AIは“地方創生”じゃなくて“東京の電気”を食いに来た?TK1 Tokyoと広島メモリ工場から読む「AI列島改造論」

みなさん、おはようございます!こんにちは!こんばんは。
Jindyです。 

AIが払う“電気代と家賃”、その行き先をちゃんと見ていますか?

AIって、「クラウドの向こう側にあるフワッとした何か」と思われがちですよね。でも現実のAI産業はかなりゴリゴリの“土木系”。土地・電気・水をドカ食いする、めちゃくちゃフィジカルなインフラビジネスです。

その象徴みたいなニュースが2つ続きました。

1つ目は、オーストラリアのデータセンター大手NEXTDCが、東京タワーのすぐ横に次世代AI対応データセンター「TK1 Tokyo」を建て始めたこと。場所は港区芝公園、IT容量は28MW級、設計はTier IVという最高クラス。稼働開始の目標は2030年後半とされています。

2つ目は、アメリカの半導体メーカー・マイクロンが、広島の工場敷地内にAI向けの次世代メモリ(HBM)専用工場を新設する計画。投資額はなんと1.5兆円クラス、2026年着工・2028年前後に本格出荷というスケジュールが報じられています。日本政府も最大5,000億円規模で支援する方向と言われています。

これだけ聞くと「すごい投資だな〜」で終わりがちですが、ちょっと視点を変えると別の景色が見えてきます。
ポイントは、「AIブーム=AI企業の株だけ上がる」ではなく、「AIが食べる電気と土地の周りで、地味にお金と人が動き始めている」ということです。

  • なぜAIデータセンターを、わざわざ地価も電気代も高い“東京ど真ん中”に建てるのか
  • そのとき、周辺のオフィス需要や不動産価格、電力インフラってどう動くのか
  • 広島のメモリ工場みたいな地方の巨大投資は、“地方創生”として本当に機能するのか
  • 投資目線では、「AI銘柄」よりむしろ、電力・不動産・建設・冷却技術といった“裏方インフラ”にチャンスがあるんじゃないか

こういったところを、難しい専門用語をできるだけ避けて、「会計視点+不動産視点+個人投資家視点」でゆるくほどいていきます。

この記事でお話しするのは、ざっくり言うとこの3つです。

  1. AIは“クラウド”じゃなくて“工場”だという話
    ┗ 土地・電気・水をどう消費するのか、ざっくりイメージを掴むパート
  2. TK1 Tokyoが、東京の地価・電気料金・オフィス需要に与えそうなインパクト
    ┗ 「東京ど真ん中にAI工場」が意味することを不動産&会計目線で整理
  3. 広島メモリ工場から考える『AI列島改造』と、どこを見るべきかという投資のヒント
    ┗ AIそのものじゃなくて、“電力・不動産・建設・冷却技術”を見る逆張り思考

「AIは難しくてよく分からん…」という人でも大丈夫です。
できるだけ日常の感覚に寄せて、「これからの日本で、お金と仕事はどこに流れていきそうか?」というイメージが持てるように書いていきます。

AIは“雲”じゃなくて巨大な“工場”だった

「AIはクラウドにいます」「データはクラウドに置いてます」
こんな言い方をよく聞きますが、クラウドって結局、“どこかの誰かのデカいパソコン部屋”なんですよね。
そのパソコン部屋の正体が、データセンター。AI向けになると、それはもうほとんど“工場”レベルになります。

ここではまず、

  • なぜAIはそんなに電気を食うのか
  • なぜ広い土地と頑丈な建物が必要なのか
  • その結果、どんなお金が動くのか

を、専門用語なしでイメージできるようにしていきます。

AIモデル=「24時間フル稼働の筋トレマシン」

AIってよく「脳みそ」とか「頭がいいコンピュータ」と言われますが、実態は“めちゃくちゃ計算するマシン”です。
たとえばChatGPTみたいな大きなAIは、答えを出すたびに、
「膨大な数字のかけ算と足し算」を何万回も何十万回も一気にやっている感じ。

  • 普通のWebサービス:
    → 「必要なときだけチョロっと動く事務仕事のPC」
  • 大規模AIサービス:
    → 「24時間フルパワーで動き続ける筋トレマシンの山」

みたいな違いがあります。

筋トレマシンがフルで動くと、当然

  • 電気を大量に使う
  • 熱がたくさん出る(PCも暑くなるイメージ)

この2つが一気に増えます。
だからAI用のデータセンターは、

  • とにかく電気をたくさん引ける場所
  • 出てきた熱をガンガン冷やせる設備

が必須になります。

データセンターは「電気と冷房の塊」

AI向けデータセンターを、もう少し身近なものに例えてみます。

  • 普通のオフィスビル:
    → 人が働く場所。PCや照明もあるけど、メインは人件費。
  • AIデータセンター:
    → 人は少数。代わりに“電気代+冷房代”がとんでもない。

中身をざっくり分解すると、こんな感じです。

  1. サーバー(AIが動くコンピュータ)
  2. それを並べるラック(棚)
  3. 電気を引き込むための設備(変電設備や太いケーブル)
  4. 熱を外に逃がすための冷却設備(空調・冷却水など)
  5. 電気が止まっても動かすための予備電源(バッテリー・発電機)

会計的に見ると、データセンターって

  • 建物そのものよりも
  • 電気周りと冷却周りの設備に大きなお金がかかる

という特徴があります。

だから、「AIが伸びる=AI企業の売上が伸びる」だけじゃなくて、

  • 電力会社
  • 送配電を支える設備メーカー
  • 冷却技術・空調設備メーカー
  • 大規模施設を建てるゼネコン

こういう“地味だけど必須なプレーヤー”にも、お金が流れていく構造になっています。

土地ビジネスとしてのAI:立地がモロに効いてくる

次に、「どこに建てるか」という土地の話です。

AIデータセンターは、

  • 広い敷地(または高いビル)
  • がっつり電気を引ける場所
  • 安定した通信回線

が必要です。

ここで面白いのが、

「AIなら地方の広い土地に建てればいいじゃん?」

という直感と、

「いや、東京ど真ん中にも欲しいんだよね」

という現実のギャップです。

地方に建てれば、

  • 土地が安い
  • 冷やすのも楽(気温が低い場所だと有利なことも)

というメリットがあります。
一方、東京のような大都市に建てると、

  • 地価が高い
  • 電気代も高い
  • 建設コストも高い

という“コストの三重苦”に見えます。

それでも都心に建てるのは、ビジネス的にメリットがあるからです。
たとえば、

  • 大手企業の本社や金融機関に近い(営業しやすい・信頼されやすい)
  • 通信の「遅れ」を最小限にできる(トレーディングやリアルタイム処理で重要)
  • 都心の優良不動産として「長期で貸しやすい」:
    → テナントの入れ替わりが激しいオフィスより、“10〜20年単位で借りてくれる大型ユーザー”として安定

つまり、不動産目線で見ると、AIデータセンターは

  • 「テナントがすぐ入れ替わるオフィス」より
  • 「長期で契約してくれる大口客」を連れてきてくれる存在

になり得ます。

オーナー側からすると、

  • 地価の高い土地でも、
  • 長期・安定の賃料を期待できる

という“新しい使い道”としてAIデータセンターが浮上している、という見方もできます。


このセクションでは、「AI=クラウド=ふわふわ」ではなく、「AI=電気と冷房を食いまくるリアルな工場」というイメージを持ってもらうことを狙いました。

ここまでを押さえておくと、

  • なぜTK1 Tokyoをわざわざ東京のど真ん中に建てるのか
  • それが周りの地価やオフィス需要、電気料金にどう響きそうか

といった話が、ぐっと現実味を持って感じられるようになります。

次のセクションでは、いよいよ「TK1 Tokyoが東京に与えそうな具体的な影響」を、不動産と会計の視点からもう少し踏み込んで見ていきます。

TK1 Tokyoが「東京の地価・オフィス・電気」に落とす影

前セクションでは、「AIデータセンターって、実は電気と冷房を食いまくる工場だよ」という話をしました。
ここからは、それが東京ど真ん中(TK1 Tokyo)に建つと何が起きそうかを、不動産とお金の流れという観点で見ていきます。

ざっくりいうと、

  • 地価:AIデータセンターが“新しい需要”になる
  • オフィス需要:古いオフィスの一部は、用途転換の候補になる
  • 電気:電気代そのものより、「インフラ投資」と「誰がコストを負担するか」がポイント

という3本立てです。

なぜ“東京タワーの横”なのか:スピードと信頼のコスト

まず素朴な疑問。

「そんなに電気も土地も高い都心に、なんでわざわざ建てるの?」

理由はいくつかありますが、初心者目線で一番分かりやすいのはこの3つです。

  1. 通信のスピード(遅延)
    AIを使った株の自動売買、決済、広告配信、リアルタイム翻訳など、
    「ほんの数ミリ秒の遅れが命取りになる」ビジネスがあります。
    そういうプレーヤーの本社やデータが都心にあると、
    近くにデータセンターがある方が有利です。
  2. 信頼と営業のしやすさ
    大企業・金融機関・官公庁はほぼ東京。
    「港区のど真ん中にある」「有名ビルと並んでいる」こと自体が、
    取引先に安心感を与えます。
    営業もしやすいし、視察に来てもらうのも簡単。
  3. 長期契約が見込めるお客さんが集まっている
    都心には「10年単位でAIインフラを使い続けそうな企業」が多いので、
    データセンター事業者からすると、
    「長く付き合えるお客さんが周りにたくさんいる」マーケットです。

これらのメリットが、「地価が高い」「電気が高い」というデメリットをある程度上回る、と計算しているわけですね。
会計的に言うと、

  • 初期投資(建物・設備)は超重いけど
  • 長期の契約で安定的に回収できる

というビジネスモデルです。

AIデータセンターは「超・長期テナント」になる

不動産目線から見ると、TK1 Tokyoのような施設は、かなり特殊な“テナント”です。

普通のオフィスビルは、

  • テナント:人が働く会社
  • 契約期間:2〜5年くらいで入れ替わることも多い
  • 内装も会社ごとに工事が必要(出入りのたびにコスト)

という世界です。

一方、AIデータセンターは、

  • テナント:データセンター事業者(または自社利用)
  • 契約期間:10〜20年単位の超長期もあり得る
  • 内装:ほぼ専用設備(サーバーラック・電源・冷却など)

という、“どっしり系”の使い方になります。

この違いから生まれるポイントは3つ。

  1. 地価の下支え要因になりやすい
    「このエリアには、AIデータセンター需要がある」という期待が出ると、
    単なるオフィス需要だけに頼らないので、
    土地オーナーにとっては心強い存在になります。
  2. 古いオフィスビルの“出口”になり得る
    老朽化してきたビルや、テナントが埋まりにくい物件を、
    建て替えてデータセンター用途にする、という選択肢も出てきます。
    全部がそうなるわけではありませんが、
    「オフィス一択」から「AI工場もあり」に世界が一歩広がるイメージです。
  3. REIT(不動産投資信託)などの投資テーマにもなりやすい
    上場しているREITの中には、
    データセンターを組み込む動きも世界的に増えています。
    個人投資家からすると、
    「AI銘柄の個別株は難しいけど、データセンターを持ってる不動産なら分かりやすい」
    というルートもあり得るわけです。

つまり、TK1 Tokyoのようなプロジェクトは、

「AIバブル」としての一過性イベント
というより
「東京の地価と不動産の使い方を、じわっと変えるきっかけ」

として見ると、だいぶ面白くなります。

電気料金より“インフラ投資”と“誰が得をするか”を見る

次に、電気の話です。

AIデータセンターが都心に増えると、

  • 「電気足りるの?」「また電気代上がるの?」

という不安が出てきます。

ここで大事なのは、「電気代の1円2円」より、

  • 電力インフラを増強するための投資
  • その工事や設備で誰が儲かるか

という視点です。

たとえば、

  • 変電所や送電線の増強工事 → 建設会社・電力インフラ企業
  • ビル内の高圧受電設備・非常用発電機 → 電機メーカー・重電メーカー
  • 冷却システム(空調・水冷・液冷など) → 空調機器メーカー・専門エンジニアリング会社

に仕事とお金が流れます。

会計っぽく言うと、

  • AI事業者:
    → 電気代と設備費という「デカいコスト」を負担する側
  • 電力・インフラ・建設・冷却の企業:
    → そのコストを売上として受け取る側

です。

個人投資家目線で整理すると、

「AIはコストを払う側」
「電力・不動産・建設・冷却技術は、AIのおかげで売上が増える側」

という“立ち位置の違い”に注目するのがポイントです。

AI企業そのものは競争が激しく、勝ち組・負け組が変わりやすい世界ですが、
インフラ側は「AIが増える限り、長期で需要が増えやすい」ビジネスになりやすい、という構図があります。


このセクションでは、TK1 Tokyoをきっかけに

  • 都心ど真ん中にAI工場が建つと、不動産の使い方と地価の見え方が変わる
  • 電気の話は「高い・安い」だけじゃなく、「インフラ投資」と「誰が稼ぐか」が重要
  • 投資家目線だと、AIそのものより“裏方インフラ”を見ると面白い

という話をしました。

次のセクションでは、広島のマイクロンのメモリ工場を入り口に、

「AI列島改造」として、日本全体でどこにお金と仕事が流れそうか?
そして個人投資家として、どんな視点で銘柄を眺めると面白いか?

を、もう少し具体的に掘り下げていきます。

「広島のメモリ工場」とAI列島改造 ― 見るべきは“AIの外側”の仕事

ここまで、東京ど真ん中に建つTK1 Tokyoをきっかけに、

  • AIデータセンターは「電気と冷房を食う工場」
  • 都心の地価や不動産の使い方を変えるプレーヤー
  • 電力・建設・冷却といった“裏方”にお金が落ちる

という話をしてきました。

ラストのセクションでは、視点を東京から広島のマイクロン新工場に移します。
地方の巨大工場投資が増えるとき、

  • 本当に「地方創生」になるのか?
  • どこに仕事とお金が落ちるのか?
  • 個人投資家として、どこを見ておくと面白いのか?

を、「AI列島改造」というざっくりしたイメージで整理してみます。

広島メモリ工場は「AIの胃袋をつくる」インフラ

マイクロンの新しい広島工場は、ざっくり言うと「AIが食べるメモリ(HBM)」を大量生産するための工場です。
TK1 Tokyoのようなデータセンターが「AIの胃袋に入ったものを燃やす場所」だとしたら、
広島のメモリ工場は「そのエサをつくるキッチン」に近いイメージです。

AIブームで、

  • GPU(NVIDIAみたいな計算用チップ)
  • HBM(GPUのそばにくっつく超速いメモリ)
  • サーバー全体

が一気に足りなくなり、「設備投資ラッシュ」になっています。
このとき、日本の地方にあるメモリ工場は、

  • 世界中のAIデータセンター向けに「エサ」を供給する
  • 日本円で見ると、かなり大きな売上が動く
  • 政府の補助金も入り、地域の雇用・インフラ投資も増える

という、“世界のAIを支える裏方”の立ち位置を取りに行っている形です。

ここで大事なのは、

「AIって、画面の向こうの話でしょ?」
ではなく
「AIのために、日本の地方にリアルな工場と雇用が生まれている」

という現実です。

地方に落ちるお金は「工場だけ」じゃない

「1.5兆円投資」というニュースを見ると、どうしても

「工場本体がでかい」「雇用が増える」

で終わりがちですが、会計っぽく分解すると、もっといろいろなところにお金が流れます。

初心者向けに、ざっくり4つに分けてみます。

  1. 建設・土木のお金
    工場そのものを建てるために、
    ゼネコン・設備工事会社・地元の建設会社に仕事が出ます。
    コンクリートを打つ人だけでなく、電気設備・配管・空調など、かなり多くの業種が絡みます。
  2. インフラのお金(電気・水・道路など)
    AI向けメモリ工場も、とにかく電気と水を使います。
    そのために、
    • 電力インフラ(変電所・送電線)
    • 工業用水の設備
    • トラックが出入りする道路や物流拠点
      などの周辺整備にもお金が落ちます。
  3. サプライチェーン(材料・部品・装置メーカー)
    半導体工場は、材料や部品、製造装置の塊です。
    レジスト(液体の材料)、ガス、ウエハー、クリーンルーム装置、検査装置など、
    多くは専門メーカーが供給しています。
    広島のような拠点が増えるほど、そうした企業にも長期で仕事が流れます。
  4. 地域の“生活インフラ”へのお金
    工場で働く人が増えれば、
    • 住宅
    • 商業施設
    • 病院・学校
      といった「日常生活側」の需要もじわじわ増えます。
      ここには、地場の不動産会社やスーパー、サービス業が関わってきます。

つまり「工場=1社だけが儲かる」ではなく、
工場を中心に“輪”のように、何層もお金の流れが広がると考えるとわかりやすいです。

投資家としては、

「ニュースに出てくる有名企業だけ」ではなく、
「その周りで仕事が増えそうな業種・企業」

にも目を向けられると、一歩視野が広がります。

個人投資家が押さえておきたい「AI列島改造マップ」の見方

ここまでの話を、投資初心者向けに“ざっくりマップ”にしてみます。

AIブームで、日本のどこに何が起きているかを、こんな感じで整理するとわかりやすいです。

① 都心(東京など):AIを“動かす場所”

  • AIデータセンター(TK1 Tokyoなど)
  • 大企業の本社、金融機関、スタートアップ

→ ここでは、

  • データセンター不動産
  • 電力インフラ
  • 建設・設備工事
  • 冷却・空調技術

が、じっくりお金を受け取るポジションになりやすいです。

② 地方(広島・熊本・北海道など):AIの“エサをつくる場所”

  • メモリ工場(広島)
  • ロジック半導体工場(熊本など)
  • データセンターや再エネ拠点(北海道・東北など)

→ ここでは、

  • 半導体の材料・部品・製造装置
  • 工場建設・インフラ工事
  • 周辺の物流・倉庫・工業用不動産

に、長期で需要が生まれやすくなります。

③ 全国共通:人材と教育のニーズ

AIや半導体が増えると、最終的には

  • 電気に強いエンジニア
  • 建設・設備のエンジニア
  • データセンター運用・保守の人材

など、「地味だけど専門性の高い仕事」の価値がじわじわ上がっていきます。

これは直接投資ではありませんが、

  • どんな資格やスキルに需要が出てきそうか
  • どんな教育サービスや研修ビジネスが伸びそうか

という視点でも“AI列島改造”を見ることができます。


銘柄名というより、「考え方の型」として覚えておくと使いやすいのはこの3つです。

  1. AIそのものより、AIが「お得意様」になる業種を探す
    → 電力、データセンター不動産、建設、冷却、インフラ、半導体材料・装置など
  2. ニュースを見たら、「このお金、どこに再分配される?」と一歩引いて考える
    → 工場投資なら、建設・インフラ・物流・地域サービスまで含めてイメージする
  3. 短期の株価より、「10年スパンで需要が増えそうな分野か?」を意識する
    → AIの競争は激しいけど、電気や冷却、インフラは長期で必要になりやすい

もちろん、どんな投資にもリスクはありますし、
ここで書いているのは「個別銘柄のおすすめ」ではなく、考え方の軸です。

でも、この軸を頭の片すみに置いておくと、

「AI関連」と聞いたときに、
「どの会社がチャットボットやってるんだろう?」だけじゃなく、
「このAIの裏側で、どのインフラが太くなりそうか?」

という発想ができるようになります。

それが、そのまま「AI列島改造」を投資家視点で見るコツになっていきます。


このセクションでは、

  • 広島のメモリ工場は「AIのエサづくり工場」という位置づけ
  • お金は工場本体だけでなく、建設・インフラ・サプライチェーン・生活インフラまで広がる
  • 投資家は「AIそのもの」より、「AIを支える電力・不動産・建設・冷却・材料」に目を向けると視野が広がる

という話をしました。

次はラストとして、

「AIは“地方創生”じゃなくて“東京の電気”を食いに来た?」
という問いに、東京と地方の両方を見たうえで、
どんな未来をイメージできるか

を、少しエモめにまとめていきます。

結論:AI列島改造の“主役じゃないところ”に、静かにチャンスが生まれている

「AIは“地方創生”じゃなくて“東京の電気”を食いに来た?」
ここまでの話を全部まとめると、その答えはこうなります。

たしかにAIは東京の電気を食べに来ている。
でも同時に、日本中の土地・工場・インフラを巻き込んで、
静かに“列島改造”を始めている。

TK1 Tokyoのような都心のAIデータセンターは、
一見すると「IT企業のニュース」に見えます。
でも中身を分解してみると、

  • 電力インフラを増強する工事
  • 冷却設備や空調をつくるメーカー
  • その箱を建てるゼネコン
  • 土地を貸す不動産オーナー

こうした“裏方”に、長期でお金が落ちる仕組みになっていました。

一方で、広島のメモリ工場のような地方の巨大投資は、

  • AIが食べる「エサ」をつくる工場として世界とつながり
  • 工場本体だけでなく、周辺のインフラ・生活・雇用まで含めて
  • 地域を丸ごと巻き込んでいきます。

つまり、AIは決して「バーチャルな画面の中の話」ではなく、
とても物理的で、土地っぽくて、インフラっぽくて、
資本主義ど真ん中の“実物ビジネス”なんですよね。

そしてここが、個人投資家にとってのポイントです。

  • 派手なAI銘柄だけを追いかけるか
  • それとも、「AIがお得意様になるインフラ・不動産・電力・建設」を一歩引いて眺めるか

この視点の違いが、中長期のリターンにけっこう効いてくる可能性があります。

もちろん、インフラ側のビジネスだって、競争もあればリスクもあります。
でも、

「ニュースで見えないところに、お金の本流があることが多い」

という感覚を一度持ってしまえば、
日々のニュースを見る目が、少しだけ“プロっぽく”変わってきます。

「AIがすごい」ではなく、
「このAIの裏側で、誰の売上が増えそう?」
「この工場投資で、どの地域にどんな仕事が生まれそう?」

と考え始めたとき、もうあなたは
ただの“AIウォッチャー”から、一歩進んだ“AI列島改造ウォッチャー”です。

これから日本では、

  • 東京ど真ん中でAIが電気を食い、
  • 地方の工場でAIのエサがつくられ、
  • その周りのインフラや不動産が、静かに価値を変えていく

そんな10年単位の変化が続いていくはずです。

完璧に予測することは誰にもできません。
でも、「AI=派手なIT」だけじゃなく、
電力・不動産・建設・冷却・材料といった“地味だけど止められないところ”に目を向けることで、
私たち個人も、その変化の一部を少しだけ取りに行くことができます。

今日の結論を、あえて一言でまとめるなら――

「AIの中身より、“AIが毎月払ってくれる請求書の先”を見に行こう」

です。

スマホのニュースアプリでAIの記事を見かけたとき、
ちょっとだけ立ち止まって、
「この裏側で、どの土地とどのインフラが太くなりそう?」
と考えてみてください。

その一瞬の“考えグセ”が、
これからのAI時代を、ただ眺める側ではなく、
すこしだけ味方につけて生きる側にしてくれるはずです。

深掘り:本紹介

もう少しこの内容を深掘りしたい方向けの本を紹介します。

『改訂版 AI時代のビジネスを支える「データセンター」読本』杉浦日出夫
AI・クラウド・スマホなど、今のIT社会の“心臓”になっているデータセンターを、ビジネス視点でやさしく解説した1冊です。
「そもそもデータセンターって何をしている場所?」「どんな設備やコスト構造になっているの?」という疑問に、日米で20年以上の実務経験を持つコンサルタントが答えてくれます。
ブログで書いた「AI=電気と冷房を食う工場」という話を、もっと体系立てて理解したい人にぴったり。価格も手頃なので、「まず1冊」ならかなりおすすめです。


『図解即戦力 ITインフラのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書』鶴長鎮一
サーバー、ネットワーク、クラウド、データセンターなど、ITインフラの“土台”を図解たっぷりで解説してくれる本です。2024年刊行と新しく、今のクラウド前提のインフラ像にちゃんと対応しています。
「技術書」と聞くと身構えますが、図とイラストが多く、ITエンジニアでない人でも読みやすい構成。
このブログで触れた「AIデータセンターの裏側で何が起きているのか?」を、もう少し技術寄りに押さえておきたい社会人にはかなり刺さる内容です。
インフラの全体像を理解しておくと、ニュースを読んだときの解像度が一気に上がります。


『新・半導体産業のすべて AIを支える先端企業から日本メーカーの展望まで』菊地正典
AIブームの“胃袋”になっている半導体産業を、がっつりビジネス目線で俯瞰した本です。
AI・EV・自動運転・IoTなど、今の成長分野で半導体がどう使われているのか、世界の主要企業、日本メーカーの位置づけまで含めて整理されています。
広島のメモリ工場の話を読んで「結局、日本の半導体ってこれからどうなるの?」と思った人にはドンピシャ。
個別企業の細かい業績だけではなく、「業界全体の地図」を頭に入れておきたい投資家向けの1冊です。


『ずるい!AIで時短、副業、投資』日経トレンディ編
タイトルの通り、「AIをどうやって自分のお金と時間の味方にするか?」にフォーカスしたムックです。
仕事の効率化はもちろん、副業や投資にAIをどう使うか、具体的なツールや活用例がまとめられています。
このブログでは“インフラ側に注目しよう”という話をしましたが、同時に「自分自身もAIを使う側」に回るとリターンが二重になります。

  • 本業の生産性をAIで上げる
  • 浮いた時間で投資や副業の勉強をする

というサイクルを回したい人に、かなり相性の良い内容です。テンポよく読めるので、休日のカフェ読書にも◎。


『2024-2025 資産はこの「黄金株」で殖やしなさい! 日経平均は8万円を目指す』山崎俊輔 ほか
新冷戦、インフレ、生成AIなど、ここ数年の“大きな流れ”を踏まえながら、「これからの数年、株式市場でどこを狙うべきか?」を解説する投資本です。
AIそのものだけを追いかけるのではなく、エネルギー・インフラ・製造業なども含めて「黄金株」という切り口で紹介してくれているのがポイント。
このブログでお伝えした「AIの外側にある電力・不動産・インフラを見る」という視点を、具体的な銘柄イメージに落とし込みたい人にとって、ちょうど良い“橋渡し本”になってくれます。
1冊買ってじっくり読み込むと「ニュースの見え方」と「ポートフォリオの組み方」が変わってくるはずです。


それでは、またっ!!

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