AIで浮いた1時間は“配当”だ。投資家サーベイに学ぶ、これからの働き方とコストの話

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。

AIで浮いた1時間、あなたは“何を売る時間”に変えますか?

世界のプロ投資家たちが集まるテック系イベント「Web Summit」──そこに参加した投資家116人に、ピッチブック(PitchBook)が「AIをどう投資判断に使っているか?」を聞いた最新サーベイがあります。結論だけざっくり言うと、

  • AIはもう「お試し」じゃなくてガチの仕事道具
  • 投資案件を探すときも、資料を読むときも、AIなしでは回らないレベル
  • でも最後の決断だけは、人間の目と感覚がまだ主役

という流れに、かなり本格的にシフトしてきています。

特におもしろいのが、投資家たちがAIをどこに使っているか、というポイントです。サーベイでは、

  • デューデリ(投資前の調査)資料を要約させる
  • 山ほどある案件の中から、条件に合いそうな案件をピックアップさせる

といった「時間がめちゃくちゃかかる仕事」にAIを突っ込んでいることがわかります。

つまり彼らは、
「AIで浮いた時間を、より“儲かる判断”に使う」
という動きを、かなり意識的にやっているわけです。

ここから先が、ぼくらの仕事にもめちゃくちゃ関係するポイント。

あなたの会社や仕事にAIを入れるということは、ただの「便利ツール導入」ではありません。
会計・投資の目線で見ると、

AI導入 = 人件費の“半固定費化” → 営業レバレッジ(売上に対する利益の増え方)が変わる

という、ビジネスモデルそのものの話になります。

  • 同じ人数のまま、仕事量だけ増やせる
  • 残業を減らしても、アウトプットはキープできる
  • 一定の売上までは、人件費があまり増えない

こうなると、売上が伸びたときの「利益の伸び方」がガラッと変わります。これが「営業レバレッジが変わる」という話です。

そして一番実務に落とし込みやすいのが、今日のキーアイデア:

「AIで1時間浮いたら、その時間で何を売るかを決めておく」

です。
ここでいう「売る」は、

  • ガチの営業活動
  • 社内で自分の価値を上げる提案
  • 将来の収入につながるスキル磨き

みたいな、「未来のキャッシュフローにつながる行動」全般を指します。

この記事では、

  1. 世界の投資家はAIをどう使っているのか(サーベイのざっくり解説)
  2. なぜAI導入が「人件費の半固定費化」になるのか(会計っぽいけどやさしく)
  3. ぼくらの日々の仕事で「AIで1時間浮いたら何を売るか」をどう設計するか(今日からできる話)

という3本立てで、投資家目線と会計目線を、あなたの“明日からの1時間”にまで落とし込んで解説していきます。

投資家はAIをどう使ってる?「判断のエンジン」に変わりつつある話

まずは「プロ投資家サイド」の話からいきましょう。
ピッチブック×Web Summitの最新サーベイを見ると、AIはすでに投資のワークフローのど真ん中に入り込んでいます。

AIは「補助輪」から「エンジン」へ

サーベイのポイントを、できるだけやさしく整理するとこんな感じです。

  • 以前:
    • AIは「とりあえず試してみよう」という実験ツール扱い
  • 今:
    • 案件探し(deal sourcing)
    • デューデリ資料の要約
    • 市場トレンドの整理
      など、日々の業務のど真ん中で使われている

特に特徴的なのが、「AIが投資判断の“前段”をほぼ担当している」ことです。

  • どの案件を見るべきかのスクリーニング
  • 過去のデータやレポートの読み込みと要約
  • 類似案件の実績やバリュエーションの比較

こういった“情報をかき集めて整理する仕事”は、人がやるとめちゃくちゃ時間がかかるところ。
そこをAIに任せることで、投資家は

「情報集め」よりも「判断すること」に集中できる

という状態を作っています。

「時間の使い方」が変わると、判断の質も変わる

サーベイの中でも、AIの代表的な使い方として挙がっているのが:

  • デューデリ資料の要約(トップのユースケース)
  • 投資候補となる案件の選定(関連性の高い案件の洗い出し)

イメージでいうと、

これまでアソシエイトやアナリストが
何十時間もかけてやっていた「下準備」を
AIがかなり肩代わりしている

感じです。

浮いた時間を、投資家たちはどこに使っているかというと、

  • 経営陣に深く質問するための準備
  • ビジネスモデルの「穴」を探す作業
  • 市場の変化を踏まえたシナリオ検討

のような、“人間にしかできない部分”にかなり寄せています。

ここが今日のテーマ「AIで1時間浮いたら、その時間で何を売るか」と直結します。
投資家は、

AIで浮いた時間 =
「より良い投資判断」を売るための時間

と考えているわけです。

それでも最後は「人間の目」が決める

とはいえ、サーベイでは投資家たちがAIを100%信用しているわけではないこともはっきりしています。

  • 気にしているのは「データの質」と「精度」
  • 市場リサーチやトレンド分析など、AIがかなりできそうな領域でも
    • 「全面的に任せてOK」と思っている人はまだ一部
    • 多くは「候補出しや叩き台まではAI、その先は人間」というスタンス

要するに、
AIは“判断材料を揃えるスーパー秘書”であって、“代わりに決めてくれる社長”ではない
というのが、今の投資家たちの距離感です。

このバランス感覚は、そのままぼくらの仕事にも持ち込めます。

  • AI:情報収集・整理・たたき台作り
  • 人:優先順位付け、責任ある決断、最終アウトプット

この役割分担を意識しておくと、
「AIに仕事を奪われるかも…」ではなく、
「AIで浮いた時間をどこに再投資するか?」という発想に切り替えやすくなります。

AI導入はなぜ「人件費の半固定費化」になるのか

次は、会計・投資っぽい話を、しかしできるだけゆるく解説していきます。

固定費・変動費・半固定費をざっくり整理

まず前提となる「費用の3分類」を、めちゃくちゃシンプルに整理します。

  • 固定費
    • 売上が増えても減っても、あまり変わらないコスト
    • 例:オフィス家賃、役員の給料、基幹システムのライセンス など
  • 変動費
    • 売上にほぼ比例して増減するコスト
    • 例:材料費、仕入、出来高払いの外注費 など
  • 半固定費(準固定費)
    • ある水準までは増えないけど、あるラインを超えるとドンと増えるコスト
    • 例:
      • コールセンターのオペレーター人数
      • 工場のラインを「もう1ライン増やす」ときの人員
      • 店舗スタッフの人数 など

人件費は、本来「変動費」的な性質もありますが、現実には
「そう簡単に増減できない」=半固定費になりがち
というのがポイントです。

AIで「同じ人数でこなせる仕事量」が増える

AIを業務に入れると何が起こるか。
ざっくりいうと、

同じ人数のままで、
こなせる仕事量の“上限”がぐっと上がる

という状態になります。

たとえば:

  • Before
    • 営業事務スタッフ 3人
    • 1人あたり1日に処理できる案件数:10件
    • チーム合計:30件が限界
  • After(AI導入)
    • 同じくスタッフ 3人
    • AIが見積作成やメール文面作成をサポート
    • 1人あたり1日15件処理できるようになる
    • チーム合計:45件までいける

このとき「人件費」はどうなっているかというと、
3人分の給料は変わっていません。

つまり、

  • 1日30件までしかさばけなかった頃は、
    • “売上30件分”までは、この人件費で頭打ち
  • AI導入後は、
    • “売上45件分”まで、同じ人件費で対応可能

この「同じ人件費で稼げる売上の上限が上がる」のが、
人件費の“半固定費化”が強まる、というイメージです。

営業レバレッジが変わる = 売上が伸びたときの「利益の伸び方」が変わる

ここで、営業レバレッジの話を、数字少なめでイメージだけつかんでみましょう。

パターンA:AIなし

  • 1件あたりの売上:1万円
  • 1件あたりの変動費(材料など):5千円
  • 1日にさばける件数:30件
  • 人件費などの固定っぽい費用:10万円

ざっくり、

  • 売上:30万円
  • 変動費:15万円
  • 粗利:15万円
  • 人件費など:10万円
  • 利益:5万円

ここから「もっと売ろう」として件数を増やすには、人を増やす必要が出てきます。

パターンB:AIあり(同じ人数で処理量アップ)

AI導入で1人あたりの処理件数が増え、1日45件さばけるようになったとします。

  • 売上:45万円
  • 変動費:22.5万円
  • 粗利:22.5万円
  • 人件費など:10万円(同じ人数なので変わらないと仮定)
  • 利益:12.5万円

売上は1.5倍(30→45)ですが、
利益は2.5倍(5→12.5)になっています。

これが、

「営業レバレッジが効いている」
= 売上が伸びたときに、利益の伸び方がそれ以上になる

という状態です。

AI導入で、

  • 「人件費の水準」はあまり変えずに
  • 「1人あたりの生産性」が上がる

と、会社としての営業レバレッジがドンと変わります。
プロの投資家は、こういう構造変化をめちゃくちゃ気にします。

  • 同じ売上伸びでも、
    • AIをちゃんと組み込んでいる会社は「利益の伸び方」が違う
  • だからこそ、
    • AI活用がうまい会社に資金が集まりやすい

というわけですね。

この視点を、ぼくらの個人レベルの働き方にもそのまま持ってきたのが、

「AIで1時間浮いたら、その時間で何を売るか」

という今日のテーマです。

「AIで1時間浮いたら、何を売るか」を設計する

いよいよ、あなたの仕事に落とし込みます。
世界の投資家がやっていることを、個人レベルに翻訳すると、こんな感じになります。

浮いた時間を「ただ楽になる時間」で終わらせない

AIを入れると、まず感じるのはこれですよね。

  • 資料作成が速くなる
  • メール文面を考えるのがラクになる
  • 調べ物の時間が減る

これは素直にうれしい。
でも、ここで終わると、会社目線ではこう見えるリスクがあります。

「AIでこの人の仕事、
半分くらい減らせるんじゃ?」

つまり、浮いた時間を“余白”のままにしておくと、コスト削減のターゲットに見えがちということです。

そこで発想を変えます。

AIで浮いた1時間 =
自分が使い道を設計できる“配当”

だと決めてしまう。

投資家が配当を受け取ったら再投資先を考えるように、
ぼくらも「浮いた時間の再投資先」を決めておくわけです。

自分の仕事で「何を売るかリスト」を作る

ここでいう「売る」は、
お金になる・評価につながる・次のチャンスを呼び込む行動を全部ひっくるめた概念です。

たとえば会社員なら、こんな候補が考えられます。

  • 営業職
    • 既存顧客への追加提案
    • 休眠顧客への久しぶりのコンタクト
    • 将来の大型案件につながりそうな情報収集
  • コーポレート(経理・企画・人事など)
    • 他部署の困りごとをヒアリング → 改善提案
    • 「この業務、全社展開できるかも」というアイデアの検証
    • 上司や役員向けに、意思決定の助けになる1枚スライドを作る
  • 若手のうち
    • 英語・資格の勉強
    • 業界の最新トレンドをキャッチアップして、チームに共有
    • 社外の人とのネットワーキング(オンライン含む)

ポイントは、

「AIで浮いた時間にしかやらないこと」
を、あらかじめ決めておく

ことです。

  • いつもの仕事が終わったら、
    → なんとなくSNSやニュースを眺めて終わる
  • ではなく、
    → 「AI貯金で生まれた1時間、今日は“この案件の提案書のラフ作り”に使う」

と決めておく。
これだけで、浮いた時間が将来のキャッシュフローにつながる“投資時間”に変わります。

1時間 = 1株の配当、と考えてみる

最後に、ちょっとだけ投資っぽい考え方を。

投資家は、株を持っていると、

  • 毎年いくら配当が出るか
  • それを再投資すると、将来いくらになるか

を考えます。

同じように、

AIで浮いた1時間 = 自分のキャリア株からの配当

と考えてみるのはどうでしょう。

  • その1時間を「ただラクする」に使うのか
  • それとも「自分の市場価値を上げる行動」に使うのか

この積み重ねが、数年後の

  • 給与レンジ
  • 任されるプロジェクトの規模
  • 転職市場での評価

をじわじわ変えていきます。

世界の投資家は、
AIを使って「時間」を捻出し、その時間をよりリターンの高い判断に再投資しています。

ぼくらも同じで、

AIで1時間浮いたら、その時間で何を売るか

を決めておけば、
AIは「仕事を奪う機械」ではなく、「配当を生んでくれる相棒」になります。

結論:AIで浮いた1時間が、あなたの未来のPLを変えていく

ピッチブック×Web Summitのサーベイは、
「AIが投資判断に与える影響」という、ちょっと遠そうに見えるテーマです。

でも、その中身をよく見ると、

  • AIはもう「試しに触ってみるツール」ではない
  • 投資家は、AIで浮かせた時間を「より良い判断」に振り向けている
  • その結果として、投資の世界ではリスクとリターンの構造そのものが変わりつつある

という、かなり実務的なメッセージが詰まっています。

この動きを、ぼくらの日常に引きつけて考えると──

  • 会社目線
    • AI導入で、人件費はより半固定費に近づく
    • 同じ人数で売上を伸ばせれば、営業レバレッジが効いて、利益の伸び方が変わる
  • 個人目線
    • AIで浮いた時間を「何もしない」に使うと、存在感は薄くなる
    • 逆に、「何かを売る」ために使えば、自分の価値はじわじわ積み上がる

という、シンプルだけど無視できない構図が見えてきます。

AI導入 = コスト構造の変化
そして
AIで浮いた時間 = 自分で配当の使い道を決められる時間

投資家は、配当の再投資先で将来のリターンを変えます。
ぼくらも同じように、

  • AIで1時間浮いたら、誰に何を提案するか
  • どんなスキルに投資するか
  • どんな人に会いにいくか

を、自分で選べます。

世界の投資家たちは、すでに

「AIを入れるかどうか」ではなく、
「AIで浮いた時間を、どこに張るか」

を考え始めています。

もしあなたが、
明日から「AIで30分だけ時間が浮いた」としたら──
その30分で、何を売りますか?

その小さな選択の積み重ねが、
数年後のあなたの「キャリアの損益計算書(PL)」を、静かに、でも確実に変えていきます。

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それでは、またっ!!

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