安い家電、高い家電──どちらが本当に“得”なのか?

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

安価な家電は魅力的に見えますが、長い目で見て本当にお得でしょうか?

皆さんは家電を選ぶとき、「値段の安い家電」と「高いけど高性能な家電」のどちらに惹かれますか?新生活のスタートや買い替えのシーンでは、つい初期費用の安さに目が行きがちですよね。しかし、この記事を読めば 「安物買いの銭失い」 にならずに済む買い物思考を身につけられるはずです。長期的に損をしないための物選びのコツや、家計管理・投資の視点でモノを見る方法を一緒に見ていきましょう。読み終える頃には、きっとあなたの家電の選び方に対する価値観がガラッと変わることでしょう。

安い家電の裏側──なぜすぐ壊れるのか?

安い家電には魅力がいっぱいです。最新モデルでなくても基本的な機能は揃っているし、何よりお財布に優しい。ただ、その裏側には「壊れやすさ」という落とし穴が潜んでいることも事実です。実際、価格.comの口コミ掲示板では「アイリスオーヤマの商品は最悪、1~2年で壊れる」といった辛辣な意見も見られます。家電量販店店員も「無名の激安メーカー品には『悪かろう安かろう』な場合もある」と指摘しており、寿命と価格は単純に比例しないと述べています。

アイリスオーヤマ(Iris Ohyama)は近年、手頃な家電ブランドとして有名ですが、その耐久性には賛否があります。あるユーザーは「以前はパナソニックのドラム式洗濯機を10年間使用。3年前にアイリスオーヤマに買い替えたら既に2回も修理に出した」と嘆いていました。わずか3年で二度も故障とは、いくら本体価格が安くても困りものですよね。回答者からも「ドラム式洗濯機の品質1位がパナソニック、ビリがアイリス」「アイリス製は保証が切れる1年ちょっとで壊れるのが普通。平均寿命は3年以内、5年持てば大当たり」といったコメントが寄せられており、品質の差を痛感させられます。

では、なぜ安い家電は壊れやすいと言われるのでしょうか?背景には、低価格を実現するための企業努力(あるいは妥協)が影響しているようです。例えば、アイリスオーヤマ製品の多くは 機能を必要最低限に絞ったシンプル設計 で、生産も自社ではなく他社工場への委託(OEM)によってコスト削減しています。必要以上の高機能を省いて価格を下げている点は消費者にとって嬉しい反面、耐久テストや品質管理に大手ほどコストをかけられない可能性もあります。その結果、「保証期間の1年を過ぎた頃に壊れるよう設計されているのでは?」と勘繰る声が出てしまうのも無理はありません。実際に7000円程度の激安電子レンジが2年で故障したケースでは、そんな疑惑を指摘する意見もありました。

安価な家電がすぐ壊れるもう一つの理由として、「部品や構造のシンプルさ=壊れにくさ」という一見矛盾した側面も考えられます。機能が少ない分、故障箇所も少ないはず…と思いたいところですが、必ずしもそうとは限りません。「シンプルな安い製品の方が故障リスクは低いんじゃないか」という声もありますが、これは裏を返せば基本的な品質がしっかりしている場合に限るでしょう。品質自体が低ければ、構造が単純でも壊れるときは壊れてしまいます。

身近なエピソードとして、筆者の知人はアイリスオーヤマの卓上型食洗機を展示品セールで購入しました。コンパクトで工事不要という点は魅力的だったのですが、使い始めてしばらくすると動作中に突然停止し、「念入り」ランプが高速点滅するトラブルに見舞われたのです。「もしや故障か?!」と青ざめた彼は、自力で本体をひっくり返して裏蓋を開け、中を確認しました。すると、水漏れを検知するための発泡スチロール製フロートに水が溜まってスイッチが作動しっぱなしになっていたのです。幸いタオルで水分を拭き取りリセットすることで再び動き出しましたが、「安い家電は自分でメンテナンスしながら使う覚悟が必要だ」と苦笑していました。このように、低価格家電では細かな不具合や初期不良に当たるケースも少なくありません(※もっとも、初期不良自体はどのメーカーでも一定割合起こり得ますが)。価格相応と割り切れる範囲ならいいですが、頻繁な故障はストレスですし、修理対応もメーカーによっては時間がかかったりサポートが手薄だったりします。

結局、安い家電は「壊れやすい」というリスク込みの値段と言えるかもしれません。もちろん全てがそうではなく、中には「安いのに意外と長持ちして得した!」という製品もあるでしょう。ただ経験則として、「著名メーカーではない格安家電は壊れる可能性が高い」「価格なりの品質で寿命も短め」と思っておいた方が、大きなハズレを引かずに済むのではないでしょうか。では反対に、高価な家電にはどんな価値があるのでしょうか?

高い家電の真価──長持ちする価値と投資対効果

値段が高い家電を購入するとき、人はしばしば「この機能にこの金額の価値があるのか?」と悩みます。しかし高い家電には、単にスペック表に現れる性能以上に「長持ちする」という隠れた価値があるのです。大手メーカー製の家電は全体的に耐久性が高く故障しにくい傾向にあり、長期間にわたって安定したパフォーマンスを発揮してくれます。

例えば、日本を代表するメーカーであるパナソニック日立の製品は「壊れにくく寿命が長い」としてしばしば名前が挙がります。実際、家電評価サイトの分析でも「パナソニックは性能が非常に高く耐久性がある」「東芝は非常に壊れにくい」といった評価がされています。先ほど例に出した洗濯機でも、パナソニックのドラム式洗濯機は10年使って当たり前という声があるほど信頼性が高いのです。高価格帯のモデルは品質管理や素材選定にもコストをかけているため、結果的に寿命が延びているのでしょう。

また、高い家電ほどメーカーのアフターサポートや保証が手厚い場合が多いのも安心材料です。部品の保有期間(製造終了後◯年間パーツ在庫を保持する義務)も製品によって異なりますが、一般に大型で高価格な家電ほど部品保有期間が長めに設定されています。長く使っても修理対応してもらえるなら、「修理しながらでも使い続けよう」という気持ちにもなれますよね。

高級家電の投資対効果(ROI:Return on Investment)は、単に「壊れにくさ」だけで測れません。例えば、最新式の高性能エアコンや冷蔵庫は値段こそ高いものの、省エネ技術によって 電気代が安く抑えられる ケースが多々あります。ある試算では、旧式モデル(消費電力300W)の冷蔵庫より最新モデル(200W)の冷蔵庫の方が月々の電気代が約2,232円も節約できるとされています。年間にすると約2.7万円の差になり、10年では実に27万円以上も電気代を節約できる計算です。これは「新品の高級冷蔵庫がまるごと一台タダで手に入る」ほどの金額差であり、長期的に見れば高性能な家電の方がトータルコストで安上がりになることも十分あり得ます。

さらに言えば、高い家電は使い勝手や付加機能の面でも日々の満足度を高めてくれます。静音設計で快適だったり、お手入れが簡単だったり、便利な機能で家事時間を短縮してくれたり…。そうした日々の小さなストレス軽減や満足感も、「投資対効果」の一部と考えることができます。たとえば、毎朝使うコーヒーメーカーがお気に入りの高品質モデルだとしたら、それだけでちょっと豊かな気分になれますよね。家電は単なる消耗品ではなく生活体験を左右する道具ですから、そこに価値を見出すなら高くても良いものを選ぶ意義は十分あるでしょう。

もう一つ、高い家電を選ぶメリットとして見逃せないのが「心理的な効果」です。お気に入りの上質な家電を手に入れると、「せっかく奮発して買ったのだから大事に使おう」という気持ちになりませんか?実はそれこそが物持ちを良くする秘訣です。ある家電のQAサイトの回答者も「気に入ったものであれば自然と取り扱いも丁寧になるもの。これも物を長持ちさせる重要なポイントかもしれない」と述べています。確かに、粗雑に扱われた安物はすぐダメになりますが、大切に手入れされた家電は驚くほど長持ちします。我が家でも奮発して買った掃除機を毎回フィルター掃除しながら使っていたら、もう15年選手になりました。「高かったんだから元を取るまで壊れてくれるなよ!」という執念が伝わったのかもしれません(笑)。

このように、高い家電は初期投資は大きいものの、長期的に見れば支出を回収できる可能性が高いのです。むしろ場合によっては「安物を何度も買い替えるより、高級品を一度買った方が安くつく」という逆転現象すら起こります。次の章では、その考え方をもう一歩踏み込んで、会計的な視点から「どちらが本当に得か」を見極める方法を紹介しましょう。

会計思考で見る家電選び──「減価償却」と「トータルコスト」の考え方

「減価償却(げんかしょうきゃく)」という会計用語をご存じでしょうか? 企業の会計では、設備や機械など長く使う資産の購入費用を耐用年数に応じて少しずつ費用計上していきます。これを減価償却といい、簡単に言えば「買った物のコストを、その物が使える年数で割って考える」手法です。この考え方を日常の家電選びにも応用してみましょう。

例えば、耐用年数6年とされる冷蔵庫を20万円で購入した場合、1年あたりの費用は約3.3万円になります。つまり「毎年3.3万円を支払って冷蔵庫を使っている」とみなせるわけです。そして6年経てば会計上は価値がゼロになりますが、実際の家庭では6年を過ぎても使い続けることが多いですよね。内閣府の調査によれば、冷蔵庫の平均使用年数は約14.0年と、耐用年数よりはるかに長持ちしています。洗濯機も平均10.9年程度使われており、多くの家庭で「壊れるまで使う」が基本スタンスになっているようです。こうした場合、先ほどの冷蔵庫を14年使ったとすれば年間コストは約1.4万円、月に換算するとわずか1,166円ほどになります。「なんだ、そう考えると安いものだな」と感じませんか?

ポイントは、購入価格だけを見るのではなく、どれくらい長く使えるかで真のコスパを判断することです。仮に同じ機能・性能の冷蔵庫A(高級品)とB(廉価品)があったとして、Aは10万円だけど10年間使え、Bは5万円だけど5年で寿命になるとしたら…これは計算上まったく同じ1万円/年のコストになります。このケースでは単純に「安いBでいいじゃん」と考える人もいるでしょう。しかし現実には、廉価モデルが想定どおり5年持てば御の字で、下手をすると3~4年で故障して買い替えなんてこともあります。そうなるとBを2回買い直す羽目になり、結局Aより高くつく可能性が高いのです。同じことを繰り返していると、「最初から良い物を長く使っていればよかった…」と後悔する羽目になりますよね。

また、減価償却の考え方では「トータルコスト(総コスト)」も重要です。家電の場合、トータルコストには購入費だけでなく、電気代・水道代などのランニングコストや消耗品代、さらには修理費や買い替え費用まで含まれます。高価な省エネ家電は初期費用は高いものの電気代が安く、安価な旧型家電は電気代が高いという逆転もよく起こります。先ほどの冷蔵庫の例がまさにそうでしたね。さらに、壊れにくい家電であれば修理費や買い替え費用も節約できます。例えばエアコンや洗濯機などは、メーカーにもよりますが製造終了後6年程度で部品の保有期間が切れることが一般的です。高級機種を買って10年以上故障なしで使えれば、部品調達不能による買い替えリスクも減りますし、保証延長サービスなどを活用すれば修理費も抑えられます。

このように全体像を捉えてみると、安い家電が必ずしも「得」とは限らないことが見えてきます。むしろ生涯コストまで計算すると高級家電の方がお得だったなんてケースも少なくありません。大切なのは、“値札の額面”ではなく“その家電を使うトータルの費用対効果”を考える視点です。会計的な思考でコスパを考えれば、「目先の安さに飛びつかない」冷静な判断ができるようになります。

最後に、減価償却的発想を身につけると同時にライフサイクル全体で物を見る癖もつけましょう。たとえば「この電子レンジは平均○年使われている」「この掃除機は何年後に買い替えかな」と意識するだけでも、日々の使い方やメンテナンスの仕方が変わってくるはずです。結果として寿命が延びれば、それこそあなたの勝ち。「家電を資産と考える」このアプローチは、長期的に見て家計の節約にもつながりますし、ひいては大量消費・大量廃棄を減らすエコにも通じます。一石二鳥どころか三鳥にもなる発想だと思いませんか?

おわりに:価値観が変わるとき

安い家電と高い家電、結局どちらが“得”か──答えは一概に「こっち」と断言できるものではありません。しかし、この記事を通じて強調したいのは、目先の価格だけで判断しないことの大切さです。

かつて私も、新社会人になりたての頃は給料も少なく、「とにかく安い家電で全部揃えよう!」と意気込んでいました。洗濯機や電子レンジなど格安モデルを買い揃え、最初は「いい買い物したぞ」と満足していたのです。ところが数年もしないうちに洗濯機が脱水不良で動かなくなり、電子レンジは温まりムラが酷くなり…結局買い替えに走る羽目に。その度に余計な出費とストレスがかさみ、「安物買いの銭失い」という祖母の口癖が身に染みました。

一方で、実家の母が使っている炊飯器は少々高級な国産モデルですが、もう15年以上も毎日美味しいご飯を炊き続けてくれています。幼かった私がその炊飯器で炊いたご飯を食べて育ち、今は実家に帰省したとき自分の子どもにも同じ炊飯器で炊いたご飯を食べさせている──そう気付いたとき、高品質な家電が持つ時間を超えた価値にハッとさせられました。単なる物以上の存在感といいますか、家族の思い出を支えるパートナーのようにすら思えたのです。大げさかもしれませんが、高い家電には「モノを大切にする心」や「豊かな暮らしの物語」が宿るのだと感じます。

もちろん全ての家電に最高級品を選ぶ必要はありません。予算や用途に応じてバランスを取ることも大事です。ただ、「安いから壊れてもまあいいや」と消耗品感覚で選ぶのではなく、「どうせ買うなら長く付き合えるものを」と考えてみてください。そうすることで、物選びに会計的・投資的な視点が生まれ、結果的に経済的にも精神的にも満足度の高い買い物ができるでしょう。

家電選びは人生観にも通じます。今回お伝えしたように長期的な視野でコスパを捉え直すことで、皆さんの物の見方・考え方に少しでもプラスの変化が生まれたなら嬉しい限りです。最後までお読みいただきありがとうございました。あなたの次の家電選びが、本当に“得”な素敵の買い物になりますように。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界が変わったのか?』

内容:公認会計士との共著で、「帳簿を見る=自分の仕事・人生を可視化する」思考法を習得できる一冊。家計やモノ選びにも応用できる“数字で人生を引き寄せる”マインドセットが身につきます。
おすすめポイント:実例が多く読みやすい。家電等の買い物でも「数字で判断する癖」をつけるのに役立つ内容です。


『なぜ、スーツは2着目半額のほうがお店は儲かるのか? 価格で見抜く企業戦略』

内容:価格戦略の裏側を探る一冊。日常的な値付けに隠された企業心理や損得勘定の仕組みがわかるので、消費者として“見抜く目”が養われます。
おすすめポイント:価格だけで判断しがちな家電購入の際、どこに付加価値があるのかを見極める力がつきます。


『2025年、人は「買い物」をしなくなる』

内容:テクノロジーと購買行動の近未来を予測。家電との付き合い方も大きく変わる時代背景を、エモーショナルかつ戦略的に描いています。
おすすめポイント:今後の家電選びがどう進化するか、未来の目線で思考の幅を広げられます。


『シャープ崩壊 ―名門企業を壊したのは誰か』

内容:一時は世界トップだったシャープの転落劇を、経営戦略・資本政策・ブランド価値の観点から深掘り。
おすすめポイント:家電業界の裏側、価格戦略・品質への舵取りの難しさに触れられ、学びが多い一冊です。


『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める!行動経済学のしくみ』

内容:行動経済学の基礎をイラスト&図解でやさしく解説。消費者心理や意思決定の仕組みを知ることができます。
おすすめポイント:安価な家電に飛びついてしまう“心理的罠”を理解し、賢い消費者になるために役立ちます。


それでは、またっ!!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です