は東京です」――この一言が、なぜか“信用”や“安心”に変換されてきた時代がありました。取引先の反応、採用の強さ、転職市場での見え方、そして“都心に通える”という生活設計まで。東京に本社があることは、企業にとっても個人にとっても、見えない資産(ブランド)みたいに機能してきたんですよね。

でも今、その資産に税制が真正面から揺さぶりをかけています。東京23区から地方へ本社機能を移す企業に、法人税の優遇をつける「地方拠点強化税制」。建物投資に対して特別償却25%または税額控除7%といった“分かりやすいご褒美”が用意され、雇用を増やすと1人あたり最大90万円(上乗せ分は最大3年)の税額控除も狙える仕組みです。しかも保育所・学童などの子育て施設が対象に入る流れもあり、「会社の移転=家族ごと動ける設計」に寄せてきています。

そして2025年12月2日には、政府・与党がこの税制について期限延長に加えて軽減率の拡大も視野に調整、という報道も出ました(今後の税制改正大綱に盛り込む方向で議論)。これ、ざっくり言うと「東京に居続ける合理性」を、税金でじわじわ薄めていく政策です。

ここで面白いのは、この話が“地方創生の美談”だけで終わらないこと。会計っぽく言うなら、東京一極のモデルそのものが、リスク増で「将来キャッシュを生む力」が落ちてきたから、国が税制で再配置を促している――つまり「東京の含み損処理(=集中のコストを分散)」にも見えるわけです。そうなると燃える論点は、企業の移転だけじゃありません。不動産(都心の需給)、転職(勤務地の前提)、子育て(施設整備のセット)、通勤(時間コストの見直し)まで、全部つながってきます。

この記事では、初心者でも置いていかれない言葉で、次のポイントを一気に整理します。

  • 「東京脱出に税優遇」って、結局なにが得なの?(制度の骨格)
  • 動くのはどんな企業? 動けない企業は何を失う?(ビジネスの現実)
  • 私たちの家計・転職・家選びにどう波及する?(生活への翻訳)
  • 投資と会計の視点で“東京ブランド”をどう見る?(減損テスト的な見方)

ここまで読んで「それ、会社の話でしょ?」と思った人ほど、たぶん最後に「生活の話だったわ…」ってなります。東京が強すぎた国の形が、“税金”というド直球で組み替えられる日が近いのかもしれません。

税優遇の正体は「引っ越し代を国が一部持つ」って話

「東京脱出に税優遇」と聞くと、なんだか大げさに見えるかもしれません。でも仕組みを超ざっくり言うと、これは “本社機能(会社の頭脳)を地方に移すなら、税金を軽くしてあげるよ” という制度です。
ポイントは「工場を建てる」みたいな話じゃなくて、経営・管理・企画・研究・人事など、会社の中心っぽい機能を地方に置くことを後押ししているところ。つまり、街の景色を変えるというより “仕事の重心”を動かす政策なんです。

そもそも「税優遇」って何が得なの?

初心者向けに言い換えると、税優遇はだいたい次の2種類です。

  • 設備投資の税金が軽くなる
    たとえば地方でオフィスを整えたり、研究・研修施設を作ったりすると、税金の計算上「経費っぽく扱える額」が増えて、結果的に税負担が減るイメージです。
    会社からすると、引っ越しって“お金が出ていくイベント”なので、ここを軽くしてくれるのはデカい。
  • 雇用を増やすと、さらに得になることがある
    地方で採用を増やすほど、税金が減る仕組みが組み込まれている場合があります。
    これが効くと、「移すだけ」じゃなくて“人も一緒に動かす” 会社が増えやすいんですよね。

要は、国が「地方に根を張る動き」を税金で買ってる、という感じです。

なぜ国はそこまでして“東京から分散”させたいの?

ここがこのネタの芯です。地方創生の“キレイな話”もある。でも同時に、現実的な理由もあります。

  • 東京が強すぎると、国全体が脆くなる
    災害・感染症・交通麻痺など、何かあった時のダメージが一気に来ます。
    企業の中枢が同じ場所に集まりすぎるのは、リスク管理として怖い。
  • 家賃・通勤・保育など「東京プレミアム」がコスト化してきた
    便利さの裏で、生活コストと時間コストがどんどん重くなる。
    これが積み重なると、会社にとっても「人が定着しない」「採用が高くつく」につながります。
  • 税制は、いちばん効く“行動スイッチ”
    補助金は申請が面倒だったり、単発で終わったりします。
    でも税制は、経営会議で刺さりやすい。「数字が変わる」=意思決定が動くからです。

なので、税優遇はメッセージでもあるんです。
「東京だけに集中する設計、そろそろやめようぜ」という。

会計っぽく言うと「東京本社ブランド」が減損テストされる理由

ここで“減損テスト”の話を、初心者向けにやさしく置き換えます。
減損って要するに、「その資産、昔ほど儲けを生まなくなってない?」と点検することです。

東京本社には、見えないメリットがありました。

  • 取引先の信用
  • 採用の強さ
  • 情報が集まる
  • 営業・移動が楽
  • “東京にいる”という安心感

でも今は、同時に見えないコストも増えています。

  • 家賃・オフィスコストが高い
  • 通勤の時間が長い(=疲れる、辞める)
  • 子育ての詰まり(待機・送迎・学童問題)
  • 災害など一極集中リスク
  • リモートで“東京にいる意味”が薄くなった業種もある

ここに税制が加わるとどうなるか。
「東京に置くメリット」vs「地方に移すメリット」 の天秤が、税金という重りで傾き始める。
つまり企業の中で、「東京本社ブランドは本当にこのコストに見合う?」という点検が始まりやすい。これが“減損テスト入り”っぽい状態です。


最後に大事なことを言うと、この制度は「明日から東京が終わる」みたいな話ではありません。
でも、企業の意思決定が“じわじわ変わる条件”が増えているのは確かです。税制はその中でも、いちばん現実的で、いちばん静かに効くタイプのパンチ。次のセクションでは「じゃあ、実際に動く会社はどこで、動けない会社は何が起きるの?」を、転職・不動産・生活に翻訳していきます。

動く会社・動けない会社――そして“生活”に降ってくる波

税優遇があるからといって、すべての会社が一斉に地方へ移るわけじゃありません。現実はもっと「選別」が起きます。
ここが重要で、動く会社が増えるほど、動かない会社の“東京に残る理由”が厳しく問われるようになります。結果として、転職市場も家探しも、じわじわ前提が変わっていきます。

動く会社の特徴:東京に“いる必要”が薄い

移転しやすいのは、ざっくり言うと「東京の住所が売上の源泉じゃない会社」です。

  • デジタル寄り(IT・SaaS・Web・コンテンツ制作)
    仕事がオンライン完結しやすい。
    「会う必要がある時だけ東京へ」で成立するので、本社機能を地方に置きやすい。
  • バックオフィス(経理・人事・総務・法務)を強くしたい会社
    東京の高コスト地帯に“支える側”を置くと、固定費が重い。
    地方へ移すと、同じ人数でも家賃・採用・定着で効いてくる。
  • 研究・研修・カスタマーサポートなど、広い拠点が欲しい会社
    東京だと広いスペースは高い。
    地方だと「広さ=コスト」じゃなくなって、育成や研究に振りやすい。

ここで会計の目線を入れると、移転は「気合い」じゃなくて固定費(毎月出ていくお金)の再設計です。
固定費が軽くなると、利益が安定しやすくなる。利益が安定すると、投資(新規事業・採用・設備)にも踏み切りやすい。会社にとっては、かなり現実的なメリットです。

動けない会社の特徴:東京に“いること”自体が商品

一方で、動きにくい会社もあります。これは悪い意味じゃなくて、ビジネスの性質の問題。

  • 対面が価値(金融の一部、専門サービス、超高単価BtoB営業など)
    重要顧客が東京に集中していると、距離がそのまま不利になる。
    特に「スピード」「偶然の出会い」「同席」が武器の業態は残りやすい。
  • 官公庁・大企業の本社相手で、商談の重心が都心にある会社
    “近いこと”が信頼になってしまうケースがある。
  • ブランドに“東京”が含まれる商売
    東京の住所が、そのまま価格や格付けに影響するタイプ。

ただし、ここで嫌な現実が来ます。
動けない会社ほど、東京のコスト上昇の影響を受け続ける。つまり、東京に残るなら、残るだけの「稼ぐ力」をもっと強くしないといけない
これが、あなたの転職や年収、働き方にもつながってきます。

生活への翻訳:転職・家・子育てがセットで動く

ここが一番燃えるところ。会社の移転は、社員の人生設計に直撃します。

  • 転職:勤務地の前提が変わる
    「東京勤務=当たり前」から、
    「地方拠点 or フルリモート or 週1出社」が混ざる世界に寄っていく。
    すると市場価値の作り方も変わります。
    どこでも働けるスキル(オンラインで成果を出せる力)が強くなる。
  • 家:都心プレミアムの“理由”が揺れる
    通勤が毎日じゃなくなるだけで、住まいの選択肢が広がる。
    「駅近・都心寄り」の価値は残るけど、“絶対条件”ではなくなる人が増える
    結果として、人気エリアは二極化しやすい。
    (超便利な場所は強い/中途半端な高さの場所は説明が必要になる)
  • 子育て:会社が“環境ごと”用意し始める
    税制の設計が、オフィスだけじゃなく保育・学童などの環境整備に寄っていると、
    会社は「家族ごと来てほしい」を言いやすくなる。
    ここは、単なる福利厚生じゃなくて採用戦略になります。
    “子育てしやすい場所×安定した仕事”のセットは、普通に強い。

そして個人のお金の話で言うと、これは「生活コストの構造改革」です。
家賃、通勤、外食、保育、時間…。
東京で高くなりがちなコストが下がると、同じ年収でも可処分所得(自由に使えるお金)が増える。
投資に回す余力も、子どもの教育費の余裕も、そこで生まれます。


このセクションの結論はシンプルです。
税優遇は「会社の引っ越し」だけじゃなく、働く場所の“当たり前”を分解して、人生のコスト構造まで動かす仕掛けになっている、ということ。
次はさらに踏み込んで、「これが不動産・地元経済・東京の街にどう効くのか?」――そして“東京の含み損処理”に見える理由を、もう一段わかりやすく言語化します。

これは地方創生だけじゃない——“東京の含み損”を静かに整理する税制

ここまで読んで、「地方が元気になるなら良い話じゃん」と思った人、正解です。
でも同時に、この制度はもう一枚、別の顔を持っています。
それは “東京に集めすぎた結果のコスト(見えにくい損)を、国全体で分散して処理していく” という側面。これを会計っぽく言うと「含み損処理」に見える、というわけです。

東京の“含み損”って何?(初心者向けに超翻訳)

含み損って、簡単に言えば 「表には出てないけど、じわじわ損してる状態」 です。
東京一極で起きやすい“じわじわ損”はこんな感じ。

  • 通勤時間が長い → 体力が削れる → 生産性が落ちる → 退職が増える
  • 家賃が高い → 会社の固定費も高い → 昇給の余力が減る
  • 子育て環境が詰まりやすい → 定着しにくい → 採用コストが上がる
  • 何か起きた時(災害・交通麻痺など)にダメージが集中する

これ、会社の決算書には直接「東京コスト」って書かれないんですが、実際は利益を削っていく。だから“含み損”っぽいんです。

不動産と街の変化:勝ち残る東京、説明が必要な東京

よくある誤解が「東京の不動産は全部ダメになる」ですが、たぶん違います。起きやすいのは 二極化 です。

  • 便利さが圧倒的な場所(主要駅近、職住近接が強い)
    → 価値は残りやすい。むしろ“勝ち残る東京”になる可能性。
  • 「東京だから高い」が通用していたエリア
    → “なぜここに住むの?”の説明が必要になってくる。

出社が毎日じゃなくなる人が増えるほど、家の選び方は「会社の場所」だけで決まらなくなります。結果、“東京プレミアムの中身”が問われるんですね。

地方側のリアル:地方が勝つ条件は「仕事+暮らしのセット」

地方が自動的に勝つわけでもありません。勝つ地方には条件があります。

  • 仕事がある(=本社機能や高付加価値の雇用が来る)
  • 暮らしが回る(=保育・教育・医療・交通が揃う)
  • 住まいが現実的(=家賃・住宅価格だけでなく供給もある)
  • コミュニティが閉じすぎない(=移住者が馴染める)

だから企業側も、ただの移転ではなく、研修施設や子育て支援などを絡めて“定着”を作りにいきます。ここが地方創生のコアであり、同時に「東京の集中コストを薄める」装置にもなる。


ここまでの話をひとことで言うと、税優遇は「地方にボーナス」ではなく、国全体の固定費を下げるための配置換えにも見える、ということです。
東京に残る会社は“東京にいる意味”を磨く。地方に移る会社は“暮らしごと設計する”。そして私たちは、勤務地や家の選び方をアップデートしていく——そんな流れが静かに始まっています。

結論:東京を出るかどうかより、「どこでも生きられる人」が強くなる

「東京脱出に税優遇」と聞くと、“東京が終わる”みたいに煽りたくなる気持ちも分かります。けど本質は、もっと静かで、もっと生活寄りです。
国が税制で後押ししているのは、単なる引っ越しじゃなくて 「仕事の重心」と「暮らしの前提」を分散させること。つまり、東京に集めすぎて生まれたコストやリスクを、国全体で薄めていく動きなんですよね。

会計っぽく言えば、東京本社という“見えない資産”が減損テストに入ったのは、東京に価値がないからじゃない。むしろ逆で、価値があるからこそ高くなりすぎて、「その価格に見合うだけの儲け(メリット)が出せる?」が問われるようになった。企業も個人も、同じテストを受けている感覚です。

そしてここから先、勝ちやすいのは「東京にいる人」でも「地方に移る人」でもなく、たぶん “どこでも成果を出せる人”
通勤が減るなら、時間を取り戻せます。家賃が下がるなら、毎月の固定費が軽くなります。その余白は、人生の防御力になります。たとえば、生活防衛資金を厚くしたり、余剰をコツコツ投資に回したり、学び直しに使ったり。派手じゃないけど、こういう「キャッシュの余裕」が、選択肢を増やすんです。

だから今日の結論はシンプル。
東京を出るか残るかの二択で考えなくていい。まずは “東京前提”で固まっていた自分の設計図を、少しだけ柔らかくする
転職の軸を「会社名」だけじゃなく「働き方」も入れて見る。住まいを「都心距離」だけじゃなく「時間の使い方」で考える。家計を「収入」だけじゃなく「固定費」で整える。
この小さなアップデートができる人から、税制が動かす時代の波を、怖さじゃなく追い風に変えていけます。

“本社は東京”がブランドだった時代は、確かにあった。
でもこれからは、「自分の人生の本社機能」をどこに置くかがブランドになる。
あなたの時間とお金と大切な人が、ちゃんと増える場所へ。税制の変化は、その決断を後押しするサインなのかもしれません。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『日本一わかりやすい地方創生の教科書』鈴木信吾

「地方創生って、結局なにをどう動かせばいいの?」を、制度や現場の打ち手まで超・平易な言葉で整理してくれる一冊。今回の記事テーマ(税優遇→企業移転→街の変化)を、読者が“自分ごと”に落とし込むのにちょうどいいです。


『地域課題分析レポート2024年秋号』内閣府

「東京圏への一極集中」や若年層の移動などを、データで確認したい人向けの根拠本。ブログの中で“感覚の話”になりがちな部分を、数字で支えてくれます。読者から「それソースあるの?」と言われた時の防具にも。

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『動都 移動し続ける首都』坂 茂 編

「首都機能を固定しない」という発想から、東京一極集中や災害リスクまで考える本。税制の話を“制度論”で終わらせず、国の設計・リスク分散の視点に引き上げてくれるので、記事のラストを強くしたい時に効きます。

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『2030年の不動産』長嶋 修

今回のテーマで読者がいちばん気になるのって、ぶっちゃけ「家」なんですよね。これは人口動態や金利、投資マネーなどを踏まえて、不動産の“勝ち筋・負け筋”を先回りしてくれる一冊。東京と地方の二極化・三極化の話も、ブログの説得力が段違いになります。

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『さらば!グローバル資本主義 「東京一極集中経済」からの決別』森永卓郎

タイトル通り、主張はかなり強め。でもだからこそ「東京脱出に税優遇=地方創生?それとも東京の含み損処理?」という今回の記事の“尖り”と相性が良いです。読者の感情を動かしつつ、反論も含めて議論の土台を作れます。


それでは、またっ!!

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