正社員は本当に安定か?──「雇用という固定資産」の減損リスクを暴く

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

あなたの“雇用固定資産”、割高なまま放置していませんか?

「正社員=安定」という神話に、あなたはどこまで乗っかっていますか?――もし“終身雇用”という看板が、実は流動性ゼロのハイリスク投資だったら。会計の世界では、価値が下がった固定資産は“減損”処理を迫られます。あなたのキャリアも同じく“雇用という固定資産”として捉えれば、景気後退・テクノロジー革新・企業戦略の転換で価値が一気に毀損するリスクを抱えているのです。

本記事では、

  1. 正社員という働き方が抱える「換金不能リスク」
  2. “人的資本”をポートフォリオ化する思考法
  3. 投資・会計の視点で考えるキャリアの減損テスト

という3つの切り口から、20〜30代ビジネスパーソンに向けて“安定”の正体を解剖します。読めば、自分の時間・スキル・マインドを「資本」と位置づけ、外部環境に左右されない“流動性の高い働き方”を設計するヒントが手に入るはずです。次のチャンスに飛び乗る準備、整っていますか?

正社員の“換金不能リスク”を見抜く

企業のバランスシート上では、役に立たなくなった機械や建物は評価を下げて減損処理されます。ところが、私たち自身が“正社員”というラベルで抱える雇用契約は、価値が落ちても帳簿にすら載りません。ここでは、「流動性を失った労働力」がもたらすリスクを、経済・会計の視点からあらためて点検します。

固定資産化する労働力:転職市場での流動性低下

「いつでも辞められるし、転職もできる」――そう信じていたのに、実際に市場に出た瞬間に評価が思いのほか低い。国内大手の中堅クラスにありがちなこのギャップは、社名ブランドという“外部保証”に胡座をかいている間に、個人のスキルが会社固有の仕様に最適化してしまうことが原因です。投資家が未公開株にプレミアムを乗せないのと同じで、「可視化しづらい能力」には割引率が上がります。さらに、同じ仕事内容でも雇用形態が「正社員→業務委託」になるだけで報酬体系が変わる現実は、市場が“正社員バイアス”を逆手に取ってコスト調整している証拠。ここを見誤ると、あなたの人的資本は社内専用の機械設備と同じ“特殊資産”となり、減損リスクが一気に高まるのです。

転職エージェントとの面談で「ジョブ型の実績が少ない」と言われたら要注意。すでに市場はあなたを“流動化コストの高い資産”として値付けしている可能性があります。

景気循環と雇用弾力性:守られるのは誰か

景気が後退局面に入ると、企業はまず非正規・派遣スタッフから手を付ける――これは事実です。しかしそれは「正社員が安全」という意味ではありません。会計的には、労働コストも需給で価格が決まる変動費。リーマン・ショック時、大量の早期退職募集が示した通り、正社員の固定費化はむしろ企業収益の重しになり、減収期には真っ先にコスト削減ターゲットになります。

とりわけデジタルシフトが加速する昨今、企業は“強い中核”と“外部クラウド的な即応チーム”を組み合わせるK字型組織へ再編中。ここで「強い中核」から外れた正社員は、ポストが消えるのをジワジワ待つか、割増退職金と引き換えに市場へ放り出されるかの二択です。金融商品に例えるなら、正社員は高利回り保証付きの社債ではなく、期限前償還条項付きの劣後債に近い存在だと腹をくくる必要があります。

社内スキルの特殊化:減損リスクを高める罠

ERP、独自SaaS、社内流の業務フロー――会社が成長局面で導入した仕組みは、往々にして“自社色”が強くなります。ここで培ったオペレーションスキルは、他社に移った瞬間に互換性を失いがち。会計基準で言えば「特定用途向けにカスタマイズされた設備」であり、市場価値は急落しやすい。

さらに恐ろしいのは、学習投資のキャッシュフローが社内補助に依存している点です。独自システムの研修は社費で受けられる反面、外部で評価される資格やプロジェクト経験は自己負担・自己申請が多い。ここを怠ると、キャリアの時価評価が減少しても減損テストすらせず、“見えない含み損”を蓄積することになります。減損を避けるには、常に「社内での必要性」と「外部市場での汎用性」の両立を図り、人的資本を“複合資産”としてマルチユース化しておく戦略が欠かせません。


社内でハイパフォーマーでも、市場では陳腐化した“機能限定モデル”に甘んじているケースは多々あります。固定資産は評価の見直しが遅れるほど損失が膨らむ――自分のキャリアも同じ。今期の損益計算書だけでなく、将来キャッシュフローの割引現在価値で自身の働き方を査定する習慣を身につけましょう。

“人的資本”をポートフォリオ化する思考法

株や債券、REITに分散投資するように――自分の時間・スキル・ネットワークを“人的資本”として小口化し、リスクとリターンをコントロールできる形で持つ。これこそが「正社員=単一銘柄集中投資」から脱却する鍵です。本セクションでは、人的資本のポートフォリオ化を実践するためのフレームワークを3つの角度から掘り下げます。

キャッシュフロー源を多角化する:スキル債券・副業株式・レベニューREIT

正社員収入は確かに“定期クーポン付き債券”のように見えますが、発行体(=雇用主)の業績次第で一瞬にして利払い停止(減給・ボーナスカット)となるハイイールド債です。ここに「副業株式」――たとえばYouTube広告収入やオンライン講座といった配当成長ストーリーを持つ資産、さらに「レベニューREIT」とも呼べるロイヤリティ型ビジネス(電子書籍やアプリのサブスクリプション)を組み合わせれば、複数のキャッシュフロー・チャネルが生まれます。

重要なのは“リカレント・インカム”と“ワンタイム・キャピタル”を意識的に仕分けること。定常的な売上が期待できる副業は債券的に守備力を強化し、プロジェクト単発の高額報酬は株式的リスクをとってリターンを狙う。この設計を行うだけで、「一社依存」というシステミックリスクが劇的に低減し、人的資本が市場変動に対して耐久力を持つようになります。

さらに、多角化の副次効果として「社外での実績」が積み上がり、転職市場での時価総額評価が上昇する点も見逃せません。副業=副収入ではなく、副業=「バリュエーションを押し上げる筋肉トレ」と捉える視座が、複線型キャリアを加速させます。

リスク・リターンの最適化:βスキルとαスキルを分けて管理

ポートフォリオ理論において、β(ベータ)は市場全体に連動するリスク、α(アルファ)は超過収益の源泉を表します。人的資本でも同様に、「業界共通で汎用的なβスキル」(例:Excel、英語、ファシリテーション)と、「個別ニッチで希少性の高いαスキル」(例:特定業界向けのRegTech知識、PythonでのAIモデル運用設計)を意図的に分類すべきです。

βスキルは景気後退局面でも一定の需要があり、雇用保険のようにポートフォリオを底支えします。しかしそれだけでは平均回帰の壁を越えられない。αスキルはプロサッカー選手の“決定力”に近く、契約更改時に交渉力を爆発的に高める武器ですが、賞味期限とメンテナンスコストも高い。

ここで有効なのが「バーベル戦略」。ポートフォリオの70%をβスキル育成に充て、不況時のキャッシュフロー耐性を確保しつつ、残り30%を高ボラティリティなαスキル開発にベットする。たとえば平日夜はオンラインMBAで財務会計を磨き(β)、休日は生成AI×業務改善のPoC案件に飛び込み(α)、市場実証→ナレッジ共有→講演依頼へと派生させる。

βとαを区別せず学習投資を漫然と積み上げると、リターンが平坦化し学習ROIが低下します。“学びのKPI”を設定し、四半期ごとにβ/αポーションを再配分する仕組みを持つことで、「時間=資本」が複利成長するトラックを走り続けられるのです。

リバランス戦略:景気フェーズごとに配分を調整する

金融ポートフォリオ同様、人的資本もリバランスを怠ればリスクが集中します。景気拡大期はストックオプションや出来高連動型の歩合報酬に積極的に振り、リスクを取りに行くほうが期待値は高い。一方、不況の足音が聞こえたら、キャッシュフロー安定型スキルや公的資格取得(税理士、社労士など)にシフトし、ディフェンシブ銘柄を厚くする。

ポイントは“経済指標と自分のバロメータを連動させるKPIセット”を持つことです。たとえば失業率のトレンド自分の副業売上成長率をダッシュボードで可視化し、βスキルが維持率95%を割り込みそうになったらリスキル講座を増やす。逆にαスキル案件の問い合わせ数が前年同月比+50%を超えたら、正社員での業務量を調整しα案件にピボットする。

この動的リバランスは、企業でいえば「事業ポートフォリオの入れ替え」に相当し、人的資本の時間加重リターン(TWR)を最大化します。加えて、リバランスのログを蓄積することで、次回景気サイクル時に“過去データ付きシミュレーション”を行えるようになる。これは投資家がバックテストを行うのと同じ発想で、キャリアの意思決定を自動化・高速化するレバレッジとして機能します。


正社員一本足打法から“マルチストラテジー・ファンド”型キャリアへ――そう言い換えるだけで、選択肢は劇的に増えます。人的資本は分散して初めてリスクに耐える筋肉となり、マーケット環境が変わるたびに再配分することで複利の弾み車が回り始める。あなたのスキルセットを「静的な履歴書」から「動的な資産リスト」へアップデートする準備はできていますか?

投資・会計の視点で考えるキャリアの減損テスト

期末決算で企業が実施する「減損テスト」は、将来キャッシュフローの見積りと割引率の設定が要。もし回収可能価額が帳簿価額を下回れば、即座に損失計上――つまり“見せかけの資産価値”を修正する作業です。私たちのキャリアもまったく同じ。スキルや人脈という無形資産が「本当に投下資本を上回るリターンを生むのか」を定量的に検証しなければ、気付かぬうちに“含み損キャリア”へ転落します。本セクションでは、投資家の視座を転用し、キャリアの減損リスクを測定・予防する3つのアプローチを提示します。

キャリアの公正価値を算定するDCFモデル

DCF(Discounted Cash Flow)はM&Aや企業価値評価の王道。これをキャリアに適用すると、「将来稼得可能な手取りキャッシュフロー」を推計し、期待割引率で現在価値に引き直す計算になります。まず、今後10年間に想定される収入源(本業給与、副業収入、配当・ロイヤリティ)を縦に積み上げ、運転資本=生活費と学習投資を“投資CF”として差し引く。そのうえで、景気循環リスクや業界淘汰リスクを織り込んだ割引率を設定。経済学ではヒューマンキャピタルの割引率は8〜15%とされますが、副業比率が上がればβ分散が効き、係数を下げられる。

さらに、DCFの肝は「Terminal Value(永続価値)」をどう扱うか。65歳定年を切点にゼロ成長モデルで畳むのが一般的ですが、テック業界やクリエイター職は70代まで収入が続くケースも珍しくなく、パラメータに創造的余命を反映させることでモデリング精度が飛躍的に上がる。Terminal Value=“自分の学習寿命×平均副業利益”という発想で柔軟に設定する点が、従来の年金試算との大きな違いです。

最後に、公正価値が“人的資本の帳簿価額”(累計学習コスト+機会損失)を下回れば減損処理が必要。具体的には①高成長分野へのスキル再投入、②副業案件の見直し、③生活固定費の最適化などを行い、来期DCFを改善する。単なる転職検討ではなく、「DCFギャップの解消」を目的としたファイナンス戦略という視点がブレークスルーを生みます。

EPSではなくCPS(Career per Share)で自己評価

企業評価指標の定番EPS(1株当たり利益)をアレンジし、CPS=1時間当たりキャリア価値を算出するフレームを導入します。分子に「時間単価×実働時間+副業ロイヤリティ+資産所得」、分母に「総労働時間+学習・移動等を含む拘束時間」を置くことで、“労働以外の報酬”を加味した総合生産性が浮き彫りに。

多忙な正社員ほど“時間資本”を浪費しがちで、残業代がつくからとCPS悪化を見落としやすい。ここで重要なのは、学習投資の時間も分母に入れる点。資格勉強やオンライン講座がキャリアの「研究開発費」であり、そのROIを把握することで過剰投資を防げます。

また、CPSはベンチマークが明確。たとえば日本の上場企業平均ROEが8%前後なら、CPSが年率15%以上で推移すれば“市場平均の倍速で人的資本を回転”している計算。逆に5%を下回れば減損サイン。ファクトで自分を追い込むことで、昇給交渉も「CPSを○%向上させた実績」を提示でき、数字に強い上司ほど納得度が高まります。キャリアの言語化を“数字×ストーリー”に変換することで、交渉力自体が新たなαスキルになる好循環が生まれます。

減損サインを検知するKPIダッシュボード

財務諸表には減損兆候の注記が設けられています。同じくキャリアにも“アーリーワーニング”が必要。推奨KPIは「スキル稼働率」「機会単価成長率」「外部評価スコア」の3軸です。

  • スキル稼働率は“持ち札スキルが実務で何%活用されているか”を測る指標。100%近い状態が長期化すると学習領域が枯渇し停滞リスクが上昇。週次で90%ルールを設け、新規ツールや案件で10%の余白を確保することで“成長余地”を保ちます。
  • 機会単価成長率は副業案件や社外登壇フィーのYoY比較。ゼロ成長が4四半期続けば、市場評価停滞の黄色信号。ベーススキル更新か新市場へのエントリーでテコ入れを図る。
  • 外部評価スコアはLinkedIn推薦数や技術論文引用数など定量値を使用。ネットワークの厚みを自己申告でなくデータで把握し、“信頼信用”の可視化を行います。

これらKPIをGoogle Data StudioやNotionでダッシュボード化し、失業率・業界トレンド指数と併せてモニタリング。閾値を下回ったら“減損トリガー”として自動でリスキルToDoを生成するワークフローを組めば、感情に左右されない定量的PDCAが回ります。もはや“キャリア経営”はExcel管理からデータプラットフォーム時代へシフト。センサーを張り巡らせることで、減損リスクをリアルタイムで捕捉し、損失計上前に対策を講じることが可能になります。


減損テストとは「今の自分に過剰な簿価が付いていないか」を確認する鏡です。帳簿価額を見直さないまま働き続けるのは、債務超過企業に追加投資をするのと同じ愚行。DCFで公正価値を算出し、CPSで日次の生産性を測り、KPIダッシュボードで早期警戒を張る。この三位一体の仕組みを回し続ければ、キャリアは“含み損”を抱えずに成長曲線を再描画できるはずです。あなたのキャリアは、いつでも市場価格で売却できる――そんな自信を持てる設計になっていますか?

結論

「正社員=安定」という看板は、もはや私たちのキャリアを保証する“魔法の盾”ではありません。むしろ、ひとつの会社に依存し続けることは “流動性ゼロの集中投資” であり、景気変動や技術革新の荒波にさらされるハイリスクなポジションです。固定資産の価値を点検するように、私たち自身の 人的資本 も定期的な「減損テスト」が不可欠――それが本記事の核心でした。

では、そのテストを乗り越え、含み損を抱えないキャリアを築くには何が必要か。まずは キャッシュフロー源の多角化。副業やロイヤリティ型ビジネスで“社外の稼ぐ筋肉”を鍛え、β(ベータ)スキルで守りつつα(アルファ)スキルで突き抜ける バーベル戦略 を実践する。次に CPS(Career per Share) を用いて「時間=資本」の回転率を数値で把握し、学習投資のROIを常時モニタリングする。そして、スキル稼働率・機会単価成長率・外部評価スコアを可視化した KPIダッシュボード を構築し、減損兆候が点灯した瞬間にリバランスをかける――これらを継続すれば、キャリアは株式ポートフォリオのように 複利で成長 し続けます。

私たちが目指すべきは、「一つの会社に守られる人生」ではなく、「どこにいても市場価値で勝負できる人生」。人材流動化が進む時代、“雇用という固定資産”をアップグレードし続ける人 こそが、景気の谷でも山でも自分らしい選択肢を掴めます。減損リスクを恐れて足を止めるのではなく、自ら評価モデルを更新し、市場の声を聴き、学びを再投資する――そのサイクルを繰り返すうちに、キャリアは 安定という幻想 を超えて「主体的な自由」の領域へとジャンプします。

さあ、今日この瞬間から “人的資本ファンド”の運用責任者はあなた自身。次に来る波に乗る準備は整いましたか?――勇気を出して一歩踏み出せば、キャリアのポートフォリオは必ずあなたの未来を照らす灯台になります。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

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それでは、またっ!!

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